山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。
神社のある風景



兵庫県朝来市和田山町枚田


昨年は紅葉の写真をあまり撮っていない。
どうもタイミングが合わず、どこかへ出掛けても、紅葉には早すぎたり遅すぎたりして、そのピークに出逢えないまま秋が終わってしまった。
そんな中で、まだ比較的良い色で迎えてくれたのが、この赤渕神社で、静かで心地よい秋の一日を過ごすことが出来た。
といっても鮮烈な色付きではなく晩秋の気配で、しかも空はどんよりと曇っていて華やかさには乏しく、何だか冴えない写真ばかりになってしまったが・・・。

赤渕神社は朝来市の市街地から少し離れた場所にある。
規模や知名度は但馬でも有数だと思うし、以前から気にはなっていたのだが、地図を見ると、集落の狭い道の奥にあるので、何となく敬遠していた。
民家に近く、境内はやや開放的で、山の気が感じられるような深さとはちょっと違うものの、楼門、神門、勅使門と三つの門がある懐の深い空間は魅力的であった。



神社入り口付近は、保育園や駐車場などがあって、あまり落ち着ける環境ではない。
だが、この鳥居の奥へと緩やかに上っていく参道には先を期待させられる。



カーブを曲がった石段の先に楼門が見えてくる。
この風景は、神社というよりお寺の山門だ。



楼門越しに奥を窺えば、いかにも秋らしい色合いに満ちている。





上も下も秋の彩りである。



楼門の先には神門が見えている。



神門に向かいつつ振り返る。



神門の向こうでも木々が秋を演出している。
赤や黄色もいいが、こういう橙色の暖かみある色合いもいい。



神門の先は広い空間。
参道は更に奥へと続く。



石段の上に見えてくるのは勅使門だ。



神門方向を振り返る。



勅使門。
当然、こちらの扉は閉じられくぐることは出来ない。



拝殿側から勅使門の透かし彫りを。



勅使門と拝殿。
ここもかなり広い空間が開けている。



拝殿と、奥に本殿覆屋。



拝殿横から本殿方向。
この建物に囲まれた狭い場所だけ、ちょっと空気や光が違うように感じられて惹かれたが、残念ながら上手く写し撮れなかった。



本殿覆屋。



拝殿の左手に並ぶ境内社。
この背後は山が迫り、杜の雰囲気が良い場所だ。



本殿左手の境内社。
広い境内の中で、最もひっそりとした場所だった。


2万5千分1地形図 但馬竹田
撮影日時 091124 12時20分〜14時20分

駐車場 鳥居右手の道を進むと境内に停められる。
地図



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兵庫県養父市八鹿町石原


但馬の山深いところ、標高800mの地にある。
その立地や、出雲大社より譲り受けたとされる三重塔などがあることから、いつか行ってみたいと思っていた神社である。
尤も、但馬妙見とも言われるように、本来は妙見信仰であり、社殿等は明らかに寺院建築なのであるが、歴史的経緯や変遷を述べるのは私の領分では無いので割愛。
私はそこにある風景と、その空気に触れられればそれでよい。

夜明け前に到着すべく、長い林道を進む。
途中、かなり霧が濃くなるが、標高が高くなるにつれ晴れてくる。もしかして雲海が見られるのではと期待する。
林道は狭いところがあるものの、比較的走りやすく、時間も時間なので対向車も無い。ただ、鹿には何度も出逢うので注意を要した。
尾根伝いに続いていた林道は、やがて山腹を進むようになり右手が開けてくる。この分だと、展望が開けている場所もあるだろうから雲海への期待は更に高まる。
神社入り口より少し手前にある広い空き地に車を入れ、夜明けを待つ。



空が明るくなってきて、駐車場所から東側の展望が浮かび上がってくる。





やや陰鬱な空ではあるけれど、その広がりに胸のすくような思いがする。
日の出まで待つべきか悩んだが、神社の撮影を優先することにした。



参道入り口。
まだ夜の色を湛えている。



それなりに距離があると思っていたのに、歩き出してすぐに朱塗りの三重塔が見えてくる。
緑に囲まれた道の奥にこの朱色が見えると、「はっ」とさせられるものがある。







出雲大社の本殿の心柱に、この地にあった妙見杉を提供した縁により、この三重塔が出雲大社よから移築されたという。
解体されて出雲から船に積まれて但馬へ、さらにこの標高800mのところにまで運んで組み上げられたことを思うと、この建築から、その意匠や造形だけでなく、遠い過去や人々の想いといったものまで伝わってくるような気がする。
最初に見えた瞬間の風景が好きだが、近くで見ても美しく、力士や四猿の彫刻など、じっくり見て楽しめる。



