魔界人の妄想録

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交野パラレルワールド 星から落ちた神様 第1章 病室

2023年11月18日 20時12分45秒 | 物語
 また目が覚めた。今度はぐっすり寝たようだ。頭の中の鐘の音の衝撃も残っていないようだ。あれはなんだったんだろう。ゆっくり眼を開ける。ん?ここはどこだ?自分の部屋ではなさそうだ。
 「あ、星野さん」と、これは沙織さんの声だ。なんで?
 「沙織さん、よくわからないけどおはようございます。」
 「何言ってるんですか」とまた怒った声。
 「今はお昼です。そりゃよくわからないでしょうね。ここは病室で、星野さんは1週間意識不明だったんです。」
 僕としては沙織さんがそばにいてくれることはとても嬉しいのだけれど、それにしても僕は何故ここにいるんだろう?
 「沙織さん、今思い出しているんだけれど、覚えているのは、そう、お菓子を持ってきてくれたよね。そうだ、沙織さんがドアをノックして、僕はドアを開けたんだ。沙織さんの顔を見たとき、なんだか目の前が暗くなって体が斜めになるのを感じて・・・そのあとわからないんだ。」
 「私の方に倒れてきたんです。私びっくりしちゃって襲われたのかと思いましたよ。思わず突き飛ばしたら、星野さん、顔から通路に突っ込んで倒れちゃったんです。そのまま動かなくなったから、私殺しちゃったんじゃないかと思いました。自分でも驚くほど大きな声を出してしまったのでマンションのご近所さんは大騒ぎ。人殺しになりたくないんで大急ぎで救急車を呼びました。そんなわけで星野さんはここにいるんです。」
 どこまでが本気なのかわからない話だけれど、それが沙織さんのいいところ。ただ突き飛ばしたと言ってるけど、実は気を失う前、頬に衝撃を感じたことは覚えている。実際は引っ叩かれたんだろう。そりゃ殺したかもしれないと思うだろうな。ともかく沙織さんに助けられたということだ。
 医師が病室に入ってきた。
 「気づかれましたか。1週間寝ていましたよ。とにかくよかった。ちょっと失礼」
といって、僕に聴診器当てるなど診察し始めた。
 「大丈夫のようですね。」と医者が言う。
 「先生」と僕が聞く。
 「はい」
 「さっき寝てたとおっしゃったんだけど、僕は寝ていたんですか?」
 「そのようですね。最初は脳に出血があるのかと疑いましたが、そのような所見は全く見つかりませんでした。そして脳波はまさに睡眠の波形でしたね。ただ原因はわからなかったんです。見方を変えれば健康そのものですね。」
 なるほど、喜んでいいのやら恥ずかしいやら。
 「念のため、もう一晩泊まっていただいて、明日問題なければ退院して大丈夫でしょう」
そう言って医者が病室から出て行った。 
「ところで沙織さん、ずっとここにいて僕を見守ってくれたんですか?」
「そんなわけないでしょう。たまたま寄ってみたら星野さんが眼を覚ましたんです。寝てたなんて信じられない。ほんとに殺しちゃったかと思ったんですよ、全くもう」
「ごめんごめん、僕もよくわからないんだ。あの日の大きな地震のせいだと思うんだけど。」
「地震?最近地震なんてなかったですよ」
「そうなの?最初に気を失ったとき、地面がすごく揺れて大きな音がしたんだ。頭の奥まで響くような」
「なにもありませんでした。ほんとに頭がおかしくなったんじゃないですか?」
きついこと言うなあ、と思ったけれど、僕自身本気で心配になってきた。あれは一体何だったんだろう??


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