■2019年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年11月11日
【金賞】
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
冬立つ日。大空に星が輝き、なんとも晴れやかな冬立つ日となった。厳しい寒さが訪れる冬に向かう第一日が曇りなく大らかであるのがいい。(高橋正子)
【銀賞/2句】
10.わが町に陽はさんさんと今朝の冬/多田有花
「わが町」の明るさがうれしい句だ。有花さんのわが町は白鷺城に象徴される、さんさんとした陽の明るさが届く町だ。「今朝の冬」に新しさと緊張感がある。(高橋正子)
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
高原に遊ぶ日。林檎の木から林檎をもぎ取る。高原の陽に育まれ熟れた林檎は、まさに高原の陽と言えるほど。それを宝物のように大切に手に取ったのだ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
桔梗は、小さな風船のような蕾を付ける。咲く時は、ふっくらした蕾を弾かせる。桔梗の花の愛らしさが、秋の空気にきれいに詠まれている。(高橋正子)
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
なんと自由な猫なんだろう。秋草の中で遊んで、遊びあきて家に帰る。その猫を抱くと、秋の日の匂い、草の匂いがついている。秋の日だまりのようなほっこりとした猫。(高橋正子)
24.風強しセーターの柄の明るさに/高橋句美子
セーターを選んで着るのも冬の楽しみ。明るい柄のセーターを選んで着た日、風が強くて体を風が抜ける。今冬が確かに来ている。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
屋外から帰ってきたばかりなんでしょう。秋の匂いを一緒に持ち帰ってきてくれて、ほっこりします。 (高橋秀之)
12.山寺に冬の紅葉の鮮やかに/多田有花
山寺を訪れると周りが鮮やかな紅葉に包まれている。本格的な秋を感じるひとこまです。
(高橋秀之)
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
10.わが町に陽はさんさんと今朝の冬/多田有花
18.通帳をめくる右手のあかぎれや/西村友宏
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
【高橋正子特選/7句】
24.風強しセーターの柄の明るさに/高橋句美子
いよいよセーターを着る季節となり、お気に入りの明るい柄のものを選んで着てきたけれど、思いのほか、風が強い。新たな季節を楽しむ弾む心持ちが感じられ素敵です。 (柳原美知子)
17.寒空へ鳩舞い朝のホットティー/西村友宏
しんしんと冷気を感じる朝。朝食のホットティーで温まりながら、青空に力強く舞う鳩を見上げると初冬の始まりの活力を感じ、励まされるようです。(柳原美知子)
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
26.猫抱けば秋日の匂う草匂う/柳原美知子
30.桔梗咲く蕾を次々弾けさせ/祝恵子
【入選10句】
05.秋草や塩田平の無言館/小口泰與
無言館は1997年5月、信州上田市に戦没画学生慰霊美術館として竣工しました。世の中が平和であれば、もっと生きて絵を描き続けたかったであろう戦没画学生の絵画が展示されています。秋草との季語、塩田平、無言館との名詞のみの句の持つ哀しみは、深くて重いのです。(桑本栄太郎)
29.秋祭り鉦や太鼓や子等の声/祝恵子
太鼓は子らの担当とか、最近の秋祭りは子らの役割がきちんと決められている。そのお蔭で家族のみならず近所の人も楽しむ祭になっている様を上手く詠んだ。(廣田洋一)
03.汁物の夕餉うれしき冬隣る/桑本栄太郎
ついこの間まで暑い暑いとこぼしていたのに、気がつけば冬です。
寒さを覚える頃は温かい汁物が恋しくなります。(多田有花)
04.雨筋の定かや森の蔦紅葉/小口泰與
色づく蔦紅葉に雨がふりかかっています。彩りがまっすぐな雨の筋目を際立たせています。情景がはっきり浮かぶ絵画的な御句です。(多田有花)
23.青と白の光流れる冬の樹々/高橋句美子
街路樹のイルミネーションなんでしょうか。冬の澄んだ空気の夜の光は、きっと鮮やかに流れていたことでしょう。 (高橋秀之)
15.百合鴎源平池に陣なせり/廣田洋一
いつの間にか北方から百合鴎が飛来し、池の景色が一変した。きらきらと初冬の光を帯びた百合鴎
の白い姿が静かな池に浮かび上がるようです。(柳原美知子)
01.山里の夕の小径や石蕗の花/桑本栄太郎
06.里山の清し冷気や干大根/小口泰與
09.船橋で秋の夜明けて瀬戸の海/高橋秀之
27.かがり火の煙流るる里神楽/柳原美知子
■選者詠/高橋信之
19.卓上の甘納豆に冬が来る
20.冬が来る隣の部屋のテレビの声
21.食卓のバナナ五本へ冬灯
■選者詠/高橋正子
31.桜紅葉散りしあとには雲ゆたか
色を極めた桜紅葉も風雨にいためられて凋落する。その後の葉の無い桜の木の上に初冬の雲が豊かに浮かんでいる素敵な景ですね。 (小口泰與)
桜は花の時期には一斉に咲きますが、紅葉のころはいつのまにかちらほらと色づきいつのまにかまばらに散っています。散ったあとの枝の間に見える雲。冬の始まりを感じつつそれを見上げます。 (多田有花)
33.がまずみの赤色しずむ陽がかげり
がまずみの真っ赤な色が陽が落ちてゆけば、色がしずむ。美しい言葉ですね。(祝恵子)
がまずみの深い赤茶と夕方の色合いが重なる様子が秋を感じさせます。 (高橋句美子)
32.椋鳥の逃げて椋の実黒かりき
■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
08.大空に星の輝き冬立てる/高橋秀之
25.林檎もぎ高原の陽を手に移す/柳原美知子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
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