■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■第14回(七夕)フェイスブック句会入賞発表■

2012-07-08 12:19:45 | 日記
■七夕句会入賞発表■
■入賞発表/2012年7月9日■

【金賞】
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
七夕飾りをしてある山の湯。七夕飾りをさらさら鳴らして湯に入るという、抒情ゆたかな七夕が詠まれている。(高橋正子)

【銀賞】
★梅雨明けを待ちつつ髪を切りにけり/多田有花
梅雨の間は特に髪が重いと感じるのだが、梅雨明けのさっぱりした気持を思いつつ、髪を切る。これで気持ちの中では一足先に梅雨が明けそうだ。(高橋正子)

【銅賞】
★梅雨の森また静やかに葉を鳴らす/小西 宏
梅雨の森は青葉が茂りしんとして緑の奥深さを感じる。風に鳴り止んだ葉が、またも静かに葉を鳴らす。なんと、ひそけく「静やか」なことであろう。深い明るさがある。(高橋正子)

★嵐去り蜻蛉生れ​て田の上に/井上治代
嵐が去ると、さっそく生まれ出た蜻蛉が田の上を勢いよく自在に飛んでいる。田の緑、蜻蛉のすずやかさに、生き生きとした爽やかさ季節が読みとれる。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
七夕飾りをしてある山の湯。七夕飾りをさらさら鳴らして湯に入るという、抒情ゆたかな七夕が詠まれている。(高橋正子)

★梅雨明けを待ちつつ髪を切りにけり/多田有花
梅雨の頃は、伸びた髪をうっとうしく感じるもの。さっぱりと髪を切り、間もなく訪れるでしょう、梅雨明けの厳しい暑さにも備えます。(川名ますみ)
雨の降る日が多いい今年の梅雨。それでも日毎に気温が高くなりつつあります。梅雨明けを期待し、早めにさっぱりと髪を短く切った作者の心情がよく表現されています。(桑本 栄太郎)

★梅雨の森また静やかに葉を鳴らす/小西 宏
しっとりと濡れた梅雨の森の静けさ。再び降ってきた雨の音がさらさらと高いところで葉を鳴らし、ぽつりぽつりと落ちてくる。静かな気持ちにさせてくれる句。(安藤 智久)

★なでしこの苗に花あり風があり/高橋正子
なでしこの苗に花がつき、その花が風に揺れている。何気ない一瞬ですが、そこに自然の素晴らしさ、喜びがあります。(高橋 秀之)

★でで虫の飼育係の一年生/高橋亜紀彦
入学してから三ヶ月、一年生の皆さんももういろいろな係を受け持って頑張っているのですね。子どもたちの好奇心もうかがい知れ、とても微笑ましい俳句です。(小西 宏)
でで虫の飼育に携わりいろいろな発見や驚きの一年生。初々しい一年生のお子さんへ寄せるお気持ちに、でで虫のほのぼのとした親しみをより感じさせてくれます。(藤田洋子)

★天城路に色濃く紫陽花つづきけり/安藤 智久
天城山に連なる路には色鮮やかな紫陽花が続いている様子は、夏の清々しい自然の様子を伝えてくれています。(高橋秀之)

★千切っては塩かけキャベツ酒を飲む/野澤 裕
日常のささやかな楽しみであろうが、詠み手の姿がありありと伝わってくる。読み手も自身の姿を見るようで楽しい。日常の生活は、ささやかであっても楽しみがある。(高橋信之)

★七夕飾りを通り抜ければ山が見ゆ/高橋正子
平塚、あるいは仙台の七夕祭りを想起させられます。懐かしく心安らぐ風景描写に惹かれました。(野澤 裕)

【高橋正子特選/8句】
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
七夕飾りをしてある山の湯。七夕飾りをさらさら鳴らして湯に入るという、抒情ゆたかな七夕が詠まれている。(高橋正子)

★嵐去り蜻蛉生れ​て田の上に/井上治代
嵐が去ると、さっそく生まれ出た蜻蛉が田の上を勢いよく自在に飛んでいる。田の緑、蜻蛉のすずやかさに、生き生きとした爽やかさ季節が読みとれる。(高橋正子)

★鹿の耳ぴんと立ちいし茂りかな/安藤 智久
山路を歩いていて偶然鹿に遭遇されたのでしょうか。見た人も見られた鹿も驚きのまあるい眼。 ピンと耳を立てた鹿の緊張感が伝わってきます。(古田 敬二)

★さらさらと青葉ふれあう星祭/小西 宏
夏風に青葉が揺れ、葉擦れの音が涼やかです。その音は織姫​と彦星のささやきのようでもあります。(井上治代)