三重塔から右に進むと石段。
本当なら中央付近に鳥居がある筈なのだが、新調するのか撤去されていた。



太陽が顔を出したようなので、どうにか木の間から雲海の様子を撮る。
やはり日の出まで駐車場所にいればよかったと少し後悔。



石段を上りきると拝殿が見えてくる。
割拝殿というべき形状だが、ちょっと独特の建物だ。



なんとも言えない重厚な気配が漂っていて、一般の神社にある建築物から感じるものとは違う。



拝殿から本殿。



本殿周りは意外と開けていて、さほど山深い雰囲気は無い。
ただ、鹿が甲高い声を上げて背後の斜面を駆け上っていった。





彫刻は、淡い朝の光を浴びて影を描き、躍動しているように見えた。



駐車場所に戻る。
日は高くなったが、まだ眼下に雲が広がっている。



林道を下っていけば、やがてその雲の中へ。







麓へと続く林道の途中から。


2万5千分1地形図 栃本
撮影日時 091125 6時20分〜9時

駐車場 神社の手前の広場
地図


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兵庫県豊岡市日高町十戸


ここに兵庫県の神社を掲載するのは、実に8ヶ月ぶりのことだ。
地元でもあるのに何でこんなに期間が開いたのか自分でも判らないが、とにかく最近は兵庫県の神社に行くことが殆ど無かった。
戸神社を訪れるきっかけは、こことリンクして下さっている方のブログに掲載されていたからで、とにかく一目見て、そこに湛えられていた雰囲気に惹かれてしまったのである。
神社そのものは、式内社であるものの小さい。
ただ、長い歳月の積み重ねによるものか、あるいは守られてきた場所という信仰心の賜物か、規模に関係なく、そこに漂う空気には深みがある。
深夜に出発して2時間半の距離。事情があって、この1社しか参拝できなかったが、それでも行く価値は充分にあった。



国道沿いに鳥居が立つ。
参道奥に見える門のような建物と、その背後に聳える木を見ると、深い空間が思われて気が逸る。



参道は短いものだが、程よく手入れされていて気持ちよい。
門のような社務所らしき建物の向こう側が見えて、ドキッとするところでもある。



一の鳥居、そしてこの建物、その先には二の鳥居、更に奥には門のように聳える大きな二本のケヤキと、もう何重にも張られた結界で守られているかのような、そんな空間だ。



背後の国道にはそれなりに車も通るが、もはや気にならない。



鳥居の遥か頭上で、木々達は語らっているかのようだ。



二の鳥居から拝殿。



この二本のケヤキの存在感は見事。それでいて、あくまで静謐な佇まい。



右手には境内社。その向かい、左手にも参道が伸びていて境内社がある。



拝殿の奥には本殿覆屋が見えるが、白いコンクリート造りで、これだけはちょっと違和感があった。



拝殿と狛犬。



参道や拝殿脇にはシュウカイドウの花がたくさん咲いていた。
マクロレンズは持っていないし、そもそもこういった野生種でないものは好きではないので撮るつもりもなかったのだが、花を撮るのに理想的な光線状態で、「撮って」と言われてるような気がしてきたので・・・。



外はもう完全に朝の気配だ。
目の前の国道を、慌しく車が行き交う。


2万5千分1地形図 栃本
撮影日時 090925 5時40分〜6時50分

駐車場 鳥居右手にスペースあり。
地図

 



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兵庫県丹波市青垣町佐治


丹波市の氷上町から青垣町にかけては、地図を見る限り、奥深そうな神社が多くあって興味を引かれる。
そんな中で、この神社は青垣町の中心に近く、全く気にも留めていなかった。
山際にあるとはいえ、民家の密集地のそばだし、奥深さや落ち着き、潤いといったものを期待するには、ちょっと条件が悪いように思えた。
少し以前、こことリンクして下さっている神社ブログの先輩がこの八柱神社を紹介された。そこからは、意外な奥深さと、境内の独特の雰囲気が伝わってきた。行ってみたい、と思った。
どなたかの紹介を見てから訪れる場所は少なくないし、知識も資料も調べる根気も無い私には独自色を出すことも叶わず、二番煎じの感は否めないのだが・・・。

