おや? なんだろう? おもしろいね~ と自然に笑顔になり、楽しんで取り組みたいですね。 まさしくそれは彩りですね!!

卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 568 「スマートシティ法案可決」 ~トヨタとNTTの影響力がさらに増す事は必至です~

2020-05-31 11:24:17 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 568 「スマートシティ法案可決」 ~トヨタとNTTの影響力がさらに増す事は必至です~


「オープンで無色透明な企業連合であり『この指とまれ!』だ」

トヨタ自動車とNTTが3月24日に開いた記者会見で、豊田社長はこう強調しました。

両社は4月9日をめどに2000億円ずつ相互出資し、スマートシティー分野で協業します。

スマートシティーとは道路交通や電気、ガスなど都市インフラをネットワークでつなぎ効率的に運営するシステムの総称です。

渋滞や環境汚染、犯罪増加などの社会課題を解決し、持続可能な都市を目指します。

最近のNTTはスマートシティーのITインフラを切り口に海外市場を攻めて来ました。

2018年12月にラスベガス市から受託した事業はその一例です。

交通事故や犯罪を予防するためのセンサーネットワークや、それを活用するシステムを市の代わりに運営しています。

トヨタは日本でスマートシティーの実験場を作ろうとしているのをCMなどで見た事がある人も沢山いらっしゃると思います。

トヨタ東京富士工場(静岡県裾野市)の跡地で2021年の着工予定の「ウーブン・シティ」では至る所にセンサーを配置します。

ロボティクスやエネルギーなどの先端技術やサービスを実験できるようにし、成果を世界に広げていく方針です。

トヨタとNTTが手を組んだ背景にあるのは、海外のIT大手や自動車メーカーとの競争にさらされていることへの危機感です。

スマートシティーは自動運転やエネルギーの最適化など先進技術の結晶で膨大な開発投資とノウハウの蓄積が成否を分けます。

体力のある大手同士が軸となり、幅広い企業が連携する受け皿を作る事が欠かせません。

その意味で今回の提携は出発点にすぎません。

3月26日にはトヨタが大株主のゼンリンとNTTが資本提携すると発表し、早くも「日本代表チーム」づくりが始まりました。

しかし今後の展開で気になるのが、NTT以外の通信大手とトヨタとの距離感です。

KDDIは大株主トヨタのグループ会社に近い存在とも言われますが、トヨタがグローバルで展開する「つながるクルマ」向けの通信基盤を担っています。

ソフトバンクはトヨタとの共同出資会社を通じ、人やモノの移動の利便性を高める「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」を手掛けています。

そんなライバルに割り込む形でトヨタと資本提携したNTTです。

トヨタ側は既存2社との関係について「これまでと何も変わらない」と説明しますが、通信業界で額面通り受け取る向きは少ないようです。

「上位概念は人々が暮らす街で、そこにクルマや住宅をつなげていくという発想に転換していく」という豊田社長の言葉を借りれば、トヨタにとって上位概念を共有するパートナーがNTTになります。

クルマに関わる分野はKDDI、新規事業やサービス関連ではソフトバンクといったように3社に役割分担を促したいという思惑も垣間見えるとも言えます。

もっとも参画企業と役割の交通整理は強い企業連合づくりに欠かせません。

かつて半導体業界や液晶パネル業界では国の肝入りで日の丸連合が生まれましたが、意思決定の遅さや経営の迷走もあり苦戦した苦い過去があります。

トヨタ・NTTもそうした過去に学ぶ必要があるかもしれませんね。


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マーケティング研究 他社事例 567 「他ですでに行われているやり方を取り入れてビジネスチャンスに」 ~倉庫検索に活路~

2020-05-29 08:59:06 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 567 「他ですでに行われているやり方を取り入れてビジネスチャンスに」 ~倉庫検索に活路~


