「習近平次期主席が暗殺される!?」中国ネット界で不穏なウワサが拡散中

2012-09-12 | 国際/中国/アジア

「習近平次期主席が暗殺される!?」中国ネット界で不穏なウワサが拡散中
日刊サイゾー2012.09.11 火
 中国の次期最高指導者に内定しているといわれる習近平副主席について、不穏なウワサが広がっている。
 中国版Twitter「微博」では、「危険が迫り、身を隠している」「すでに身体に何かが起きたのでは?」などと、さまざまな臆測が飛び交っているのだ。
 その背景には、副主席が9月1日を最後に、公の場に姿を見せていないことがある。そればかりか、予定されていたクリントン米国務長官やシンガポールのリー・シェンロン首相、デンマークのヘレ・トーニングシュミット首相など、各国首脳との会談も相次いでキャンセルされている。
 これに対する当局の不明朗な対応も、臆測を広げるのに十分だ。10日に行われた中国外務省の定例会見では、記者らから副主席の状況に関する質問が集中したが、「関連情報に補足はない」「報告できる情報がない」と答えるにとどまっている。国内メディアの報道では、ある党指導部関係者が「日課の水泳中に背中を負傷しただけ」と明かしたというが、各国首脳との会談もキャンセルして10日以上も公の場に出られないとなると、ただのケガではなさそうだ。
 こうした中、「微博」上のウワサはエスカレートするばかりだが、副主席の死の可能性について言及するような書き込みは、相次いで削除されている。
 習新主席が正式に任命されるとみられていた中国共産党第18回全国代表大会は、当初秋に開催される見込みと伝えられていたが、この時期になっても正式な開催日は発表されておらず、来年に持ち越されるとの見通しも出ている。
 次期指導部の椅子をめぐる政権争いの中、最高指導部入りが確実視されていた薄熙来が失脚するなど、政権争いが続く中国共産党。何か想定外の異変が起きていることは確かなようだ。
 (文=牧野源)
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10日前の動向を改めて紹介…中国・習副主席、公の場に姿見せず
サーチナ 2012/09/10(月)13:04
  中国共産党系の学習時報は10日付で、「習近平国家副主席が中央党校の2012年秋学期の始業式で演説した」との記事を発表した。しかし、中央党校の始業式が行われたのは9月1日だった。習副主席は5日に、訪中したクリントン米国務長官との会談を取り消すなど、9月になってから動向が分からない状態が続いている。当局も理由を説明していない。
  中央党校は、共産党が運営する幹部向けの教育機関。学習時報は中央党校の機関紙。10日発表の記事で習副主席による「本日、秋学期が始まる。私は中央党校委員会を代表して、学生全員を熱烈に歓迎します」などの言葉を紹介した。
  学習時報は中央党校始業式の日付を記載しなかった。中国では、日時をはっきりさせない記事も珍しくないが、要人の動向を10日も経過してから日付なしで記事化することは異例だ。
  習副主席の予定変更については、米メディアが中国政府筋からの情報として、「水泳中に背中を負傷した」などと報じた。9月になってからの習副主席の動向が不明であるため、海外に拠点を置く反政府系の中国人が運営するメディアは「暗殺説もある」などの報道を始めた。
  中国では10月に開催される共産党大会で、胡錦濤総書記(国家主席)が定年制の関係で引退する。これまで、習近平氏が共産党総書記に指名され、その後は国家主席、中央軍事委員会主席となり、次期政権のトップになるとみなされていた。
  次期リーダーと見なされていた人物の動向が、権力移行の直前に不明になることは、異例の事態だ。そのため、失脚した中国共産党重慶市委員会の薄熙来前書記の問題とも絡めて、中国共産党内部で本格的な権力闘争が進行中との見方も出てきた。(編集担当:如月隼人)
