くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「一〇五度」佐藤まどか

2018-05-21 23:10:11 | YA・児童書
 今年の課題図書です!
 去年はなんだかおすすめしにくかったので……。これなら興味をもってもらえるような気がします。
 佐藤まどか「一〇五度」(あすなろ書房)。中学三年生、中高一貫校に編入してきた「ぼく」こと大木戸真の物語です。 
 真は、職人だった祖父の影響で椅子に強い関心があります。自己紹介でつい話したら、「イス男」なんて言われてしまう。 
 そんな真が、図書館で出会ったのは、学年でただ一人スラックスを選択した女子、早川梨々(あだ名は「スラカワ」)。
 二人の祖父は、かつてライバル関係にあった職人ですが、お互いの仕事を認めていたことが、話をするうちに伝わってくるのが好きです。
 協力してデザインコンペに 出品することを決めたのですが、父親は真の夢に反対するし、体の弱い弟は気に障るし、時々梨々と意見がぶつかることもあるし、すんなりとはいきません。
 でも、お父さんが、デザインを仕事にしている友達から話を聞くようにとセッティングしてくればあたりが、すごくいいです。
 夢って、叶えるためには努力が必要ですよね。
 先日、講演に来てくださった方が、「大きな夢をもって、好きだという気持ちを失わずに挑戦し続けること。第一希望ではなくとも、第三希望が叶う可能性がある」と話してくださいました。
 この作品では、おじいさんからも、親に反対されたくらいで諦めるようではクリエイターとして仕事はできないと話されます。
 何もかもが大団円ではないけれど、これから先の可能性に希望がもてるラスト。
 ちなみに「一〇五度」は、椅子の背もたれの角度です。もたれかかりすぎてはいけない。お互いに、支えあっていくパートナーであることも示しています。
 二人の夢、応援したいですよね。

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