神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

冬の琉璃渓

2009年01月30日 | 滝・渓谷

京都府南丹市園部町大河内


冬にはあまり撮影に行かない。
雪道や凍結が心配だというのもあるが、基本的に緑いっぱいの風景が好きなので、ついつい出かけるのが億劫になってしまうからだ。
そういったわけで、ここには冬らしい写真を掲載したことが無いのだが、少しくらい冬の景色も載せたいなぁ、と以前から思っていた。
雪道や路面の凍結を心配しないで行ける場所、となると、雪景色や氷瀑なんかが見られる可能性も極めて低くなるけれど、道路の勝手を知っていて、およその路面状況が予測できる近場で、あるいは冬ならではの表情が撮れるかも、と思い浮かんだのが琉璃渓だった。

春の琉璃渓は以前に紹介している。その際に、水の汚れについて触れたが、少しはマシかと思った冬も相変わらず汚れた水を流していた。
だから決して人にお奨めしたい場所ではないのだけれど、本来はとても美しい場所に違いないので、前回と同じように、なるべく綺麗な表情を切り取ってみようとした。
結果的には、渓谷そのものよりも私が惹かれた部分部分を切り取っていく形になったので、琉璃渓の全体像は伝えられなくなった。が、冬らしさが出せたと思うので個人的には満足。



早朝の渓流───
神社に限らず、早朝は風景が最も豊かな表情を見せる。
緑が少なく殺風景になりがちな冬の渓流も、朝の色合いが彩りを与えてくれる。













水面の表情───
光が反射していると水の汚れは見えにくい。だからというわけでは無いけれど、水面を注意深く見て、光と水が織り成す表情を撮るのは楽しい。













水辺の氷───
本当は氷瀑を撮ってみたいのだが、支流の小さな滝でさえ凍っておらず。
でも、流れのそばの水溜りや、水飛沫がかかる枯れ枝などに、冷たく輝く氷が散見された。
その造形の妙に感心。






















冬の雑木林───
琉璃渓の周囲は雑木林が多い。それなりに手入れされているのか、あまり密生しておらず、冬の陽が降り注いで気持ちが良い。









2万5千分1地形図 埴生
撮影日時 090129 6時40分~9時50分

駐車場 ダムそばにあり
地図

 


阿須須岐神社

2009年01月25日 | 京都府

京都府綾部市金河内町


予定より随分と遅れて、夕暮れ間近に金河内集落に着いた。
広場でお年寄り達がゲートボールをされていたので、神社に駐車場所があるかどうか訊ねる。
すると四、五人の方が集まってきて、駐車場所どころか、間違いようの無い一本道の道のりまで説明して下さる。
それぞれが口々に話され、冗談も混じったので、静かな山村風景は賑やかに彩られた。

集落内の狭い道を進み、その突き当りが神社前。
茗荷占い等、興味深い神事が行われる式内社であるが、所在地の地形だけ見ても惹かれる要素はあって、以前から行ってみたい神社の一つであった。
集落名が金河内、神社の別名に金宮大明神、背後の山が金ヶ峰、とあるので、単純に鉱山に関連する神様が祀られているものと思ったけれど、主祭神ではなく、末社にその名が見られるのみ。
地名などから、かつては付近に鉱山があったと考えることは出来るし、その衰退と共に祭神も移り変わったのかな、などと、何の裏付けもないけれど、勝手に想像してみたりする。