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姿消した次期指導者・習近平氏…乱れ飛ぶ憶測、暗殺未遂説も=中国
サーチナ 2012/09/09(日) 13:31
  中国の次期指導者とされる習近平国家副主席が5日、訪中した米国のクリントン国務長官との会談を取りやめたことで、同副主席の現状について、さまざまな憶測が飛び交っている。「暗殺未遂説」も出た。習副主席は9月1日以来、公式の場に姿を現していないとされる。
  中国政府・外交部の洪磊報道官は5日の定例記者会見で、クリントン長官との会談をとりやめたことについて、「日程調整の都合」と説明した。しかし、国家首脳の会談が「日程調整」を理由に急遽(きゅうきょ)取りやめになることは、通常では考えられない。外交部は定例記者会見の様子をホームページで公開しているが、習・クリントン会談の取り消しに関連する部分は掲載されなかった。
  習副主席は、同日予定していたシンガポールのリー・シェンロン首相との会談もキャンセルした。
  習副主席の予定変更については、米メディアが中国政府筋からの情報として、「水泳中に背中を負傷した」などと報じた。
  その後、海外に拠点を置く反政府系の中国語メディアや東南アジアの一部メディアは「暗殺未遂があったとの説がある」などと報じ始めた。高級幹部専用の北京301医院(病院)に搬送されたとの見方が紹介された。
  いずれの報道も習副主席の現状について、断定的には論じていない。一方で、中国当局の「情報遮断」を批判する主張もある。「中国当局はメディアに対してしばしば、根拠のない憶測をすべきでないと非難する」と指摘した上で、「根拠のない憶測が生じるのは、情報遮断の必然的結果だ」などと論じた。
  習副主席と比較的近い立場にあったとされる中国共産党中央政治局の賀国強常務委員についても動向が伝えられなくなったとして、関係を憶測する見方も出ている。(編集担当:如月隼人)
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メディアは中国の“不都合すぎる真実”を伝えるべき~隣国は各地でガラガラ音を立てながら崩壊している 2012-09-06 | 国際/中国 アジア 
 河添恵子 崩壊する隣国に警戒せよ
 産経ニュース2012.9.6 08:12[40×40]
 抗議船の尖閣上陸、「打倒小日本」などと叫びながら暴徒化する反日デモ、日本大使車襲撃事件…と連日連夜、中国による蛮行が報じられている。が、報道の視点は「(国旗持ち去りの)犯人は?目的は?」などと矮小(わいしよう)化され、評論家は当たり障りない持論を披露…。ゲンナリだ。
 それよりこの機会に、メディアは中国の“不都合すぎる真実”を国民に懇切丁寧に伝え、警戒を呼び掛けるべきでは? 隣国は、各地でガラガラ音を立てながら崩壊しているのだから。
 まず、道路(高速道路含む)の陥没による大小事故が、北京、上海、杭州、広州、瀋陽など日本人も多い大都市で頻発している。車がスッポリ埋まりそうな巨大な穴が開いた例もある。また、橋の崩壊事故も多発。先日も黒竜江省ハルビン市の高架橋崩落事故で死傷者が出ている。そして、7月に北京を襲った豪雨では数千人が死亡、被災者は数百万人とされ(情報隠蔽(いんぺい)により正確な数字は不明)、北京市長と副市長は早々に辞任、失脚した。
 これら災禍の大部分は、共産党幹部が牛耳る人命無視のおから工事&技術不足が要因だ。党幹部の権力闘争が熾烈(しれつ)化し、粛清も強まる中、お次は「裸官(裸の国家&地方官僚)」の“海外逃亡ラッシュ”。妻子らは海外暮らし、ウン億元の不正蓄財も海外へ移し、自身は国内で職権乱用&汚職三昧を続けてきた官僚=裸官が、「逃げるが勝ち」レースに出ている。
 先月末には奇怪な事件-中国国際航空の北京発ニューヨーク行き便が、出発から7時間後に北京空港へ引き返す-が起きた。「機長が『脅迫の情報を受けた』と乗客に説明」「米当局が『危険物が載っている恐れ』を寄せた」など報道はおおむね不可解だが、「米国亡命を試みた党幹部3人が搭乗、その阻止のため」と報じた反共産党紙もある。なお、深セン航空の国内便が離陸後の脅迫電話で、近くの空港に緊急着陸した事件も同時期に発生した。
