夜来の雨があがった今日11月7日(月)は雲一つない快晴。またまた豊橋に滞在しています。
日本三大東照宮の一つとして名高い鳳来山東照宮を目指すことにしました。豊橋からはJR飯田線を利用して16駅目の本長篠下車が最もアクセスしやすいとのこと。初めて乗る飯田線はローカル線らしく2両編成の向かい合わせの座席配置。それほど混まないのではと思いきや、観光客らしき個人のグループで全席満席。たまたま同席となったご夫妻は大阪から天竜へ温泉旅行へ向かうとのこと。大阪の方特有の気さくで話好きなご夫妻で、旅行談義に花が咲き、一人旅の私を飽きさせない話で車窓の景色を眺める暇もなくあっという間にお別れの時間となってしまいました。
鳳来山東照宮拝殿
本長篠駅は山あいの静かな町に佇む田舎の小さな駅です。事前の調べで鳳来寺山行のバスが発着するターミナルが駅のそばにあるというので急いで向かったのですが、わずかの違いで乗りそびれてしまいました。仕方なくタクシーを拾い、鳳来寺山下まで急ぎ向かうことにしました。タクシーで10分程度の距離に鳳来寺山への参道入口(三ノ門)に到着です。
本長篠駅ホーム
JR飯田線車両
本長篠駅舎
参道入口には五平餅を売る茶店や料理店、そして参拝客用の旅籠が並んでいます。そんな参道の景色の中に鳳来寺へと延びる石段までの距離を記した道標が置かれています。参道入口から石段までの距離は1200mと記されています。
参道入口「三ノ門柱」
参道入り口
参道入り口の道しるべ
鳳来寺は鳳来寺山の山頂に開基された寺院ですが、この寺の更に奥へ進んだ高台に神君家康公を祀る東照宮の社殿が置かれています。この鳳来寺本堂までなんと1425段の石段を登らなければなりません。この石段の数は久能山東照宮の1159段をはるかに凌いでいることを考えると、完全踏破にはかなりの覚悟が必要で、気後れを感じながら参道を進むことになります。
鳳来寺山の道しるべ
ところで何故鳳来山に東照宮が勧請されたのかという理由について簡単にご紹介しましょう。
「東照(家康公)神君のお父君であられる贈大納言廣忠卿が子どものないことを憂いて、お母君であられる北の方傳通院と御一緒に鳳来寺峯薬師へ御参籠され御祈願をなされたら、その証があって、ある夜、北の方傳通院殿(於代の方)は、『東 の方より老翁が来て、金珠を与えられる』という夢を見られました。それから間もなく北の方傳通院殿が身ごもられ、12ケ月過ぎ、天文11年壬寅年(1542)12月26日に御出産遊ばされたのが東照神君でした。」(鳳来山東照宮ホームページより)
この縁起を家光公は日光東照宮で見ることで、鳳来寺の伽藍を造営し、併せて東照宮を鳳来山に勧請し現代に至っています。こんな霊験新たかな鳳来寺ですが、江戸時代には幕府の庇護のもと隆盛を極めたのですが、明治に入り神仏分離により寺領が縮小されたことで困窮、しかも大正時代には本堂が焼失したことで廃寺寸前まで追い込まれてしまいます。かつての寺勢は失われ伽藍、僧坊はことごとく失われてしまいましたが、昭和49年に本堂が再建され、かろうじて面目を保っています。
鳳来寺本堂
それでは石段に至るまでの参道をゆっくりと進んで行きましょう。参道を歩き始めると鳳来寺山から湧き出す清流の心地よいせせらぎの音が聞こえてきます。少し目線を上に向けるとこれから向かう鳳来寺山(684m)の山並みが目に飛び込んできます。この参道の路傍には適度な間隔を置いて十二支を順番に刻んだ石造りの道しるべが置かれています。なにやら巡礼の道を旅する気分になってきます。
参道から眺める鳳来山
参道入り口から数分歩いた場所に立つのが「二ノ門」です。この参道には全部で3つの門が置かれ、それぞれにこのような門柱が立っています。
二ノ門
参道に沿って時折、参詣客が休憩を兼ねて小腹を満たすような茶店が現れたり、小さな弁天堂が道の脇に鎮座していたり、古い造りの民家、はたまた神君家康公や芭蕉そして若山牧水の像が置かれ、その由緒を見ながら散策でき飽きることがありません。
参道の景色
参道の景色
家康公の像
古い民家
