神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

春日神社

2009年11月26日 | 和歌山県
和歌山県西牟婁郡すさみ町江住


17年ほど前に、ここを訪れたことがある。
海に突き出した岬は深い緑で覆われており、江須崎暖地性植物群落という天然記念物に指定されていて、当時、植物に夢中になっていた私は、ぜひ見てみたいと思ったのだ。
その後も何度か足を運んでいて、植物よりも、海や空に触れられる気持ちの良い場所として親しんできたのだが、神社に興味を持つようになって、ここで神社を見たことがあるのを思い出した。
ところが海の風景ははっきりと思い出せるのに、どんな神社であったかは全く思い出せない。
ここは夕日の美しい場所でもあるし、夕暮れの海と併せて神社にも再訪したいと思った。


夕暮れ前に行く予定だったのが、空があまりに綺麗だったので、他に訪ねる予定だった場所を取りやめて江住に向かう。
国道42号線から海岸方向への道に入り、突き当たりに駐車場がある。
そこに「エビとカニの水族館」というのがあるので、興味と時間がある人は立ち寄るといいだろう。
駐車場奥から遊歩道に入る。「日本童謡の園」として整備されているところで、各所に設置されたセンサーが人を感知すると幾つかの童謡のメロディーが流れる仕掛けになっている。
水族館にしても公園にしても、休日はどうか知らないが普段は閑散としていてる。また、駐車場から公園一帯にかけて、とにかく猫が多い。
もちろんセンサーは猫にも反応するので、時々誰もいないのにメロディーが流れ出してギョッとすることがある。
遊歩道の先は、海岸へと降りる階段になっている。あまり訪れる人もいないのか、階段を覆うように木の枝が張り出しているが、ここから江須崎島と春日神社の鳥居が望まれる。


江須崎は、よく見れば小さな橋で繋がっているから、いちおう島ということになるのだろう。
その橋の先の道を辿ったところに鳥居が見える。



左右に海を見ながら続く一本道。
大好きな場所のひとつであり、懐かしさと心地よさに浸れる。が、台風並みに強い風が右手から吹き付けていて、呼吸が乱されそうなほどだ。



江須崎島へと橋で渡る。
小さな橋とはいえ、両側の海は広大だし、海を渡る、というだけで愉快な気分になれる。



どこからか漂流してきたゴミがあちこちに打ち上げられてはいるが、橋の下の水は綺麗だ。



鳥居をくぐるとすぐに右手に石段があり、上りきったところから左へと参道が伸びている。
いかにも暖地性といった感じの木々に覆われ、やや雑然とした印象。



参道横を見れば、神社の杜というよりは密林。



そこを抜けると眩く広い空間に飛び出て、右手に割拝殿のような建物が現れる。
どうやら社務所のようだ。



社務所の先も木々は深そうだ。



頭上でごうごうと風が音を立てているが、境内では木々で抑えられて心地よく流れる程度。
空も日差しも気持ちよく、狛犬と一緒に日向ぼっこする。



社務所の先はやはり密林。
左手に本殿覆屋の屋根、中央右手に境内社覆屋の屋根が僅かに見えている。





本殿。
辺りはそれなりに広く空間が開けているが、深く木々に包まれている。
暖地性の木々の樹形によるものか、ちょっと不気味な雰囲気が漂う。



境内社。
覆屋は白い彩色が施されているが、南紀では珍しくない。青と白と赤というカラーリングも見たことがある。



本殿右奥から、岬の先端にある灯台へと向かう遊歩道がある。
やはり雑然とした密林の中の小道だが、木漏れ日の中をひらひらと舞う可憐な蝶がいた。アサギマダラだ。
なかなかじっとしていてくれないので、これが辛うじて撮れた一枚。



