あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

11月22日 Coronet Peak

2018-11-24 | 最新雪情報
季節外れの大雪が降った。
アロータウンの家の周りにも10cmぐらいの雪が積もった。
山は完全に冬の姿となり雪化粧。
こうなるとスキーヤーとしての血が騒ぐ。
もう今年のスキーシーズンは終わった、などという言葉をひるがえし滑りたくなってしまう。





雪が降った数日後、ワナカから友達のトモコが遊びに来た。
トモコは以前ブロークンリバーでスタッフとして働いていて、今はケトリンズとワナカを行き来する。
午前中は酒蔵で働き、午後にトモコと犬のピクシーと一緒に山へ向かった。
犬と一緒に滑るのは初めてだが、なかなか良いものだな。







青春というものは誰にでもあるだろうが、この山は僕の青春の場所でもあった。
20代前半、明日の事を考えることもなく、毎日この山を仲間と滑った。
あの頃の仲間と今でも付き合っている友もいるし、音沙汰が無くなってしまった人もいる。
僕がパウダーの滑り方を覚えたのもこの山だ。
その時にはガイドになるなんて夢にも思わず、ただ我武者羅に滑った。







今から考えれば、良い時代を過ごしたと思う。
当時はマウントクックラインというローカルの会社がスキー場を運営していた。
金儲け主義から程遠く、田舎のスキー場といった雰囲気だった。
1日の滑りを終えると、街のパブでスキー場のスタッフやローカルと一緒にビールを飲んだ。
若気の至りで立ち入り禁止の場所へ入りパトロールに叱られ、夕方そのパトロールに説教の続きをされながら飲んだこともあった。
僕が奥さんと出会ったのもこの山だ。
全ては善き思いでである。







ボスのリチャードとこの稜線を歩いたのは4年前になるか。
ブローピークまで一緒に歩いた。





コロネットピークはニュージーランドで一番進化をしているスキー場だ。
人工降雪機は何百台もあり、高速リフト、おしゃれなバーやレストラン。
さらに観光用にチェアリフトとゴンドラが組み合わさったチャンドラというものに変えるという話がある。
ある意味、僕のホームであるブロークンリバーからは一番遠い存在だ。
これからもこのスキー場で滑ることはないかもしれない。
50歳になって再びこの山に来たのも、それは何かの縁だ。
青春の思い出は、甘酸っぱくほろ苦いまま、しまっておこう。
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近所の祭り

2018-11-18 | 日記
クライストチャーチで終わるツアーがあった。
翌日は休みでその翌日はクィーンズタウンへ戻る。
夏はなにかと忙しいのである。
ちょうどクライストチャーチのA&Pショーがあったので女房と一緒に出掛けた。
これは農業に関するお祭りで、ニュージーランドのあちこちでやっているが、ここのが国内で一番でかい。
いかにもニュージーランドというようなものが色々あり、僕はこのお祭りが好きだ。
普段は閑散とした公園を知っているだけに、1年に1度の賑わいぶりが楽しい。



いつもの犬の散歩コース。小川を渡って、



木立をぬけると



広い公園に入り



こんなゲートが立っていた。



子供用の簡易遊園地。



芝刈り機、いろいろ。



羊や牛を誘導する柵。



広い園内を走る無料のシャトル。



土方用機械各種。



モトクロス小僧達の腕の見せ場。



長靴投げ大会。



船も売ってます。



古い機械のクラブ。爺ちゃん達の集まり。



珍しい動物のコーナーには角が4本ある羊がいた。

出店の数も多い。



こっちは年代物のトラクターなどのクラブ。



クボタもあれば



ヤンボー、マーボーの天気予報のヤンマーもある。



家庭用の温室。けっこう高い。



動物のコーナーにはアルパカ。



羊さんもこんにちは。



蜂もいる。



こちらは羊の品評会の現場。



広い構内はこんな具合。



鳥もお忘れなく。



子供が動物に触れるコーナー。



こちらは羊毛の品評会場。奥の方では競りもやっていた。



羊だけでなくアルパカとかヤギの毛もある。



外ではポロもやる。



出店も多い。



羊の毛刈り大会。いかにもニュージーランドだなあ。



丸太ぶった切り競技場。



食べ物のテントでは料理の実践。



賞を取ったワインも。



牧羊犬の大会。これもニュージーランドっぽくて好きだな。

屋台で美味しい物もたくさん食べ、満足満足。
これを見に来るツアーがあってもいいんじゃないかと思うな。

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11月11日 The Remarkables

2018-11-16 | 最新雪情報
今年は雪が多い。
11月になっても寒い日があり何回か山が白くなった。
それでも晴れれば半袖で過ごすような陽気で山の雪は目に見えて減っていく。
前回トーマスと滑った場所も今では雪が無くなっていることだろう。
11月まで滑れるだろうと思い、今年はスキーを持ってきたがそろそろ滑り収めだろう。
仕事が休みで天気が良いなら、山に行かない手はない。
僕は一人で山に向かった。



スキー場の最下部はすでに雪は無く、しばらくは板を担いで歩く。



朝早く出たので雪は締まっている。登りも楽だ。



前々回に苦労して登った場所もあっというまに着いた。



裏側に誰かが滑った跡があるな。



タイがお客さんを連れて、クライミングの仕事でこっちに来た。
アロータウンに宿泊で連日リマーカブルに登るのだと言う。
前日も登っており、雪の状況も教えてもらい、一緒にビールを飲んだ。
この日はダブルコーンからシングルコーンの縦走をするようで、僕より1時間早く出た。
山のどこかにいるんだろうな、と探していたら稜線の上、点のように人影が見えた。



