消えゆく霧のごとく(クンちゃん山荘ほっちゃれ日記)   ほっちゃれ、とは、ほっちゃれ!

きらきら輝く相模湾。はるか東には房総半島の黒い連なり。同じようでいて、毎日変わる景色。きょうも穏やかな日でありますよう。

『利根川圖志』  高村薫『冷血』その2

2022年01月29日 11時36分54秒 | 読書の楽しみ、読書の...
 
 『冷血』下には、歯科医師夫婦一家四人強盗殺人事件の犯人で、利根川上流の埼玉県本庄で育ったAに対して、主役のひとりである刑事Cが自分が読み終えた『利根川圖志』(以下新字)を差し入れるくだり (37P) が出てきます。また、取調べ室で調べ中のAを訪れたCに、Aが「ああーー『利根川図志』の人」という一言が発せられる (189P)とあるなど、数箇所にこの書物が出てくるのですが、全編が旧字、旧かな遣いのこの書物を捜査畑の刑事が愛読していたり、強盗殺人犯人がこれを読みふけるといった設定には、かなり違和感を抱きました。書き手の教養が多分に反映されているに違いありませんが、どんなもんでしょうかねえ、ぴんときません。
 
 それはさておき、利根川というのは小学校の教科書にも出てくる全国的に知られた大きな川ですね。群馬、埼玉、茨城、千葉を流下するわが国屈指の大河で“坂東太郎”と称され、広大な流域面積を持っています。そして、いまここで取り上げた『利根川図志』というのは、江戸末期の利根川流域の地誌であり、地誌とは、ある地域の自然、社会、文化などのいわゆる地理的現象を記した書物のことです。
 もはや50年近く前のことになるのですが、若き日のおらは『埼玉大百科事典』という郷土百科事典の編集に携わっており、そのころ著者から上がってくる原稿の疑問点をつぶすために、この本(岩波版文庫版)を参照することがありました。それで、この度『冷血』の記述に利根川図志の名を発見した時はとても懐かしい思いがしました。
 
 岩波版第1刷の奥付刊行日は1938年11月15日で、下に掲げる柳田御大の解題が巻頭を飾っています。
 
       「利根川図志」の著者赤松宗旦翁の一家と、此書の中心となつて居る下総の布川といふ町を、
      私は少年の日からよく知つて居る。此書が世に公けにせられた安政五年 (西暦1858) から、
      ちやうど三十年目の明治二十年 (1887) の初秋に、私は遠い播州 (播磨国=兵庫県南部) の生れ在所
      から出て来て、此地で医者をはじめた兄の家に三年ばかり世話になつた。さうして大いなる
      好奇心を以て、最初に読んだ本がこの「利根川図志」であつた。それから又五十年、其間に
      利根の風景も一変した。 後略 
                                              昭和十三年 (1938) 七月四日  柳田國男  原文旧字。( ) 内はizukun
 
 

この画像、いずれ右回転させますが、いまはどうしても回転させられないのです。首をひねってご覧ください。図志、と題しているだけに図版が豊富です。利根川の河口なので、巻末のほうに出てくる千葉県銚子の海鹿島 (あしかじま) 海岸には、明治の中頃まではアシカが群生していたらしいです。今でも、「海鹿島町」「海鹿島駅」「海鹿島海岸」などの地名があります。何もしないのに回転していました、どうも! 10/feb/2022


 

 こちらは右回転しました。
 なんとなく、尻切れっぽいのですが、『利根川図志』の紹介はここまでです。
 

高村薫『冷血』 その1

2022年01月24日 12時12分02秒 | 読書の楽しみ、読書の...


