くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「彼女の色に届くまで」似鳥鶏

2017-05-10 05:45:29 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 うっわー、似鳥さんには珍しくラブストーリーです。にやにやしてしまいました。「彼女の色に届くまで」(角川書店)。発売から半月くらい迷っていたのですが……作中に名画の図版があって、それが推理の手がかりになると聞いて、買ってしまいました。悔いなし!
 「僕」(緑川礼)は、画商の息子で画家志望。高校ではほとんど誰もこない美術部で黙々と油絵を描いています。
 そんな彼が出会ったのは、下駄箱の簀に座り込んで居眠りする美少女・千坂桜。
 桜は、礼が犯人扱いされた落書き事件を解決し、彼に誘われるままに美術部にやってきます。
 筋肉自慢の友人・風戸も巻き込んで、アートに関わる事件とその解明を通したなか、桜は絵の才能を開花させ、礼はその面倒を見続けます。(芸大の友人がいうには、「飼育係」)
 桜はいわゆる「ギフテッド」であり、生活能力が極端に低いのです。
 彼女に恋心を抱きながらも、そのために絵の力が落ちるのではないかと踏み出せない礼。
 
 やがて彼らも大学を卒業し、それぞれの道を歩き始めます。礼は画廊の従業員、桜は画家。礼は相変わらず彼女の面倒を見続けていますが、ふとこれまでの事件に気になることを見つけて……。
 
 似鳥さんのすごいところは、女の子がちゃんと個性的だということです。基本、男子主人公は女の子に振り回される展開ですが(笑)、柳瀬先輩も鴇先生も七森さんも海月千波もみんなしっかりキャラが立っている。
 結構どんな話を描いてもヒロインの人格は毎回同じという男性作家、多いように感じるので。
 あ、今週には待望の楓ヶ丘動物園シリーズの新刊が出るそうです! 楽しみー。
 「戦力外捜査官」の文庫二冊と単行本をはじめ、今年は新刊続々出るみたいで、すごーく待ち遠しい! 十周年おめでとうございます。企画本ばしばし応募しようと思っております。