地図を見て風景や環境を思い描く机上の空想は楽しい。読図力を上げ、実地での経験値も上げれば、ただの空想ではなく予想に近づいていく。
しかし、こういう神社に出逢うと、まだまだ私の読みは浅いと思わざるを得ない。
予想外もまた楽しいものだから、まあいいか、と思うことにしているけれど。



民家の間の狭い道に入り、その突き当たりに鳥居がある。
秋祭りのシーズンで、幟と金木犀の花が社頭を彩る。


鳥居前まで民家が建ち並んでいたが、参道に入れば空気も変わる。
実は1km以上離れた道の駅から歩いてきたので、このしっとりとした緑は一際心地良く感じられる。


石段を上りきると左手に愛宕社。


そこから参道は平坦になる。
アスファルトの道を歩いてきた足には、その靴底に伝わる土の道の優しさが嬉しい。


緑に埋もれるように二の鳥居。


すぐに社殿の建ち並ぶ広い空間に出るが、まず左手に稲荷神社への鳥居がある。
この道にはヤマヒルが這っていて、体温か二酸化炭素でも感知するのか、迷わず私の方に向かってくる。
最近、各地でヤマヒルが増えているらしいが、こんな民家の近くで見かけるとは驚きだ。


広場を囲むように、ずらりと社殿が建ち並ぶ。社殿の規模は小さいけれど壮観で、山里としては珍しい雰囲気がある。
社殿の数は七つで、参道途中にあった愛宕社と併せて八柱ということだろうか。


本殿は端正かつなかなか凝ったもの。


スマートながら屋根には重厚感があって、こういうタイプの社殿は大好きである。


ヤマヒルの存在が気になったので、心から寛ぐことは出来なかったが、心地良い雰囲気に包まれた空間であった。
ヤマヒルは一匹見かけただけなので、たまたま鹿などに付いて入り込んだだけかも知れない。


2万5千分1地形図 黒井
撮影日時 081009 13時〜13時40分

駐車場 鳥居横の農道のような道を進むと奥に駐車場所があり、社殿のそばに出られる。
地図

 



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兵庫県朝来市山東町粟鹿


以前に紹介した粟鹿神社に程近い場所、集落外れの山際にある。
一年ほども念頭に「行きたいなぁ」という思いがあって、実のところ、粟鹿神社より、こちらが主目的であった。
社殿は北北西向きで、日の出の位置を考えると光線状態に恵まれそうであるし、ネットでの紹介を見ても、彫刻や緑の豊かさなど、惹かれる要素がたくさんあったのだ。

実際に行ってみて、そこに佇んだときの心地良さは格別であった。
予想通り、光の状態にも恵まれ、美しい表情を見せてくれたので、ついつい長居してしまい、滞在時間は3時間以上に及んだ。
同じ場所でも時間が違えば表情は変わる。どの表情も捨て難いものがあったので、似たような構図でも複数枚掲載することにした。結果、過去最多の44枚という写真数になってしまった。
いつも写真には不満が多いのだけど、今回のこの當勝神社は、その良さが上手く出せたのではないかと思い、新年の第一弾に選んでみた。
尤も、新年らしい写真では無いけれど・・・。