荷物の置き場を探す「借り手」の企業と「貸し手」の倉庫会社とをマッチングするsouco(ソウコ、千代田区)では、ポータルサイトを運営しています。

借り手は、場所や広さ、荷物の種類などを、質問に回答する形式で入力する事で活用できます。

これは賃貸住宅を仲介業者のウエブサイトで探すのと似た要領です。

条件を示すことで、貸し手側の倉庫が登録する空きスペースの情報を入手し契約までを一貫して行う事が出来ます。

夏場に増える飲料や、セール前の衣料品など、荷物の置き場には一時的な需要が発生するケースが多々あります。

soucoが手掛けるのは、変動する保管需要と、倉庫の空きスペースをマッチングする「オンデマンド倉庫」と呼ばれるビジネスです。

広さは1パレット(1.1m×1.1m)、期間は1日から利用できます。

小規模、短時間でも倉庫の空きスペースを柔軟に貸し出すシェアリングビジネスは、欧米では成長産業として注目され、企業も相次いでいます。

soucoは2017年10月から1年8カ月間の試験運用を経て、昨年6月に本格運用を始めたばかりです。

国内のオンデマンド倉庫の事業では先駆けです。

正式サービス開始から1年足らずですが、首都圏を中心に全国に17万㎡を超える倉庫スペースを確保したのです。

アパレルや飲料メーカー、物流会社など、借り手も含めた登録は、11月時点で720社に上っています。

短時間でこれだけの登録を集め、なお伸び続けているのは、倉庫業界の需給のミスマッチの裏返しと言えます。

創業者の中原社長は倉庫のマッチングサービスを思いついたのは、4年ほど前でした。

中原社長が不動産関連のスタートアップに身を置いていた時に、ちょうどECの事業が伸びている時期でEC事業者から「倉庫を探しているが、どこかに空きはないだろうか?」という問い合わせが相次いだ事にビジネスチャンスを見いだしました。

当時、中原社長は住宅と同様に、ネットや不動産業界で使われていたデータベースで空いている倉庫を探しましたが、「倉庫企業のHPに『空きあり』と書いてあるのがせいぜいで、結局、どこに、どれだけの空きがあるかはつかめなかった」。

「なぜ倉庫の横断的な検索システムがないのか」

疑問を抱いた中原社長は、10年前の不動産業界のありようを思い出しました。

部屋探しと言えば、借り手が街中の不動産屋を訪ねて、空き物件を紹介してもらうのが一般的でした。

不動産業者はファックスで情報をやりとりし、紙の束から、条件に合う物件を見つけると電話で問い合わせます。

さらに、その不動産屋が扱う物件以外の情報はなく、満足できなければ別の不動産屋に出向くしかありませんでした。

しかし、現在賃貸住宅は、気に入った物件をサイトで見つけると借り手だけで内覧に行き、サイト上で契約も結べるようになっています。

不動産屋と顔を合わさないことさえあります。

それなのに、倉庫は、個別の倉庫会社か、情報を握る一部の不動産コンサルタントなどに当たるしかありません。

「倉庫探しは、いまだに10年前の住宅探しと同じです」

中原社長はそこにビジネスチャンスを感じたのでした。

「横断的なシステムがなければ作ればいい」

「先駆けてプラットフォーマーになれば、先行者利益が見込める上、倉庫業界を良い方向に導けるという壮大さにも魅力を感じていました。

一念発起し、不動産会社を退社し、翌2016年にsoucoを立ち上げました。

理屈で言えば「不動産業界の新しい手法を倉庫にも導入する」というビジネスですが、話は簡単にはいかず、倉庫会社に営業をかけましたが、交渉が進みませんでした。

特に問題視されたのが荷物や倉庫に対する保険です。

倉庫での荷物保管には火災や損傷などのリスクが伴います。

しかし、必要な時に必要なスペースだけ、荷物を保管するオンデマンド倉庫の事業に対応した保険商品がなかったのです。

リスクヘッジを迫られた中原社長は保険会社を何社も回りましたが、断られ続けました。

そんな中、東京海上日動火災保険が救いの手を差し伸べました。

2018年7月、サービスの試験運用は始めていましたが、両社は共同で新たな保険商品を開発、導入し、soucoの本格始動にこぎつける事が出来たのでした。

順調な滑り出しを見せるsoucoでしたが、中原社長は「まだまだ啓蒙が足りない」と言います。

オンデマンド倉庫は借り手側が欲しい時に倉庫スペースが確保できるだけではなく、使われていない空間を貸し出すことで貸し手にとっても利益の掘り起こしにつながります。

しかし、倉庫の遊休スペースを活用する発想が十分に浸透していないため、今後は供給が頭打ちとなる可能性もあるのです。

中原社長はすでに動き始めています。

昨年7月には大手物流会社の日本GLPグループのモノフルなど5社から総額4億円もの出資を受けました。

営業スタッフを増員し倉庫面積のさらなる確保を目指すほか、システムの改良も進めています。

今後、オンデマンド倉庫の認知度が上がれば、欧米のように他社の参入も想定されますが、中原社長は「今のうちに一気にシステムを構築しておけば、優位な立場を維持できる」と語ります。

