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宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

『日本に絶望している人のための政治入門』第Ⅲ部、三浦瑠麗、文春新書、2015年

2015-05-21 20:30:14 | Weblog
第Ⅲ部 地方、女性、非正規
第1章 地方経営における共感と想像力:「維新」が回帰すべき方向
A 女性=「産む機械」発言:柳澤伯夫(ハクオ)厚労大臣。また増田寛也『地方消滅』(2014年)も似た発想。
A-2 良心的リーダーさえ、女性の自由について共感できない。
A-3 個人の自由と幸福を持続させるために、集団や団体がある。

B ワーキング・マザーを悪しざまに言うのは、隣人への共感を欠いた悲しいこと。

C 共感を語り、そして選ばれた地方リーダーたちの不毛。想像力の欠如。
C-2 地方は疲弊するばかり。公共事業では再生、無理。

D 地方経営の推進者としての「維新」。果たして共感と想像力があるか?
D-2 地方公務員の無駄と無策への橋下氏によるカタルシス(高揚感)。反エリートの怒りのエネルギー。


第2章 地方創生について:「急進的な道州制」以外に地方経済の成長はない!
A アベノミクスの「地方創生」:アベノミクスの成果を地方にいきわたらせる。
A-2 しかし同床異夢。Ex. 国土強靭化の公共事業増。Ex. 特区の規制緩和による創業促進。

B 「失われた20年」(1991-2010)の間の日本経済の最大の変化。
①グローバル化:日本経済の評価は中国や、小回りが利くシンガポールなどと比較される。
②労働者の4割の非正規化(1000円以下の時給):株高・景気回復を実感できない。
B-2 アベノミクスの「地方創生」が必要とするのは、かくて、①世界的に評価されるスピード感、②非正規層に実感を届けること。
B-3 地方創生の成功のハードルは相当、高い。

C 真の地方創生とは「地方の自立」!:①経済基盤の自立。②経済政策の立案能力の自立、③有能な人材を引き付け、リーダーを育成する能力の自立。

D 急進的な道州制論:世界中を見回してみて、これ以外に地方経済の成長はない。
D-2 中央で立案される政策の枠組では無理。大きな変化は期待できない。
D-3 地方のエリートは、中央から情報や資金を引き出してくることこそ、地方の発展につながると思っているが、これでは地方の自立はない。

E 地方の疲弊を解決するラディカルなメニュー:
①金銭解決にもとづく自由解雇による雇用の流動性&セームワーク=セームペイ(同一労働同一労働賃金)の強制で若年現役層の賃金充実。
②法人税10%台でアジア最安水準&所得税もフラットタックス→企業が集まる→税収確保。
③保育所と学童保育を子供全員分整備&ナニー・サービスのため外国人ビザ自由化&女性幹部比率に応じて法人税を増減させる→出生率向上。
E-2 地域間で政策の競争:特区を、自治権の強い道州制的に運用。結果責任を引き受ける仕組みと覚悟が必要。

F 政策競争を促す改革提案に対し、リベラルは反対する。悲しい。地方が疲弊して苦しむのは本当に弱い立場の方々。

G 計画経済は成長につながらない。自由度を高め、創意工夫を促し、失敗を許容し、10年たって花開くのを待つ。
G-2 ①住民投票で政策の受け入れを決定。②政策実施の中核的存在となる官民のチームを、中央から片道切符を条件に、好条件で地方に派遣。


第3章 非正規労働者に未来を:国民の間の不公平は「民主主義の怠慢・不作為」の結果!
A  80年代後半から実数で2.5倍、現在約4割、2000万人が非正規労働者。その不平等!
A-2 日本の民主主義の問題としてとらえる。

B 流通業やサービス業の人手不足と言っても、「最低賃金に近い需要が高まった」だけ。
B-2 北欧や豪では、都市の時給は1500-2000円。日本人はすでに、豊かでない。
B-3 多くの労働者が、将来を見通すことも、家族設計もできない社会。

C グローバル資本主義経済のもとで、競争する企業。労働者の待遇は熟練度(付加価値の水準&希少性)に応じてグローバルに決まる。
C-2 グローバル経済に対して、労働に対する国民国家の規制。国民の最低限の福祉と一定の公平性のため!

D 経済のグローバリゼーションと、国民国家の関係の問題:
D-2 右派でも左派でも、国民国家に頼りすぎ鎖国を主張しては、生きていけない。
D-3 国民国家は邪魔だとするリバタリアンやビジネスエリートは、平和・治安・福祉・教育・科学技術研究が、国民国家により支えられていることを忘れている。

E 国民国家を維持するコスト(=所得の再分配)の問題:中福祉・中負担というコンセンサスあり。

F 国民国家の公平性の問題:本人の能力や努力に基づかない過度な結果の違いが「不公平」。
F-2 日本の民主主義は「公平」をうまく実現できない。
F-3 労働組合は、労働者全体の4割の非正規労働者を、守れない。
F-4 政党は、非正規労働者2000万人を、政治過程に乗せられない責任!

G グローバリゼーションの圧力は、公平に負担すべきである。
G-2 年齢(=仕事を始めたタイミング)や性別で、一部の労働者のみグローバリゼーションの負担を負うのは不公平。
G-3 セームワーク=セームペイであるべき。中高年と正社員の待遇を下げて、若年層と女性の待遇を上げる。既得権が民主主義を阻害する。


第4章 共和主義者のジェンダー論:共同体の利益を重視する発想(=共和主義)に基づくフェミニズムの重要性!
A 安倍政権は、女性活用を重視している。
A-2 政策目的は、個人の自由・公正・平等ではなく、経済成長。

B この「保守主義者のジェンダー論」は、保守&リベラル双方から不評。
B-2 ①クォーター制(指導的立場の女性30%):短期的に割を食う者がいても、長期的には社会全体のためにプラス。男女平等の大義。
B-3 ②中小企業は反対:男女平等にそこまでコストはかけられない。
B-4 リベラルは全体として、シラケた雰囲気。

C 戦後フェミニズム運動の根幹は、個人主義、個人的人権の尊重。人はすべて自由であり平等であるべき!
D 少子化でガラガラの幼稚園と、入所困難な保育園(弱者保護の福祉サービス)を、一体化できない。

E 日本のフェミニズムの弱点の一つは、個人の選択の自由を当然にも尊重するので、専業主婦層を重視してきたこと。専業主婦は、相対的に富裕で、文化・教養層に多い。
E-2 労働参加し指導的立場の女性は、比率で劣位。

