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カラマーゾフ、読了

亀山郁夫訳「カラマーゾフの兄弟」全5巻をやっと読み終わった。
FBの過去の投稿を調べてみたら3月10日に読み始めると書いてあったから、半年以上かかって読んだことになる。その間、村上春樹の「街とその不確かな壁」と並行していた時期もありながらも3巻くらいまでは順調に読み進めていた気がする。しかし、7月9日に弟が突然亡くなって以来、糸の切れた凧みたいに虚空をクルクル回るように過ごしてきた私は、本などとても読む気にはなれず、長い間ページを開かずにいた。
それが10日ほど前から急に「読まねば!」という気持ちが沸き起こってきて、何年かぶりに「読書に耽溺」して読み終えることができたのだから、何だか不思議だ・・。

この長大な小説は、父親殺しを中心としたカラマーゾフ一家の特異性を中心に語られる物語ではあるが、最後5巻目のエピローグに書かれたアリョーシャの言葉に、この物語の主意は言い尽くされているのではないか、というのが読み終わった今の率直な感想。イワンの「大審問官」という小難しい話を称揚する人々もいるようだが、アリョーシャの
「そう、かわいい子どもたち、かわいい友人たち、どうか人生を恐れないで!なにか良いことや、正しいことをしたとき、人生ってほんとうにすばらしいって、思えるんです!」
という何の衒いもない言葉の方が今の私の心に響いた。(何故か涙が溢れた)
まあ、斜に構えることなく心の底からそう思えるようになったのだから、この長い小説を再読した意義はあったように思う。
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