神社のある風景

山里の神社を中心に、歴史や建築等からの観点ではなく、風景という視点で巡ります。

貴船神社

2008年07月30日 | 兵庫県
兵庫県丹波市氷上町南油良

地形図に名称がある割には、小さな神社である。
参道かと予想した道は農道であり、鬱蒼とした木々もなく明るい境内であったが、南側に山があるためか、部分的に見事な苔が見られたし、大きな狛犬も出迎えてくれた。

実のところ、この神社の写真は、大量に眠っている過去画像の山の中に埋もれていたのだが、先日、ここと相互リンクして頂いている「丹波のことは?」さんで紹介されていたので、引っ張り出してきたのである。
出来れば新しい写真を載せたいと思うし、カメラも今とは違うので良いものとは言い難いのだけれど、なかなか撮り直しに行けるものでもないし、かといって、その魅力を紹介しないのも勿体無い。ということで、多少の写りや画質の悪さはご勘弁を。



集落に入ったところで右折し、農道の突き当りが神社入り口。


整った佇まいに、大きめの狛犬。


写真では、その大きさが伝わりにくい・・・。


本殿の木組みは重厚感ある見事なものだ。


そして、境内の片隅では苔が見事。
こういった山里の狛犬や本殿、あまり顧みられることが無いし、いつの間にか狛犬が新調されていたり、本殿が建て直されたりすることがあるけれど、今一度、その価値を見直してみる必要があるのではないだろうか。


2万5千分1地形図 黒井
撮影日時 070621 8時10分~8時40分

駐車場 なし 神社前に駐車可
地図
 

幡日佐神社

2008年07月27日 | 京都府
京都府南丹市八木町氷所

鳥居の扁額には幡日佐氷室両神社と記されている。これは神吉の氷室神社を合祀したことによるものだが、神社本庁での登録は幡日佐神社であり、延喜式神明帳でもこの名称なので、ここでは幡日佐神社としておく。
以前にも、式内社であるかどうかは拘らない、と書いたことがあるけれど、やはりそれなりの規模や品格を有する神社が多いのも確かで、神社巡りをする上で、気になる存在であることは否定できない。
というわけで、いつもは拘る参道の長さ等も期待できなかったが、近くを通ったので立ち寄った次第。



集落内の狭い道を通り、民家が途切れて、ここからが山だ、という場所にある。
辺りの雰囲気というか様相が一変して、明確に神社の空間であることが伝わってくる。


鬱蒼、というほど深い緑ではなく、優しい光に充ちた空間で清々しい印象。


なんというか、それぞれの配置というか、佇まいが美しいように思う。


仰ぎ見る本殿は端正な姿。


簡素だが美しいものだ。


本殿の狛犬はユーモラスな表情。


こちらはちょっと蛙っぽい。


境内社の稲荷神社。


今年の梅雨は雨が少なかったが、紫陽花が涼しげな花をつけていた。


2万5千分1地形図 殿田
撮影日時 080709 12時半~13時

駐車場 なし 神社前に駐車できないこともない
地図 
 

新鞍神社

2008年07月24日 | 福井県
福井県おおい町川上

ここは紹介しようかどうか、ずっと迷っていた神社だ。
雰囲気はいい。その雰囲気の良さは、きっと写真には写らないもので、なんとなく、ぼーっと過ごしてしまう、そういう場所だ。
神社の横には谷川が流れ、巨木も一本、聳えている。狛犬からも感じるものがあった。
けれど、そういったものの魅力を伝えられる写真が無いのでは、と思う。
まあ何とか読み取っていただければ・・・。



県道から、横道にちょっと入った場所にある。
目の前は佐分利川で、鳥居前は狭い。


拝殿は、風雪を防ぐためか、4面とも板で囲われている。


狛犬が三対。といっても、真ん中の狛犬は阿形がいない。
手前の狛犬の風化具合は、まさに自然に還りつつある姿だ。原型を留めていないので判らないが、これだけ阿吽が逆のような・・・。


対になる方を見ても更に判らない。
こちらは脚も失われ、巨木の傍らで静かに来訪者を見ている。
神社によっては、狛犬の世代交代により、古い方の狛犬を境内の隅に投げ棄てているようなところもある。
棄てるのは論外、貴重なものは保護するのもいいだろう。けれど、ここのように、その本来の役目から外されることなく、ただ時の流れを身体に刻んで、空気と土に融けるように消えていくのが、いちばん幸せなのではないかと思えた。
静かな、とても静かな表情だ。
この状態になってもなお、ちゃんと扱われている地元の人に敬意を。