★七夕の飾りふれゆく親子連れ/祝 恵子
笹飾りの並ぶ街並みでしょうか。あるいは商店街の七夕飾りでしょうか。ゆっくりと夕涼みがてらそぞろ歩き、語り合い、飾りを眺め歩くのでしょう。ちょっとした仕草を捉えたところに説得力があります。(小西 宏)
小さな子を連れた親子連れであろう。七夕飾りを見て、つい、どのような願いが書いてあるのか手を触れてみてしまう。ほのぼのとした親子の会話がそこに見えてきます。(高橋秀之)

★スカイツリーに七夕星の点しあり/小野寺 靖
今名所となっているスカイツリーに七夕星をイメージした電飾が点った。夜空に高く点る灯りの美しさは、見る人を惹きつ七夕の抒情に浸らせてくれる。(高橋正子)

★待宵草の黄花を空へくっきりと/高橋信之
帰化植物ながら荒地でも逞しく自生する待宵草。黄花なればこそ、いっそう鮮やかに空に映えます。夏空へ黄花を向け、明るく生き生きと立つ待宵草です。(藤田洋子)

★夏燕の一閃雨後の空締まる/藤田洋子
滂沱と降った雨の後のまだ濡れたような空を夏燕が一瞬の間に過る。「一閃」の速さなのだ。空さえも引き締まるのだ。(高橋正子)

【入選/20句】
★地に咲ける星のきらめき額の花/小川和子
額の花の美しさを「地の星」と見立てたのが秀逸。(高橋 亜紀彦)

★合歓の花雨に明るき湖岸沿い/黒谷光子
合歓の花は雨がよく似合う。「雨に明るき」という措辞が好く効いている。(古賀一弘)

★星祭る銀座通りの軒端ごと/川名麻澄
星祭りの彩りに飾られた銀座通りが、とりわけ新鮮に目に映ります。いつもと違う街の趣に、ことに涼やかな心楽しさを感じられたのでしょう。(藤田 洋子)

★黄昏の淀屋橋から虹伸びる/高橋秀之
淀屋橋が効いています。淀屋という江戸時代の悲劇の豪商にちなんだ地名、現代の大阪の街、そこから伸びる虹、そこにさまざまな物語が感じられます。(多田有花)

★雨の青田小さき水輪の列をなし/柳原美知子
青田に雨が降り続いている様子がとてもきれいに詠まれています。「小さき水輪」が素敵です。(藤田裕子)

★梅の実の熟れて明るき色ころぶ/小西 宏
青葉の中に採る人もいず、熟れて黄色く熟した梅が沢山青葉の中に見る事が出来る。その中のひとつふたつが落ちて転がって行く様を的確に詠っていると思います。(小口 泰與)
「色ころぶ」にひかれました。梅の実の蒸れたにおいが数か所に転がりるお庭でしょうか、お庭を持つことに、憧れます。(祝 恵子)

★ミニトマト娘のポケットに入れてやる/祝 恵子
自家製のミニトマトでしょうか?食べ頃に熟れたミニトマトを娘のポケットに入れてやる。親子ならではの微笑ましい絆を垣間見る様です。(佃 康水)
家庭菜園の愉しい一こまがさらりと描かれていると思います。(河野 啓一)

★里の灯のぽつりぽつりと星涼し/井上 治代 
梅雨時の今、日中は蒸し暑い中、夕暮れになり、人里にもぽつりぽつりと生活の灯がともります。ちょうどその頃、夜空にも星が一つ、二つと見えはじめるのでしょう。涼しげで心にしんと届く好きな句です。(小川 和子)
田畑の闇は広く、ぽつりぽつりと灯された里の明かり。その明かりの慎ましさが、夏の星に呼応していて涼しげである。(安藤智久)

★あおあおと稲匂いきて青田波/河野啓一
稲が育ってはや波打つようになってきました。そこに風が通っていきます。風が運ぶ青い稲の香り、間もなく梅雨明けです。(多田有花)
稲苗ももうずいぶん大きく育ってきて、青く逞しい葉を風になびかせているのでしょう。そして稲からは「あおあおと」した匂いが流れてきます。瑞々しい田の風景です。(小西 宏)

★桜桃の箱よりあふれ朝市場/上島祥子
どっさり市場に運び込まれた桜桃。市場は活気に満ち、その中で新鮮な桜桃が買われていきます。売る人、買う人の喜びが感じられます。(多田有花)

★夏霧の降りおる丘や牛の声/小口泰與
霧が立ち込める朝の放牧場、牛舎を出た牛たちが思い思いの場所へとカウベルを鳴らしながら歩いていきます。やがて霧は晴れて青空へと変わるのでしょう。(多田有花)
細かな霧の粒が降る幻想的な丘の風景。そこに聞こえる牛の声や息づかいが生々しくてリアルである。(安藤智久)