民家の尽きた山際に、ひっそりと鳥居が立つ。
鳥居の左手から、茗荷占いに用いるための「御茗荷田」へ続く小道がある。


阿須須伎神社とも書かれるが、鳥居の扁額は「岐」になっているので、ここでは阿須須岐神社とした。


さして深い杜ではないし、さして深い参道でもないのだが、夕暮れ時ということもあってか神寂びた気配が立ち込めて、思わず息を潜めてしまうような雰囲気。


参道は左に直角に折れ、二の鳥居の先に社殿が見えてくる。


やはり、息を潜めて暫し見入ってしまう。




拝殿前の狛犬は、前脚に修繕の跡が見られるものの、もはや原型を留めていない。
風化した姿は寂しくもあるが、石は丸みを帯びて優しげなものにも感じられる。

以下、拝殿の風景が気に入ったので、何枚か似たようなものを。











紅葉も綺麗だったが、何より静けさに浸れる空間であった。


本殿。
覆屋に覆われているものの、横からつぶさに見る事が出来る。


本殿左手の境内社。


神事舎越しに本殿右手の境内社。


その更に右奥に稲荷神社。


鳥居左手から御茗荷田へ続く小道。右奥に板垣に囲まれた御茗荷田が見える。
道は、その先の石段を上って社殿のある境内へと続いている。
ここは木々が深く、既に夜のように暗い。


あまり使わないISO400の感度で30秒ほどの露光。
見た目の明るさとは違うし、見た目の色とも違う。だが、心象風景といえば大袈裟になるが、その場で感じた雰囲気には近いと思う。


杜の奥は闇と言っていい暗さ。その暗がりの中で、枯れ枝を踏み締める音が響く。鹿や猪などの動物達が活動し出す時間なのだろう。
ただ、黄色く色付いた葉だけは、自ら光を放つかのように、いつまでも鮮やかに浮かび上がっていた。


2万5千分1地形図 梅迫
撮影日時 081116 16時~17時10分

駐車場 鳥居前にスペースあり
地図

 


野蔵神社

2009年01月21日 | 滋賀県

滋賀県野洲市南櫻


以前に御上神社を掲載したことがあるが、その計画を立てる際に、周辺を地図で見ていて最も気になった神社がこの野蔵神社であった。
地図から参道が長そうということは判ったものの、ネットで検索してみても情報は少なく、画像も見つからない。
美しい観光地や美しい滝といったものは、ほぼ誰かが撮影して紹介しているものだけれど、神社となるとその限りではない。それだけ神社が一般的でないということかも知れないし、神社を風景として捉えることが普遍的でないのだろうが、神社には、信仰、歴史由緒、建築、そして風景、といった多様で奥深い価値を持つ空間がある。それらがあまり顧みられないことに寂しさを覚える反面、まだ見ぬ美しい空間が各地に隠れているのだとも言える。
ここも、恐らくは地元の人以外は訪れないであろうし、目の前の道路は交通量が多くとも神社には無関心だ。付近の地名は北櫻、南櫻で、それに相応しく、祭神は木花咲耶姫。だから何だというわけではないけれど、無関心さとは別のところで、連綿と続くものが地名に表れているようでもあり、そこにある風景と共に心地よく感じられた。



背後は国道1号線のバイパスから国道8号線に抜ける道となっており、かなりの交通量。
バイパスが出来るまでは、もっと静かであったろうと思うと残念だが、鳥居の先には地図から想像した期待を裏切らない参道が続いていた。


参道途中に二の鳥居。
光線状態によっては、もっと美しい景色に出逢えそうな場所で、いずれ再訪したい神社の一つである。


二の鳥居から拝殿。


拝殿周りは開けていて明るい空間になっている。
晴天ならコントラストが激しそうだが、かといって曇天だとあまり映えない。やはり早朝に訪れたい場所だ。


拝殿越しに本殿。
ここからの風景は、とても洗練されたものに感じられた。


本殿周りの木々は、どこか動物的なものを感じさせる、表情豊かなものが多い。


狛犬は、この辺りで時おり見かけるエリマキトカゲっぽいタイプ。


写真では小さくて判りにくいが、本殿拝所の両脇には、狛犬でなく狛猿がいる。


本殿は檜皮葺。側面のみ板で覆われている。

社務所の裏に回ってみると、日本酒の空き瓶が何本かあった。神社でよく見かける光景だが、ラベルには「三上山」とある。こういうところからも地方色が感じられて楽しい。


2万5千分1地形図 野洲
撮影日時 080828 7時半~8時半

駐車場 神社入り口そばで道路がやや広くなっている。
地図

 