 高村さんの作品にはぐぐっと引き込まれることがしばしばあるのですが、この『冷血』は作中に出てくる場所という場所が文字どおりすべておらの見知った所、土地勘のある場所でしたので、上下を一気に読了してしまいました。
 
 埼玉・本庄の利根川端で育ち、川崎のパチスロ店員を辞めたばかりの若い男Aが、「大きな仕事 (犯罪) をしよう」とインターネットの裏サイト (ほんまにそんなもんがあるんやろか!) で呼びかけたところ、東京・板橋の新聞配達員で三重・四日市港近くで育ったやはり若い男Bが応じてくる。ふたりは、池袋駅西口の広場で落ち合った後、東京の郊外をぐるりと回る国道16号線沿いに“獲物”を求めて車で走り巡る。深夜、東京・町田の高ヶ坂郵便局のATMを重機を使って強奪しようとしたりするが、はかばかしくなく、相模原などで何件かのコンビニ強盗には手を染めた。それは“成功”するが、目論んでいた「大きな仕事」には程遠いために、ふたりは言うに言われぬフラストレーションを抱えることになる。
 
 というわけで、ふたりは結局、東京・赤羽駅から近い古い住宅地にある、夫婦ともに歯医者である旧家に深夜侵入して盗みを企てるのですが、忍び込んでみれば留守であるとの予想に反して家人が起きてきたため、まったく思いがけないことに一家四人、夫婦と子どもふたりを惨殺してしまう結果になってしまうというプロットなのです。
 作品は、この犯罪の前後を、ふたりの生い立ちはもとより、犯行後の捜査から裁判、判決、Bの病死、Aの死刑執行、までを詳細に描いていくのですが、おらがこの作品を取り上げたのは、実はこの本筋ではなく、まったく別の記述に心ひかれたからなのです。
 
 それは、捕らわれた犯人Aの求めに応じて、主役の刑事が差し入れる書籍類の中にたまたま赤松宗旦著、柳田國男校訂『利根川図志』という江戸末期の地誌があったことがひとつ。また、犯人Bがいたく愛していた映画として『パリ、テキサス』があげられていたことです。主役のナスターシャ・キンスキーにひどく思い入れがあったというくだりを読むやいなや、おらの中の時計が急速に逆回転していくのを感じたのです。
 
 というわけで、次回は『利根川図志』について、その次は『パリ、テキサス』について、ほんの少しだけ書いてみたいと思います。じゃね!

子どもはやめとけ、が妥当するんじゃないでしょうか? コロナワクチン

2022年01月23日 23時44分33秒 | 困ったのう!

なにが出てくるか、誰にもわからんコロナワクチン 

  責任なんて誰も取りようがないでしょ、

  枯れ木はともかく、やめとけ、子どもは!

 

 尾身クロンの驚異的な感染拡大で、子どもたちへのワクチン接種が“緊急課題”だそうですが、ほんとにこれでいいんでしょうかねえ。

 おらは、自己責任で既に2回のワクチン接種を済ませております。

 これは中長期的な悪影響、もっとも長期はないわけですけど、が出て来てもそれを甘受するつもりで打っているのです。本来、10年単位の治験が必要な新薬であるのに、それをすべてすっ飛ばして「緊急対応」とやらをしていることを十分承知しているからです。そんな危ないものでも、目先の感染を回避する効果があるなら、という安易な考えであるわけで、これについては全然反省していないのが実情です、いまのところ。

 しかし、まだ肉体的に成育途次にある子どもたちに対しては、長期的にみて悪影響を及ぼす可能性を否定できない以上、極めて抑制的に対応するのが当たり前ではないでしょうか。子宮頸がんワクチンで散々懲りたんじゃないのかね! やめとけや、子どもは、というのがおらの考えです。

 自身がコロナワクチンを打たず、現状を大いに危惧されている鬼蜘蛛ねえさんの下掲ブログで、子どもたちへの接種を危ぶむ意見広告が紹介されているので、特に子を持つ親御さんには是非読んでいただきたいと思います。

鬼蜘蛛の網の片隅から:事実を知ることの大切さ (sapolog.com) 

ad20220114 (jcovid.net)

      この記事の初出は、2022年1月28日11時48分 ですが、『冷血』記事を連続させるために日時を移動させています。

 


野球のバットがやばい!

2022年01月23日 13時40分03秒 | 困ったのう!

   野球のバットがほんまにヤバい!

  凶器携帯で9000円の科料だと!

グローブとタマを一緒にしとかんとあかんわ

バールなんかをうっかり車に積んどくとヤバいよ!