舌状に伸びてきている尾根の先端に一の鳥居。
尾根の両側は車道で、奥深さがあるようには見えない。


一の鳥居をくぐると、まずは階段で、上には二の鳥居、三、四の鳥居も見えている。


階段を上りきれば、意外と奥深い空間。


〜三の鳥居辺りから〜

三の鳥居から六の鳥居まで。
粟鹿神社では深い霧であったが、こちらでは晴れかけていた。


振り返ると、霧に朝の光が反射している。


これは完全に霧が晴れ、太陽が出てからの様子。


木漏れ日が降り注ぐ、緑の気持ちよい参道。


陽射しも柔らかい。


〜五の鳥居辺りから〜

境内のヒノキは全て皮が剥かれ、赤茶けた樹皮になっている。
モミジの優しい緑によく映えて、痛々しいような美しいような。


太陽が顔を出して、上部は直射光に輝く。


〜六の鳥居辺りから〜

落葉樹の緑を背後にすると、朱の鳥居の美しさは際立つ。
後方は随身門で、朝来市指定の重文。


柔らかく、鮮やかでありながら濃密な、そんな空間だ。


振り返って見れば、決して深い杜ではないのだが。


しかし足許を見れば、潤いある緑の絨毯。


呼吸も思考も沈静化していって、いつしかただ見つめるだけになってしまう。


零れるような木々の緑、そこに落ち着きを添える幹の色合い。


〜随身門手前から〜

陶然としながらシャッターを押す。


自然と人工物が見事に溶け合っている。
金属製の手摺はちょっとアレだけど・・・。


日が射しても、緑のヴェールのお陰で落ち着きは乱されない。


門の向こうには、拝殿の屋根が見えてくる。


少し斜めを向いた随身門越しに、なかなか立派な拝殿が姿を現す。


拝殿前のモミジも見事。
御神木と、屋根に守られた狛犬もいて、素敵な雰囲気が広がる。


〜拝殿手前から〜

ここの狛犬は幸せそうだ。
雨や雪の影響も少なく、保存状態がとても良い。


彫刻はかなり凝ったもの。屋根の上にも睨みをきかす方がいらっしゃる。


朝陽が射し込んできた瞬間。10分にも満たない時間の光の演出。


緑をバックにするのも美しいが───


彫刻をアップにしても美しい。
龍の上では七匹の獅子達が戯れていて、全体的に躍動感や遊び心を感じさせるもの。


斜めから見ると、その複雑な造形がよく判る。


龍も獅子達も素敵な表情である。


〜拝殿から本殿にかけて〜

まだ霧が残っているときの表情。荘厳な気配を纏う。


しかし、ここは何といってもモミジが美しいので、以下、モミジを中心にした社殿の写真を。










モミジが美しいのは、何も光の加減ばかりでは無いようで、よく見てみると傷んだ葉が殆ど見当たらないのだ。通常、10月にもなれば、けっこう一部が枯れた葉や、縮れた葉などが目立つようになるのだが。
恐らくは、日照、雨量、風当たり、気温などが、モミジにとって理想的な環境にあるのだろう。
いったい、紅葉の時期にはどれほど鮮やかに色付くのだろうか。


〜境内社・ほか〜

随身門に隣接している絵馬堂。


本殿左手にある當勝天神。


かつて本殿に使われていたらしく、なかなか凝った造りだ。
天神さんということで学問成就の神様であるが、「當勝」の名前から、受験生がよく訪れるらしい。


本殿右手の逆杉社。


更に右に目を転じると、當勝稲荷大明神。


こちらは奥の山腹へと参道が伸びている。


背後から太陽が顔を出してきた。


赤い樹皮のヒノキが林立する空間で、朱塗りの社殿が独特の雰囲気に包まれていた。


2万5千分1地形図 矢名瀬
撮影日時 081009 6時40分〜10時

駐車場 神社前にスペースあり
地図
 

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兵庫県篠山市二之坪


熊野神社は各地にたくさんあるけれど、熊野三山を別にすれば、初めて訪れた熊野神社がここだったと思う。
単に熊野神社とせず、新宮の文字が付いているのは、本宮、那智、速玉、それぞれから勧請した三つの神社が近隣にあったからのようだ。
那智から勧請された神社は廃れてしまったらしく、本宮からの勧請と思しき神社は、ここより南に約1キロのところにあるが、こちらも一度、廃れた時代があったようだし、規模もかなり小さなものである。
この熊野新宮神社も、社域はさほど広くはないが、立派な石垣や、八朔祭と呼ばれる篠山市指定民俗文化財のお祭などがあって、三社の中では最も隆盛して現在に至っている。
私がいつもよく言う「奥行き」、「奥深さ」があるわけではないのだけれど、過去に二回訪れていて、今回が三度目。
どこか惹かれるものがあるのに、それが写真に写せない。この三度目の訪問では、紅葉に助けられた。



狭い道に面して、お城を思わせるような立派な石垣がある。


石垣に挟まれて視線は自ずと前を向く。迎えてくれる二本の杉の大木、そして拝殿の屋根と紅葉に、誘い込まれるように足が速まる。


社殿の背後で、社殿を飾り立てるように色付く木々。


振り返ると、田畑と里山の広がる長閑な風景。


拝殿。
先ほど奥行きは無いと書いたけれど、距離的な奥行きはともかく、手前に落葉樹、背後に常緑樹があることで、奥行きの感じられる空間となっていた。


よく見れば、拝殿にはネットが。動物の侵入を防ぐためだろうか?