雨滝

2009年01月18日 | 滝・渓谷

三重県熊野市育生町赤倉


熊野市といっても、海からやや離れた山深いところである。
ここでリンクしている地図には記載されていないが、赤倉集落と丹倉集落の間に丹倉神社というのがあって、そこを参拝するのが一番の目的であったが、写真の出来はひどいものだったので、そこから近い場所にある雨滝を紹介しようと思う。
とはいえ、丹倉神社は原始的な信仰形態を今に留める興味深いところで、そこにある巨岩は圧倒的な存在感を放っている。
ここまで来られることがあるなら、ぜひ足を伸ばされたらいいと思う。
雨滝の方は、姿の整った美しい滝で、この辺りの地域でも最も優美な滝のひとつであろう。
アメノウオ伝説などもあり、時間帯や光の加減によっては神秘性や幽谷の雰囲気も味わえそうだ。
滝に限らず、美しい流れは随所にあり、夏ならば泳ぎたくなるような場所もあって、熊野の自然美を堪能出来る地域でもある。



駐車場から看板に従って歩道を進めば雨滝を見下ろす場所に出るが、反対側には川へと降りる道があるのでそちらを進む。
急な下り坂の途中から、優しげなその姿が見えてくる。


比較的明るい谷間に降り立つが、その先は岩に囲まれて幽邃な気配が漂う。


雨が降ってきて、上部が白く煙る。
赤倉、丹倉の地名があるように、赤みを帯びた石が多い。


少し足を濡らしながら滝壺のそばへ。
水量は結構あるので、優美な姿とはいえ水音は豪快である。


すっきり整った姿ゆえに、水の表情の豊かさには欠けるが、取り巻く岩壁の表情は特徴的で面白い。


静と動、光と影。


流れは晩秋の装いである。

ここから車で下流へと移動する。



途中、車道から大丹倉と呼ばれる岩壁が望まれる。


更に下流、蝶の羽根岩と呼ばれる場所。
滝は低いがプールのような広い滝壺がある。


「蝶の羽根岩」についての案内板があったので読んでみると、柱状節理について触れられていた。で、滝壺に沿って屹立するこの岩壁が「蝶の羽根岩」なのかと思いかけたのだが───


滝壺より少し下流にこんな岩があった。これが「蝶の羽根岩」だと納得。
それにしても、いったいどういった成因でこのような模様が描かれるのか。


時間があれば、じっくり丹念に川通しで歩いてみたいと思わせる渓谷であった。


2万5千分1地形図 木本
撮影日時 081205 7時半~9時40分

駐車場 あり
地図

 


朝禰神社

2009年01月14日 | 京都府
京都府舞鶴市倉谷


山里の神社が好きだから、市街地周辺の地図は、おざなりに見る傾向がある。
ここ舞鶴も、西と東にそれなりに大きな市街地を形成していて、どうせなら街から離れた場所を、と思うけれど、港町でありながらも三方は山に囲まれており、ちょっと蔑ろに出来ない雰囲気がある。
そんなわけで、街の中心部はともかく、山際にある神社記号を丹念に見ていくと、一ヶ所、とても目を引く場所があった。それがこの朝禰神社であった。
西舞鶴駅から東へたったの1km。山際とはいえ、これほど市街地に近い神社をここに載せるのは珍しい。けれど、地図を見てもらえば判る通り、参道はかなりの距離がありそうで、ちょっと行かずにはおれないような雰囲気を感じる。
何となく、いつもとは勝手の違う地理的条件なので、どんな場所か想像し難い状態ではあったが、それを楽しく思いながら現地へ向かった。



街の中心部から少し外れ、工場と住宅と畑の混在する何だか掴み所の無い場所に辿り着く。畑の向こうに鳥居が見えているが、参道らしきものが見当たらない。適当に畦道のようなところを進んで鳥居前に着く。周囲に神社らしい雰囲気は無く、忽然といった感じで鳥居だけがある。


