遠まわりする雛 (角川文庫) | |
米澤 穂信 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
今回は、米澤穂信『遠まわりする雛』を紹介します。古典部シリーズ第4弾になります。今回は、古典部部員4名が入部してから1年間で起きた出来事にまつわる短編集です。短編集の謎解きとしては、たいしたことがないのかなという感じがしましたが、4人の関係性がよくわかったような短編集だったと思います。今後の折木奉太郎と千反田えるの関係はどうなるのか、また、福部里志と伊原摩耶花の関係はどうなるのかというところが気になるところです。ただ、一つぐらいいいなあと思うものがあってもいいでしょうが、この短編集の中で好きなものが全く選べなかったのが残念ですね。普通だなという印象でした。
短編7つを紹介します。
・やるべきことなら手短に:千反田に「月光を奏でるピアノ」の話を持ち出させないために、活動実態が不明な「女郎蜘蛛の会」の勧誘メモを探す事を選ぶ。
・大罪を犯す:5時間目の授業のとき、数学の授業で千反田が怒ったみたいだ。千反田のクラスで尾道先生が勘違いした理由とは?
・正体見たり:古典部部員4名で温泉合宿に行った。伊原と千反田が首吊りの影を見たと言う。その真相は?
・心あたりのある者は:校内放送「十月三十一日、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急、職員室柴崎のところまで来なさい」はどういう意味で行われたのか推論をする。この校内放送だけで、あれこれと考え付くもんだなと思った。
・あきましておめでとう:荒楠神社に初詣に行く。納屋で折木と千反田が閉じ込められた。どうやって脱出するのか?
・手作りチョコレート事件:伊原の手作りチョコレートが誰かに盗まれた。その真相は?福部の微妙な感情というのが悩ましい。
・遠まわりする雛:長久橋で、本来は工事をとめてもらう手はずになっていたが、工事が始まったと言う。そこで、遠路橋周りになるそうだ。なぜなんだろうか?