孤高を貫くこの人が戦いを終えた 羽生結弦選手 北京五輪 2022.02.10

2022-02-11 | 文化 思索 社会

中日新聞 2022年2月11日 
  中日春秋 

 よく知られたヘミングウェーの『老人と海』は、一人で小舟を操る老漁師の物語。八十日以上も一匹もとれず、周囲からは「不運のどん底」とさげすまれるが、ある日、釣り綱に巨大カジキがかかる
▼何日も格闘して仕留めると、そのカジキを狙うサメが次々と襲ってくる。もりなどを手に一人立ち向かう漁師は自らを鼓舞する。「人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない」「叩(たた)きつぶされることはあっても、負けやせん」(高見浩訳)
▼老人でも漁師でもないが、同様に孤高を貫くこの人が戦いを終えた。フィギュアスケートの羽生結弦選手(27)。北京五輪で大会三連覇を狙ったが、四位だった
▼だれも成功していない4回転半ジャンプに挑み、減点されたが、ジャンプは認められた。氷上の穴に邪魔される不運に泣いた初日の八位からの巻き返し。表彰台を逃したが<負け>はしなかったと思える
▼昨年秋には右足を負傷した。コロナ禍で拠点とするカナダに渡れず、コーチらと離れて国内で一人練習した日々も。不安のなか、何度自らを鼓舞したことだろう
▼漁師は、肉を食われたカジキの残骸とともに港に帰る。眠りにつき、ライオンの夢を見て物語は終わる。百獣の王にこめた作者の意図は知らぬが、なお強くありたいという願いとも思える。どんな夢を見るかはともかく、孤高のスケーターもしばし休む時であろう。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です


羽生結弦は「彼にとっては最後の五輪」「さよならを言うのはつらいよ!」米、中メディア様々な反応【北京五輪フィギュア男子】
 2022年2月10日 中日新聞
 ショートプログラム(SP)8位の羽生結弦(27)=ANA=は188・06点をマークし、合計283・21点。4位に終わり、五輪3連覇はならなかった。
 海外メディアも、即座に反応した。米ニュースサイトのインサイダーは「日本のフィギュアスケーター、羽生結弦にとって北京大会は打ち砕かれた夢の物語。重力にあらがう4回転アクセルを試みて転倒」と報じ、「リンクを去る前は笑顔を見せ、氷に手を触れた。今回が彼にとっては最後の五輪での演技になることが濃厚だ」とした。
 中国国営メディアの環球時報は、演技直後の羽生が氷にタッチしている写真を紹介。「さよならを言うのはつらいよ! 日本の羽生結弦はスタジアムを去り際、上体を折って氷の表面に手を触れた。彼は4回転アクセル、通称4Aに失敗した」と報道した。
 同じ中国国営メディアの第一財済は「“氷のプリンス”で知られる日本の羽生結弦は、きょう4回転アクセルの着氷に2度失敗。通称4Aは、フィギュアスケート界で最難関のジャンプとして衆目が一致しており、いまだ公式の大会で成功した者は誰もいない」と伝えた。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2022.02.11 Fri.〉
 最高のアスリートであり、最高の美意識の持ち主。転倒したとき、「これで、引退するのだろうな」と、即座に感じた。


1 コメント

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Unknown (びこ)
2022-02-11 16:45:20
同感です。

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