優厳 × 赤鬼通信

社会参加活動の支援を目指す「なんちゃって社会貢献チーム」の、「優しく厳しい遊び場づくり」の迷走過程を記して行きます。

もう一人、ここに居られなくなった施設利用者が、追われるように逃げるように去らねばならない不本意さ

2008年07月31日 | Weblog
 行方不明になってる人を探すのに、すっかり慣れてしまった。今日、一緒に探しに行った人がアパートの前で、「なんだか不思議な気がしますね・・・」とかって言ったのを、「そうか? なんだか、いつも探しに来てるから、まぁ、こんなもんかなと・・・・ ただし、見つけるまで諦めないから何度も来るけどね。」と、平然と答えてしまったら、一瞬複雑な顔をされてしまった。

 人探しを終えた後、ちょっと間を空けていたが、問題処遇施設を覗きに行った・・・いつものように、いろんな話を含んで伝えるのが我々の役割である。今日は、先日の野外炊飯活動にも顔を出した青年が、注文を取る当番でレストランで働いていた。
 よう、と声を掛けて、注文を取った後、車イスに座る彼はたどたどしい言葉で言い始めた、
 「僕は、明日でここ施設が終わりになります。まだ、次のところは決ってませんので、家で少し休んでます。」
 寝耳に水、だった。
 この施設ができた当初から働いているのだと、彼は言った。
 「ご苦労様でした、頑張ったな。」 そう言った後、「悔しいな、ちくしょうが・・・」と付け加えずにはいられなかった。
 彼はここで働く障がい当事者が運んで来た御膳やコーヒーを、自分の車イスに付いている机の上に乗せて持って来る。接客が、人と関わるような仕事がしたくて選んだこの施設だった。不味い玄米を食べながら、泣きそうになる。彼らの立場に、そして自分らの無力さに。
 彼は、何人か常連のお客さんに、同じように明日で仕事を辞めることを告げていた。彼が辞める理由を、でも他の人たちは知らないだろう。
「ゆっくり休もうな、少しさ。そしたら、また次のところへ行こうや。」
 こっちはダメだったけど、あっちは大丈夫・・・似たような言葉を、また繰り返してる不様さよ。理不尽なのだが、自分が痛んでいくよりは、良い選択なのかもしれない・・・そう、思うしかない。にも関わらず、相変わらず我々は無力なものです。

 考える・・・この施設で2名、処遇が理由で辞めている、たったの1ヶ月の間に。辞めたのなら、実名を出して、事実を伝えることが可能なんじゃないか? 
 母親が言う、「でも、あんなに言ったって、結局何もしてくれないんですよね、役所の福祉課とかは。」
 そう、結果的に、そう。結局何も当たってくれないのであれば、頑張るのも無駄に思える・・というより、何よりも「見捨てられ感」だけが残ってしまう。名前を出さなければ、被害とかに対応しない・・・なんて、あまりに遅れてるだろう? 一施設で3名からも「虐待」って言われてるんだぞ? 何も手を打ってくれないから、結局は役にも立たない自分みたいな中途半端な「名ばかりソーシャルワーカー」に話すしか術がないのだ。
 守ってくれなかったところに対して、一段落した問題を持っていくほど、家庭には体力があるのだろうか・・・難しそうな気がする。自分なら、では、どうする・・・考えろ、ベストじゃなくてもいいから、この問題を寝た子にしない方法を。


 そういえば先日、うちの役員が出席した会議で、この問題処遇施設が作ってる菓子が御茶受けに出されたそうです。ひとつを家族のお土産として持ち帰った彼は、「このお菓子はな、子どもが虐待されながら作られてる菓子なんだよ。うちの職員が頑張ってる。」とか言いながら、家族に勧めたそうです。・・・ここは笑うところでしょうか? でも、こういう言い方でもしない限り、きちんと伝わらない。
 幾つかの福祉関係機関から、具体的なアクションを起こして欲しいと言われたものの、家族からの同意がないために、私はとりあえず黙ってます。世間が思ってるほど、私は好戦的じゃない。正義を振り回す気もなければ、正義の名の下に仲間を踏み台にしたりもしません。でも、伝えなければならないことは、しっかり伝えていかなければならないので、そのジレンマに挟まってます。
 だから次の一手は、得意の「変化球に見せた直球」を、元締めに投げ込んでみようと思ってます。またまた役員たちから、「難しい問題だけど、気をつけないと・・・」と言われるようなことを、仕掛ける予定です。黙ってたって、何も変わらないのなら、ちょっとキャッチボールでもしてみようかなと思うので☆