F さらにフェミニズム運動の個人主義の本質的弱点:出生率の低下という共同体の死活の利益との衝突!
F-2 これに無関心では、フェミニズム運動への支持は集まらない。

G かくて共同体の利益を重視する発想=共和主義に基づくフェミニズムの重要性!
G-2 「自由で豊かな市民」と「共同体の利益」との調整。
G-3 共同体として子供を大切にする!子供を産み育てる家族をサポートする。
G-4 「子供をみんなでサポートする」政策に転換せよ。出産・子育てを社会全体でサポートする。
G-5 子育ては、女性でなく、男女で担う。「母子手帳」でなく「親子手帳」であるべき。
G-6 例えば、保育支出の税額控除を認める→高額所得者の保育支出増→保育産業も開花。

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『日本に絶望している人のための政治入門』第Ⅱ部、三浦瑠麗(1980年生)、文春新書、2015年

2015-05-20 10:03:41 | Weblog
第Ⅱ部 日本政治を可視化する
第1章 野党再編について:日本で可能なのは保守の二大政党制のみ!
A 民主主義は、合法的で時限的な独裁である。

B ①小選挙区制は定着した。
B-2 また②政策や政治資金の媒介者としての派閥の力が弱まった。つまり与党内部野党の不存在。1955年以来の自民党内の疑似政権交代は、もはやない。

C 大正デモクラシー期の二大政党制は、ともに保守。
C-2 政友会は統治利権を代表し、民政党は経済利権を代表。

D 地方では名士・名望家=有力者(=地方の首長・議員を含む)のリーダーシップが、極めて重要!彼らは保守で、全国政党は、保守である以外にリアリティーがない。
D-2 労働界に近い層が力を持つ:中部地域。左派的な政党が力を持つ:貧しい階層が多い地域。これらは例外!

E 明治以来の中央集権化で、日本は幸福にも国民の間に深刻な分断(cleavage)がない。
E-2 二大政党の国にはこの分断がある。英国の階級:労働党は北部。アメリカの人種:共和党は南部・中西部。
E-3 日本は分断(cleavage)がなく、全部「保守」、全部「自民」!

F 自民党の二大人材供給源。①中央官僚:統治利権を代表。②地方議員:地方名望家の経済利権を代表。
《評者の注》経団連など経済界の位置づけは?

G 民主党は、統治利権と戦うことを鮮明にし、政権交代。
G-2 しかし失敗。理由:①経済利権(=全国規模の保守系の地方組織)を作れなかった。但し小沢氏は地方組織を重視。②統治利権との闘いで空回り。「政治主導」、「仕分け」等。

H 日本政治の岐路。(1) 保守系2大政党制の成立か?
(2) 1党優位の自民党のもとで、部分的譲歩を引き出す小政党群の体制か?

《評者の注》
(1)小選挙区制の下では、衆議院は、著者の言うように、保守系の2大政党制でないと選挙を戦えないだろう。この場合、批判勢力を保つためには比例代表選出を減らしてならない。
(2)参議院も1人区が多いので、2大政党が成立しないと多数派の交代は起きない。この場合も、国民の意見の多様性=批判勢力を保つために、比例代表選出を減らしてならない。


第2章 戦後リベラリズムの担い手としての統治利権(官僚):非自民の保守新党の基盤
A リベラリズムは本来、個人の自由と幸福追求を最上位とする。

B 国家総動員の時代のリベラリズムの大義の推進力は戦争。
B-2 すでに独ビスマルクの社会保障は、富国強兵のため兵士層への飴。なお皇帝・貴族の特権的な国体護持のため、資本主義的な自由主義者への対抗でもある。
B-3 米の公民権運動の成功は、大戦&朝鮮戦争の黒人兵への勲功。
B-4 英の国民皆保険制度:労働者階級の戦争動員の対価。

C 明治のリベラリスト(自由民権論者)は、徴兵制などの義務こそ、平等な国民を作り出すとした。Ex. 普選要求。
C-2 政府も義務履行と引き換えにリベラリズム改革。

D 米国の戦後統治の目的:日本の特権階級の権威主義の芽を摘み、再び敵国となる事態を避ける。しかし冷戦の進行で、日本の共産化阻止に目的を変更。

E GHQは日本の官僚機構=「統治利権」を温存。彼らがリベラリズム改革を推進。「経済利権」は財閥解体・農地改革で駆逐された。
E-2 「官僚機構の組織防衛」=憲法が頂点の戦後リベラリズムを守る!
Ex.1 法務省:旧家制度を復活させなかった。Ex.2 厚労省:社会福祉政策・労働政策推進。
Ex.3 文科省:自分たちのコントロールを重視しただけで戦後リベラリズムを擁護。

F 60年代半ば以降は、リベラリズムは国民の多数派となる:中産階級&戦後育ち。
F-2 現在に至るまで官僚=「統治利権の担い手」が、最大のリベラリズムの擁護者!
《評者の注》
憲法秩序が変われば、彼らは統治マシーンだから、保守=右派の擁護者となるだろう。

G 戦後日本は世界的に見ても、非常にフェアに統治利権を担うエリートたちを選別・育成。
G-2 お金はないけれど権力を持つ「官僚+官僚出身の政治家1世」!
G-3 経済的な特権階級と、権力を有する階級に、大きな重なりがない。
G-4 戦後、有名ではない財務次官や外務次官(中産階級出身)が大きな権力をふるってきた。世界でも稀有。
G-5 しかも彼らは、経済的特権階級を排除もしなかった。

H 保守二大政党制の可能性。
H-2 統治利権を代表する非自民保守新党:大きな政府、反資本主義的、権威主義的、戦後リベラリズム擁護、エリート主義。
H-3 自民党:二世・三世議員が多く経済的に特権階級化。90年代を通じ自民は経済利権重視。リーダー、人事の育成機能低下。
《評者の注》
著者は地方名望家の利害を経済利権と呼び、自民党の基盤と考えている。非自民保守新党はこれから相対的に独立した統治利権が基盤。なお大企業の利害は、保守2大政党どちらとも結びつきうるということだろう。


第3章 「維新」と反エスタブリッシュ感情:人間の不満・怒り・嫉妬を刺激するスタイル
A 2008年橋下大阪府知事を誕生させた要因:①反公務員という反エリート感情。②大阪の地盤沈下へのフラストレーション。③決められない中央政界への不満。
A-2 「維新」の意外と高い組織能力。Ex. 政治塾という形で新兵を募る。

B エスタブリッシュメント(=政官学メディア)の維新への憎しみ・反撃。エスタブリッシュメントの自負に土足集団がずかずか入り込んできたという怒り。
B-2 「維新」支持層のエネルギー、反エスタブリッシュメント感情を動員する政策(=人間の不満・怒り・嫉妬を刺激するスタイル):①原発推進の経産省に対し「反原発」。②日中/日韓友好路線の外務省に対し「中韓への毅然とした姿勢」。

C 「維新」は支持され続け、大阪府・大阪市の支持は底堅い。(Ex. 大阪市職員厚遇問題。)
C-2 「維新」は大阪府の豊満な財政を大幅に改善した。
C-3 一部の少数既得権益層の事実上の拒否権に対し、多数決の原理を強調。
C-4 大阪の地盤沈下は深刻だし、大阪市役所のお役人はやり口がひどいものがあった。

D 日本そのものが地盤沈下していくことへのイラダチが背景にある。
E 「維新」の挑戦は自民と安倍政権への最も本質的な挑戦。国民のイラダチを取込む必要!