拝殿の彫刻。


本殿。
写真では小さくて判りづらいが、木製の狛犬は凛々しい姿だ。


本殿瑞垣。
主のいない蜘蛛の巣も、枯葉も、右から射し込む淡い光も、秋というより初冬の気配。


本殿背後から境内社。


全体を見渡す。
大きな社務所の屋根と石垣が印象的。


最後に、最も紅葉が美しく見える角度から。


2万5千分1地形図 福住
撮影日時 081130 12時〜12時40分

駐車場 なし 境内に乗り入れ可
地図

 



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兵庫県朝来市山東町粟鹿


出石神社と並び、但馬国一宮である。
一宮であるのに二つあるのは解せないが、時代により移り変わりがあったということだろうし、そういった例は但馬に限らない。
ここで、いわゆる諸国一宮を取り上げるのは若狭に続いて二社目だと思うが、私自身が参拝した一宮としては七社目である。式内社と同じで、一宮に対しても拘りは無いし、たった七社で一宮について言及するわけにはいかないけれど、一宮の中では落ち着いた神社であり、それでいて、やはり高い格式を感じさせるものがあるように思う。規模がそれほど大きくないにも関わらず、そこに湛えられた空気は神寂びて揺ぎ無い。
同じ集落内には、當勝神社という、これもまた立派な神社がある。それなりの世帯数があるとはいえ、これだけの神社を二社も維持管理するのは大変であろうし、他にも小さな神社が二社ほどある。地元の方が、いかに神社を大切にされているかの表れであろうし、そういった気持ちが、この神寂びた空気を作り上げる一つの力になっているのかも知れない。



京都府側から但馬に入る辺りで霧が出てきた。粟鹿の集落も霧に包まれており、いつもより穏やかな夜から朝への移り変わりの中、神社前に到着。


車道に対して参道は弧を描いており、向こう側にも鳥居がある。
手前に見えているのが勅使門で開放されていない。一般には奥の日の出門から入る。


社殿のある境内から門の方向を見る。手前には土俵がある。
日の出門には見事な木製狛犬がいるが、手水舎の照明の影響で、あまりに変な色合いになったのでボツ・・・。


拝殿。
周りは開けた空間になっているが、地面は緑に覆われ、周りは背の高い木に囲まれているので、晴れていたとしても適度な潤いと陰翳があるように思う。


拝殿と本殿。


本殿。
棟持柱に気付くまで、神明造とは思わなかった。


本殿左奥にある茗荷神社。


斜面の急坂を登った山腹には稲荷神社。


門から見れば、正面やや左にある厳島神社。
背後の杉は見事で、樹叢は朝来市指定天然記念物。


2万5千分1地形図 矢名瀬
撮影日時 081009 5時50分〜6時半

駐車場 あり
地図
 



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兵庫県丹波市青垣町桧倉


青垣町桧倉には、紅葉で有名な高源寺がある。お寺に魅力を感じないわけではないし、世間では神社好きよりもお寺好きの方が多いと思うけれど、私には天邪鬼なところがあって、しかも判官贔屓でもある。
地図を見ると、桧倉の神社は、その集落の外れの薄暗そうな谷間に記号がある。高源寺の陰に隠れて目立たないし、何だか片隅に押しやられているようでもあり、それだけでちょっとした愛おしさみたいなものを感じてしまう。
それに、もともと谷間にある神社は好きである。暗くてジメジメしていると捉える向きもあろうが、苔生して緑濃く、潤いある空間と見て取りたい。

高源寺への道を左に見て、集落の奥に向かって進む。人家が尽きると牛舎が現れ、その先で道が二手に分かれる。右に緩やかに下っていく道が神社への道だ。



動物避けの柵を開けると、谷を渡る橋、その袂にあるモミジの古木が迎えてくれる。
初めて訪れたときは神社名も知らなかったので、橋の向こうにある赤い鳥居を見て、小さな稲荷神社なのかと思ってしまったが、これは末社で、鳥居の右手にある苔生した道が、若宮神社への参道となっている。