倉庫のシェアは日本では号砲がなったばかりですが、今後も第一線を突き進んでいきたい考えです。


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マーケティング研究 他社事例 566 「M&Aを繰り返し成長する3」 ~増え続ける持ち込まれる案件~

2020-05-28 08:04:33 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 566 「M&Aを繰り返し成長する3」 ~増え続ける持ち込まれる案件~


2000年代、医療制度改革や介護保険法改正の影響で、医療分野での買収案件は他にもたくさん転がっていました。

話を持ちかけられる事が多かった農業・食品分野とは違い、医療分野では事業を拡大したい競争相手も多く、「こうすればうまくいくから一緒にやろう」「我々を助けて欲しい」と口説き落とし、地道にM&Aを重ねていきました。

そして10年、手術室などの設備を手掛ける美和医療電機(名古屋市)を買収して傘下に収めたことで病院設備全体を手掛けられるようになり、医療事業は軌道に乗り始めました。

豊田会長は、「最初はきつかったかもしれませんが、ここ10年くらいで、ようやく『エア・ウォーターなら大丈夫』と言ってもらえるようになった」と振り返ります。

こうして新たに農業・食品、医療という2本の柱を立てることに成功しました。

自前で事業を立ち上げるのではなく、徹底してM&Aを積み重ねるのは、「時間と人を買っている」という意識が強いからだと豊田会長は話します。

かつて多くの企業が「農業に参入しよう」「医療を新たな柱に」と勇んでは撤退した背景には、ゼロから人を育てる難しさがありました。

その点、設備や顧客を持ち、その分野に通じた人材を確保できるという点で、M&Aは新規事業の拡大にはうってつけです。

実績を重ねてきたことで、最近では金融機関などからM&Aの案件が持ち込まれることも増えています。

地縁や紹介による「ご近所さんM&A」だけではなくなった今、専門部署として機能しているのが経営企画部です。

年間120件ほどの案件が持ち込まれ、各カンパニー(事業部)に興味があるかどうかを確認した上、検討段階に進むのは20~30件程度、さらに最終的に成約に至るのは年間10件程度だそうです。

しかし、数をこなしても「目利き力」を高めることは難しいと思います。

デューデリジェンス(資産査定)で粉飾決算が発覚するなど、お化粧された会社が持ち込まれる場合もあります。

経営企画部の12人には経理畑の人材は少なく、研究所や事業部から来た人が大半の「素人集団」とも言える人材達です。

会計や経理の専門知識よりも、どれだけ事業を知っているかを重視して作られているようです。

「監査で全ては分からない。オーナーに『誠実さ』を感じるかどうかが最後の決め手」

買収候補となった企業の現場に2,3日間入って挨拶や整理整頓など社員教育が徹底しているかどうかもチェックします。

書類ではなく現場レベルでの確認を何よりも大事にしていると言います。

M&Aの対象が売上高100億円以下の案件が多いのにも理由があります。

損益管理が容易でコントロールしやすいためです。

そうした企業は効率化が進んでいないことも多く、買収後の伸びしろが大きいようです。

買収した会社にまず求めるのは、安全管理やコンプライアンス、連結会計の対応など最低限のルールと効率化です。

経営のやり方に口を出すことはほとんどなく、辞職の意が無ければ社長もそのまま残ってもらいます。

一般的に、買収企業の経営を旧経営陣に任せることは、M&Aの失敗の要因に挙げられることもしばしばあります。

「買収後でモチベーションが低い」

「統合が進みにくい」

などといった、シナジーにつながりにくいからです。

それでも、エア・ウォーターでは「社風に染めようとするのは意味がない」とし経営陣は入れ替えません。

設備投資や効率化での協力は惜しまないものの、自主性に任せるのが基本的な考え方です。

「買収した企業の本当の姿が分かるのは3年後。従業員と気心知れた仲になり、初めて「こんなことやろう」と言えるようになる」

ただし、「増収増益が達成できなければ経営者は交代」という財務的な規律もあり、本社のチェックの目は届きます。

各カンパニーが買収した企業の売上高を、買収後最初の決算期と2018年度とで比較すると、農業・食品カンパニーで12%増、医療カンパニーで24%増とそれぞれが順調に売上高を伸ばしています。

単なる足し算ではなく、効率化やシナジーも作用しているようです。

順調に売上高を伸ばしてきたエア・ウォーターにも課題はあります。

これまで進めて来た多角化が一段落した今、国内での成長は一層厳しくなり、自らイノベーションを生み出さなければならない段階に入って来ています。

そこで強化しているのが、再生医療分野です。

自前で研究開発する歯髄の再生医療は2020年内の事業化を目指しています。

既に歯科診療用品や歯科用機器の会社を買収し、歯科医療に参入しているため素地はあります。

2018年には歯の中心神経に含まれる歯髄幹細胞の研究に着手し、2019年には専門の臨床研究用のクリニックを新設するなど、買収以外の方法でも新しいビジネスを立ち上げようとしています。