第4章 アベノミクスの歴史的位置づけ:改革は広範で既得権を崩し経済も回復!
A アベノミクスの改革は大きい:①混合診療の拡大。②減反政策廃止、豪州とのFTA妥結。③女性の労働投入量増加のための配偶者特別控除見直し(労働人口減少対策)。④官民ファンドの拡充。⑤民間ファンドの育成支援、リスクマネー供給、起業手続きの簡素化。⑥法人税減税。⑦労働規制に風穴。

B アベノミクスの過小評価、3つの理由:①まだ成果が出ていない。②安倍首相は毛並み良く尊大と思われないよう丁重、&絶対多数なので対立をあおる必要なく地味!
③外交・安保保守的立場のため(1)反既得権に反対の保守も静か、また(2)安倍の経済政策をほめたいリベラルが安倍の安保・歴史問題でほめない。

C 安倍政権は何を残したいか?(a)日本の国に、国民の誇りや偉大さを取り戻す。
(b)経済の回復を通じ日本人の自信を取り戻す。

D 結局、開放的な保守か、内向的な保守かの選択の問題。(→次章、次々章参照)


第5章 歴史的偉業とは何か?:「国民すべて」を代表しうる「開かれた保守」となれ!
A キーワードは「開かれた保守」!
A-2 その国がもつ「くびき」をどう乗り越えるかの問題。(Ex. アメリカの奴隷制)「くびき」が正のエネルギー&負のエネルギー(不信、嫉妬、怒り)の源泉。

B 偉大さと強大さは違う。「偉大さ」とは他者にも手を差し伸べる拡大された連帯感。
C 日本には大きな「くびき」はない。はっきりした大きな「分断」はない。幸福なこと!

D 安倍政権は、保守層を代表する政権から、国民を代表する政権に意識を変えつつある?
D-2 安倍首相には、和を尊ぶという日本的な美風を重視する向きもある。
D-3 かつての不毛な保革対立を和解に導くことが、安倍政権の歴史的な課題であるべき。

《評者の注》
(1)かつての保革対立は「不毛」でない。戦後の民主主義の定着に、保革対立が果たした役割は大きい。護憲勢力(=革新)が3分の1を維持したので、憲法の民主主義は定着した。現に安倍政権は「人権」、「自由」、「民主主義」、「法の支配」を守る価値観外交を主張する。これは保革対立があって、つまり護憲勢力(=革新)によって到達した地点である。
(2)保革対立は、政治的共産主義としての革新と、政治的自由主義としての保守との対立でもあった。「人権」、「自由」、「民主主義」、「法の支配」を否定する政治的共産主義は、断固阻止すべきである。これらの価値・理念の擁護をめざす政治的自由主義としての保守と、それを否定する政治的共産主義としての革新との保革対立は、不可避であり「不毛」でない。
(2)-2 ただし報道の自由、知る権利、表現の自由等を制限しようとする「保守」に対しては、「革新」の反対行動が、それらの自由・権利を守った。この場合も、保革対立は「不毛」でない。
(3)保革対立は、経済的には、一方に「規制なき自由資本主義」の極、間に「修正資本主義」が揺れ動き、他方に「共産主義的平等を目指す管理統制経済」の極がある。経済は、資本主義以外にありえない(=評者の立場)。しかし幸福追求権、生存権、法の下の平等、また機会均等の平等を保障するため、資本主義経済の規制は不可欠。規制なき野放しの自由資本主義としての保守に対し、資本主義経済の規制を要求する革新との対立、つまり保革対立は当然生じ、しかも「不毛」でない。

E 日本にくびきがあるとすれば、それは「一体感」信仰である。例えば、東日本大震災後の「絆」という規範意識。
E-2 一体感を乱すものを敵対視する。社会的弱者の存在は日本の「欠陥」なので、「そんなに言ってくれるな」という感情。
E-3 安倍総理は「開かれた保守」をめざし、「国民すべての総理大臣」として、「一体感」だけでなく(=乱すものを敵対視せず)、弱者にも手を差し伸べるべき。


第6章 「開かれた保守」の外交政策:アジア諸国に、世界3位の日本市場を開放する!
A 「開かれた」とは、「内向きのイデオロギー」でなく、「国際社会に目を向けたより普遍主義的な政策」を志向すること。

B 2010年代、東アジアでの米の退潮:①金融危機(2008年)以後の経済力の相対的低迷。②2001年から10年以上の中東の戦争で国力を消耗。
B-2 かくて世界の問題について、米国追随でなく、自分の頭で考え自分の心で共感するのが、「開かれた」保守。

C 戦後の自由、平和、豊かさは、米国が提供する秩序が前提だった。
C-2 そして米国が提供した秩序は、ソ・中よりもフェアだった。
C-3 再び日本外交が、リアルな意味合いを持つ時代になりつつある。米国という重しがなくなりつつある。
C-4 「開かれた」保守とは、未来へ向かう外向きのエネルギーとしての保守。(⇔過去に依拠した内向きのイデオロギーとしての保守。)

D 戦後、日本が自らに課した安全保障上の制約は、これからも国民のコンセンサスであり続けるだろう。

E 世の中には守るべき価値があり、それは功利主義では説明できない:保守の立場。
E-2 保守の守るべき価値とは何か?それは歴史と文化の中にある。①米国ならワシントンやジェファーソンの系譜。(しかし日本では自由・平等はバタ臭い。)②アジア主義(例えば90年代のアジアのリーダーたち)は時代錯誤的で父権的。

F 「開かれた保守」は、自己犠牲をしてもアジア諸国に、世界3位の市場を開放する。真の開放性!
F-2 安倍政権は、「開放的な保守」なら、正しいし現実的。
F-3 日本のリベラルは、開放性に関心がなく残念である。


