くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「コーヒーが冷めないうちに」

2017-09-26 05:58:14 | 文芸・エンターテイメント
 第一印象から、これは売れるけどわたしには必要ではない本だと思いました。
 「四回泣ける!」みたいに感動を煽る本は好きになれないのです。
 でも、本屋大賞にノミネートされているし、図書館でどうしても何か借りないといけない状況だったので、手に取りました。
 川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」(サンマーク出版)。
 結論から言います。
 この作者、仙台は田舎だと思っているんでしょうか。唖然としました。
 作中人物の平井は、三十歳。仙台の老舗旅館(七夕会場から車で十分の場所らしい)の娘ですが、跡を継ぐのを嫌って東京でスナックをやっています。
 彼女になんとか戻ってきてもらいたい妹の久美は、何度も説得にやってきます。
 その日も、平井の行きつけの喫茶店フニクリフニクラで手紙を書いた久美は、姉に渡してくれるように言伝てて帰っていきました。その帰路で事故にあい、帰らぬ人となったのです。
 フニクリフニクラは、とある条件のもと、ある席に座ると過去に戻ることができます。でも、運命は変わるわけではない。
 それを知っていても、平井は久美に会いたいと思って席につくのでした……。

 仙台東京間、新幹線なら二時間でいけるんですが、何故この姉妹は車を使うのでしょう? 久美は居眠り運転のトラックに突っ込まれて亡くなります。運転していたのは、なんと軽自動車! 旅館の若女将として多忙な毎日の中、休みを使って姉を説得に来るのに、軽自動車?
 妹の死を告げられてタクシーで五時間もかけて帰った平井。(料金は十五万だそうです)
 口もきいてくれない両親に居場所を見つけられず、喪服のまま帰ってきたといいます。
 平井にとって久美は、忙しい母親に代わって自分が育てたようなもの。
 小学校に入ると妹を背中にくくりつけて学校へ通った……っ? 嘘でしょう。今三十なら、もう世の中平成です!
 しかも、「田舎の学校だったから、教師たちも協力的で」って……。
 あーのー、仙台七夕会場から車で十分なら、かなりの市街地なんですが……。
 乳飲み子を連れてこられても、学校でお世話なんてできないでしょう? この子は登校にあたってほ乳瓶だの粉ミルクだのおむつだのを教科書とともに持ってくるのですか? 暇な教員なんていないんですけど、誰が面倒みるの? ぐずったときには授業を抜け出してあやしたりしたともあるけど、まさか廊下に置き去り?
 
 筆者の年齢をみると、わたしとほぼ同世代。
 こんなことありえないとは思わないのでしょうか。
 わたしは、小説はディテールだと思うので、こういう穴があきまくった話は気になって没頭できません。
 もともと舞台だったそうだから? 舞台ってたまに荒唐無稽なことをしても気になりませんよね。
 しかし、本当にみんなこれよんで泣いたんですかね? 泣く要素が見つからないのですが。
 だいたいもう旧姓で呼ぶなと言っている人物を、いつまでもしつこく旧姓で呼んでる地の文もどうよ?

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