リプトンといえばイギリスの紅茶販売大手としてつとに有名である。そして、紅茶といえばどこか「高貴」「上品」なイメージがつきまとう。20世紀初頭に日本に始めて紅茶が輸入された際の価格が、米1升が80銭の時代に450gで2円50銭と、庶民には高嶺の花だったイメージが今でも生きながらえているということなのだろうか。ともあれ、気軽に買えるようになった現在でも、紅茶のある風景には、白いレースのテーブルクロスや、出窓や、ピアノの音色といったものこそが似合うと感じるのは僕だけではあるまい。
小学生時代の同級生に上品な女の子がいた。それほど目立ちはしないが仕立てのよい服を着て、髪はきれいな三つ編みで、いつもきちんと膝を揃えて座り、よく通る声ではきはきと返事をした。大人たちが使う「育ちがよい」というのはこういうことなのかと感心した覚えがある。そして、長期休暇中の自由研究に一緒にとりくんだ時に自宅にお邪魔した際、出てきたのはやはり紅茶だったのをよく覚えている。
当然のように好意を抱き、その思いを不器用なりに伝えようと努力したのだが、当の彼女は、伝わっているのかいないのか、いつもにっこりと微笑むだけなのだった。
上品さというのはなかなか厄介だぞと子供ながらに思ったものである。
話が大きくそれた。
リプトンで供されるトルコライスもどこか上品なたたずまいに見えてしまうのは、個人的に滅多に口にしない紅茶のイメージに既に押され気味なのだろうか。はたまた天井に設えられたハロゲンライトのせいなのか。
とろとろの半熟卵がきらきらと輝き、ポークカツの衣のパン粉は一粒一粒がぴっ、ぴっと音を立てるように立っている。デミグラスソースは周囲に湛えられ、卵の健康的な黄色と皿の清潔感のある白色を際立たせている。
縦方向にもナイフが入れられたカツは軽くさっくりとした味わいで、とろりとした卵とのハーモニーは抜群だ。
そして卵の中に鎮座するのはケチャップライスなのだが、具の厚切りベーコンが香ばしいアクセントとなり、単なる上品さとは一線を画したパンチのある味わいを見せる。
優しい顔して意外に中身はハード。「ぶぶ漬けでもいかがどす?」の京都の気風が息づいている、とでも言うべきか。
ストレートのアイスティーと一緒に食したのだが、甘目のデミグラスソースの後味がきりりとした紅茶の苦味に心地良く洗い流される快感があったことも付け加えておきたい。
さすが紅茶のリプトンであると感じ入った次第である。
ところが、このティールームのオフィシャルサイトを見てみると、どうもあのリプトンとブランドロゴが違うのだ。
ティールームのオフィシャルサイトによれば、「1930年(昭和5年)、まだまわりに何もなかった時代。福永兵蔵は、『リプトン本社直轄喫茶部 極東支店』として、京都・三条にティーショップをオープンしました」とあるのだが、リプトンのサイト内「リプトン物語」における「日本のリプトン」には、本社直轄の極東支店が存在したという事実は一切記述されていない。
はて。
上品さというのはやはりなかなか一筋縄ではいかないものなのだ。
ロースカツのトルコライス1050円
海老フライのトルコライス1050円
京都市中京区河原町蛸薬師上ル
075-223-0391
営業:11:00-22:30(日~木)、11:00-23:00(金、土、祝前日)
小学生時代の同級生に上品な女の子がいた。それほど目立ちはしないが仕立てのよい服を着て、髪はきれいな三つ編みで、いつもきちんと膝を揃えて座り、よく通る声ではきはきと返事をした。大人たちが使う「育ちがよい」というのはこういうことなのかと感心した覚えがある。そして、長期休暇中の自由研究に一緒にとりくんだ時に自宅にお邪魔した際、出てきたのはやはり紅茶だったのをよく覚えている。
当然のように好意を抱き、その思いを不器用なりに伝えようと努力したのだが、当の彼女は、伝わっているのかいないのか、いつもにっこりと微笑むだけなのだった。
上品さというのはなかなか厄介だぞと子供ながらに思ったものである。
話が大きくそれた。
リプトンで供されるトルコライスもどこか上品なたたずまいに見えてしまうのは、個人的に滅多に口にしない紅茶のイメージに既に押され気味なのだろうか。はたまた天井に設えられたハロゲンライトのせいなのか。
とろとろの半熟卵がきらきらと輝き、ポークカツの衣のパン粉は一粒一粒がぴっ、ぴっと音を立てるように立っている。デミグラスソースは周囲に湛えられ、卵の健康的な黄色と皿の清潔感のある白色を際立たせている。
縦方向にもナイフが入れられたカツは軽くさっくりとした味わいで、とろりとした卵とのハーモニーは抜群だ。
そして卵の中に鎮座するのはケチャップライスなのだが、具の厚切りベーコンが香ばしいアクセントとなり、単なる上品さとは一線を画したパンチのある味わいを見せる。
優しい顔して意外に中身はハード。「ぶぶ漬けでもいかがどす?」の京都の気風が息づいている、とでも言うべきか。
ストレートのアイスティーと一緒に食したのだが、甘目のデミグラスソースの後味がきりりとした紅茶の苦味に心地良く洗い流される快感があったことも付け加えておきたい。
さすが紅茶のリプトンであると感じ入った次第である。
ところが、このティールームのオフィシャルサイトを見てみると、どうもあのリプトンとブランドロゴが違うのだ。
ティールームのオフィシャルサイトによれば、「1930年(昭和5年)、まだまわりに何もなかった時代。福永兵蔵は、『リプトン本社直轄喫茶部 極東支店』として、京都・三条にティーショップをオープンしました」とあるのだが、リプトンのサイト内「リプトン物語」における「日本のリプトン」には、本社直轄の極東支店が存在したという事実は一切記述されていない。
はて。
上品さというのはやはりなかなか一筋縄ではいかないものなのだ。
ロースカツのトルコライス1050円
海老フライのトルコライス1050円
京都市中京区河原町蛸薬師上ル
075-223-0391
営業:11:00-22:30(日~木)、11:00-23:00(金、土、祝前日)
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