エア・ウォーターは2021年度までの中期経営計画で「売上高1兆円」を目標に掲げています。

その達成には、祖業である産業ガスの海外展開も欠かせません。

2019年には世界首位のリンデ(ドイツ)と世界3位のプラクスエア(アメリカ)の両社から、インド事業の一部を買収し、買収金額はそれぞれ200億円を超えるとみられています。

今後は、先行して海外でガス事業を広げている大陽日酸にどこまで追い付けるかも問われて来ます。

国内のM&Aでの実績はお墨付きだけに、海外の案件でも成功を収めて「真のM&A巧者」となれるかどうかです。

これからが正念場ですね。



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マーケティング研究 他社事例 565 「M&Aを繰り返し成長する2」 ~シナジー生む「カンパニー会」~

2020-05-26 09:29:13 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 565 「M&Aを繰り返し成長する2」 ~シナジー生む「カンパニー会」~


農業・食品関連のM&Aは、主に北海道と長野県をベースに行われています。

FA(ファイナンシャルアドバイザー)を使わずに、地縁や買収した企業の紹介を通した案件が多いのが特徴の一つです。

「エア・ウォーターに任せたら大丈夫」

いつしかそうした評判が広がり、相談を受けるようになりました。

後継者難に直面した会社が「ぜひ、うちも頼みたい」と手を挙げるケースや、「設備を改善する資金がなくて困っている」というケースなど様々だと言います。

こうした地域のつながりは、買収後のシナジーを生むのにも好都合となります。

もともとゴールドパックは野菜ジュースを生産していましたが、原料調達先は別会社でした。

そこへ2014年に旧キューサイファーム千歳がグループ入りし、コーヒーなどのペットボトル製品を生産する北海道恵庭市の工場から、車でわずか15分の距離に原料調達先が生まれたのでした。

そこでゴールドパックはエア・ウォーターからの投資を受け、2017年に恵庭市搾汁用の工場を新設し、パック詰めまでを一気通貫するサプライチェーンがグループの中に完成しました。

こうしたシナジーの源泉となっているのが、グループ関連会社の社長が月に1度顔を合わせる「カンパニー会」です。

例えば2019年にグループ入りした、調理用の冷凍食材を製造・販売する見方は、規模は小さいながらも厨房設備と商品開発に強い人材がそろっており、小回りが利く強みがありました。

カンパニー会でホテルや高級レストラン向けの業務用の冷凍食材を提供するグループ会社と知り合い、商品開発を受託、付加価値の高い新商品のアイデア出しや開発は、「自社の従業員のモチベーションアップにもつながった」と見方の青山社長は話します。