暫く進むと右手の林に末社群がある。少し離れた場所には稲荷神社もあったが、「當勝稲荷神社」と書かれていた。


左手に池が見えてくると、参道は山道の気配になる。


道が右へ直角に折れると、その先に階段が現れ、やっと参道の気配が高まってくる。


やや荒れた竹薮だが、奥深くへといざなわれるようで気持ちが昂る。


階段を上りきると、今度は左へ直角に折れ、先には二の鳥居が見えてくる。
もう市街地の気配は微塵も無く、心地良い山の気を独り占めしている気分。
尤も、人によっては不気味と感じる雰囲気であるかも知れない。


二の鳥居前から振り返る。
朝から雨が降ったり止んだりの天気だったが、時おり日が射すようになってきた。


ここからは石段の上り。


振り返れば、木漏れ日と鳥居のシルエットが美しく、暫し足を留めて見入る。


濡れた石段の質感と、木漏れ日の輝き。


石段を上りきれば、三の鳥居と、社殿のある境内が見えてくる。
社務所の、アルミサッシの雨戸がちょっと残念。


とはいえ、仰ぎ見る三の鳥居と、それを取り巻く雰囲気は素晴らしいものがある。


市街地近くで、よくぞこれだけの気配を湛えているものだと感心する。


木々に囲まれた、小さく開けた空間に本殿覆屋。
狛犬が二対、前向きに並んでいる。


本殿にも狛犬。手前には、どこの屋根に使われていたものか、鬼瓦らしきものも置かれている。


山里の神社より奥深いくらいの、素敵な神社空間を満喫させてもらった。


2万5千分1地形図 西舞鶴
撮影日時 081023 12時~13時50分

駐車場 なし
地図

 

雑多な写真5

2009年01月11日 | その他
 このシリーズも5回目。また何か雑文でも書こうと思う。
 写真を撮るのが好きなので、撮影についてちょっと語ってみることにする。といっても、大層なことが言えるような腕前でもないので、私の場合はこんな撮り方をしてますよ、といった程度のものであるが、まあ適当に読み流してください。というか長いので、カメラに興味の無い方は、すっ飛ばしていただいた方がいいかも・・・。

 私の場合、写真を撮るのに一番大事なのは、カメラでもなくレンズでもなく光線状態である、というのがまず大前提にある。もちろんいいカメラ、いいレンズを使えば「より良く」撮れるには違いないが、光線状態が悪い時には、どんなにいい機材を使い、どれだけ技術を駆使しても、満足できる写真は撮れない。その条件に於いてはマシな写真が撮れるといった程度になってしまう(と思っている)。
 基本的には「斜め」から「淡い光」が射す状態。
 人間の眼に相当するカメラのセンサーは、人間の眼ほど性能は良くない。特に明暗差に弱い。気持ちの良い木漏れ日である筈が、写真にすると明暗差の激しい斑で見難い状態になることはよくある。そういったわけで、光は淡い方がいい。
 だが、光が淡いと今度はメリハリの無い平面的な写真になってしまう。そこで、対象物に陰翳が描かれる斜めからの光、というのが重要になってくる。
 つまりは朝夕がメインで、晴れた日中の撮影は困難を極める、というか、ほぼ撮影を断念することが多い。
 曇りや雨の日もそういう意味では撮り易く、フラットな光の状態のせいでやや立体感に欠けるものの、全体的に安定した写真になる。もちろん、フラットな光であっても光の向きというのは必ずあるので、それは意識する必要がある。
 神社の場合、鳥居、参道、本殿など、全てが同じ方向を向いていることはあまりないし、地形や樹木の茂り方などによっても光線状態は変わってくる。しかも明暗差の大きい環境が多いので、一つの神社の撮影でも、場所によって出来にかなりバラツキが出てきてしまうのが辛いところである。
 で、私の場合は主に参道を最重要視して、光線状態が良い時を狙っていくようにしている。