なかなか立派な巨木だ。
新しい狛犬はよく見かけるタイプで、狛犬好きの人からは不人気なようだが、先代と同じように、ゆっくりと時を刻んでいけば、ここだけの色に染まるだろう。


本殿は覆屋の中。
間もなく夕暮れで、あとはゆっくりと、静かに、その雰囲気に浸ることにした。


2万5千分1地形図 高浜
撮影日時 070913 16時10分~16時40分

駐車場 あり
地図

 

石部神社

2008年07月20日 | 兵庫県

兵庫県朝来市和田山町宮

京都府の旧夜久野町と、兵庫県の旧山東町、旧和田山町が接する辺りは夜久野高原と呼ばれる。
地形図を見てみると、いかにも火山地形といった様相を呈しており、かつては谷間であった場所が、溶岩等で埋められて高原状になったであろうことが想像できる。
その溶岩台地が、和田山町側に舌状に迫り出した先端部に神社記号がある。これは面白そうだ、と思った。
地形図には名称が載っていないので、他の地図で調べてみて、まず石部神社であることを知る。次に、この神社の情報がネット上に無いかを調べる。
あ、ここだったのか・・・以前に見た覚えのある記事を二つほど見つけた。
既に紹介されているのは残念だが、火山帯らしく、神社前に湧水池があるということに惹かれて行ってみることにした。



神社前の写真は、あまりに出来が悪いので割愛。
鳥居は随分と離れた場所、北側と西側にあるが、そこから神社までは、参道というより単なる車道である。
境内に入って正面に拝殿。予定より早く着きすぎて、まだ薄暗い早朝の光景。


拝殿前の狛犬。一日の始まりを見守る風情。


拝殿と本殿。どうやら北向きのようである。


北西方向を撮る。こちらは水田地帯なので、外は明るい。


本殿東側に、ぽつんと境内社。


神社前にある神池。衣摺の泉とも言うようである。
境内の鬱蒼としたところにあれば良かったのだが、車道横である。
しかし、水の美しさは見事。


錦鯉の鮮やかさも、水面に映る木々の幽邃な様も、水の美しさ故だろう。


池の撮影をしていると、地元の方が参拝に来られた。
「いい写真が撮れましたか?」と尋ねられたが、正直、あまり上手く撮れた気がしない。
その方が去ったあと、その後姿と集落を撮った。朝の淡い光に包まれる水田と集落。集落の手前には鳥居も見える。これが、一番お気に入りの写真になった。


2万5千分1地形図 直見
撮影日時 080717 5時~5時40分

駐車場 神社前(池の横)に駐車可
地図

 


天神神社

2008年07月18日 | 滋賀県
滋賀県甲賀市信楽町勅旨

信楽高原鉄道勅旨駅のすぐ近くにある。
地図で神社があることは判っていたから、集落内の狭い道を車で走りながら、目に留まったら立ち寄ろうくらいの気持ちでいた。
かなり狭苦しい感じのところに鳥居があったが、その奥を見れば、参道の先で日差しを浴びる社殿が立派に見えた。

天神、と聞けば、私などは単純に菅原道真を思い浮かべてしまうし、○○天神などの名称の場合、祭神はほぼ菅原道真で間違いないのだが、天神神社の場合、必ずしもそうではないらしく各地で違う祭神を見かける。ここも大己貴尊と高皇産霊尊、淳仁天皇となっている。




鳥居前の道路はかなり狭く、ぎりぎり端までよって撮影。
車は参道横に平行して走る車道で奥へ行ける。


写真では殆ど見えないのだが、参道右手奥に、竹垣に囲まれた杉の大木がある。
滋賀県には高さ50mに達する木が4本あるらしく、これはそのうちの1本である。


参道の並木が尽きたところは広い空間になっていて、日差しが眩しい。
かつては、途切れずに並木が続いていたのではないかと想像するが・・・。


大木は、参道にある1本のみで、社殿周りも木々は細い。そのせいか、明るすぎる感はあるけれど、清潔でよく手入れされた境内である。


拝殿越しに本殿覆屋。


本殿は瑞垣に囲まれているが、普通に中まで入ることが出来る。
本殿背後と左右は竹垣になっている。


本殿には、信楽らしく陶製の狛犬。
ここに限らず、信楽では個性的な陶製狛犬をよく見かける。


2万5千分1地形図 信楽
撮影日時 080508 10時~10時半

駐車場 あり 参道横にある、勅旨会館という公民館のような施設と、神社の駐車場を兼ねていると思われる。
地図
 

三輪神社 その2

2008年07月16日 | 再訪
京都府京都市右京区京北明石町

ここも以前に紹介した神社である。
撮影時期は、前回と同じ7月ということで、大して代わり映えするものでもないと思うが、時間帯をずらしたことと、晴天であったことにより、私には珍しく明るめの写真になっている。
そのため、前回に比べれば静謐な雰囲気というものに欠けるかも知れないが、滴る緑に溶け入りそうな空間の中で、社殿の無い簡素な美しさが映えたのではないかと思う。



