ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

乃木坂で現場の意見は通っているか?南流石体制のあと、選抜構成にプロの切れ味を感じない [17Jul14]

2014-07-17 17:30:00 | 芸能
9枚目「夏のFree&Easy」初動前作割れの原因を、消費税率のアップに求める意見があって、少し驚きました。

生活防衛のため娯楽費を削る可能性はあるだろうけど、乃木坂の今回の売り上げダウンは、増税とはあまり関係ないと思います。

というのも、前回のブログで指摘したように、握手会スターである「1期10」のメンバーは、9枚目でも、7枚目「バレッタ」、8枚目「気づいたら片想い」とほぼ同じくらい売れていて、応募同次で比べると、むしろ勢いが加速している感すらあり、消費増税なんて、どこ吹く風です。

しかし、「1期10」以外のメンバーに目を移すと、8枚目、9枚目と明らかに売り上げが失速していて、この人気格差が、乃木坂のセールス全体を引き下げています。

もし、増税の影響であるならば、「1期10」のセールスにも陰りが見える筈で、他の歌手は分かりませんが、乃木坂の前作割れは「1期20」と「2期」の握手会人気が落ちたために起こったことで、増税よりは、グループ全体への関心度低下などを議論の俎上に載せた方がいい話です。

またかりに、多くのコアファンが、「1期10」の購入枚数は据え置き、消費税率がアップした分だけ、「1期20」や「2期」の枚数を減らしたのだとしても、今後、税率が上がることはあっても、下がることはないので、その減少分が、10枚目以降で復活する理由は何もないわけで、やはり深刻な人気格差が存在することに変わりありません。

参考のため、前回ブログの表を、以下に再掲しておきます。

7枚目、8枚目、9枚目の第9次応募分までの個別握手会売り上げに関する、各グループのデータ

凡例
シングル番号:完売部数/担当部数 (完売率) 1部以上完売の人数/総人数 1人当たりの平均完売部数 [1人当たりの推定平均売り上げ枚数]

# 7枚目、8枚目、9枚目、すべて9次応募分まで
#「1期10」は、白石、西野、秋元、深川、橋本、桜井、松村、衛藤、若月、生田の10人
#「1期20」は、「1期10」以外の1期メンバー
#「2期」は、正規、研究生を問わず、すべての二期生
# 9枚目は生田絵梨花が不参加

「1期10」
7枚目:275部/288部 (95.5%) 10人/10人 27.5部 [1.94万枚]
8枚目:264部/294部 (89.8%) 10人/10人 26.4部 [1.95万枚]
9枚目:249部/270部 (92.2%) 09人/09人 27.7部 [2.00万枚]

「1期20」
7枚目:096部/266部 (36.1%) 16人/20人 4.8部 [0.73万枚]
8枚目:030部/330部 (09.1%) 11人/20人 1.5部 [0.55万枚]
9枚目:007部/357部 (02.0%) 03人/19人 0.4部 [0.46万枚]

「2期」
7枚目:027部/110部 (24.5%) 7人/13人 2.1部 [0.43万枚]
8枚目:006部/135部 (04.4%) 3人/12人 0.5部 [0.34万枚]
9枚目:003部/149部 (02.0%) 1人/12人 0.3部 [0.30万枚]


ところで、「夏のFree&Easy」のダウンロード配信ですが、iTunes Store の「トップソング」では、私が確認した限り、20位ほどが最高で、現在は、50位くらいまで下がっています。

「気づいたら片想い」は、ベスト10には入ったので、少なくともiTunes Store のランキングでは、9枚目表題曲は、8枚目より低いということになります。

こういった順位も、プロモーションの掛け方や、「組閣」で乃木坂への注目度が上がった云々に、左右される可能性があって、この程度の違いであれば、あまりヒット指数としての意味はないかもしれません。

ただ、「夏のFree&Easy」と同日発売で、オリコン初動が4万9千枚の2位だった、E-girlsの「E.G. Anthem - WE ARE VENUS」は、iTnues Store ランキングで、おそらく最高2位、現在6位で、ヒットと呼べるかどうかは分かりませんが、好調であるのは間違いないと思います。

E-girlsは、乃木坂メンバーにも曲が好きな人がいるように、若い女性層に人気があって、ダウンロード配信でも、かなりの強さを発揮しますね。


初の前作割れが起こった以上、乃木坂運営は、次の10枚目では、特典内容や個別握手会の応募期間などを見直して、連続での初動ダウンは何としてでも阻止しようと、あれこれ手を打ってくると思います。