という記事を2019年の12月9日にアップしています。

 その文末をおらは、「そのうち、このバットなんかも、ヒトを傷つけやすいとかいうことで規制されるかもねえ。なんでもかんでも、要らないものを車のトランクに積んどくのはやめたほうがいいようですね。」というふうに書いています。

 ところが、それは現実でした。

 軽犯罪法の凶器携帯罪 (第1条二号) の条文解釈上では、「隠し持っていた」との前提で野球のバットが凶器とされる場合があることになっていますが、解釈の話で済まされず、実務処理として野球のバットを車に積んでいて科料を科されたケースがあることを最近ひょんなことから知りました。

 一週間ばかり前のこと、民放テレビで、有料コインパーキングやら大型店舗無料パーキング、さらには道の駅などの無料パーキングに長期間放置されたままの自動車を撤去させる仕事の現場事情が放映されていました。

 さまざまな事情で個人が放置しているもののほか、中古車販売の零細業者がちゃっかり在庫置場に使っていたケースなども紹介され、何度も「へぇー」と感心!させられました。

 撤去にあたるプロたちは、まず車ナンバーから得られる情報で追跡を始めますが、その水準ではラチがあかない場合、警察官に立会いを要請して施錠されているドアを金属製の小道具をちゃっちゃっと使って開けます。そうして、車内に残されているさまざまな遺留物から車の所有者を割り出していくのです。

 何例目かのケースでは、栃木県の道の駅に放置されている車を開錠して車内を調べるのですが、その車の中に残されていたのが略式手続きによる凶器携帯罪による科料9000円也を支払えとの簡易裁判所の書類でした。この車の所有者は、道の駅のスタッフから“追い立て”を食らう前はかなりの期間、車内泊をしていたということですので、ホームレスを面白半分に襲う少年集団がいるような時世ですから、護身用にバットの一本ぐらい持っていたかっただろうという推測はそんなに飛躍しないと思います。

 この車泊者がどういった状態でバットを所持していたかは定かではありませんが、私見では、どこのサツ官か知らないがちょっとやりすぎじゃねーの、説諭で済ませられるだろうが、となるのですが、現場の実務は担当者によってかなりの幅が出ますからねえ、ほんとにヤバいですわ。

 バットを車内に置くときには、バットだけではなく、グローブとタマも一緒に置いておく必要があるようです。もちろん、「隠し持っていた」と認定されないように、あからさまに置いておかなければなりませんよ!

  この記事の初出は、2022年1月27日 13時40分ですが、『冷血』記事を連続させるために日時を移動させています。

 


久しぶりのドカ雪にニャもびっくり!

2022年01月07日 10時21分26秒 | 日記

   いゃあ降ったわ! 久しぶりに

 2日ばかり閉じ込められるかもね

  雪国の苦労がしのばれます。

 

 きのう1月6日朝から降り始めた雪は久しぶりの大雪になりました。といっても、たかだか15センチから20センチ程度の積もり具合で、雪国から比べればほんのお遊び程度なんでしょうけど。

 それでも雪に慣れないおらには「大雪」なんですわぁ。

 きのうの夕方、あまりに冷え込むので、そうだっ!身体をあたためるべぇと思いついて、風呂にお湯を満たすべく風呂場に行くと、なんと先客がいて、見慣れぬらしい雪景色を眺めているのでした。

    

                       

 ここらへんでこのくらいの雪が降るのは数年ぶりで、ニャは本格的な雪降りを見たことがなかったのかもしれません。なにやら熱心に見つめている様子でした。

 ひと晩明けたきょう7日朝の様子は下の画像のとおりで、管理事務所には除雪車はないので、当分道路は雪だらけのままでしょう。ありあわせの重機をやりくりしながら、広い道路から雪をどかしていくのが通例ですので、ここらへんは後回しもいいとこ、ということになるのです。

 というわけで、ことしもよろしくお願いいたします。じゃね!

 

      

 

  おまけです

 今朝、うっかりしていてニャをガラス扉から外に出してしまいました。具合が悪くなった昨秋から家の中に留め置いていたのでした。

 こりゃまずいと思ったのも束の間、雪に足がずぶずぶになって驚いたのか、冷たくてびっくりしたのか、ニャはとんぼ返りで家の中に走り込んで来ました。足跡はそのときのものです。