第7章 自民党圧勝のアベノミクス選挙を振り返る:「ちゃんとしている仮説」(=「ちゃんとしている政治家を有権者が当選させる仮説」)
A 日本の選挙制度の問題点:①諸外国と比較してハードルが低い首相の解散権。②小選挙区制の死票の大きさ。
A-2 とはいえ、日本の民主主義と選挙制度は、世界的な水準に照らして、十分にフェア。
A-3 また民主主義の制度は勝ち負けがあるので、安定性が極めて大事。すぐにルールを変えてはいけない。

B 日本国民は、2009年に民主党に政権を与え、2012年には自民党を政権に復帰させた。大人の有権者!自らの権利の行使の結果について知っている。

C 民主主義を機能させる非民主的要素。自らの政治的意見を、代議士や政党に、選挙のたびごとに委ねる。
C-2 日本の選挙では、候補者個人への信頼感(=「ちゃんとしている」)が重要!→「ちゃんとしている仮説」
①個人としての信頼感、リーダーとしての器、有権者との共感。
②さらに、偉くなっていくにつれ、経験、品、教養、政策の知識、面倒見の良さ。
③大勝した与党がおごらないこと、野党ときちんと対話していくこと。
④小選挙区選挙は総理の選挙でもある:「床の間を背負って様になる総理」、「外国の指導者と渡り合う時に恥ずかしくない総理」。
C-3 今回の選挙では、自民党の議員の方が「ちゃんとしていた」→自民が2/3。

D 安倍政権の第3の矢:既得権層に対し痛みを伴う構造改革。競争のエネルギーを通じて経済を活性化。
D-2 官邸への権力集中のため、改革のエネルギーの放出装置がない。
Ex. 大物の抵抗勢力、Ex. 迫力ある派閥の領袖。

E 日本では、保守系2大政党制以外には、リアリティーがない。理由①日本の有権者の実態:地方有力者による政治。理由②小選挙区制。
E-2 野党再編がポイント。民主党の問題点:(1)時代遅れの階級対立の匂いがするやり方。(2)安全保障やマクロ経済に対し、素人だと誇るのは、ただの開き直り。
E-3 日本の有権者は候補者のクオリティーもしっかり見ている。人材の選抜と育成が重要。Ex. 維新の問題点:橋下、江田氏などのほかは、出たがりの国士風の雰囲気ばかり。

F 今後数年間は、野党は日本政治の脇役にすぎない。「ちゃんとした」候補をその間に育成せよ!

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『日本に絶望している人のための政治入門』第Ⅰ部、三浦瑠麗、文春新書、2015年

2015-05-17 17:07:12 | Weblog
第Ⅰ部 不毛な左右対立を超えて
第1章 コンパッションの思想:ホンモノの保守は、国民の統合・一体感を大切にする
A 「全体最適に向けて考える」=コンパッション。他者に対し「共に苦しむ感覚」を持つ。
A-2 人間は、出自・立場・利益をかかえ、最後まで合意しないこともある。

B 安倍首相が靖国に参拝したことには、違和感あり。
B-2 ホンモノの保守は、国民の統合・一体感を大切にする。いまの安倍政権は自分の主張に夢中で、分断を作る。

《評者の注》
(1)安倍政権が、ホンモノの保守になり、国民の統合・一体感を大切にするようになると、著者は考えているのか?多数者が独裁的になり、非国民を排除し、特高警察的イデオロギー国家に日本がならないと言えるのか?
(2)右派が求める憲法改正とは、個人主義の破壊、国家への献身と支配層への服従という意味での公益への奉仕、基本的人権の破壊ではないのか?
(3)右派は、反対派の「転向」を求めているのではないのか?右派は、思想・良心の自由を否定しているのではないのか?


第2章 自由のあとに来るもの:冷戦後の「リベラル」の存在を正当化するだけの不正義(=非正規雇用者)の存在
A リベラルは、人間社会は変わるべきで、進歩しなければならないとする。

B 冷戦終結で、自由のあとに来るものが問題となった。
B-2 日本では、左派=リベラル勢力が、非武装中立を主張するなど、冷戦に真に向き合わず、米軍まかせで、人ごとだった。

C 冷戦後のグローバル化に対し、日本企業は出遅れた。①バブルの後処理に忙しく、IT導入、高成長事業への投資が不十分だった。②日本企業は、新興国市場への進出も、M&Aも不得手だった。

D リベラル勢力は、グローバル化に対し消極的。ウルグアイ・ラウンド、FTA、EPA、TPPなど自由化協定に対し、消極的。
D-2 システムの全体像を持たず、分配重視だけで、経済音痴。

E 福祉、教育に関し、競争=効率化という要素の導入に、リベラルは「拒絶感」!しかし福祉受給者のインセンティブ設計の重要性!

F 日本には、リベラルの存在を十分に正当化するだけの不正義が存在する。
F-2 労働者の4割は非正規。技量を高めるチャンスなく、生活も改善しない。
F-3 経済格差が、教育格差を通して再生産される。
F-4 自由のあとにくるのは、他者へのコンパッションであるべきで、それが真のリベラル。

《評者の注》
著者がリベラル勢力に要求する項目の一覧表は、以下の通り。
① グローバル化に対し拒絶するのでなく、自由化協定を受け入れつつ、他者へのコンパッションのもと、不正義と闘うべきこと。(※だがグローバル化・自由化協定のもとで、企業の要求で労働規制がはずされ、不公正な労働が強制されるようになる。それでも、自由化協定は受け入れるしかないということか?)
② リベラル派は、経済システムの全体像を持ち、分配重視だけではない経済政策を呈示すること。
③ 福祉の量的拡大は財政的に不可能なので、リベラル派も、福祉受給者のインセンティブ設計(競争・効率化)を重視すること。
④ 非正規労働など経済格差、それが引き起こす教育格差など、不正義をなくすため、他者へのコンパッションのもとで、リベラルは闘うべきこと。


第3章 リアリズムという宗教:日本の保守主義者の「理想」は何か?
A リアリズムとは、理想のための手段実現にとって必要な現状認識方法。日本のリアリズムは、理想まで否定する。
A-2 日本のリベラル勢力の「非武装」は理想でなく、平和という理想の実現手段。
A-3 何のためのリアリズムなのか?
A-4 日本のリアリズムは、強気一辺倒か、現状追認一辺倒。

《評者の注》
(1)保守主義者が実現すべき理想は、何なのか?「平和」なのか?それなら是認できる。(2)しかし保守主義者にとっては、「美しい国、日本」あるいは「神国」日本への献身、つまり「報国」こそが、彼らの守るべき理想ではないのか?
(3)大切なのは、「国民」ひとりひとりからなる「国民」全体であって、国民を超えた「美しい国」「神国」日本などではないはず。

B 日本の保守主義者は、「戦前の日本のすべてが悪かったわけではない」と述べ、そして「戦前のすべてがよかった」とすり替える。
B-2 何が良くて、何が悪かったかを、掘り下げない。

C 進歩を願うリベラルは、現状の変更を望む者(弱者)と親和的!進歩に懐疑的な保守は、現状に満足する者(強者)と親和的!