 神社の写真は、私に限らず殆どの人が背景をボカすような撮り方をしないと思う。通常は手前から奥までピントが合っている状態だ。
 絞り値はF13前後で撮ることが多く、早朝ならシャッタースピードが10秒以上になることはザラ。当然三脚は必需品である。
 よほど綺麗な青空や夕焼け、特徴的な雲などが無い限り、極力空を入れるべきではないと思っているので、大抵はマイナス補正。やむなく空が入る場合はプラス補正。
 空を入れないのは、奥行きや広がり感が薄れるように思うのと、真っ青な空を写そうと思えば、よっぽど明るい境内でもない限り、社殿や杜は黒く潰れてしまうからである。
 社殿や杜のディテールを重視すれば、空は白っぽく写る。社殿や杜の明るさに設定を合わせたカメラにとって、空は明るすぎるからなのだが、こうなると、深い杜であっても白く抜けた部分のせいで奥行きや陰翳が損なわれてしまう。
 写真は引き算であるとよく言われるけれど、人間の眼ほどの性能が無いのだから、カメラの性能や特性に合わせた視点が必要で、明暗差には弱いけれど、夾雑物の入らない切り取りが出来る、ということを活かすわけである。
 ついでに言うと、視点を低く、しゃがんだくらいの高さで撮影した方が奥行きが感じられる写真になると思う。

 光線状態に問題が無ければ、次に問題となるのがホワイトバランスである。これはオートにするか、天気に合わせる設定にしている方も多いと思うけれど、私はマニュアルにしている。
 マニュアルにしているとよく判るのだが、例えば本殿を右側から撮るのと、左側から撮るのでは、ホワイトバランスは大きく違ってくる。ちょっとでも向きを変えたらバランスは崩れ、同じ向きであっても、ちょっとでも日が翳ったら再設定が必要になる。
 それだけ手間がかかるということだが、機械任せでは、この微妙な差異に対応しきれていないようなので、極端な話、一枚撮るごとにホワイトバランスをいじっていると言ってもいい。
 あとはカメラによっても違うだろうが、各種設定の、色合い、色の濃さ、コントラスト、シャープネスなども、面倒がらず、その場の状況によって臨機応変に設定値を変えることにしている。手を抜くと、結局後で悔やむことになるので。
 それから、早朝、夕方を除き、PLフィルターは装着。通常は最も効果の大きい位置にセットするが、水の流れを撮る場合などは、その強弱を調整して好ましい水の反射加減を選ぶ。

 とまあ、大雑把に言えばこんな感じです。





大武神社 兵庫県丹波市春日町鹿場
本殿も参道も、改修されてからそれほど月日が経っていないようだ。しばらくすれば参道は苔生しそうな気配。本殿周りはちょっと開けすぎているが、霧が陰翳を出してくれた。





熊野神社 兵庫県丹波市春日町野上野
拝殿は大きく、なかなか立派な神社。拝殿の向かい辺りから稲荷神社への参道が分岐するが、もともと別の神社なのでは、と思うくらい離れている。鳥居が連続するが、山際に沿った野道の風情で気持ちよい。



藤坂の大カツラ 兵庫県篠山市藤坂
兵庫県最大級のカツラの巨木。同じ藤坂地区にある春日神社のお田植え式では、この木の枝を使って豊作を祈るという。



コスモスと天満宮の杜 兵庫県丹波市春日町棚原
向こうに写っている木々が、本当に天満宮の杜だったか自信が無い・・・。
爽やかな秋晴れの朝、車からコスモスが見えたので、急遽、立ち寄って撮影。右手には三尾山などの特徴ある山容が望まれる。





日ヶ奥渓谷 兵庫県丹波市春日町多利
全て一昨年の秋に撮ったものだが、もっとじっくり撮ろうと去年の秋にも訪れてみると、あまりに水が少なく絵にならなかった。この辺りでは数少ない渓谷である。