そして、今の乃木坂には、初動で40万枚以上を売る人気はあるので、一時的には、再び「右肩上がり」を回復出来るかもしれません。

しかし、どこかで本格的なヒット曲を出さないと、小幅な変動はあっても、ジリジリと売り上げが下がって、人気の長期低落から抜け出せなくなってしまう可能性が高い。

実際、AKB48は、昨年の夏に出した32枚目表題曲「恋するフォーチュンクッキー」が、かなりのロングヒットになりましたが、それでも総選挙投票券付きシングルを頂点として、売り上げが減少を続けるサイクルを変えることは出来ず、34枚目「鈴懸の木の道で(以下略)」は、初動でミリオンを3万枚ほど越えるに留まり、累計でも109万枚ほどまでしか伸びませんでした。

また、「日経エンタテイメント!」の2014年「タレントパワーランキング」女性グループ部門では、AKB48は3位で、2位のももいろクローバーZに、ポイントで昨年以上の差を付けられています。

やはり、人気上昇のためには、2010年の「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」、2011年の「Everyday、カチューシャ」「フライングゲット」のように、ヒットを畳み掛ける必要があって、芸能界で生き残るのは大変ですが(笑)、乃木坂もそろそろ何か、音楽シーンで大きな注目を浴びる曲を出さないと、今の人気を維持出来なくなると思います。

ちなみに、「タレントパワーランキング」の4位はE-girlsで、乃木坂46は6位でした。


では、なぜAKB48は、2010年と2011年に、ヒットを飛ばせたのかが気になります。

最近、コリオグラファーつまり振付師である、夏まゆみ氏が、AKB48を立ち上げたときのことを語ったネット記事を読んだのですが、前田敦子の抜擢には、やはり夏先生が関わっていたんですね。

後藤真希在籍時からモーニング娘。を応援していたので、夏先生が力のある振付師であることは知っていましたが、AKB48の創設でも、大きな役割を果たされたようで、さすがという他ないです。

記事によると、前田敦子を評価したのは、踊りが上手いというより、ダンス練習に取り組む姿勢がポイントだったそうです。

その真剣な姿勢がスキルアップにつながったのでしょう、「大声ダイヤモンド」MVに表れているように、彼女のダンスはターンにキレがあって、格好良いです。

さらに、前田敦子だけでなく、いわゆる「神7」と言われる、創成期から前に出ているメンバーは、ダンスのレベルが高くて、明らかに下手という人はいない。

おそらく、振り付けを担当する夏氏が、AKB48の選抜構成を考え、モーニング娘。と同様、魅力的なダンスグループを作ろうとしたのだと思います。

そして、AKB48は、センター前田敦子を中心にした、この夏まゆみ体制が上手く機能して、2010年、2011年のヒット連発につながっていった。

アイドルグループがヒットを飛ばすには、優秀な振付師にチーム構成を考えてもらうのが一番で、秋元康氏もそれを理解していたから、モー娘。で成功を収め、実力が折り紙付きだった夏まゆみ氏を呼んで、彼女に任せたのでしょう。


一方、乃木坂46に呼ばれたのは、南流石氏でした。

そして、生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみというダンスが上手く、年齢的にも、性格的にもバランスの取れた三人によるフロントが考え出された。

さらに、見事だったのは、白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理という目立つビジュアルを持つ、背の高いお姉さんメンバーを2列目に配し、若いフロントと対比させた。

中性的な魅力のセンター生駒の左右に、力強いダンスの生田と可憐なダンスの星野が配置され、2列目には、より年上の女性的魅力が並んでいる。

こうやって複数の対照軸を作ることで、乃木坂の魅力を重層化し、チーム構造を豊かにしていく。

南流石先生、流石に(笑)、素晴らしい力量で、まさにプロの仕事です。

この南流石体制によって、乃木坂はグループとしての人気を伸ばし、さらに杉山勝彦氏が曲を提供することで、4枚目「制服のマネキン」、5枚目「君の名は希望」に辿り着いた。

4枚目、5枚目が、高い評価を受けたことから、いよいよ本格的なヒットに手が届く、そういう雰囲気が出てきますが、6枚目「ガールズルール」では、南流石体制が大きく変えられ、握手会人気で選抜構成を決める、握手会主義の時代に入っていきます。


握手会主義は、7枚目、8枚目とさらに徹底され、9枚目では、1列目、2列目の並びが、個別握手会の売り上げ順位表と大差ない状態にまで至ります。

9th選抜を眺めてまず驚くのは、身長161cm白石麻衣、159cm西野七瀬、163cm橋本奈々未のすぐ後ろ、2列目センターに、156cmの桜井玲香が配置されていることです。

桜井さんは、日本人離れした美貌が作るやや陰のある表情が印象的な、「華」のあるダンスを見せるメンバーで、彼女の踊りが入ると、ダンス全体が非常に華やかになります。

実際、「世界で一番 孤独なLover」MVは、中盤あたりが、桜井玲香の「シングルショットぶっこみ祭り」となっていて(笑)、彼女が醸し出す「華」のある雰囲気が、監督からも高く評価されているのが分かります。