農業・食品カンパニーは、農機具メーカーの日農機製工や小売りチェーンの九州屋など、原料生産・製造・物流の川上から川下まで14社を傘下に収めました。

2019年3月期の売上高は1366億円と5年前の約2倍です。

農業・食品と並ぶもう一つの新たな柱の医療事業もM&Aで成長してきました。

大同ほくさんの前身、大同酸素の時代から医療用ガスを扱っていたため、祖業との関連がある事業でした。

大きく動き出したきっかけは、病院のガス配管設備など医療設備工事の事業拡大を狙った、2005年の川重防災工業の買収です。

「なぜエア・ウォーターの傘下に入らなければいけないのか」

川重防災工業は、川崎重工業の造船所を源流にもち、潜水艦に必要な酸素マスクや航空機の消火設備を製造していた歴史ある企業です。

買収を機に会社を去る社員もいるなど、抵抗は小さく無かったと言います。

グループ入りから1年後、川重防災はエア・ウォーター防災に名称を変えました。

それと同時に、思うように上がらない業績を改善すべく派遣されたのが、エア・ウォーターの現会長兼CEOの豊田喜久夫氏でした。

「上から人が送り込まれたら、あれこれ言われたのでは、買収された側も気分がよくない」というのが、エア・ウォーターのM&Aの考え方です。

「本社からの派遣は最少人数に」というルールに従い、単身乗り込みました。

豊田会長がまず手を付けたのが業務の効率化でした。

朝7時からの社員の行動を24週間にわたってチェックし、改善すべき点を洗い出しました。

例えば医療設備の工事業務では、現場の判断で無償で追加工事を請け負っていることが分かったため、毎日、工事の進捗レポートを提出するように求めたのでした。

様々な改善を浸透させようと研修センターを設け、毎週のように勉強会を開催しました。

新しいやり方に慣れず、泣きながら参加する社員もいたと言います。

ここまで厳しく取り組んだのは、結果を出す猶予が3年だと考えていたからです。

それは、1年で改革の素地を作り、2年目で実行、そして3年目に新しい取り組みを始めるといったものです。

買収されたことに反発を覚える社員が少なくないことも肌で感じていたと言います。

「新しい親会社として期待に応えなければ、社員はつまらないと思ってやる気をなくしてしまう」

本社のやり方を押し付けるのではなく、結果を出して納得してもらおうと考えたゆえの方法でした。

(続く)



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マーケティング研究 他社事例 564 「M&Aを繰り返し成長する1」 ~エア・ウォーターの事例~

2020-05-25 09:25:13 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 564 「M&Aを繰り返し成長する1」 ~エア・ウォーターの事例~


これまでにエア・ウォーターが手掛けたM&Aた提携の件数は、約200件に上ります。

2000年度には連結売上高2208億円のうち55%を占めていた産業ガス事業の比率は2018年度には22%に下がりました。

農業・食品や医療といった事業が新たな柱となり、2019年3月期の売上高は9年前の約2倍の8015億円となりました。

営業利益でも新事業が産業ガスに近い規模になっています。

M&A助言会社レコフによると、2019年に日本企業が関わったM&Aは前年比6%増の4088件と過去最高を記録しました。

そのうち、国内企業同士の件数は約3000件と言います。

事業の構造改革や海外市場の開拓を狙い幅広い業種で行われるM&Aですが、その成功率は3割といわれています。

では、エア・ウォーターはどのようにしてM&Aを繰り返し成功させることができたのでしょうか?

気になりますね。

エア・ウォーターは大同ほくさんと共同酸素という産業ガス2社が統合して2000年に生まれました。

当時、産業ガス業界は業界再編の真っただ中で、国内の主要なプレ―ヤ―は大陽日酸、日本エア・リキードなど大手3社に絞られていました。

多くの製品や工場で使われる産業ガスは、需要は安定しているものの大きな成長は望みにくい事業となっています。

ライバルの大陽日酸が2018年、同業のプラクスエア(アメリカ)の欧州事業を約6400億円で買収し海外市場でのシェア拡大に突き進んでいた時に、エア・ウォーターが選んだのが、ガスの需要家、つまり「川下」での事業多角化の道でした。

そのひとつが農業・食品分野です。

2002年に廃業・解散した雪印食品の北海道工場を譲り受け、ハム・ソーセージ事業に参入したのが初めの一歩でした。

しかし、縁もゆかりもないところからのスタートではありませんでした。

もともと、冷凍に使う窒素ガスを取り扱っていたことから、食品冷凍の事業は手掛けていました。

そこで、生ハムやソーセージの製造・販売に加えて、野菜の冷凍素材も展開し、それでも数年間は、まだ子会社の一事業にすぎない位置づけでした。

転換点は2009年です。

当時の社長で中興の祖とされる故・青木弘氏の決断で、7万㎡のトマト栽培用のガラス温室を買収しました。

エア・ウォーター農園を設立し、農業事業への本格参入を決めたのでした。

買収した農園は、オムロンが農業事業から徹底して別会社の手に渡り、最後は経営破綻していたものでした。

買収当時は、「廃墟のような状態になっていた」と言います。

5年間、赤字続きの苦しい時代が続き、6年目でようやく黒字化しました。

「うちは買収した事業を手放さない。基本的には成功するまでやる」

エア・ウォーターの農業参入の話は広がり、長野県安曇野市で菜園を運営していた第三セクターから、「菜園を手放したい」という話が持ち掛けられました。

そこでエア・ウォーター農園が菜園を買収し、運営は2,3ねんで持ち直した上、思わぬ「実り」もあったのでした。

それが、菜園のすぐ近くに工場を構えていたゴールドパックの買収でした。

主にコーヒーやジュースなどの飲料をボトル詰めする同社は当時、ファンド傘下で大手飲料メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産」を請け負っていました。

事業は順調だったものの、社内ではファンドではなく事業会社に経営してもらうことを望む声が上がっていました。

安曇野の地縁からエア・ウォーターに情報が舞い込み、2012年に買収に至ったというのが経緯でした。

(続く)


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