伊香具神社
 滋賀県伊香郡木之本町大音
鳥居は伊香式鳥居と呼ばれる独特の形状。茅葺の拝殿がある、端正な佇まいの神社。





大澤神社 滋賀県伊香郡木之本町黒田
夕暮れ時の参拝。境内では鹿が四頭ほど遊んでいて、私の来訪に慌てて逃げていった。



黒田神社 滋賀県伊香郡木之本町黒田
大澤神社のすぐ近く。伊香具、大澤、黒田と、徒歩圏に三社の式内社が並ぶ。





大瀧神社
 滋賀県犬上郡多賀町富之尾
犬上川の渓谷に面した神社。谷間に射し込む光が、色付き始めたモミジを照らしていた。
  

骨置神社

2009年01月08日 | 和歌山県
和歌山県東牟婁郡北山村竹原


神社らしからぬ名称で目を引く。こうず神社と読むらしい。
護良親王がこの地に潜伏した際、親王を匿っていた豪族の娘との間に子をもうけたが、死産であったため、その骨をここに祀ったとされる。
神社の特異な名称はともかく、神社そのものは小さく、特に目を引くものもないし、写真も少ししか撮っていない。ただ、和歌山県は極めて神社の少ない地域でもあるし、地理的にも行きにくい地域である。ここに掲載した神社も長らく一社のみのままで気になっていた。
写真としてはやや寂しい状況ではあるけれど、雨天の参拝ということもあって、捨て難い雰囲気があるのではないかと思う。

神社のある北山村は和歌山県の飛び地である。市町村レベルでの飛び地は珍しくもないが、県の飛び地ということで有名な場所でもある。実際、車で走っていても和歌山県にいる気がしなかった。



北山川に沿った国道169号線から、竹原谷沿いの道に入ってすぐ右手に神社への石段がある。


上りきれば正面に本殿。
杉に囲まれた、山腹の小さな空間である。


大木は無いけれど、雨霧に煙る背後の杜は神秘的だ。


常緑の木々達の中で、僅かばかりの黄葉。そしてよく手入れされているらしい鮮やかな彩色の社殿が、淡く華やぎを添える。


神社の向かいを流れる竹原谷。
渓谷美があるわけではないけれど、こういう清流が近くにあるだけで心地良い。


2万5千分1地形図 大沼
撮影日時 081205 11時~11時20分

駐車場 なし 道のやや広いところに路肩駐車
地図

 

當勝神社

2009年01月04日 | 兵庫県
兵庫県朝来市山東町粟鹿


以前に紹介した粟鹿神社に程近い場所、集落外れの山際にある。
一年ほども念頭に「行きたいなぁ」という思いがあって、実のところ、粟鹿神社より、こちらが主目的であった。
社殿は北北西向きで、日の出の位置を考えると光線状態に恵まれそうであるし、ネットでの紹介を見ても、彫刻や緑の豊かさなど、惹かれる要素がたくさんあったのだ。

実際に行ってみて、そこに佇んだときの心地良さは格別であった。
予想通り、光の状態にも恵まれ、美しい表情を見せてくれたので、ついつい長居してしまい、滞在時間は3時間以上に及んだ。
同じ場所でも時間が違えば表情は変わる。どの表情も捨て難いものがあったので、似たような構図でも複数枚掲載することにした。結果、過去最多の44枚という写真数になってしまった。
いつも写真には不満が多いのだけど、今回のこの當勝神社は、その良さが上手く出せたのではないかと思い、新年の第一弾に選んでみた。
尤も、新年らしい写真では無いけれど・・・。