灯台から熊野灘を望む。
左に見える平らな陸影は本州最南端の潮岬だ。
帰路は来た道と違う道を辿るが社務所前の空間へと出る。



夕暮れの海が撮りたいので時間潰しに海岸に出る。
外海に面したところでは波が高い。



豪快に水飛沫を上げる。



潮溜まりでは、ナマコやヤドカリも沢山いて退屈しない。

この後、もう一度神社へと行き、ぼんやりとしてすごす。


やがて夕暮れ。



頭上の空にはまだ青さが残る。



残念ながら、この後、太陽は水平線近くにある雲の向こうに隠れてしまい、海へと没する姿は見せてくれなかった。









海への落日は無理でも、夕暮れ時の海の表情は多彩だ。
前から海をスローシャッターで撮ってみたかったので試してみる。まだちょっと明るいので中途半端か。



空も多彩な表情を見せる。



もう太陽は海の向こうに没したであろうが、余韻は暫く続く。



もう一度スローシャッターで。
これくらいだと海面を霧が這っているかのように幻想的になる。



雲の加減であろうか、最後に輝きが増した。





ふと気づけば、風も弱まり、波も穏やかになって、夕凪のやさしい気配に満ちていた。

駐車場に戻り、やがて満天の星空。


2万5千分1地形図 江住
撮影日時 090910 13時半~19時

駐車場 公園にあり
地図

 

熊野神社

2009年11月21日 | 福井県
福井県南条郡南越前町清水


今年の6月に越前の神社を訪ねたが、その多くは既にネット上で紹介されている、規模や知名度のあるところだったし、私自身、ここでもそれらの神社を幾つか掲載した。
それでも地図だけを頼りに、情報の見つからない神社にも何社か立ち寄った。
だが、神社の風景の良さというものは、ある程度、歴史や由緒、信仰の篤さといったものに比例するようで、つまりは情報の有無ともそれなりに合致する傾向があるように思う。
もちろん観点や感性は人それぞれではあるので一概には言えないけれど、情報の無い場所では、残念ながら惹かれる風景に殆ど出逢えなかった。
この熊野神社も情報の無い場所の一つで、境内は明るく、集落とも接していて、普段、私が探し求めているような風景とは違う。
ただ、陰翳や奥行きといったものは無いけれど、何故か居心地が良かった。
単純な視覚情報とは別のところにある、理由の曖昧な居心地の良さというものを写真で表現することは、出来ない・・・だろうなぁ・・・。



集落の入り口に鳥居。それをくぐって集落内の道に入る。
神社前にも鳥居があると思ったが見当たらない。代わりに、門のような割拝殿のような建物がある。



境内は明るい。が、そのぶん背後の緑が瑞々しく思える。



それにしてもこの建物、かなり老朽化しているようで、心なしか右に傾いているような・・・。
でも、味わいのある建物だと思うので、何とか補修して残してもらいたいものだ。
この建物の代わりに鳥居だけがある風景を想像すると、何か大事なものが欠けてしまいそうな気がする。



理由の曖昧な居心地の良さ、と上に書いたけれど、子供が駆け回っているのが似合いそうな空間、と言い換えることが出来るかも知れない。
ここには、そういう明るさがある。



拝殿に向かって左側は、緑豊かで苔も生えている。
日差しで眩しい場所が多いからこそ、この木陰も居心地がいいのだと思える。



拝殿は真新しい。
が、軽い感じは無く、時が経てばしっくり溶け込みそうな建物だ。



本殿は古いままだが、拝殿とを結ぶ廊下が途切れていた。もしかしたら修繕されるのかも知れない。


2万5千分1地形図 武生
撮影日時 090618 12時~12時20分

駐車場 あり
地図

 

戸隠神社

2009年11月14日 | 奈良県

奈良県山辺郡山添村桐山


奈良県の北東部、布目ダムのバックウォーターが途切れる辺りにある。
どういう理由かは知らないが、この付近には戸隠神社が多く、ここに掲載するのも「雑多な写真」を含めれば、3社目の戸隠神社だ。
一般的に、戸隠神社といえば長野県になるだろうが、ここはやはり奈良県で、過去に掲載したものも含め、やはり奈良らしい朱塗りの社殿の神社である。

極めて小さな谷間の狭い空間に境内があって、落葉樹が多い。
たぶん今頃は鮮やかに色付いているだろうと思うが、残念ながら写真は春のものである。
ただ、落葉樹の緑は鮮やかで、狭いながらも暗い雰囲気にならず、緑に包まれた落ち着いた雰囲気の場所であった。




県道沿いの、少し奥まったところに神社入り口。
さして長い参道ではないけれど、緑が豊かなので深く見える。



緩い上り坂の先にすぐに階段。
その上には拝殿が見え、モミジとイチョウの緑が旺盛である。





拝殿。
拝殿の右奥には草鞋が三足揃えられていたから、それを履いて本殿前まで行っていいのかも知れない。



本殿は、覆屋があるものの簡素なものなので、その様子は窺える。
が、やはり本殿前に行けば良かったと少し後悔。





こういう社務所(?)は結構好きだ。
緑の豊かさと相俟って、なんだか「ほっ」と寛げるような気分になれる。


2万5千分1地形図 柳生
撮影日時 090522 7時40分~8時10分

駐車場 神社入り口から少し南に行くと、県道が広くなっている。神社前も停められそう(?)。
地図

 