ところが9th選抜では、背の高いフロント3人のすぐ後ろに置かれ、全体ダンスで存在感が希薄になってしまっている。


さすがに身長153cmの生駒里奈は、2列目端に配置されているけど、5人フロントの5人2列目である上、すぐ前が、162cmの松村沙友理なので、全体ダンスでは、カメラにほとんど入らず、一瞬、「あれ、生駒ちゃん、今日は参加してないの?」と思うほどです。

これでは、生駒のダンスが生きてきません。

まあ、正面カメラからのアングルを考えれば、3・5・8のV型フォーメーションが理に適っていて、5・5・7にした時点で、2列目端が死角になるのは避けられず、若月佑美と生駒里奈のポジションは、身長の問題以前に、誰が入っても厳しいんですが。


さらに、3列目にダンスの上手いメンバーが揃っているのも、非常に勿体ない。

「ダンス五福神」の記事で述べたように、星野みなみはもちろん、高山一実も上手いし、衛藤美彩は間違いない。

井上小百合は、10秒おきに正義の味方に変身しそうなパワフルなダンスが楽しいし(笑)、斉藤優里は「13日の金曜日」で見せた、ゴムまりのように弾む、躍動感のあるダンスが魅力的です。

もし、振付師など、現場の人間が選抜構成を決めるのであれば、キャプテンを白石、西野、橋本の後ろに置くとは思えないし、5・5・7のフォーメーションも疑問だし、3列目メンバーの何人かを、もっと前に出すんじゃないでしょうか。


南流石氏が乃木坂を去っても、現場クリエーターの意見が、選抜構成に反映されていれば、そこにはプロの発想が入るので、それなりに意味のあるチーム編成になると思います。

しかし、今の乃木坂は、個別握手会の応募期間や応募次数を決めている人たちが、売り上げ順位表を見ながら、メンバーを並べているような選抜になっていて、私のような素人が見ても、パフォーマンス面から、「何じゃそれ?」と首をひねりたくなる部分が多過ぎです。

誰を選抜にするのか、フロント、2列目、3列目をどう配置するのか、そういったことは、本来、夏まゆみや南流石のような現場のプロに任せるべきことで、そろばん勘定が仕事である、運営のトップが口出しすることではない。

そして、グループが「楽曲の乃木坂」という評価を失いつつある最大の原因は、制作現場にいるプロの判断が、選抜構成に反映されていないことじゃないでしょうか。

実際、現場クリエーターの意見がより通りやすいと見られる、アンダー曲は、抜擢されてきたセンターやフロントの構成に、なるほどと納得出来る部分が多く、そのため乃木坂のアンダー曲には外れがないという評価を受けているのだと思います。


まあ、握手会の売り上げ順にそのままメンバーを並べて、パフォーマンスさせること自体が、素人の発想で、エンターテイメントのプロとは到底言えず、それでは、メンバーがどんなに頑張っても、ヒットを飛ばすのは、夢のまた夢になってしまう。

経理専門の人物が、ステージの上を引っ掻き回しているような無力感を、今の乃木坂には感じます。

外で見ている私がそう思うのだから、現場で制作に当たっているスタッフは、さらに厳しい思いを抱えている可能性がある。

そして、現場の士気が下がってしまったら、それこそ乃木坂は終わりです。

アンダーでライブを行ったり、ファンが見たいユニットを募ったりするのは、現場がまだ自由に出来るアンダーで、「プロによる理想の乃木坂」を実現しようとしているのかもしれません。


選抜構成を見て、「さすがはプロの仕事!」と絶賛するような記事を、一度は書いてみたいですね(笑)。

現実には、あまりにパフォーマンスを無視した並びにするので、誰々がダンスが上手くて、誰々を前に出した方がいい、なんて情けない記事を書くはめになるわけです。

練習からメンバーを見ている現場の振付師や演出家が一番よく分かっているのだから、そういう人たちが自分の発想でメンバーを抜擢して、ファンはその見事さに感心するのが本来の姿でしょう(笑)。

柳沢翔監督の「シャキイズム」MVを初めて観たとき、メンバーの性格やイメージに沿った、絶妙な配役に圧倒されました。

柳沢氏は振付師ではないけど、これほどの洞察力を持ち、メンバーをよく見ている優秀なクリエーターが、乃木坂にはいるのだから、運営が余計な口出しをする必要はなく、どのメンバーをどう使うか、ダンスフォーメーションも含めて、現場に任せるのが一番です。

シングル毎に考案される制服の出来を見ても、乃木坂の現場に、優れた人材が揃っているのは間違いないでしょう。

残念ながら、10枚目でも、握手会主義が緩和される見込みは少なく、現場の意見が反映される可能性も低い気がしますが、せめて、身長の低いメンバーを、高いメンバーの後ろに置くようなことだけは止めて欲しい(笑)。

メンバーを身長順に並べたらヒットが出るわけじゃないけど、今より、ずっと見やすくなるのは間違いないですから。



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