小さな谷間にある、ほんの僅かな空間なのだが、歴として神域の空気が湛えられている。


行き止まりは見えている。だが、さして長くは無いその参道に、何故かとても奥行きを感じる。


木漏れ日と、せせらぎと、緑、緑、緑。


豪華であることも、素朴であることも、それぞれに意味はあるのだろうけれど、この場に佇むと、意味を探すことさえ無意味に思えてくる。


静寂と太陽の賑わい。


拝する。


2万5千分1地形図 殿田
撮影日時 080709 10時40分~11時10分

駐車場 神社前に駐車可
地図
 

熊野神社

2008年07月13日 | 兵庫県

兵庫県篠山市宇土

地形図を見ると、尾根の末端辺りに神社があるように記載されているが、実際にはその右手(東側)の谷間、しかも右岸にある。精密さが身上の国土地理院の地形図がこんなことでは困るのだが、ここでいつもリンクしているマピオンの地図も、それに倣ってか同じような位置に神社記号がある。
他の地図も見てみると、「ちず窓」が実際の位置に比較的近いが、やはりなんといっても篠山市の公式ホームページにある地図が最も正確な位置を示していた。
さすが地元、と言うべきだが、この公式ページ、地元だからというレベルを超えて、賞賛に値するほど地図の内容が充実している。
それはともかくとして、この熊野神社、隣の谷間にある宇土観音(弘誓寺)の方が目を引くので、地図を見る限りでは、お寺に付随した神社のように見える。
実際、「宇土観音」と書かれた看板に従い、集落内の狭い道を進むと宇土観音の駐車場に辿り着いてしまうし、さて神社は、と入り口を探せば、いかにも脇役というか、片隅に追いやられているような感じの道が、駐車場の横手から伸びているのである。



その横手の道を少し進むと、意外と立派な参道が現れた。
参道からは、右手に宇土観音の多宝塔が望まれる。


短い参道であるが、谷間にあるため、思いのほか奥深さを感じさせる。
境内には杉の大木も三本あって、狭いながらも独立した神域を形成している。


本殿前の狛犬。
静寂の中で、何か力を漲らせているような気配。


端正な本殿。


ここから東へ少し行くと、以前に紹介した稲荷神社がある。
ちょうどユキノシタの季節なので寄ってみた。


去年には無かった、境内直下まで車で入れる(といっても軽の四駆しか通れないような)道が出来ていた。
更に、湿った土だった境内には砂利が敷かれていた。
そのせいで空気中の湿度が減ったのか、全体的にユキノシタの数がかなり少なくなっていた。


とはいえ、淡い光の下で咲くユキノシタは、可憐な花姿で和ませてくれる。


2万5千分1地形図 篠山
撮影日時 080615 9時20分~9時50分

駐車場 宇土観音の駐車場利用。いちおう地元の方に尋ねたら、「どうぞ」とのことだった。
地図

 


若狭幹線林道

2008年07月10日 | その他


福井県の小浜市から若狭町にかけて、海に面した山の稜線上を走る林道がある。
小浜市の、海沿いの集落にある神社に寄ったあと、次は内陸部の神社に行こうとした時に、山を迂回するのが面倒で、この林道を利用してみた。といっても、幹線林道を横切っただけで、私が通ったルートはただの峠越えであるが。
道は狭そう、恐らくは未舗装、というのが地図からの印象で、私の車では難渋しそうな気もしたが、海沿いの志積集落から、内陸の本保集落へ向かうには、相当なショートカットになる。
実際に走ってみた感じとしては、未舗装部が多いものの、比較的路面はフラットで走り易く、何より展望の良い道で、若狭の海を一望することが出来る。
神社めぐりに限らず若狭は魅力的な地であるが、周遊の際に、この林道を活用するのも良いと思う。
尤も、林道というものは、山の美観や自然を破壊する懸念があって、抵抗が無いでもないけれど・・・。



