希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
今回は、山田 昌弘『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』を紹介します。今向かいつつある格差社会(勝ち組・負け組)についての説明と今後の対策(どうあるべきか)についての説明がなされています。
格差社会を理解するためのキーワードは、「二極化」と「リスク化」である。つまり誰しも安心して暮らせなくなったことを示す。二極化とは、中流階級から下流に零れ落ちることである。つまり、勝ち組、負け組で表されることである。リスク化とは、安心・安全とされていることが、何か不確実性が起きる可能性があることである。
将来的には、勝ち組に関しては、希望が描きやすく、負け組には希望が描きづらい社会になるといわれている。勝ち組には、お金、人、実力、気持ちがそろっているから、何とかして希望をかなえようとするだろう。負け組は、希望をかなえるためのスタートラインにつけない、つまり機会の平等がない。だから、希望はどうせかなわないということで、あきらめてしまうのではないか。
本書の結論は、二極化やリスク化を避けるためには、大金を使って個人で守っていくか、公共的な取り組み(能力開発の提供など)が必要なんだろう。
著者の考え方は、昔の高度成長社会のほうがいいといっている感じがするが、それはどうかなとおもう。現代は、昔に比べて全てにおいてリスク化しているが、がんばった人が報われるという社会のほうが社会のダイナミズムが生まれると思う。最低限のセーフティネットとして、能力開発の提供などをすればいいのではと思う。