 笑えない“三文映画”を地で行くトンデモ国家・中国。それでも日本の「友好国」なのか?(ノンフィクション作家)
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 ◆ 『2014年、中国は崩壊する』宇田川敬介著 2012-08-29 | 読書

      

[産経抄]8月29日
産経ニュース2012.8.29 03:42
 『2014年、中国は崩壊する』という本が最近、扶桑社新書として出版された。筆者は中国でのビジネス経験もあるジャーナリスト、宇田川敬介氏だ。タイトルは相当に刺激的だが、尖閣諸島への不法上陸や日本大使の車襲撃事件などを見ていて、うなずける点は多い。▼宇田川氏によれば、中国国内では年間推計10万回もデモが起きている。それほど少数民族や下層民衆の不満はたまっている。胡錦濤政権は高い経済成長を維持することにより、押さえ込んできた。だがそれが不可能になれば、一党独裁体制はたちまち崩れていくと見る。▼経済成長だけではない。この国は、民衆の不満を海外に向けさせて解消するのを得意技としてきた。徹底的な愛国教育で、反日感情などをあおる。そんな感情をバックに、あるいは先兵役として尖閣をはじめ東シナ海や南シナ海への覇権拡大を目指してきたのだ。▼その証拠に、尖閣に上陸、逮捕された香港の団体メンバーは「反日」だけではなかったらしい。民主化、反中国のデモでも常連で、逮捕経験があるという。いわば不満分子である。その不満のはけ口として日本領土に向かわされたと見てもいい。▼それなら27日に丹羽宇一郎駐中国大使の車を襲い日本国旗を奪った連中も、当局にそそのかされたと考えたくもなる。しかし事件による国の信用失墜を考えるとそれはあるまい。「愛国」や「反日」の暴走を抑えられなかったのが実情だろう。▼むろんそのことをあおってきたツケなのだが、こんな無法がまかり通り、国際社会の最低限のルールも守れない。それでは「崩壊」も現実味を帯びて感じられる。尖閣攻撃だけでなく、そのことにも備えなければなるまい。
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薄煕来氏夫人への判決の直前「尖閣騒動で中共幹部が隠したこと」 中国現代史研究家・鳥居 民 2012-09-04 | 国際/中国 アジア
 中国現代史研究家・鳥居民 尖閣上陸は「裸官」への目眩まし 尖閣騒動で中共幹部が隠したこと
 産経ニュース2012.9.4 03:17[正論]
 中国が尖閣諸島でごたごたを起こした。この騒ぎによって、過去のことになってしまった出来事がある。それは、中国共産党首脳部が自国民に一時(いっとき)でもいいから忘れてもらいたい問題である。
 ≪薄煕来氏夫人への判決の直前≫
 尖閣諸島に香港在住の活動家の一隊が上陸したのは8月15日だった。続いてどのようなことが日本で起き、さらに中国で起きるのかは、2004年3月にその島に上陸した「七勇士」、さらには10年9月に巡視船に体当たりした中国漁船の先例があることから、その時、北戴河に集まっていた中国共産党の最高幹部たちは、はっきり読み取ることができた。
 さて、渤海湾深部のこの避暑地にいた彼らが国民の関心をそらしたかったのは何からであろう。
 実は、尖閣諸島上陸の騒ぎが起きた直後、薄煕来氏の夫人に対する判決公判があった。初公判は8月9日に開かれ、「いかなる判決も受け入れる」と彼女は言って即日、結審し、10日ほど後の8月20日に判決が言い渡される素早さだった。単純な殺人事件として片付けられて、彼女は死刑を宣告された。後で有期刑に減刑されて、7年後には病気治療という名目で出所となるかもしれない。
 今年1月に戻る。広東省の党の公式会議で、「配偶者や子女が海外に居住している党幹部は原則として、党組織のトップ、重要なポストに就任できない」と決めた。
