■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■4月月例ネット句会入賞発表■

2024-04-15 09:32:31 | 日記
■4月月例ネット句会入賞発表■
2024年4月14日
【金賞】
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
「土が目覚める」という感覚がいい。耕すと、下になっていた土が上に出てくる。その時の土の色、風が吹いてきて匂う土。冬の眠りから覚めた、春の土が新鮮である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
山に桜が咲いている景色も、それはそれで美しい日本の風景だが、桜が咲き終わると、急に山々に新緑が増え、山が生き生きとして感じられるのだ。花から新緑へ山の色の変化はすなわち、季節の移ろいの色。(髙橋正子)

19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
「咲くぞ」の「ぞ」を入れると、中七が字余りになるが、その崩れに藤の花房が枝垂れ、その先に円錐の切っ先の力が読み取れる。また、散文的な表現の工夫に新しさがある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
「踏みしめる」に確かさがある。参道には日がよく当たって、桜の影がしっかりとできている。しっかりした影でないと、「(踏み)しめる」感覚はわかない。一歩一歩の充実した着実さがうかがえる。(髙橋正子)

28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏
「桜若葉」というあたらしい表現。葉桜になる少しまえに、柔らかな葉となっている。それを若葉と言った。駅や線路沿いにある桜の枝は、列車の風圧で揺れる。若葉と朝と、揺れに、さわやかさ新しさが感じらえる。(髙橋正子)

34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子
桜が散るとすぐに葉桜の季節になる。新年度のあわただしが落ち着き、葉桜となった枝は、青々とした葉をゆったりと揺らせている。「ゆったり」した感じがよい。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
桜が満開の参道です。桜を仰ぐ目を下に向けると桜の影も同じように満開なのです。(多田有花)

16.たがやせば目覚めて風に匂う土/吉田 晃
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく/柳原美知子
31けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑/桑本栄太郎
散ったばかりの一面の花の色が乾くにつれて色濃く染め上げられ、その最後の美しさに桜の季節の名残りが惜しまれます。 (柳原美知子)

07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに/高橋秀之
春の日差しを受けて輝く新芽の色の美しさに見とれる心地よいひととき。心もはればれと良い一日になりそうです。 (柳原美知子)

18.春水を吸ってあかるい芽の緑/ 吉田 晃
生き生きとした新たな芽吹きから春らしさを感じました。明るい季節を予感させる素敵な光景です。(西村友宏)

13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ/髙橋正子
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏

入選/11句
01.あの辺り金蔵寺とや花の雲/桑本栄太郎
洛西大原野にある金蔵寺ですね。どこか高いところから見晴らしておられるのでしょうか。大原野に一面の桜、古刹の名前も雅やかです。 (多田有花)

04.山風にあらがう麦の青さかな/小口泰與
人間や他の動物のように歩いたり走ったりすることが出来ない植物は風にあたり揺れ動く事により、運動となり大きく成長すると云います。今の時季は日々春めくと共に風も良く吹き、抗うように揺れる青麦の様子が見えるようである。(桑本栄太郎)

09.ふと見れば白夜の空に桜舞う/高橋秀之
白夜の薄明りの空に舞う桜、長い夜を彩ってくれ、異国情緒が漂いますね。(柳原美知子)

10.子雀の水浴びしたる潦/廣田洋一
雨上がり潦におぼつかない足取りで近寄り、水浴びをしている子雀に寄せる作者の優しい視線が感じられます。 (柳原美知子)

21.花吹雪く展示車両のひかり号/ 祝恵子
京都の鉄道博物館でしょうか。東海道新幹線開通時に走ったひかり号が展示されています。今のものより丸い雰囲気で穏やかに花吹雪を浴び余生を楽しんでいます。(多田有花)

24.時おりは花びらに触れ歩きけり
桜並木を散策していると、時々、さくらに触れて思わぬ喜びをもらいます。(祝恵子)

27.山桜眼下に我が町光る海/柳原美知子
山桜の咲いている場所から見下ろしている景色がよく見える。光る海が良い、景色を大きくみせる。(廣田洋一)

05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな/小口泰與
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀/小口泰與
17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田晃
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
桜吹雪の谷その中を蝶が飛んでいきます。まるで花びらの一片でもあるかのように。(多田有花)

14.花散るやしずかな息をはく地球
一年後また花を咲かせるためにしずかに花は散る。地球上の万物はそのようにしずかに息をはき、時を待ち、息をつなぎ、命をつないでゆく。その循環がとだえることのないように祈りたいですね。 (柳原美知子)

15.はちみつのような春の森時間

■選者詠/髙橋句美子
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
 人ごみに晒された喧噪が去り、ようやく静かになった。葉が緑の色を広げ、残り少なくなった花が、その陰にあって、これまでの疲れをいやすかのように青空にゆったりとゆれている。(吉田 晃)

35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
普段はひらひらと地面に揺れ落ちる桜が花吹雪として舞っている。吹き上げられて大空に向かった桜の葉にびらはどこへ行くのか。いろんな想像が膨らむ光景です。 (高橋秀之)

36.花祭り音楽聞こえた母の便り

互選高点句
●最高点句(5点)
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
コメント (9)
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