芭蕉は47歳の時にここ鳳来寺に立ち寄っています。芭蕉一行は鳳来寺へと石段を登り始めるのですが、仁王門のあたりで芭蕉の持病が激しく痛みだし、止むなく下山しています。そして麓の家根屋という宿屋に無理やり泊めてもらうのですが、この日は鳳来寺の秋祭りでどの宿屋も部屋は満員状態。与えられた部屋は風が吹き抜け、布団もお粗末だったのです。こんな様子を詠ったのが「こがらしに岩吹きとがる杉間かな夜着ひとつ祈り出して旅寝かな」。
一ノ門
芭蕉像
若山牧水像
また参道を歩いていると「硯」と書かれた看板を軒先に出している店が2軒ほど現れます。なぜ「硯」を売る店があるのかというと、実はこの地では1300年も前から鳳来硯なるものが作られているというのです。このあたりで採掘される金鳳石、煙巌石、鳳鳴石などを原料として利用されています。
硯店
参道の景色
参道入り口から15分ほどでいよいよ鳳来寺そして東照宮へと通じる1425段の「最初の一歩」が見えてきます。石段手前には旅の安全を見守ってくれるように石仏が並んでいます。そして山頂へとのびる石段がうっそうとした杉木立の中へとのびています。
鳳来寺石柱
鳳来寺看板
石仏
石段の始まり
日本三大東照宮の一つ「鳳来山東照宮」参拝記(其の二)~歴史を刻む天空への石段~
日本三大東照宮の一つ「鳳来山東照宮」参拝記(其の三)~神君家康公が座する天空の社殿~
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日本三大東照宮の一つとして名高い鳳来山東照宮を目指すことにしました。豊橋からはJR飯田線を利用して16駅目の本長篠下車が最もアクセスしやすいとのこと。初めて乗る飯田線はローカル線らしく2両編成の向かい合わせの座席配置。それほど混まないのではと思いきや、観光客らしき個人のグループで全席満席。たまたま同席となったご夫妻は大阪から天竜へ温泉旅行へ向かうとのこと。大阪の方特有の気さくで話好きなご夫妻で、旅行談義に花が咲き、一人旅の私を飽きさせない話で車窓の景色を眺める暇もなくあっという間にお別れの時間となってしまいました。
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本長篠駅は山あいの静かな町に佇む田舎の小さな駅です。事前の調べで鳳来寺山行のバスが発着するターミナルが駅のそばにあるというので急いで向かったのですが、わずかの違いで乗りそびれてしまいました。仕方なくタクシーを拾い、鳳来寺山下まで急ぎ向かうことにしました。タクシーで10分程度の距離に鳳来寺山への参道入口(三ノ門)に到着です。
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参道入口には五平餅を売る茶店や料理店、そして参拝客用の旅籠が並んでいます。そんな参道の景色の中に鳳来寺へと延びる石段までの距離を記した道標が置かれています。参道入口から石段までの距離は1200mと記されています。
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鳳来寺は鳳来寺山の山頂に開基された寺院ですが、この寺の更に奥へ進んだ高台に神君家康公を祀る東照宮の社殿が置かれています。この鳳来寺本堂までなんと1425段の石段を登らなければなりません。この石段の数は久能山東照宮の1159段をはるかに凌いでいることを考えると、完全踏破にはかなりの覚悟が必要で、気後れを感じながら参道を進むことになります。
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ところで何故鳳来山に東照宮が勧請されたのかという理由について簡単にご紹介しましょう。
「東照(家康公)神君のお父君であられる贈大納言廣忠卿が子どものないことを憂いて、お母君であられる北の方傳通院と御一緒に鳳来寺峯薬師へ御参籠され御祈願をなされたら、その証があって、ある夜、北の方傳通院殿(於代の方)は、『東 の方より老翁が来て、金珠を与えられる』という夢を見られました。それから間もなく北の方傳通院殿が身ごもられ、12ケ月過ぎ、天文11年壬寅年(1542)12月26日に御出産遊ばされたのが東照神君でした。」(鳳来山東照宮ホームページより)