舌状に伸びてきている尾根の先端に一の鳥居。
尾根の両側は車道で、奥深さがあるようには見えない。


一の鳥居をくぐると、まずは階段で、上には二の鳥居、三、四の鳥居も見えている。


階段を上りきれば、意外と奥深い空間。


~三の鳥居辺りから~

三の鳥居から六の鳥居まで。
粟鹿神社では深い霧であったが、こちらでは晴れかけていた。


振り返ると、霧に朝の光が反射している。


これは完全に霧が晴れ、太陽が出てからの様子。


木漏れ日が降り注ぐ、緑の気持ちよい参道。


陽射しも柔らかい。


~五の鳥居辺りから~

境内のヒノキは全て皮が剥かれ、赤茶けた樹皮になっている。
モミジの優しい緑によく映えて、痛々しいような美しいような。


太陽が顔を出して、上部は直射光に輝く。


~六の鳥居辺りから~

落葉樹の緑を背後にすると、朱の鳥居の美しさは際立つ。
後方は随身門で、朝来市指定の重文。


柔らかく、鮮やかでありながら濃密な、そんな空間だ。


振り返って見れば、決して深い杜ではないのだが。


しかし足許を見れば、潤いある緑の絨毯。


呼吸も思考も沈静化していって、いつしかただ見つめるだけになってしまう。


零れるような木々の緑、そこに落ち着きを添える幹の色合い。


~随身門手前から~

陶然としながらシャッターを押す。


自然と人工物が見事に溶け合っている。
金属製の手摺はちょっとアレだけど・・・。


日が射しても、緑のヴェールのお陰で落ち着きは乱されない。


門の向こうには、拝殿の屋根が見えてくる。


少し斜めを向いた随身門越しに、なかなか立派な拝殿が姿を現す。


拝殿前のモミジも見事。
御神木と、屋根に守られた狛犬もいて、素敵な雰囲気が広がる。


~拝殿手前から~

ここの狛犬は幸せそうだ。
雨や雪の影響も少なく、保存状態がとても良い。


彫刻はかなり凝ったもの。屋根の上にも睨みをきかす方がいらっしゃる。


朝陽が射し込んできた瞬間。10分にも満たない時間の光の演出。


緑をバックにするのも美しいが───


彫刻をアップにしても美しい。
龍の上では七匹の獅子達が戯れていて、全体的に躍動感や遊び心を感じさせるもの。


斜めから見ると、その複雑な造形がよく判る。


龍も獅子達も素敵な表情である。


~拝殿から本殿にかけて~

まだ霧が残っているときの表情。荘厳な気配を纏う。


しかし、ここは何といってもモミジが美しいので、以下、モミジを中心にした社殿の写真を。










モミジが美しいのは、何も光の加減ばかりでは無いようで、よく見てみると傷んだ葉が殆ど見当たらないのだ。通常、10月にもなれば、けっこう一部が枯れた葉や、縮れた葉などが目立つようになるのだが。
恐らくは、日照、雨量、風当たり、気温などが、モミジにとって理想的な環境にあるのだろう。
いったい、紅葉の時期にはどれほど鮮やかに色付くのだろうか。


~境内社・ほか~

随身門に隣接している絵馬堂。


本殿左手にある當勝天神。


かつて本殿に使われていたらしく、なかなか凝った造りだ。
天神さんということで学問成就の神様であるが、「當勝」の名前から、受験生がよく訪れるらしい。


本殿右手の逆杉社。


更に右に目を転じると、當勝稲荷大明神。


こちらは奥の山腹へと参道が伸びている。


背後から太陽が顔を出してきた。


赤い樹皮のヒノキが林立する空間で、朱塗りの社殿が独特の雰囲気に包まれていた。


2万5千分1地形図 矢名瀬
撮影日時 081009 6時40分~10時

駐車場 神社前にスペースあり
地図
 

明けましておめでとうございます

2009年01月01日 | その他
昨年はお世話になり、ありがとうございました。
本年も、よろしくお願いします。


リンクして下さっている方、コメントを下さった方、そして、見て下さっている多くの方のお陰で、続けることが出来てます。
時にはブログ更新のために神社に行っているような、そんな気になってしまうこともありましたが、やはり私は神社や自然が好きで、その美しさを撮りたい、という思いは変わりませんし、その美しさを伝えたい、という思いも変わらずにあります。
面倒になったり、納得のいかない写真ばっかりだったり、金銭的に遠出が厳しかったり(笑)、といった時に、コメントやアクセス数には励まされました。
開設前には、反応など気にせず、自分のペースで好きなようにこつこつと、なんて思っていましたが、本当に自分独りだったら、ここまで続かなかったと思います。
今後、更新が遅れることがあるかも知れませんが、地道に、神社の素敵な風景を撮り続けていきますので、ちょくちょく見に来て頂けると嬉しいです。
(冬はあまり撮影に行きませんので、新年に相応しい画像が無いです・・・)