付け焼き刃の覚え書き

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「悪役令嬢はしゃべりません1」 由畝啓

2024-05-21 | 異世界転生
「国を守り民を生かすためには、犠牲を出すみとを厭うてはならぬ。独りを助けるために他を犠牲にするのではなく、一人を犠牲にしても数多を救うのが国王が使命」
 病床にあって余命幾ばくもない国王ホレイシオが王太子に伝えられるのはこの言葉だけ。先王が最後の最後まで自分で采配を振るい、王太子にも期待していなかったため、王家の極秘情報が何も伝えられていなかったのだ。

 宰相の娘、リリアナ・アレクサンドラ・クラークは、6歳の時に流行り病に罹った。しかし、高熱から回復した時、リリアナは前世の記憶を取り戻し、代わりに声を失っていた。
 彼女は王太子の婚約者候補になっているけれど、声が出なくては婚約者候補から外されるのは必然。これから学ぶはずの魔法も唱えることはできなかろう。そして彼女は前世でやった乙女ゲームの悪役令嬢。どのルートを進んでも待ち受けるのは身の破滅だけだった……。

 乙女ゲームの悪役令嬢バッドエンド回避のために、チートなスキルや知恵を駆使して最強が暗躍無双する話。
 リリアナが正体を隠して大暴れしている頃、王太子たちは誰が敵か味方か分からず一歩ずつ手探りで動き出していますが、誰が敵か味方かわからないのもリリアナも同じ。父親だって直接に嫌ったり虐待はしていないけれど、リリアナの病気だか呪いをなんとかしようとはしていないし、むしろ婚約者候補から外したがって王家と綱引きしている始末。わかりやすいのは明らかに殺しにかかって来ている義母だけど、とにかく父親の政敵が多いので暗殺者入れ食い状態です。
 悪役令嬢もので、ロマンスよりは権謀術数が乱れ飛ぶ国内の勢力争いとかバトルとかがメインかな。個人の悪巧みとかのレベルではなく、国の内外にさまざまな勢力が張り巡らせた罠や陰謀に、誰も信用できないのでただ同年代の友人1人を支えに挑む王太子と、積極的にはかかわらないけど行く手に立ち塞がるものは力任せに蹂躙していくヒロインの二極で話が進みます。

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