くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「天山の巫女ソニン」菅野雪虫

2009-02-05 05:50:27 | YA・児童書
菅野雪虫「天山の巫女ソニン」(講談社)を読みました。三冊めの「朱烏の星」と、四冊め「夢の白鷺」です。
実は、「朱烏」を買ったのはもう去年のこと。一冊めの「黄金の燕」、二冊め「海の孔雀」を読むよりも前なのです。
なぜ、三冊めから買ったのかというと、前の二冊に巡り会えなかったから。
装丁も物語も、いいと思うんですけど、この本、わたしの生活圏の本屋ではほとんど見かけません。発売から一年くらい探したのに手に入らないので、これ以上は無理だろうと。
仕方ないamazonか、と思っていたころ見つけました、三冊め。あらすじがついているので確かめて、これはほかの巻も買ってもいいかも? というころ、図書館で発見。
その前にさんざん探したときは確かになかったのですよー。わたし同様、司書さんも気になっていたのかしらと思いつつ、すぐ読みました。一度あらすじを読んでいるのに、ぐいぐい引っ張られるのです。
ソニンは、十二歳まで天山で巫女として修行しますが、夢見の力が不安定だとして山をおろされます。ふとしたことから沙維の末の王子イウォルの侍女となり、隣国の江南や巨山との交渉のなかで、彼女にしかできないやり方で力を発揮していくのです。ソニンの側にいるうちに変化していく人も多く、今回は巨山のイェラ姫が変わっていきます。
イェラ姫は、もともと一人を好み、友人なんてくだらないと感じています。彼女が心を許すのは愛犬のムサくらいのもの。
そんな彼女が嵐で被害を受けた江南にやってきたのは、もちろん策略あってのこと。でも、そこにソニンがいたことで計画は変化していき、イェラ姫自身もこれまでとは違うものの見方に気づきます。
始め、歓迎された自分を後に人々は呪詛するようになるだろうとうそぶいていたイェラ姫。父王からの信書は、その計画を後押しするものでした。どうしてそれを使わなかったのか。
川で待ち伏せてイウォル王子をなきものにしようという計略が、彼女自身の考えに水を差すものだったというのも事実でしょう。しかし、イウォルを救おうと奔走するソニンに感銘を受けたのではないのか、とも思えるのです。
三冊め、一年間未読箱の中央に入りっぱなしだったのです。連続して読んで、張り巡らされる伏線もあるなあー、と考えました。 イェラ姫が、巨山の王女に生まれながら、父のやり方に共感しかねる部分を持っていること。未来の王として、自分の感傷も切り捨てる覚悟があること。
うーん、残しておいてよかったのかもしれないと思ったり。
個人的には四冊めがいちばん好きかもしれません。江南のクオンの変化もよくわかるしね。それにしてもミナ王妃の悪母役キャラがなんともいえません。
この物語は、同じ講談社から出ているYA! シリーズとは毛色が違います。アーサーさんの美麗な挿画も白を基調とした装丁もとても素敵なんです。
でも、やっぱりふと目につく場所にあるとは言えません。もっといろんな人に読んでほしい物語です。

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1 コメント

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Unknown (ミリオン)
2024-05-13 15:34:41
こんにちは。
嬉しいです。頑張って下さい。今日の朝は、「虎に翼」の第31回を見ました。

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