D 世界を「法則」から理解するのがイデオロギー。世界を「現状」から理解するのがリアリズム。
D-2 リアリズムは、理想としての「良い世界」、「良い国」、「良い社会」を、呈示すべきである。保守であることと、理想を持つことは、矛盾しない。

E “保守主義の理想は、次のようなことでは「ない」はず”と著者は言う。
① 女性の財産権、選挙権の否定。
② 教育は忠君愛国を教え込む。
③ 家族の絆を強くし、年金を廃せ!
④ 恵まれた貴族が特権を行使する。
⑤ 軍の権限が内閣を超越する。

《評者の注》
保守主義の理想について、上記の一項目ずつ検討する。評者は、日本の主役は「国民」であって、「国民を守るために国家がある」との立場。
① 保守主義も、さすがに女性の財産権・選挙権を、否定はしないだろう。夫婦別姓など個別のテーマについては、今後、合意形成が徐々になされるだろう。

② 教育は、「国民」ひとりひとりの「生命、自由、幸福追求の権利」を尊重すべきだが、保守派は「個人主義」を敵視する。
②-2 保守派は「公益」重視の立場から、もっぱら「愛国」を、つまり「国民」を超越する「国家」への献身を、教育するだろう。
②-3 それに伴って、天皇への崇敬(「忠君」)も推進するだろう。
②-4 “「忠君愛国」は保守主義の理想でない”と著者は言うが、それは間違いかもしれない。「忠君愛国」を否定するのは「個人主義」だが、日本では、「個人主義」は多くの場面で攻撃される。

③ 保守派は、「家族の絆を強くせよ」と言うが、確かに「年金を廃せ」とまでは言わない。しかし「家族の絆を強くし、年金支出を減らせ」とは言う。

④ 「恵まれた貴族が特権を行使する」と保守派は言わないが、「日本」の伝統としての「皇室」に対する崇敬強化は主張する。

⑤ 「軍の権限が内閣を超越する」ことは保守派も認めない。しかし「軍」(自衛隊)と結びつく勢力が、クーデターを狙う可能性はありうる。これは国民主権、民主主義、立憲主義の否定だが、日本の民主主義は、保守派、自衛官幹部を含め、国民の心にクーデターを起こさないだけ根付いているのか?
⑤-2 クーデターの場合は、自衛隊の多数派が直ちに鎮圧し、クーデターの関係者は、「内乱罪」で厳しく処罰すべきである。


第4章 総理の靖国参拝をどう考えるか:安倍首相には「全体」の立場の回復が必要!
A 思想信条の問題を功利主義の観点(外交関係or経済的視点)からとらえるのがプロの論理。思想信条を優先するのがアマの選好。
B 参拝賛成の立場は、「国内の正義がただ一つである」、また「国際社会でも首相の靖国参拝が是認される」と考える。
C 「戦争が起こりそうにない」と認識するので、東アジアの人々(日中、日韓)は、互いに、感情問題として摩擦を高める。
D 「あの戦争を導いた要素」、「愚かしい判断が下された理由」は、最低限、問われるべき。
E 敗戦以後、人目を気にしてきた日本人の心に、「自分の意見を持ちたい」という欲求。

F 戦後、メディアを中心としたリベラル勢力は、「靖国」、「歴史認識」で右派を追い詰めてきた。
F-2 安倍首相のもとで右派が「倍返し」的な気分で、リベラルを攻撃。
F-3 安倍首相は、「全体の立場」の回復、つまり建設的になる必要がある。 

《評者の注》
(1)“安倍首相のもとで右派が「倍返し」的な気分で、リベラルを攻撃”との著者の指摘は、全く、もっとも。
(2)“安倍首相は、「全体の立場」の回復、つまり建設的になる必要がある”との著者の提言だが、「ないものねだり」ではないのか?


第5章 保守はこれまで「弱者」と感じていた:政権を取った今こそ国内宥和が必要!
A 保守派の起源は、保守合同の時の民主党。軽武装・経済優先の吉田路線には懐疑的。
A-2 岸退陣以後、自民党内で、非主流派。

B 左派政党が理念闘争を優先し、本気で政権奪取を目指さず。かくて自民党が、福祉・環境など左側のテーマを取り込み、盤石となった。

C 保守陣営は、「戦前/戦中の怨恨」を源流とするように見える。反共はその限りでのみ。
C-2 日本の保守は「小さな政府」の立場でない。
C-3 日本の保守は資本主義に、むしろ敵対的。伝統的価値観を壊すから。
C-4 保守の福祉観は、国家の慈悲との英ヴィクトリア朝の考え方に、似る。

D 日本のメインストリームであったリベラル系メディアは、右派に対して「排除の論理」を使用。「議論を通した説得」に欠けた。

E 自民党はキャッチオール型の政党でなくなりつつある。
E-2 小泉政権は、反エスタブリッシュメント(「自民党をぶっ壊す」)=反利権構造の動員と、保守主義の動員とで、国民の高い支持率。疑似政権交代のカタルシス。

F 安倍総理は現実的政治家であり、妥協の積み重ねが政党政治の本質とわきまえている。
F-2 安倍政権が取りうる道。
① 「成長重視」路線は、もはや目いっぱい。
② 「反利権構造」路線:争点を野党から奪うので見込みあり。
③ 「保守思想の裾野拡大」路線:可能性あり。国家への献身を大事にする姿勢が国民にある。A級戦犯の分祀、また靖国神社の宗教法人から一般法人への変更がありうる。

G 少数派が「踏絵」、「排除の論理」を使えば、自らが決定的に排除される。国内宥和を目指すべき。
H 権力の座についた保守派が、8%の靖国参拝反対派を疎外、排除したり、罰したりしないことが重要。

《評者の注》
安倍政権は、戦前的な治安維持法的国家を、目指しているのではないのか?著者は楽観的すぎないか?