★絵団扇のほど良き風の生まれくる/藤田裕子
暑い日が続くようになって来る季節。絵団扇からのほどよい風がとても心地よい。穏やかな日常の時間がゆったりと流れる風情があります。(高橋秀之)
クーラーや扇風機が殆どですが、団扇の風も捨てがたく、描かれ​ている絵も涼しさを呼ぶようです。風情のある光景です。(黒谷光子)

★一花のみ残る夕闇沙羅の花/桑本 栄太郎
梅雨の夕闇に暮れ残る一輪の沙羅の花の気品漂う白さが仄かな匂いと共に浮かびあがります。日本画を観るようです。(柳原美知子)

★七夕の海風ゆたかに吹き上ぐる/柳原美知子
七夕の日に吹き上げる海風が、清々しく爽やかです。海風に立つ作者の、心身ともの充実感がうかがえ心明るくなれます。(藤田洋子)

★こだまして遠郭公の秩父かな/古賀一弘
秩父山系の山並みに郭公がのびやかに啼き交わし、こだまします。「遠郭公」という季語がよく効いて、さわやかで清々しい秩父路が想われます。 (小川和子)
遠くで鳴く郭公の声が秩父の山々にこだまし、澄んだ空気の中、とても爽やかな光景が浮かんでまいります。(藤田裕子)

★藪陰にある純白という芙蓉かな/古田 敬二
藪陰に咲いている白芙蓉の純白と言われるほど美しい姿に感動されたことと思います。(藤田裕子)

★朝焼けや始発の駅に列車来る/高橋秀之
いつも見ている光景と違って、早朝の美しい朝焼けの中、列車の近づいてくる景はとても印象的で心に残ります。(藤田裕子)

★極楽の余り風かな軒風鈴/古賀一弘
心地よい風を「極楽」と表現することに感謝をもって日常を​送る作者さまの素敵な心根を感じます。(上島祥子)

★夏河原どのスポーツも声高く/川名ますみ
多摩川などの河原には、野球場やテニスコートなどがあって、思い思いにプレーを楽しんでいる。青草や川の流れの勢いの乗じるように、出す声も高くなる。生き生きとした人の活動場面。(高橋正子)
夏河原ではキャッチボールやバトミントンなど軽快なスポーツを楽しんでいらっしゃる 人達の声が高らかに響き渡っている景色が見えて来ます。大空のもと開放的で見て居ても気持良いものですね。(佃 康水)
 
★初蝉の耳の鳴るごと雨上がる/桑本栄太郎
初蝉を聞いたがまだ耳の底に鳴るような感じで終わった。雨上がりの穴から抜け出たばかりの蝉の声が確かに蝉の季節が来たことを告げている。。(高橋正子)
雨が上がり、耳を傾けていると、恰も耳の鳴って居るかのような初蝉の声が小さく聞こえて来たのですね。梅雨明けも間近い時期の初蝉を上手く表現されて居ると思いました。蝉時雨となる夏ももう直ぐですね。(佃 康水)

■選者詠/高橋信之
★待宵草の黄花を空へくっきりと
帰化植物ながら荒地でも逞しく自生する待宵草。黄花なればこそ、いっそう鮮やかに空に映えます。夏空へ黄花を向け、明るく生き生きと立つ待宵草です。(藤田洋子)

★芭蕉居しと夏萩の紅明らかに
★今日七夕の雨降り悲しみの記事

■選者詠/高橋正子
★なでしこの苗に花あり風があり
なでしこの苗に花がつき、その花が風に揺れている。何気ない一瞬ですが、そこに自然の素晴らしさ、喜びがあります。(高橋秀之)

★小さき街の七夕飾りはすぐ尽きぬ
身近な、小さな商店街に飾られた七夕飾り。ちょっと歩くとすぐに尽きてしまった。静かな、しっとりとした七夕祭。忘れられぬ余情。(小西 宏)

★七夕飾りを通り抜ければ山が見ゆ
街の活性化を願っての七夕飾りでしょうか。吹流しや七夕竹などが彩り良く軒先に並んで居る。その七夕飾りを通り抜けると向こうに山が見えて来る。七夕飾りの通りの賑わいとそして街外れの静けさと両面の景色が見えて参ります。(佃 康水)
平塚、あるいは仙台の七夕祭りを想起させられます。懐かしく心安らぐ風景描写に惹かれました。(野澤 裕)


■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
★夏燕の一閃雨後の空締まる/藤田洋子

●次点(5点)
★里の灯のぽつりぽつりと星涼し/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
コメント (18)
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