 党、政府の高い地位にいて家族を海外に送っている者を、「裸官」と呼ぶ。中国国内での流行語であり、家族とともに財産を海外に移している権貴階級に対する批判の言葉である。
 ≪年収の数万倍もの在外資産≫
 この秋には、政治局常務委員になると予測されている広東省の汪洋党委書記が「裸官」を許さないと大見えを切ったのは、今にして思えば、汪氏の政敵、重慶の薄煕来党委書記に向けた先制攻撃だったのであろう。そして薄氏が3月に失脚してしまった後の4月になったら、薄夫妻の蓄財や資産の海外移転、米国に留学している息子や前妻の息子たちの行状までが連日のようにネットに載り、民営紙に報じられるようになった。
 薄氏の年間の正規の所得は20万元ほどだった。米ドルに換算すればわずか2万8千ドルにすぎない。ところが、薄夫妻は数十億ドルの資産を海外に持ち、夫人は他の姉妹とともに香港、そして、英領バージン諸島に1億2千万ドルの資産を持つというのだ。夫人はシンガポール国籍を持っていることまでが明らかにされている。
 薄夫妻がしてきたことの暴露が続く同じ4月のこと、今秋には最高指導者になると決まっている習近平氏が党の上級幹部を集めた会議で演説し、子女を海外に移住させ、二重国籍を持たせている「裸官」を批判し、中国は「亡党亡国」の危機にあると警告した。
 党首脳陣の本音はといえば、痛し痒(かゆ)しであったに違いない。実のところは、夫人の殺人事件だけを取り上げたかった。だが、そんなことをしたら、これは政治陰謀だ、党中央は経済格差の問題に真剣に取り組んできた薄党委書記が目障りなのだ、そこで荒唐無稽な殺人事件をでっち上げたのだ、と党首脳たちに対する非難、攻撃が続くのは必定だからだ。
 こうして、薄夫妻が行ってきたことを明らかにしたうえで、汪洋氏や習近平氏は「裸官」批判もしたのである。
 だが、最初に書いた通り、裁判は夫人の殺人事件だけで終わった。当然だった。殺人事件の犯人はともかく、「裸官」は薄氏だけではないからだ。汪洋氏の広東省では、「裸官」を重要ポストに就かせないと決めたと前述したが、そんなことは実際にはできるわけがない。
 ≪中央委員9割の親族が海外に≫
 中国共産党の中央委員を見れば分かる。この秋の党大会でメンバーは入れ替わることになろうが、中央委員は現在、204人を数える。国と地方の党・政府機関、国有企業、軍の幹部たちである。彼らは選出されたという形を取っているが、党大会の代表が選んだのではない。政治局常務委員、政治局員が選抜したのだ。
 香港で刊行されている月刊誌、「動向」の5月号が明らかにした政府関係機関の調査によれば、この204人の中央委員のうち実に92%、187人の直系親族、総計629人が米国、カナダ、オーストラリア、欧州に居住し、中にはその国の国籍を取得している者もいるのだという。ニューヨークや米東海岸の諸州、そしてロンドンで高級住宅を扱う不動産業者の最大の顧客はここ数年、圧倒的に中国人であり、現金一括払いの最上得意となっている。党の最高幹部たちが自国民の目を一時でも眩(くら)ましたいのは、こうした事実からである。だからこそ、夫人の判決公判に先立って、尖閣上陸は必要不可欠となったのである。
 ところで、中国の権貴階級の人々がどうして海外に資産を移し、親族を米英両国に移住させるのかは、別に取り上げなければならない問題である。(とりい たみ)
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【尖閣国有化】中国、対抗措置を示唆 背景に制御不能の愛国主義/反日デモ、抗議活動の急先鋒「90后」世代 2012-09-05 | 国際/中国 アジア
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日本を倒せ! 中国・韓国 報道されない反日と憎悪/「愛国無罪」の裏側で、政権内部の権力闘争がちらつく 2012-09-06 | 国際/中国 アジア 