やはり谷間はいい。深い緑に包まれ、清冽な水に触れる。


パイプは不粋だが、谷からの水が引かれた素朴な手水が気持ちよい。


ずっと曇天であったが、一瞬だけ晴れ間が覗き、薄暗い谷間が俄かに賑わう。


周りは殆ど人工林。だが、神寂びた空間に感じられる。


稲荷神社右手の苔生した参道を進むと、やっと鳥居が現れる。
周りの杉と同化したような色合いになって、存在を主張することなく溶け込んでいる。


緑の絨毯が敷き詰められた小道。
静かな───と言いたいが、時おり牛舎の方から、雄叫びのように鋭い牛の鳴き声が聞こえてきたりする。


木々の間に社殿が見えてきた。


参道の突き当りがちょっとした広場になっており、右手が社殿、左手は谷川を隔てて鳥居が立っているのが見える。以前はこちらに参道があったようだ。


苔生した石段でよい雰囲気だが、本殿覆屋がトタンの波板であるのが残念。


狛犬は、余所の子であろうと叱ってくれる下町の口煩いオジイチャンと、


叱られても懲りずに悪巧みする悪戯小僧、といった風情。


本殿。


2万5千分1地形図 大名草
撮影日時 081009 10時50分〜12時

駐車場 集落内に高源寺参拝者用に設けられたと思われる駐車場がある。
地図
 

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兵庫県豊岡市但東町河本


地形図を見て、川のすぐ横にあるこの神社が気になった。
境内にせせらぎが響くのは魅力的だし、湿度も高くなるから苔生していることが多い。谷間というほど山が迫った場所ではないけれど、とにかく流れに触れられる環境というものには惹かれる。
調べてみると、式内社であった。だが、それにしては随分と小さいようであるし、陰翳に富んだ風景でもなさそうだ。
行くべきか少し悩む。悩みつつ車を走らせ、結局、現地まで行ってしまう。
今回、写真は4枚のみ。最近では異例の少なさである。けれど、写真には写らない「居心地の良さ」といったものがあるように思う。あとは着眼点というか、風景を見つめる視点や感性の貧困さが原因だろうか。



車道から見る鎮守の杜は、やはり小さい。
狭い横道に入るとすぐに鳥居前。川沿いとはいえ、道路からの高低差は殆ど無く、ほぼ平地と言ってよい場所だ。


一目で社域が見渡せてしまう広さである。


境内と川との間には害獣避けネットが張られていて、残念ながら河原に下りることも出来ない。
が、何と言うか、素朴で長閑で、木漏れ日を浴びながら「ぼ〜っ」としたくなる場所である。


朽ちて苔生した木の根元にはムシトリナデシコの花。
帰化植物ではあるけれど、鳥居脇の紫陽花とともに、神社を彩っていた。


2万5千分1地形図 出石
撮影日時 080717 10時40分〜11時

駐車場 神社前にスペースあり
地図

 



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兵庫県丹波市春日町黒井


恐らく、旧春日町で最も大きい神社であろう。町の中心近くにあって、神社の隣には高校もある。
どうも私が敬遠したくなる要素が多そうで、訪れるには躊躇いがあったのだが、昨年、友人とドライブをしている時に近くを通りかかったので立ち寄った。
確かに大きい。けれど、それは豊かな空間というべきものであった。
参道は明るすぎる。しかしそれも、思いの外の深さで広がる杜と、明暗の対比を際立たせる演出効果となる。
今回、写真を撮り直すために再び訪れた。
私は撮影の際、薄曇の天気を好むが、ここは何となく爽やかな印象があったので、そう写るような天気を選んでみた。



町の中心に近いといっても、やや民家が多いくらいで長閑な場所。
鳥居脇の狛犬は大きいものだが、かなり傷んでいる。


長い参道をのんびり歩くと、やがて二の鳥居。まずはその扁額の大きさに驚かされる。


大きいだけでなく、力強さを感じさせる。


参道のすぐ隣は氷上高校の通学路で、校舎もそばに見えている。学校の隣にこんな神社があるのは羨ましいなぁ、と思いつつも、高校生だったときの自分が、学校の隣に神社があったからといって喜ぶかどうかは微妙なところである。
でも、恵まれた環境であるのは間違いない。


広い境内ではあっても、背後の杜が豊かなので落ち着きがある。
爽やかな印象、と前に述べたが、それは、この清潔に保たれた空間からくるものかも知れない。


拝殿の彫刻は、なかなか凝っている。


拝殿前から鳥居方向を振り返る。


幣殿と本殿。電線が・・・。


重厚感のある本殿だ。


本殿背後から。


本殿右手より。


本殿背後は鬱蒼たる杜であるが、ここはどうも撮影が難しい。
この奥には磐座と思しき大きな露岩がある。


本殿左手奥にも小道があって、岩に龍神と刻まれた場所がある。
杜の、深い息遣いが聞こえてきそうな場所だ。


入り口近くにある境内社。
竹と落葉樹が涼しげな木陰を作る。


2万5千分1地形図 黒井
撮影日時 080831 9時50分〜11時

駐車場 神社前駐車可
地図
 



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