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浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(85)-3 百田氏の誤り:③パール判事は「国際法の専門家」でない!③-2「無罪」を主張していない!③-3「南京大虐殺」を認定した!

2021-07-14 18:45:02 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「敗戦と戦争」の章(315-384頁)  

(85)-3 百田氏の誤り③:パール判事は東京裁判の時点では「国際法の専門家」でない! (333-334頁)
D-4 百田尚樹『日本国紀』は次のように述べる。「ただ、この裁判の判事の中で国際法の専門家であったインドのラダ・ビノード・パール判事は、戦勝国によって作られた事後法で裁くことは国際法に反するという理由などで、被告全員の無罪を主張している。」(百田414頁)
D-4-2 百田氏の誤り③:パール判事は東京裁判(極東国際軍事裁判)の時点では「国際法の専門家」でない。パールは「インド私法の専門家」だった。(彼は、東京裁判後、「国際法の専門家」となった。)(333頁)

(85)-3-2 百田氏の誤り③-2:パール判事が「被告全員の無罪を主張している」というのは誤り!「無罪」を主張していない!パール判事は「裁判所条例を審査する権限がこの裁判所にはない」という考え方を問題にした!(332-333頁)
D-4-3 百田氏の誤り③-2:パール判事が「被告全員の無罪を主張している」というのは誤り。「無罪」を主張していない。(333頁)
D-4-3-2 パール判事は、「平和に対する罪」などを定めた「裁判所条例を審査する権限がこの裁判所にはない」という考え方を問題にした。パールは「審査する権限がある」とし、「東京裁判が国際法上に立脚しているか議論すべき」と主張した。パールは「東京裁判そのものを無効にする」ために「その土台となるルール自体の有効性」を議論しようとした。(333頁)
D-4-3-3 「判決文」は「本裁判所には平和に対する罪などを定めた裁判所条例を審査する権限はない」という立場をとり、パール判事の意見は採用されなかった。(※東京裁判の判事は11名で、パール判事はその内の1人だ。) 
(332頁)

《参考》外務省のホームページは「極東国際軍事裁判」について次のように述べている。(抄)
◎法的根拠
(1) ポツダム宣言 第10項:「吾等は、日本人を民族として奴隷化せんとし又は国民として滅亡せしめんとするの意図を有するものに非ざるも吾等の俘虜を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰加へらるべし」。
(2) 1946年1月19日 連合国軍最高司令官マッカーサー元帥は、極東国際軍事裁判所設立に関する特別宣言を発表し、同日、マッカーサー元帥により承認された同裁判所の条例が公布された。
(2)-2 極東国際軍事裁判所条例:1946年1月に公表された。作成に際しては、ニュルンベルグ裁判のための国際軍事裁判所条例をモデルにしたとされる。
(2)-3 裁判所の管轄に属する犯罪は、「平和に対する罪」「通例の戦争犯罪」「人道に対する罪」である。
「平和に対する罪」:侵略戦争又は条約等に違反する戦争の計画、準備、開始、遂行やこれらのいずれかを達成するための共同謀議への参加等。
「通例の戦争犯罪」:戦争の法規又は慣例の違反。
「人道に対する罪」:戦前又は戦時中の殺人、せん滅、奴隷的虐使や政治的又は人種的理由に基づく迫害行為等。
◎裁判所の構成
(1) 裁判官は米、英、仏、中、カナダ、豪州、オランダ、ニュージーランド、ソ連、インド、フィリピンから各1名ずつ、合計11名。裁判長は豪州の連邦高裁判事も務めたウェッブ氏。
(2) 国際検察局(International Prosecution Section)は米国のキーナン首席検察官を長とする連合国各国出身者から構成される。

(85)-3-3 百田氏の誤り③-3:パール判事は「南京大虐殺」その他の日本軍による残虐行為を東京裁判で認定している!パール判事は「被告全員の無罪を主張」していない!(332-333頁) 
D-4-4 百田氏の誤り③-3:パール判事は「被告全員の無罪を主張している」との百田氏の主張は誤りだ。訴因第54条「通例の戦争犯罪を命令、授権、もしくは許可した罪」、また訴因第55条「故意または不注意によって戦争法規違反の防止義務を怠った罪」に関して言えば、パール判事は「南京大虐殺」その他の日本軍による残虐行為を東京裁判で認定している。絞首刑判決をうけた7人は「日本軍の犯した残虐行為」に対して「責任を負うべき地位にあった」という点で有罪となった。(332-333頁)

(85)-3-4 フィリピンのジャニラ判事はインドのパール判事に反対した:(a) 東京裁判の判決の量刑は「寛大すぎる」、(b) 原爆の使用は「正当だ」!(334頁)
D-4-5 同じアジアの判事でも、インドのパール判事とフィリピンのジャニラ判事では意見が「大きく二つに分かれた」。(a)パール判事が「東京裁判そのものを無効にする」ために「その土台となるルール自体の有効性」を議論しようと主張したのに対し、ジャニラ判事はそれを非難し、「判決の量刑は寛大すぎて犯された罪の大きさに適していない」と「より重い刑罰を主張した」。(333-334頁)
D-4-5-2 (b)原爆について、パール判事は「原爆投下は戦争犯罪だ」と訴えたが、ジャニラ判事は「原爆の使用は正当だ」と主張した。(334頁)

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