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早くも躓く「中国次期皇帝」習近平/ 失脚した幼なじみ 薄熙来 2012-04-18 | 国際/中国 アジア 
 中国次期最高指導者、早くも躓く
 特別レポート「弱すぎる男」習近平の悲劇
現代ビジネス2012年04月17日(火)週刊現代
 中国の「次期皇帝」習近平とは、何者なのか。政治信条、性格、学歴など、その多くがいまだベールに包まれている。政権深奥への取材で、その実像に迫った産経新聞特派員・矢板明夫氏のレポート。
■失脚した幼なじみ
 3月、中国では数年に一度の大きな政変があった。共産党の権力中枢を担う3つの派閥、太子党・共青団・上海閥のうち、太子党のトップランナーの一人と目されていた薄熙来が、事実上失脚したのだ。
 中国では今秋にも、胡錦濤総書記から習近平への権力委譲が行われる見込みだが、この次期最高権力者である習近平もまた、太子党に属する。薄熙来の失脚により、習近平の権力基盤はどうなるのか---。
 太子党とは、かつての共産党高級幹部の子弟を指す。親の七光りの恩恵を受けて、党内で異例の出世を遂げたり、若いうちから多額の金銭的利得を得るなどの特権を持つ人々のことだ。
 彼らのもう一つの特徴は、幼少期から幹部専用住宅に住むため、互いに顔見知りで、広範な人的ネットワークを形成していることである。実際、習近平と薄熙来も幼い頃から面識があった。
 両者の関係を示すこんな話がある。
 習近平と薄熙来は、薄の方が4歳年上だが、幼稚園の頃から一緒に育った。薄熙来は喧嘩ばかりしている腕白なガキ大将で、一方の習近平は大人しくマジメな子供だった。
 薄の弟が習近平をいじめていたという噂もあった。いわば二人は不良グループとマジメな子グループの代表で、習は薄に頭が上がらないという間柄だった。そのせいか、今でも習近平は薄熙来をどこか怖がっているふしがある。仲間でありながら同時にライバルでもある、そんな微妙な関係だというのだ。
 ではいったい、薄熙来を失脚させたのは誰なのか。
 薄は現総書記の胡錦濤、首相の温家宝らにとって邪魔な存在だった。というのも、彼は書記を務める重慶市で次々に保守反動的な政策を実行に移し、貧しい民衆の不満を煽りながら、現指導部と真っ向から食い違う政治方針を打ち出した。さらに、胡錦濤の腹心とも激しく対立していたのである。ここで薄を潰す決断を下したのが、現最高指導者の胡錦濤であることは確実だ。胡はずっと「薄打倒」のタイミングを計っていた形跡もある。
 習近平にとっては、胡錦濤がライバルの薄熙来を倒してくれるなら悪い話ではない。それで、今回の政変では中立を決め込んだ。
 ただ、習近平は複雑な心境でなりゆきを見守っているはずだ。薄熙来の失脚により、太子党全体には少なからずダメージがある。胡錦濤=共青団の力を見せつけられ、習の政権は発足後しばらく共青団に配慮しながらの運営を迫られる。習の権力は、スタート前にして既に揺らいでいると言っていい。
習近平 共産中国最弱の帝王』(文藝春秋)が話題となっている。
 中国残留孤児2世というルーツを持つ著者の矢板明夫氏は、産経新聞中国総局特派員として北京に暮らす。
 中国の新たな最高権力者・党総書記に就任する習近平の素顔、生い立ち、政治信条は中国国民にさえほとんど知られていないが、氏は同書でその深層に迫っている。
 現在の中国は、改革開放政策で経済的豊かさが増す一方、共産党一党独裁が続くという大きな矛盾を抱えている。そこで生まれているのが、共産党幹部と財界の癒着だ。
 こうした状況下で薄熙来は、貧しい人たちの共産党・政府に対する不平不満を煽って、地元の金持ちの共産党幹部を捕まえて処刑し、自らはヒーローを演じるという政策を実行していた。
 重慶に住む貧しい層は、これに拍手喝采を送った。
 '10年に取材で重慶を訪れたとき、日本円で200円ほどの安価なマッサージ店に入った。すると、マッサージ師が「薄熙来は素晴らしい」と褒めちぎり始めた。「偉そうな奴ら、悪いことをして金持ちになった官僚は、みんな彼に捕まった。中国をよくできるのは薄熙来だけだ」と。