第6章 日本の右傾化は杞憂:右派は戦後民主主義の果実の上に築かれている!
A 戦後の右派は、反左派として生まれた。「左派」:①大きな政府、②個人の選択の自由重視、③外交・安保上のハト派。
A-2 左派が踏絵を迫ってきたので、右派が生まれ強化されていった。左派への嫌悪感。
A-3 左派メディアや多くの識者は、「拉致」を問題にするのは危険で右翼との論調だった。
A-4 日本には「小さな政府」論者としての経済右翼はいない。

C 戦後民主主義が達成してきた諸々の成果を否定しようとする勢力は実質的に存在しない。Ex. 女性の権利が是認され、介護保険制度定着。
《評者の注》報道の自由への介入、また秘密保護法による知る権利の制限は、戦後民主主義が達成してきた諸々の成果の否定ではないのか?それは考えすぎだというのか?

D 日本には政策レベルで、広範なコンセンサスがある。①中福祉中負担の福祉国家、②基本的人権・個人主義の尊重、③防衛主体の軍事力の保持。

E 日本の右傾化は杞憂。日本の保守主義は、国民の間に定着している戦後民主主義の果実の上に築かれている。
《評者の注》
(1)自民党の憲法改正草案は、基本的人権・個人主義を否定し、公益による権利の制限を明記する。著者はこれを軽視するのか?
(1)-2 著者はおそらく、日本国民がこのような憲法改正に国民投票で反対すると予測するのだろうが、本当にそうなるのか?著者のように、そんなに楽観できるのか?

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『鼎談、九条と私、憲法破壊に立ち向かう』、調布九条の会「憲法ひろば」編、2015年

2015-05-13 09:13:56 | Weblog
《はじめに》パネリスト紹介:奥平康弘、堀尾輝久、池辺晋一郎
A 奥平康弘(1929-2015):東大名誉教授、憲法研究者、「九条の会」の呼びかけ人。
A-2 アベノミクスは「戦争する国」づくりを目指す。
A-3 「統一戦線を結集することなしに、いまの政治・経済層の勢いをそぐことはできない。」

B 堀尾輝久(1933生):東大名誉教授、教育研究者。家永教科書裁判を理論的に支えた。
B-2 父は日中戦争で戦死。「誉れの家」の子として軍国少年となる。戦後教科書の墨塗り体験。懐疑派青年となる。
B-3 戦争被害者の全ての人が、靖国にいる人も含めて(平和遺族会)、9条を支えている。
B-4 今や、9条と平和的生存権の思想は世界の指導理念となってきた。「平和への権利」の国連宣言が準備されている。「9条を世界憲章へ!」
《評者の注》
① 戦争被害者の一部は、戦争加害者でもある。

C 池辺晋一郎(1943生):作曲家、「音楽九条の会」の呼びかけ人。
C-2 戦後70年、日本人の心に誇りを保たせたのは、戦争をしない国、世界の平和を牽引する国、ということだったと思う。


(1)奥平康弘の冒頭発言:「平和主義」は普遍的な原理
D 「平和主義」は便宜的、戦術、戦略的なものでなく、人々の魂に関係する、近代の人々の魂に関係する事柄。普遍的な原理。理念的、哲学的なもの。キリスト教的バックグラウンド、あるいはカント的哲学にもとづく。
D-2 「積極的平和主義」というみょうちくりんな言葉。
D-3 人類のどこの世界でも通用すべき、という意味で普遍的な政治倫理である平和主義を維持するほかない。

(1)-2 奥平康弘の追加発言:「積極的平和主義」は覇権的、好戦的である
E 日本国憲法の平和主義は、まさに普遍的なこと、世界に向かって普遍的に主張しうる。
E-2 その対極にあるのは、覇権的、好戦的、帝国主義、先制攻撃平和主義とかそういうもの。「積極的平和主義」もそういうもの。 

F 世の中の人も最近ますます、政府が言うような形で、覇権主義に流されている。
F-2 「同盟国の安全を守ることが日本の安全保障のために必要なんだ」と「集団的自衛権」というものが、どんどこどんどこと出てくる可能性がある。

G 平和な暮らしを守るため、超党派的な大同団結が今、必要。
H 「全国に7000いくつある九条の会に、ノーベル平和賞を受賞してもらいたい」という運動があるが、ノーベル平和賞をもらえたら、九条を守るのに役立つかもしれない。

《評者の注》
② 結局、尖閣問題をきっかけとして、中国の軍事力増強を日本人は恐れている。中国人観光客の行儀の悪さ、爆買い、札びらを切る態度への反感もある。
③ 日本は個別的自衛権に徹したほうが、相手を刺激せず、日本にとって安全ではないのか?日本に手を出さない限り、日本が相手国を攻撃しないのだから、その方が日本の安全は保障される。


(2)堀尾輝久の冒頭発言:戦時中「軍国少年」だった
I 戦時中、「八紘一宇」とは、世界を一つの家にする、まさに世界の平和をつくる、ということ。これが当時の言うなれば「おもてに掲げられた看板」だった。
I-2 少年は世界の平和をつくる、その一員として、そのために軍人にもなろう、というそういう思いで軍国少年になった。

J 1946年1月24日の幣原喜重郎首相とマッカーサーの会談で、幣原の方から「今度の憲法には、戦争を放棄する、軍隊は持たない、というアイデアを是非入れたい」と言った。その幣原の思いを受け入れて、憲法9条ができた。占領軍が日本を丸腰にするため9条を押し付けたのではない。

《評者の注》
④ 幣原は、天皇制維持の交換条件として戦争放棄、戦力不保持を言ったのではないのか?単に便宜的に言っただけで、本気ではなかったと思う。
⑤ アメリカは冷戦の激化の中で、日本の再軍備を求めたが、それを許さなかったのは、結局、日本国民である。9条は日本国民の意志で守られた。九条の維持は「押し付け」ではない。

K 大野哲夫(調布九条の会「憲法ひろば」事務局長)が言う。「人類の過ちから学び続けることだけが、再び誤りを犯さない保証であること、そして繰り返された戦争の悲惨さから人類は戦争をできない世界をつくろうとして進んでいること、その中に日本国憲法を位置づけて考えること」、これが「私たち九条の会の思いだ」。

L アメリカは九条が大嫌いで、集団的自衛権を何とかやれ、と押し付けている。
L-2 九条というのは日本の戦争犠牲者だけでなく、アジア二千万の犠牲に対する強い反省を含めたものだ。

