滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

西武大津店がもうすぐ閉店になります・・。

2020年07月01日 | 建築

だいぶん暑くなってきましたね。でも個人的には、なんか・・今年は例年よりも暑くない(涼しい)感じがするんですよね。いつもなら、もっと「蒸し暑いなぁ~」って言ってるような気がするんですけど・・。話は全く変わりますが、新型コロナの事があったので、今年になってから名建築を訪れる建物探訪を見合わせています。探訪する建物を2~3件選んでいたのですが、今のところ保留のままになっています。(そろそろ探訪に出かけようかとも思っているのですが・・)、それで、近くにある西武大津ショッピングセンター(現・西武大津店)が来月で閉店してしまう事もあり、今回は西武大津店のお話をしたいと思います。

 

西武大津店は、戦後を代表する建築家の一人で、大胆な造形とメタボリズム理論で知られる菊竹清訓氏の設計です。外観の特徴は、前面道路側がひな壇状になっていて、これによって各階にガーデンテラスが張り出し、ガーデンテラスに面してショーウインドーが設けられていることです。路面店を垂直に積み重ねたような感覚で、内部からだけでなく外側(ガーデンテラス)からもアクセスできるように設計されていました。(現在は、ガーデンテラスに面してショーウインドーは設けられていません)

もう一つの外観の特徴は、なんと言っても幾重にも連なって突き出ている避難階段のダイナミックな造形です。階段の踊り場が支えもなく大きく突き出しているデザインには圧倒されます。建築設計をしている私としては、「この階段、どうやって持たせてるんやろ・・」とよく考えたことを思い出します。誤解を恐れずに私の考えた階段の構造形式を言うと、階段自体の片持ち形式(跳ね出し)では、これだけの長さを持ち出すのは無理があるので、踊り場から上階へ上がる階段に引張力を働かせ、踊り場から下階に下がる階段に圧縮力を働かせたトラス原理を用いてこの階段を持たせているんだと思います。(あくまで私の見解です)

それと、西武大津店の特徴と言えば、後側にある立体駐車場です。床面全体がスロープになっていて、らせん状につながっています。駐車する床自体が斜面になっていて、それがつながって立体化している駐車場は珍しいと思います。西武大津店は計画当初、前面道路側に「パンタグラフ」と名付けられた別棟があり、店舗の床自体がスロープだったそうです。もし実現していれば、私たちは面白い店舗を体験していたのかも知れません・・。

西武大津ショッピングセンター(当時の店名)が竣工したのが1976年(昭和51年)ですから、私が小学6年生ぐらいのときになるのかな・・。私のかすかな記憶を辿るとオープン当初には、6階の2層吹き抜けのプラザに大きな青色のネッシー(首の長い恐竜です)が置いてあって、オープンしたときの店のキャッチフレーズが「びわ湖にネッシーが現れた・・」みたいな感じだったと思います。あと・・同じ2層吹き抜けのプラザにある三角形フレームの内部でインコなどの小鳥たちが放し飼いされていたのを覚えています。(思い出すと懐かしいなぁ・・)

近年は、西武大津店から足が遠ざかり年に1~2回程度しか行かなくなってしまいましたが、当たり前のようにあると思っていたものが無くなるとなると寂しい限りです・・・。

 

 

 

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