 薄は捕まえた人を簡単に死刑にしたので、「でも、なにも殺さなくてもいいんじゃないか」と反論したところ、「お前は官僚の味方なのか。帰れ!」と怒鳴られ、マッサージの途中で追い出されてしまった。それほど一般民衆の間には官僚、特権階級への怒りが溜まっていた。しかし、その薄熙来は排除されてしまった。
■「消去法」で選ばれた男
 一方の習近平が胡錦濤ら長老に選ばれたのは、彼が父祖を否定しない、いわゆる〝赤い子孫〟であり、安心できる人物だという理由が大きい。李登輝やゴルバチョフのような改革派では、せっかく作った国が民主化で潰れてしまう。薄煕来のように反発をせず、思想的背景もない習近平には、その危険が少ない。
 もうひとつ、習は敵を作らないことに非常に長けた八方美人の政治家だ。温厚で、小さなことを気にしない。人を怒鳴りつけたりということは絶対にしない。
 習近平とライバル関係にある共青団のトップエリート・李克強副首相は、ものすごく頭が切れるので、彼の部下に聞いた話では、失敗や不正をするとすぐに見破り、追及するという。
 しかし、習近平は何も言わずずっとニコニコしている。だから、不正に気付いているかどうかわからず逆に不気味で悪いことができない。そういう力が、確かに習近平にはある。
 習近平たち文革中に失脚した共産党幹部の子弟は、〝下放〟といって、思春期を農村での強制労働の中で過ごした。本の中では、以下のようなエピソードを紹介した。
〈(下放先の)梁家河村に着いた習近平だが、いきなり厳しい洗礼を受けた。持ってきた荷物を整理したところ、カバンからボロボロに乾燥したパンの残りが出てきた。「もう食べられない」と思った習近平はそれを通りかかった犬に投げ与えた。
 うわさがたちまち村中に広がり、「腐敗分子の息子は北京で毎日贅沢三昧をしていたに違いない」と言われるようになった。
 農地まで数キロの山道を歩かねばならない。農地に辿り着くだけで汗びっしょりとなった習近平は、それから一日中、腰を曲げて作業を続けることが何よりも苦痛だったという〉
 急に農作業をやらされた都会のお坊ちゃんたちには、農民とうまくいかず挫折し、自殺する者もいた。
 しかし、習近平は最終的に農民になりきり、村人の信頼を得て、20歳あまりで党支部書記(村長にあたる役職)を任されるほどになった。大物の片鱗、包容力があったのだろう。
 習は、運も抜群にいい。かつて、江沢民派は上海市書記だった陳良宇を、胡錦濤派は李克強をそれぞれ後継者にしようと画策したが、'06年に陳を失脚させた胡錦濤は、李のことも強くは推せなくなった。両派ともダメージを受けたのだ。
 そこで、江沢民派からも胡錦濤派からも「この人なら仕方ない」と、消去法で習近平が一本釣りされた。決して好かれないが、悪く言う人もいない。そういう時代の流れにもうまくはまって、トントン拍子で出世していった。
■何でも父親のコネ頼み
 しかし、習近平にはかつての毛沢東や頳小平のように、強いリーダーシップを発揮したり、何か新しいものを生み出す力はない。政治理念もなく、とりあえず目先のことを問題なく回せればいい、そう考えている。
 彼の境遇と人間性が垣間見えるこんなエピソードがある。
〈31歳の時、習近平は河北省の正定県の党書記を務め(中略)アミューズメントパークを建設し、観光客誘致に成功するなどして県の経済基盤を強化した。若手幹部としてそれなりの実績を残したが、(当時の河北省党委書記で習の上司の)高揚はそれを評価しなかった。革命時代にゲリラ部隊のリーダーだった高揚は、親の七光りで若くして県書記となった習近平のことを軽蔑しており、「業績は父親の人脈の力で作った」として冷たく当たっていた。
 困り果てた習近平は(父親で元共産党幹部の)仲勲に相談した。仲勲は革命時代に面識があった高揚に対し、「息子をよろしく頼む」との手紙をしたためて送った。しかし、それが裏目に出た。高揚は全省の幹部会議で、手紙の全文を読み上げたうえ「父親の力を使ってこんな裏工作をしても無駄だ」と厳しく批判した。