(2)-2 堀尾輝久の追加発言:中心になるものは、本当に人間を大事にするということ
M 「積極的平和主義」は集団的自衛権の行使容認のことではない。
M-2 世界に平和を広げるのが本来の「積極的平和主義」。
M-3 平和研究者のガルトゥングによれば、「積極的平和主義」とは、戦争がないだけでなく、社会の構造的な抑圧や差別をなくすこと。

N ISに殺された後藤さんのお母さんの発言。「日本には憲法九条がある。そして戦争を70年間しなくてやってきた。これが日本なんだ。」「そのことをイスラムの人にわかって欲しい。」この思いの中に九条が息づいている。
O 中心になるものというのは、本当に人間を大事にする、一人ひとりを大事にする、ということである。


(3)池辺晋一郎の冒頭&追加発言:九条は、単に日本のためにあるのではなく、この星、地球から戦争をなくし、軍隊をなくすためにある
P 日本国憲法成立のいきさつについて、脚本家のジェームズ三木さんが『憲法はまだか』という本を書いている。
Q 憲法前文で「名誉ある地位を占めたいと思う」という言い方が謙虚。
R レバノンで子どもたちに「平和って何だと思う?」と聞いたら、「イスラエルの飛行機が飛んでこないこと」って言う。非常に具体性を帯びている。
S 日本の九条は、単に日本のためにあるのではなくて、この星を、地球を、地球から戦争をなくし、軍隊をなくすためにある。

T レニングラードがかつてナチスによって、約900日封鎖され餓死者が出る。ラジオオーケストラもメンバーが半分、死ぬ。残った人たちだけでコンサートをやるが、満席になる。
T-2 戦火の封鎖された中でショスターコヴィッチは交響曲第7番という名作を書く。砲弾が毎日雨あられと飛んでくる中で書いた。人間って不思議なものだなと思います。
T-3 ひのまどか『戦火のシンフォニー』新潮社:「音楽を聴いている間は、お腹が空いていることも怖さも辛さもすべて忘れられるんだ」とレニングラードの戦火、封鎖の中で音楽を聴いた人の証言。

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『妖怪学の祖、井上圓了』菊地章太(ノリタカ)(1959生)、角川選書、2013年

2015-05-06 12:28:20 | Weblog
プロローグ
A 井上圓了は明治維新の10年前に生まれた。エリート官僚を拒み、哲学を選び、妖怪を研究し、仏教の改革につとめた。
A-2 植木等は東洋大出身。父は僧侶で、解放運動に奔走。(Cf. 駒澤大学=曹洞宗大学。)

B 圓了にはユーモアがあった。
B-2 「パリ育ちのような人」:圓了についてのラフカディオ・ハーンの第一印象。


第1章 哲学者圓了:「現象即実在論」&「護国愛理」
A 圓了の3態:①哲学者、②妖怪学の祖、③宗教改革者。
B 生家は真宗大谷派。1868年、長岡藩浦村生まれ。
C 自伝は残さない。&筆も振るわない主義(後者については資金集めのため撤回。)
D 石黒忠直(タダノリ)(後に明治の医学界に君臨:軍医総監、日本赤十字社社長)が、10歳の圓了に大きな影響を与えた。

E 圓了の大きな出来事。
①戊辰戦争→圓了は官に籍を置かず。「朝敵長岡の出身、圓了」。
②廃仏毀釈→圓了は仏教を捨て、哲学を選ぶ。圓了は故郷を捨てる。

F 圓了はパーレー『万国史』を学生時代(1874年、16歳)に読む。
F-2 その後、圓了は、東本願寺の教師教校(英学科)に入学。
F-3 東本願寺留学生として東大予備門(後の旧制一高)に入学(1878年)。
F-4 東大文学部哲学科入学(1881年)。

G 「哲学」の語は、哲学第1世代の西周が作り、第2世代が井上哲次郎と圓了。
G-2 “井の哲”は“stupid”と言われた。
G-3 “井の哲”の「現象即実在論」は、口だけ。
G-4 圓了の「現象即実在論」:「真如」の教え。真理は現象に具現している。
G-5 西田哲学の「絶対矛盾的自己同一」は、「現象即実在論」!実在(イデア)は現実そのものでなければならない。

H 圓了『仏教活論序論』(1887):仏教を西洋哲学の概念で理解。圓了の最も読まれた著作。

I 「護国愛理」が圓了の覚悟!(「理」は真理、「愛理」は哲学の意。)
I-2 内村鑑三の「二つのJ」:JesusとJapan。

J 圓了30歳、1887年(M20)、哲学館開館。
J-2 圓了の『哲学一夕話』を読み、佐々木信綱、第1期生。
J-3 圓了は「通俗をして了解しやすからしむる」ことを文章道の極意とした。

K 勝海舟が圓了の気概に感じ、援助した。
K-2 哲学館の維持のため、海舟のアドバイスにより、圓了が全国巡講。
K-3 「海舟翁は実に余が精神上の師なり」(圓了)


第2章 妖怪学者圓了:迷信撲滅をめざす「合理的思考の啓蒙家」
A 迷信の妖怪を恐れないのが、哲学の第1歩。
A-2 合理的な考え方を尊ぶ合理的思考の対極としての迷信=妖怪。
A-3 「普通の道理を以て解釈す可からざる者」が妖怪または不思議。

B 「余幼くして妖怪を聞くことを好み長じて真理を極めんと欲し」と圓了。
B-2 ベルツ:「狐憑病」説(1885)。
B-3 圓了:迷信をなくすため「教育の普及」が必要。

C コックリさんの実体解明。
C-2 下田の西洋人船員のテーブル・ターニング=降霊術が起源。
C-3 人間の潜在意識が筋肉を動かす。つまり「予期意向」にもとづく「不覚筋動」。(圓了)

D 金沢市のポルターガイスト現象。
E 幽霊写真:「ガラス」を良く磨かないと前の写真が朦朧として残る。

F 真宗説教=善巧方便(ゼンギョウホウベン)としての妖怪学。→哲学普及。
G 真宗は合理的で、「門徒、物忌み知らず」と言われる。
H 怪異とは理解しがたい出来事(コト)、妖怪はモノ:圓了の立場。(小松和彦氏も同じ。)

I 哲学は「諸学の根拠」、妖怪学は「諸学の応用」!
I-2 パラダイム・シフト:ある時代に共通の思考のありようがシフトする。Ex. 「知恵ある者」から「知恵を愛する者」への哲学の誕生。
I-3 「不思議な現象は妖怪のしわざ」(Ex. 船幽霊論)との前近代のパラダイムからシフト。
I-4 哲学と妖怪学は表裏一体。