雑多な写真13

2009年11月10日 | その他

初めてパソコンを買ったのは12年ほど前のことだ。
ウインドウズ98が出る前のことで、ちょうどその頃、会社で使っていたパソコンも、MS-DOSからウインドウズに移行していた。
確かディスプレイ、プリンタ込みで15万円ほどで買ったと思うが、基本スペックはCPUがペンティアムⅡの233MHz、メモリが32MB、ハードディスクは3.2GBだったと思う。
今から思えば凄いロースペックで、どの数値も今とは桁が違う。実際、ちょっと大きい画像を扱えばフリーズしたし、ネット環境も粗末なもので、このブログで掲載しているくらいの大きさの画像を表示するだけで数秒~数十秒は要した。
6年ほど前に2代目のパソコンとなり、性能は飛躍的に向上した。
ディスプレイは古いものをそのまま使い、本体のみの購入だったが奮発して17万円くらいのものを買った。
スペックはCPUがペンティアム4 2.8GHz、メモリ1GB、ハードディスク200GB、ネット環境も同時期にADSLに移行したので、あらゆる面で一気に使い勝手が良くなった。
それからはディスプレイを液晶に代えたり、外付けハードディスクを増設したりしながら使ってきたが、6年経っても性能的に大きな不満を感じることは無かった。
が、つい先日、そのパソコンがとうとう壊れてしまった。
幸い、データを損失することは無かったが、新しいパソコンを買い、復旧するまで時間がかかってしまった。というわけで、約2週間ほど更新が出来ず、すみませんでした。
今回のパソコンは安物にして、5万強で購入。それでも今までのパソコンを少し上回るスペックになって、時代の流れを感じてしまった。





花知神社 三重県熊野市神川町花知
前線通過に伴う激しい雨の降ったあとに立ち寄った。
小さな神社だが雨上がりの風情が立ち込めて心地よかった。
しかし、鳥居向こうの電線のあまりの多さに辟易。



大森神社 三重県熊野市育生町尾川
境内横には尾川川の清流があって居心地の良い場所。
この川を上流に向かえば、以前に紹介した「蝶の羽根岩」や「雨滝」がある。





池神社 奈良県吉野郡下北山村池峰

大峰山脈の麓、明神池の畔にある。
車道から境内全域が見渡せてしまうのが物足りないが、個性的な狛犬や、紅葉が目を楽しませてくれた。



太田川 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町高遠井
紀伊半島は吊橋の多い地域ではあるけれど、ここは春になると思い出す印象深い吊橋だ。







中野川 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町西中野川
地形図を見ていて気になった場所。
それなりに大きな流れなのに川沿いに道は記されておらず、しかも一ヶ所、滝がありそうな気配。
現地に行ってみると、川の入り口付近に「←仙人場」と書かれた小さな看板があった。ネットで「仙人場の滝」というのが紹介されていたのを何度か目にしていたが、ここがそうだったのかと初めて知る。
まだ殆ど知られていない未知の場所だと思っていたのに残念・・・。
入り口から仙人場の滝までは結構距離があり、道らしい道もないのだが、地形は極めて穏やかで、流れに沿って河原や水の中を歩いていく。水はやや青味がかっている。
一枚目はそういった河原の風景。二、三枚目は小さな支流の小さな滝だが、なんとなく気に入ったので。
肝心の仙人場の滝は、辺り一帯が岩の露出した広場になっており、日差しが強く写真にならなかった。
岩の上に大の字で寝そべってみたくなるような、あまり人に知られていない穴場である。



久須夜神社 福井県小浜市堅海
神社入り口付近に木造の廃校がある。海も近いし境内には大木もあるし、とても素敵な環境だ。





椎村神社 福井県小浜市若狭
久須夜神社のすぐ近く。辺りに人家は無く、とてものんびり出来る気持ちの良いところだ。
神社のすぐそばの道から海が望め、その向こうに小浜市街と多田ヶ岳(たぶん)が見える。