志積集落から稜線に辿り着いた辺りに展望所のような場所がある。
そこから見た朝の若狭湾。


世の中には林道マニアと呼ばれる人達がいて、ここはそれなりに有名らしい。
このときも、まだ早朝であったが、バイクに乗った若者が走っていった。


内陸側に目を転じると、清々しい天気の海とは一転して霧に包まれていた。
どこか高い山の上にいる気分だ。


本保に向かって道を下っていく。
こちらもところどころで展望が開け、やや薄くなってきた霧を透かして麓の水田が見えてきた。


霧が薄くなると同時に、朝陽が勢いを増してきた。


言葉無く佇んでいたら、朝の散歩に訪れた犬に吠え立てられた・・・。


恐らくは霧に包まれているであろう神社に向けて気が逸る。この霧の下に以前紹介した加茂神社がある。

撮影日時 070913 6時15分~6時40分
 


大屋神社

2008年07月07日 | 滋賀県
滋賀県蒲生郡日野町杉

琵琶湖の面積は滋賀県全体の約6分の1である、という事実を、案外と知らない人が多い。極端な場合、滋賀県の半分くらいが琵琶湖だと思っている人もいる。
だが、湖東の広大な平野を見れば、滋賀県の広さ、豊かさを実感する。
この大屋神社のある辺りも、琵琶湖からは遠く離れている。水田と、丘陵と、そしてその向こうに、長大な鈴鹿山脈が横たわる。
琵琶湖から離れていても、やはりどこかに湖国の雰囲気がある。この神社もまた、私が持つ、湖国のイメージに沿うものだ。
参道を覆う杜は、水田の先に濃い緑の帯を描く。そこは緑のトンネルで、水田を吹き渡る風が木々の葉を揺らす、音のトンネルでもある。
湖国では何故か、時間の流れがゆるやかに感じられるのである。



伸びやかな水田地帯を横切る参道を、豊かな杜が包んでいる。


風と木漏れ日が気持ち良い参道。
木の間から田畑も見えるし、さして密度の濃い杜ではないのだが、爽やかな印象を与えてくれる。


緑のトンネルを抜けた目には、明るく感じられる境内。
石段の上に拝殿と、その右手に社務所、更に石段を上ると本殿と末社、という配置。


拝殿前から振り返る。ここから見る参道の美しさは格別だと思う。ここに来るのは二度目だけれど、木漏れ日と緑の濃淡が描く陰影に見惚れる。


本殿のある空間の片隅は、苔の美しさに惚れ惚れしてしまう。
参道の写真を見ても判るように、ここは枯葉が殆ど見当たらない。秋に来たときもそうだったので、地元の方が小まめに清掃されていることが窺え、頭が下がる。


それにしてもこの一画に、とても魅入られてしまった。


朽ちた切株から芽生えた木も美しい・・・。


帰りにもう一度、参道を。


2万5千分1地形図 日野東部
撮影日時 080605 10時~10時半

駐車場 なし 交通量は少ないので、道の広くなっているところに出来るだけ端に寄せて駐車。
地図

 

御霊神社

2008年07月04日 | 兵庫県

兵庫県三田市貴志

丘陵地帯の裾野に位置する神社であるが、その丘陵の上は、大規模なニュータウンだ。
幸い、神社からはそういった目障りなものは見えないし、付近は水田や民家の点在する田舎の光景である。
ただ、雰囲気は田舎の神社とちょっと違う。
参道が、上にあるニュータウンからの抜け道になっているらしく、朝には勤め人風の方や、高校生が慌しく通り抜けていったりする。
こんな場所が、通勤、通学ルートなのは、ちょっと羨ましい気もするけれど、時間に追われて愛でている人もいないようであった。



水田地帯から木々の茂る坂道に入り、上りきったところで参道らしくなるが、途中、鳥居は無かった。


地図から想像していたよりも、ずっといい雰囲気だなぁ、と浸る暇もなく、自転車に乗った高校生が猛スピードで走り抜けていく。
時間的に遅刻間際だけれど、女の子までもがえらいスピードで下っていくのに苦笑してしまう。


参道の写真を撮っている間にも、お二人の方が参拝に来られた。やはり山里でも街でもない朝の雰囲気だ。


境内は明るく、拝殿も立派である。


振り返れば、朝陽を浴びる参道が美しい。


拝殿から本殿を覗き見ると、その美しさにちょっとビックリした。


瑞垣に囲まれていて近づくことは出来ないが、それ故に、静謐な空気を湛えている。
ここだけ異空間といった趣であった。


2万5千分1地形図 三田
撮影日時 080514 8時半~9時10分

駐車場 あり
地図