そして僕は一人、こちら側の斜面を行く。



日が高くなり雪が緩み始めた。斜度の急な所ではそろそろ雪崩の心配もしなくてはならない。



登り気味のトラバースで安全地帯へ抜けるとホッとするな。



反対側は雪崩の危険は無いのだが、今度は雪が無い。雪が無い所は担いで雪のある所まで歩いて再びスキーをつけてを繰り返す。



冬の間は賑わったであろうゲレンデを一人滑る。



最後はスノーブリッジを渡りゴール。
今年のスキーシーズンもめでたく終了。
これからは夏山歩きだな。
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蔵人の日々

2018-11-03 | 酒人
酒蔵で働く日々が続く。
仕事は雑用である。
鍋を洗ったり、瓶を洗ったり、と洗い物が多い。
先日は麹が届いたのでそれをほぐす作業をした。
麹は味噌屋ゴーティーのところから仕入れる。
酒用の米、五百万石をゴーティーの所へ送り、その米で麹を作ってもらい、送り返してもらう。
日本の酒蔵は自分の所で麹も作るのだが、全黒は小さな蔵なのでそこまで手が回らない。
送られてきた麹は固まっているのでそれほ手でほぐしてバラバラにするのだ。
新鮮な麹は香り良く、何かの花のような匂いがする。食べても美味しい。
僕はそれをほぐしながら旧友ゴーティーの事を思い出した。
見知らぬ人が造ったものでなく友達が作ったものを扱うのである。
作業にも想いがこもるというものだ。
麹は持ってみると、意外に軽い。
スカスカというような感じだ。
麹菌が米のでんぷんを分解して糖分に変える。
その糖分をイーストがアルコールにする。
タンクの中で、でんぷんの分解、そしてアルコールの造成と二つの工程が行われる。
これはビールやワインと大きく違うところで、日本酒ならではのものだ。
その大きな役割を果たす麹を粉々にして、仕込みに使うために分量を量る。
こういった作業は料理と共通するものがあり、僕は好きだ。
自分が何のためにするのか分からないでやるのと、作業の意味を知りながらやるのとでは大きな違いだ。



他の作業としては酒の瓶詰作業。
瓶を熱湯消毒して、そこに酒を注いでいく。
これは家でも自家製ビールでやっていることだ。
そして火入れと呼ぶ殺菌、要は湯せんで温める作業。
63度まで温めると『火落ち菌』という菌が死ぬ。
この火入れをしていないものが生酒だ。
生の方が旨いだろうが、火入れをしないと品質が落ちる可能性があるので、工程に必ず入る。
さらにそれを冷却、キャップ締め、箱詰め、そういった作業を繰り返す。





日本酒を作る行程で大切な仕事で澱引き(おりびき)というものがある。
これはどういったことかというと、搾りあげた酒を放っておくと、下の方に濁った澱と上澄みに分離する。
この上澄み液を取るのである。
取った上澄みを1週間ほど放っておくと、再び澱が溜まるので、またそれを取り除く。
澱引きは2回行う。
澱は『取り除く』のではなく、『引く』ものなんだな。
今まで知らなかった酒用語を知り、言葉の深さを知る。
日本語って素敵だな。
容器を空にして、最後におちょこに集めチビリとやるのが楽しい。
「こら!お前、飲むんじゃない!」などと野暮なことを杜氏は言わない。
それよりお客さんが来て試飲をしていると、横にいる僕にもはおちょこを渡してくれる。
良い杜氏だなあ。



先日は仕込みの段階で米を蒸す仕事をした。
酒の米は炊くのでなく蒸らすのである。
大きな窯で水蒸気が横から逃げないように目張りをして1時間以上かけて蒸しあげる。
蒸しあがったら、しゃもじで全体をかき混ぜて「杜氏、お願いします」とデイビッドに確認してもらう。
米を手で丸めてべたついていないか、そして食べてみてちゃんと火が通っているかチェックするのだ。
これがなかなか難しい。
まず火が通っていなかったらダメなので、再び目張りをして蒸らす。
炊き具合であと5分とか8分とか指示を出される。






杜氏曰く、やりすぎると米がはじけてしまうので、そうやらないように注意。
蔵には米が炊ける良い匂いが充満する。
何回かやりなおしOKが出たら、今度はそれを冷ます。
冷ます時に手でほぐしてバラバラにする。
冷めきったら米をもろみのタンクに入れる。
冷めていないとタンクの中の温度が上がり過ぎてしまう。
時には氷をタンクの中に入れることもある。
徹底した温度管理が大切なのである。







僕のビールはここまで徹底した温度管理をしていない。
だいたいイーストの働く温度の枠の中で、割と適当にやっている。
時々失敗もするが、それでもそこそこの味のビールができるので良しとしている。
だがそれは趣味の話であって、商業的にやるには常に同じ味にしなくてはならない。
プロの仕事とはそういうものなんだろうな。
こうして酒蔵で働く毎日だが、11月に入りそろそろガイドの仕事も予定が入り始めた。
酒造りは見習いだが、ガイドはプロである。
山にはまだ雪があるが、夏のシーズンも間もなく始まる。
今年もいいシーズンになりそうだ。

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