あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

さてブログでも書くか。

2020-03-29 | 日記
激動の夏シーズンが終わった。
前回のブログで書いたとおり、12月頭の洪水。
その後には直接関係は無かったけどホワイトアイランドの噴火。
そしてお正月はオーストラリアの山火事の煙がこっちまで飛んできて、山が見えなくなった。
奇にも2020年の元旦がそうだったのだ。
その時僕はお客さんとマウントクックを歩いていたのだが、天気は晴れなのだが煙で視界は悪く山は全く見えなかった。
それが落ち着いたと思ったら再び集中豪雨でミルフォードもルートバーンも壊滅的なダメージを受けた。
ある程度落ち着いてからルートバーンを仕事で歩いたが、「よくぞまあここまで」という状態だった。
それもまだ被害が少ない場所でこうなんだから、山の裏側の被害の大きい場所はすごいことになっているのだろう。
カメラを持ってくればよかったな、次に来る時に写真を撮ろうと思っていたが、その後ルートバーンの仕事がキャンセルになってしまった。
洪水が終わると同時にコロナウィルスの話が出てきて、とどめを刺されたという感じである。
特にここ1週間の動きは大きかった。
個人的にも社会的にも。

実質的にニュージーランドへの旅行者の入国が無理という状態になり、ギリギリ滑り込みのツアーを終えたのが先週の半ば。
それで今シーズンの仕事は全て終了。そのツアーが催行されたのだって奇跡のようなものだ。
その週末はバンドのメンバーが集まっていつものように酔っ払いながらセッションをしたり、ウクレレバンドの打ち上げをしたり、ひたすらのん気に過ごした。
週が明けて月曜日の午前中タンケンツアーズのオフィスへ行き、今後の話をした。
どっちみちツアーの仕事なんぞ何もない。
なので酒蔵で酒造りの仕事、酒蔵の外壁のペンキ塗りなどの仕事をすることになった。
それも4月に入ってからである。
ボス曰く、3月いっぱいは、のほほんと過ごせ、という話になった。

昼過ぎに家に戻り、相変わらず呑気に庭仕事なぞやってると、48時間でロックダウンになるという緊急ニュースが入ってきた。
早いなあ。薄々とそうなるかな、なんて話もしていたがこんなに早く来るとはね。
ボスからも連絡があり、クライストチャーチへ戻るなら早いほうがいいぞ、と。
早いほうがいいと言っても、荷物もあるし色々とやることもある。
まあ次の日に帰ればよかろう。
でも準備だけはしとかねばいかん。
まずはクライストチャーチまで帰れるように給油。
家のすぐ近くのガソリンスタンドに行ったらすでに長蛇の列。
いつもはガラガラのアロータウンでこんななのだから、クィーンズタウンのガソリンスタンドは混雑しているのだろう。
隣り合わせになった人と会話を交わす。
「街のスーパーの入り口はすでに大渋滞でポリスが交通誘導をしていたぜ」
「そうかあ、俺は明日クライストチャーチへ帰るんだ」
彼が心配そうに言った。
「ええ?明日で大丈夫か?今日じゃなくて平気か?」
「うーん、まだやることもあるし、明日でも大丈夫だろう」
「そうか、気をつけて帰れよ。」
このままバタバタと荷物をまとめて出発すれば深夜にはクライストチャーチに着くな。
そうした方がいいのかな、一瞬そう思ったが、そこで気がついた。
そうか、不安や恐怖というのはこうやって人から人へ感染するものなんだ。
パニック買いという人間の心理はこれなんだろう。
こういう時こそ落ち着いて行動せねばいかん。
やりかけの庭仕事を終え、1年一度の煙突掃除をして、自分の荷物をまとめて車に積みこむと夕方になった。
やり残したことはないな。しいて言えば全黒の旨いやつをもらってくればよかった。
いつものようにビールを飲み、飯を食いながらワインも飲み、酔っ払ってギターを鳴らし歌い、いつものようにこの夏最後の晩は更けていった。

その翌日、多少道は混んでいたものの、普通に運転をしてクライストチャーチへ。
途中の観光客目当ての店は全てクローズ。
街はパニックになっているかと思いきや、至って普通。
ちょっと拍子抜けしたぐらいだ。
家についてやることを考える。
ロックダウンしてもスーパーは開いているので日常品や食料は買える。
ロックダウン後に閉まってしまう店の買い物が先決だ。
まずは園芸店で野菜の苗を買い、アジアのお店で備蓄用の米を買い、近くの量り売りの店でビールの材料を買い込んだ。
皆考えることは同じでどこの店でも品揃えは薄い。
そうしているうちに夕方になり、南場のおっさんが来た。

続く



コメント
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