この縁起を家光公は日光東照宮で見ることで、鳳来寺の伽藍を造営し、併せて東照宮を鳳来山に勧請し現代に至っています。こんな霊験新たかな鳳来寺ですが、江戸時代には幕府の庇護のもと隆盛を極めたのですが、明治に入り神仏分離により寺領が縮小されたことで困窮、しかも大正時代には本堂が焼失したことで廃寺寸前まで追い込まれてしまいます。かつての寺勢は失われ伽藍、僧坊はことごとく失われてしまいましたが、昭和49年に本堂が再建され、かろうじて面目を保っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/8c/a2a374c329f9cdf9bb08043011688641.jpg)
それでは石段に至るまでの参道をゆっくりと進んで行きましょう。参道を歩き始めると鳳来寺山から湧き出す清流の心地よいせせらぎの音が聞こえてきます。少し目線を上に向けるとこれから向かう鳳来寺山(684m)の山並みが目に飛び込んできます。この参道の路傍には適度な間隔を置いて十二支を順番に刻んだ石造りの道しるべが置かれています。なにやら巡礼の道を旅する気分になってきます。
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参道入り口から数分歩いた場所に立つのが「二ノ門」です。この参道には全部で3つの門が置かれ、それぞれにこのような門柱が立っています。
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参道に沿って時折、参詣客が休憩を兼ねて小腹を満たすような茶店が現れたり、小さな弁天堂が道の脇に鎮座していたり、古い造りの民家、はたまた神君家康公や芭蕉そして若山牧水の像が置かれ、その由緒を見ながら散策でき飽きることがありません。
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芭蕉は47歳の時にここ鳳来寺に立ち寄っています。芭蕉一行は鳳来寺へと石段を登り始めるのですが、仁王門のあたりで芭蕉の持病が激しく痛みだし、止むなく下山しています。そして麓の家根屋という宿屋に無理やり泊めてもらうのですが、この日は鳳来寺の秋祭りでどの宿屋も部屋は満員状態。与えられた部屋は風が吹き抜け、布団もお粗末だったのです。こんな様子を詠ったのが「こがらしに岩吹きとがる杉間かな夜着ひとつ祈り出して旅寝かな」。
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また参道を歩いていると「硯」と書かれた看板を軒先に出している店が2軒ほど現れます。なぜ「硯」を売る店があるのかというと、実はこの地では1300年も前から鳳来硯なるものが作られているというのです。このあたりで採掘される金鳳石、煙巌石、鳳鳴石などを原料として利用されています。
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参道入り口から15分ほどでいよいよ鳳来寺そして東照宮へと通じる1425段の「最初の一歩」が見えてきます。石段手前には旅の安全を見守ってくれるように石仏が並んでいます。そして山頂へとのびる石段がうっそうとした杉木立の中へとのびています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/5c/5468b0008877625903c4107cca45ad2f.jpg)
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日本三大東照宮の一つ「鳳来山東照宮」参拝記(其の二)~歴史を刻む天空への石段~
日本三大東照宮の一つ「鳳来山東照宮」参拝記(其の三)~神君家康公が座する天空の社殿~
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