 周りの笑い物となってしまった習近平は河北省を去ることにした。父親の人脈を使い、翌年6月にアモイ市副市長へ転出するとの辞令を出してもらった。アモイは経済特区に指定されたばかりの都市で、その副市長のポストに、河北省という田舎から32歳の党委書記を持ってくることは大変異例な人事でこれはやはり父親の力で実現した。
 習近平が高揚に「別れのあいさつをしたい」と電話をかけたところ、高は「あなたは党中央から直接の指示を受ける幹部だから、私のところに来なくていい」と冷たく拒否されたという〉
 習近平は、その政治家人生の要所要所で父の威光を利用し、最短距離で出世街道を駆け上がった。
 前妻にロンドン留学を勧められた際には、欧米留学の経歴が共産党内で「資本主義に理解がある」とみなされ出世の妨げとなりかねないと考え、これを断った。それが離婚の遠因ともなったという。中国の国内政治の中で、純粋培養されたエリートなのである。
 各派の妥協の結果として頭角を現した習近平には、支持基盤もなく、理念もないため、今後さまざまな勢力に翻弄される恐れがある。私が彼を「最弱の帝王」と呼んだのは、建国以降最も強大になった中国に対し、彼の求心力がアンバランスなまでに弱いためだ。
 現在のところ、習近平政権のほぼ唯一の権力基盤は軍である。軍内部に多い太子党の人脈に加え、現在の妻は少将の位をもつ解放軍所属の有名歌手だ。しかし道を誤れば、北朝鮮のように、ゆくゆくは逆に軍に呑み込まれかねない。
 現在の人民解放軍は、政権を握る、戦争をするというつもりはなく、金儲けを中心に動いていて、資金さえ握らせれば大人しくついてくる。こうした状況は江沢民時代から続いているが、習近平政権ではそれがさらに顕著になる。
■日本には強く出てくる
 中国経済は毎年10%近い成長を続け、今のところ政権は軍に潤沢な資金を与えて懐柔している。ただ、経済が失速してカネによる懐柔が不可能になれば、重大な問題に繋がりかねない。
 また、近年の軍事費増大の背景には、海洋利権の拡大という思惑もある。中国はこれまで海軍力が乏しく、海外の利権には手を出せなかった。しかし今後は、軍事費が潤沢になり、新しく空母も建造し、次々に打って出るだろう。
 軍の膨張は、こうした利権と密接に関係している。今までの中国はGDPばかりを誇っていたが、そのパワーが外へ向けば、圧迫されるのは日本や南シナ海の国々だ。
 国内を強力に支配していた頳小平時代は、中国の国力が弱かったので、国内の不満を押さえつけつつ、外国に対して譲歩せざるを得なかった。それが経済成長をもたらしたという一面もあった。習近平の場合、国力は強大になった一方、国民を押さえる指導力は弱い。日本を含め近隣諸国にとっては迷惑な事態になる。
 おそらく、習近平体制では対日外交も今以上、いや、徹底的な反日政策をとった江沢民時代よりも強硬になっていくだろう。
 これまで中国が主張していた内容は「靖国参拝を中止せよ」「台湾政策に口を出すな」など、歴史的、伝統的な問題ばかりで、日本の国益と直接の関係はなかった。しかし習政権以降は、軍備をバックに東シナ海の利権、尖閣諸島、沖縄周辺の利権、レアアースなど、経済利益をめぐって対立を仕掛けてくるようになる。
 そして、今後の中国は、おそらく引かないだろう。短期政権で外交素人ばかりの日本政府には、うまく対応できるとは思えない。
 先日、習近平は民主党の鳩山由紀夫氏・輿石東氏二人と同日に会談を行ったが、内心ではきっと、鼻で笑っていることだろう。同じ党内で調整がついていないなど、外交の世界ではあり得ない。こんな簡単なことで国益を損なっていては、どうしようもない。
 国内では脆弱な権力基盤しか持たない習近平が、唯一強く出ることができるのは、日本をはじめ近隣諸国に対してだけ。日本は、この新たな帝王にどう向き合うのか。それ以前に、正しい分析ができているのか。残された時間はわずかだ。(文中敬称略)
「週刊現代」2012年4月21日号より
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