Vantage Point (バンテージ・ポイント) ネタばれあり

2008-03-16 | 映画
今回は、日本でもすでに上映されている話題作、アメリカ大統領暗殺事件が8人の視点から描かれたサスペンス・アクション作の「バンテージ・ポイント
ネタばれが多く含まれていますので、作品を観る前に内容を知りたくない方は、読まないで下さい。





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シークレットサービスのトーマス・バーンズ(デニス・クエイド)は、同僚のケント・テイラー(マシュー・フォックス)とともに、スペインのサラマンカで開催される首脳会談に出席するアシュトン米大統領(ウィリアム・ハート)の警護にあたっていた。サラマンカ到着直後、大群衆を前に広場でテロ撲滅のスピーチを行うアシュトン大統領が突然、何者かに狙撃される。パニック状態に陥った広場の中で、狙撃の瞬間を目撃した8人は...(シネマトゥデイより)

スペインで起きた大統領暗殺事件を、現場にいた8人の視点から、事件23分前の午後12時までさかのぼり、8つのエピソードからひとつの謎を解いていくユニークなストーリーの作品だ。
但し、ユニークや奇抜さだけの作品ではない。8つのストーリーが無理なくつながる考え抜かれた脚本。観終わった後、考えるとそれぞれのストーリーと8人の行動が全て必然となっている。

先ず物語の最初で、大統領が狙撃暗殺されるというこの物語のクライマックスを迎える。
この大統領役の名脇役ウィリアム・ハートを、こんなに意味のない役に使うのかと思ったら、実は彼は生きていて終盤は出っ放しだった。

この最初のエピソードは、大統領演説を報道するニュース番組のディレクターのシガーニー・ウィーヴァーの視点ですすめられる。
彼女の部下のアナウンサーが現場から、狙撃の状況を伝え始めると、大きな爆発音が聞こえるが、それが何を意味するのかは、この時には分らない。
そして、今度は再び状況を説明し始めるアナウンサーのいる広場で大爆発が起きる。
倒れるアナウンサーをカメラは撮りつづける。

次は、大統領の警護をするデニス・クエイドの23分間。
彼は、大統領を襲ってきた銃弾から自らが的になり大怪我をおい、最近仕事に復帰してきたばかり。
その事件で銃撃される怖さを知った彼は、今もその恐怖と戦っている。
同僚たちは、まだ彼が事件から立ち直れていないと噂を立てている。
それでも、実際警護に立つと周りが冷静に見え、不審なカーテンの動きを向かいの窓に見つけ、調べに行かせる。
扇風機のせいでカーテンが動いてと報告を受けたその直後、大統領が狙撃される。
混乱する会場で、不審な男を捕まえたり、近くでビデオを撮影していた男のハンディーカムの映像を調べたりしていた時、突然会場で大爆発が起きる。
爆発の衝撃から立ち直った彼は、会場の外にあるテレビ局の中継車を見つけると、犯人の手がかりになるような映像がないか探し始める。
そして警察本部や同僚との状況説明の通信中にある映像を見つけ、中継車を飛び出していく。
一緒に映像を見ていたシガーニー・ウィーヴァーをはじめ他の局員には、その映像にどんな証拠が映っているのか分らない。
それにしても、シガーニー・ウィーヴァーの露出度が少なく、贅沢な俳優の使い方だ。

ここまでで、作り手は謎解きの問題を観客に出した事になる。
もちろん、犯人は、この時すでに登場している。
そして、まだ見えない幾つもの謎が、この後のエピソードで少しずつ明かされていく。

そして、大統領狙撃直後に、一番先にデニス・クエイド捕まった、怪しい地元警察の刑事の23分。
何故、彼はすでに狙撃された大統領の前を、横切ろうとしたのか。

そして、スペインに傷心旅行に来ている気のいいアメリカ人旅行者のフォレスト・ウィッテカーの23分。
彼は、手に持ったハンディ-カムでしきりに会場の様子を撮影している。
このカメラにも何か映っているのか。
そして彼は、惨劇で母親とはぐれた女の子を保護するが、母親を道路の向こう側に見つけた少女は、激しく車が行きかう道路に飛び出てしまった。

怪しい刑事の彼女で謎の女の23分。
刑事と会場で待ち合わせしている、この女性は彼が来る直前まで他の男と顔を近づけて何か親しげに話し込んでいる。
それを見ていた、彼氏の刑事から、聞かれても簡単にかわす。
そして、彼から鞄を大事そうに受け取る。

そして、大統領の23分間。
会場で暗殺の情報を知った大統領補佐官は、すぐに影武者を送る作戦に切り替える。
大統領は、会場のすぐそばの宿泊ホテルから、テレビで会場の様子を伺う。
すると、会場で自分の影武者が狙撃された。
事後策を検討していると、ホテルの下で爆発が起きた。

こうして幾つものエピソードで、次第に謎がつながってくる。
そしてストーリーは大統領暗殺から、大統領誘拐事件になっていく。
ここで、デニス・クエイドが最初に見た映像の場面になり、彼が何を見たかが明らかになる。
彼は、最初に彼から離れて行った人物が、風変わりな格好で映っているのを、その映像に見つける。

ここからは、スペインの古風な街並みをバックにしたスリリングなカーチェイスがはじまる。
追う側も逃げる方も、小さい車で路地のような街や、車と車の間を駆け抜けるのは圧巻。
また、この忙しい運転の最中に携帯を操ったり、車が潰れるほど追突されても、走って犯人を追いかける不死身のデニス・クエイドもすごい。

そして、最後はテロリストの良心がでて、カーチェイスが終わる。

ストーリーも、アクションも、謎解き・どんでん返しも、そして豪華で芸達者な役者たちの演技も、全て楽しめる作品。


トリビア
スペインのサラマンカ市のプラサ・マヨールでの長期撮影の許可が下りなかったので、実際のプラサ・マヨールの撮影は上空からのシーンだけで、あとは全てメキシコでビルのレプリカを造って撮影された。


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4 コメント

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Unknown (江戸アケミ)
2008-03-17 10:32:28
トラックバック。ありがと。そろそろ春かも^_^
こんにちは♪ (non)
2008-03-21 09:02:03
こんにちは♪ TB、コメントありがとうございました☆

なかなか面白い作品でしたね~
何度も同じシーンに巻き戻った最初は少し不安にもなりましたが、
なんのなんのどんどん面白くなっていって、気が付くと体中力が入ってました。
カーチェイスも迫力満点だったし。
上映時間も90分と調度良い感じで楽しかったです♪
こんばんは♪ (kiyotayoki)
2008-04-14 22:01:41
初めまして♪
アリゾナにお住まいなんですね。
アリゾナって高地のイメージがあって、
涼しいのかと思い込んでいましたが、
夏なんかは「うだる」ほどなんでしょうか。

それはそれ、『バンテージ・ポイント』
90分という時間の中に、いろんな要素が
破綻なく凝縮されていて、見応えありましたね。

そうそう、エンディングロールでロケ地がメキシコ
となっていたので、近場ですませちゃったのかなと
思っていましたが、なるほど長期のロケの許可が
下りなかったんですね。納得です。



ありがとう (かめ)
2008-04-15 04:35:05
江戸アケミさん、
桜も散ってしまいましたね。

nonさん、
巻き戻しが2度めになった時、このまま面白くなくなるんじゃないかと、不安でしたが、余計な心配でした。

kiyotayokiさん、
夏(6月からですが)、毎日45度のカンカン照りの日が9月まで続きます。
でも乾燥しているので、とてもすごしやすいですよ。

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