にちにち蛙鳴蝉噪

大阪・兵庫・京都・奈良で食べられるトルコライスの紹介を中心に。制作:近藤亨 2004-2023

ピザハウスF(兵庫/神戸市灘区・六甲)

2006-10-23 15:07:39 | 関西トルコライス巡礼

「トルコ」という名称は日本では受難の歴史がある。
いうまでもなく「トルコ風呂」問題である。
1970年代頃から、性風俗店としての「トルコ風呂」は広く通用する言葉になっていて、それはさらにしばしば「トルコ」と略して呼ばれた。また当時「大使館」という名前の店が50音別電話帳に「トルコ大使館」と載せていたため、本物のトルコ大使館に間違い電話がかかってくることもしばしばだったという。
これに対し、日本に滞在するトルコ人の間では、祖国の名称や伝統文化が性産業と結び付けられて使用されていることに対する反発が生まれた。81年に東京大学に留学していたあるトルコ人学生も「トルコ風呂」の名称にショックを受けたひとりであり、彼は再来日した84年に当時の厚生省に「トルコ風呂」の名称変更を直訴するなど、改名運動を行った。
この運動が当時のマスコミに大きく取り上げられ、同年10月に横浜市の業界団体が「トルコ風呂」の名称を用いないことを決定、同年12月には一般公募の末、新たな名称として「ソープランド」が決定された。
これが「トルコ風呂」名称問題のあらましである。

この店のトルコライスは一見ただ生卵が乗ったカレーに過ぎない。どんな仕掛けがあるのやら、と思い食べ始めると、これが本当にカレーそのものなのだ。ルーもごく普通のものである。
ただ、一口目の「濃さ」が明らかに普通のカレーとは違う。よく確かめてみると、ルーの下のライスはミックスベジタブルと軽く炒めあわせた痕跡が見て取れる。そういえばご飯が少し香ばしい。初めて食べたけれど、炒めたご飯とカレーの相性というのは最高なのだ。カレーの香りに違う角度の香ばしさとコクが加えられて、空腹感をより刺激し、かつ味が重層的になっている。初めて中華料理店で炒飯に麻婆豆腐をかけて食した時の感動がよみがえった。
家で食べるレトルトカレーもこのやり方でひと味もふた味も違ってくるのではないだろうかと思う。早く自分でも試してみたい。

しかし美味いことは美味いのだが、気がかりなのは、この店における「トルコ」という概念が「ご飯をミックスベジタブルと炒める」というただ一点に集約されていることである。これが無ければただのカレーなのだから。
それってなんか、中華っぽいというか、早い話が炒飯だよなあ。
多分店側もそのあたりは自信が無いのだと思う。調理してくれた女性が「こういう代物です」と言いながら出してくれたのを思い出す。
近隣の神戸大学や神戸松蔭女子学院大にトルコ人留学生はいるのだろうか。このメニューを見つけて「コレガ『トルコ』ッテドウイウコトデスカ!」と憤慨しないことを祈るばかりである。

あ、トルコライスというカテゴリー自体が彼らにとっては納得いかないか。



トルコライス 650円

兵庫県神戸市灘区宮山町2-4-4 五光マンション1F   
電話 078-821-3994
営業時間 12:00~14:30(L.O.14:00)、17:30~1:00(L.O.0:00)
無休








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