にちにち蛙鳴蝉噪

大阪・兵庫・京都・奈良で食べられるトルコライスの紹介を中心に。制作:近藤亨 2004-2023

キャロット&悠心(京都/京都市北区・北山)

2017-12-04 15:08:17 | 関西トルコライス巡礼

入社直後から4,5年というところだから、もう15年くらい前の話になるが、毎年秋から冬にかけて京都の北山でちょくちょく仕事をする機会があった。宝が池で仕事を済ませると、地下鉄北山駅を西方向へ通り過ぎ、「ペーパームーン」というカフェでミルクレープを食べるのが当時のお決まりのパターン。ドトールのもいい線いっていると思うけれど(その割に褒める声が少ないのも不思議なのだが)、ここのミルクレープはサイズもひと回り大きいし、フォークを入れるときの弾力からして違い、クレープ生地とクリームがしっとりとマッチした一体感が印象的だった。

市内中心部とは違いあまりごった返していないし、立ち並ぶ店舗は小綺麗で品があり、空は広く山は紅葉が美しく、おまけにうまいケーキが食べられる。まだ独り身だった当時、いずれ居を構えるならばここも候補か、いやいやいくらなんでも通勤時間がかかりすぎる、などと考えているうちに、その例年の仕事自体がなくなってしまい、全く足を運ばなくなった。

ひょっとするとその時代以来かもなあと思いながらやって来た、内装に障子や簾の衝立など和風の要素を取り入れている洋食店である。トルコライスはドライカレーとナポリタンが並びポークカツが載る構成。ドライカレーの辛さは控えめだが、炒飯のように米ひと粒ひと粒がパラパラになるほどきっちり炒められている。ナポリタンはケチャップ風味ではなく、にんにくの香りもわずかに感じられるオイリーなトマトソースパスタという感じだ。両方にしめじとカリカリに炒められたベーコンが入っていて、自然なコクとシズル感溢れる香りを醸し出している。

腹くちくなれば、次に目指すは懐かしのミルクレープだ。北山通に向かって南下、右に折れて、府立植物園を左手に見ながら西進、洋食屋の東洋亭を通り過ぎれば懐かしのペーパームーンはすぐそこ、のはずだったのだが。

たしかこのあたり、という建物にペーパームーンのぺの字もない。というか、ほとんどのテナントが退去してしまっていて、掲示物によるとビル自体が改装を間近に控えているとのこと。慌ててスマホを取り出すと、


肩を落とす僕の横で、紅く色づいた落ち葉が強い風に吹かれ飛ばされていった。山が近いせいか吹きおろしの風が冷たいのもちょっとな、と15年前に考えていたのを思い出した。



トルコライス 1300円

京都府京都市北区上賀茂畔勝町93
075-701-8806
11:30~15:00(L.O) 17:30~21:30(L.O)
火曜定休


コメント
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