第3章 妖怪学者圓了の宿敵たち:柳田、圓朝、ラフカディオ・ハーン、王仁三郎、鏡花
(1)柳田國雄:圓了に「徹頭徹尾反対」
A 柳田國雄:人々はなぜ迷信(=民間信仰と言うべき)を信じるのか?
A-2 『遠野物語』(1910)(119章):Ex. 風の強い日には、サムトの婆が帰ってくる。柳田は圓了に「徹頭徹尾反対」。
A-3 柳田『お化けの正体』130章、1914年。

B 官学に対し田学と圓了は言う。ただし日本民俗学会(1912)は好事家の集まりに終わる。

C 新渡戸の地方(ジカタ)学に柳田が合流し、1913年『郷土研究』→民俗学の発展。
C-2 ハイネ『流された神々』(1853):キリスト教によって追いやられた古い神々。
C-3 柳田の妖怪研究へのハイネの影響。→妖怪は神々の零落したもの。原因は仏教。
C-4 ただし日本では、物の感じ方の根本は変わらず。八百万の神々と妖怪の境目あいまい。

(2)三遊亭圓朝:「開化先生方」は怪談がお嫌い
D 圓朝『真景累ヶ淵』:「開化先生方」は怪談がお嫌い。
D-2 下総国羽生村、累という女。田畑狙いの婿が、顔かたちの良くない累を川に突き落とし殺す。新しい美人の嫁が産んだ娘に、累の霊が憑りつく。
D-3 不条理な因果・定めが、人を悲劇に落とす。

E 圓朝自身の立場:「幽霊は、いると思う人にはいる。いないと思う人にはいない。」
F 圓了は、合理主義=人知によって知り得ないものの存在を認める。→「真怪」。
G 明治8年(1975)、圓朝主催の怪談会=「百物語」の会。
H 明治末年には怪談ブーム=日露戦争後。→泉鏡花。

(3)ラフカディオ・ハーン:圓了が否定したもの中に「悲しく美しい日本」がある
I 二人は会っている。→ハーン(42歳)にとって、圓了(34歳)は反面教師だった。
J 圓了は「西洋哲学と東洋哲学の融合」をめざしたと、ハーン。
K 圓了が否定したもの中に「悲しく美しい日本」があるとハーン。

(4)大本教教祖、出口王仁三郎(オニサブロウ):現実世界と神霊世界が溶け合った世界へ
L 出口王仁三郎は、「妖怪学は仮怪(ケカイ)を開きて真怪(シンカイ)に入るの門路である」(圓了)の言葉にのみ共感。
L-2 王仁三郎は、現実世界と神霊世界が溶け合った世界、広大無辺の霊の花園へ、

(5)夏目漱石:文学の課題は西洋流の愛や自我
M 「幽霊と雲助は維新以来永久廃業した」と漱石。
M-2 西洋流の愛や自我が、文学の課題。

(6)泉鏡花:明治末年は怪談流行
N 泉鏡花:①能の幻想世界&幽霊の影響。②上田秋成の影響。
O 明治末年は怪談流行。鴎外も『鼠坂』、漱石は『夢十夜』を書く。

(7)水木しげる:妖怪伝承の記録作業
P 『墓場鬼太郎』:幽霊族最後の生き残り。
P-2 水木しげるによる妖怪伝承の記録作業。Cf. 圓了『妖怪学講義』(6冊)。

(8)京極夏彦『姑獲鳥(ウブメ)の夏』
Q 姑獲鳥(=産女):死んでも赤ちゃんを育てる幽霊。

(9)井上圓了の立場
R 幽霊は物理上はありえないが心理上はありうる。「幻覚妄想注意信仰予期感情等」。

S 「死者が死後に、生前の姿でこの世にあらわれたもの」=「幽霊」(小松氏)。
S-2 幽霊は名前と個性がある。それらが失われると妖怪=お化け。
S-3 ウブメは幽霊というより妖怪。

T 圓了:妖怪は「否定さるべき前近代」。→東洋大妖怪学はこの妖怪撲滅精神を引き継ぐ。


第4章-1 宗教改革者圓了:仏教を哲学として理解する=「唯物唯心を合したる中道」
A 迷信の総元締めである宗教の改革をめざす:圓了。
A-2 圓了は「宗教家知名度」第4位(1899年)。

B 『真理金針』(1886-87):キリスト教排撃の書。仏教の復興を掲げる。
B-2 耶蘇教を「純正哲学」=形而上学の視点から批判。
B-3 さらに同じ視点で仏教を吟味。→仏教は形而上学的批判に耐えうる普遍的思想である。

C 『仏教活論序論』(1887年、圓了30歳):圓了の最も読まれた本。仏教に活を入れ仏教を新時代に生かしていく。圓了は「今釈迦」と言われた。

D 初め、圓了は仏教、儒学、耶蘇教、いずれも「真理」でないと思った。
D-2 それから十余年、哲学を研究。真理は西洋の哲学の中にある。
D-3 その上で、再検討。耶蘇教、儒学に真理はない。しかし仏教は西洋の哲理に合致する。
D-4 「仏教を改良して、これを開明世界の宗教となさん」と圓了、明治18年=「余が仏教改良の紀年」!

E 仏教の中道とは、「唯物唯心を合したる中道」、「主観客観を兼ねたる中道」である。
E-2 見る影もなくなった仏教を、俗人の立場で立て直す:圓了。仏教を哲学として理解。

F アジアの同朋における圓了の重要性。
F-2 中国では明治維新にならう戊戌政変。康有為が中心。光緒末年、1890年代。仏教を哲学として理解する圓了の著作が中国語に翻訳される。
F-3 代表は楊文会:在家修行者の居士仏教。

G 仏教を哲学として理解する圓了の姿勢→西田幾多郎へ。
G-2 和辻哲郎も圓了の姿勢を引き継ぐ。1927年、『原始仏教の実践哲学』が学位論文。
G-3 さらに中村元へ。


第4章-2 仏教改革:圓了「修身教会」(教育勅語の宣揚)、日蓮宗の田中智学「国柱会」(「護法護国」)、清澤満之、河口慧海
H 仏教の哲学的理解から発し、寺院・既成教団から離れた宗教実践へ。
H-2『修身教会設立旨趣』(1903年、哲学館):仏教により国民道徳を盛んにする。
H-3 宗教即道徳論(井上哲次郎)に対し、圓了は反論。理性の限界内で道徳を考えない。道徳は信仰に立脚する。
H-4 圓了:教育勅語が道徳の基本。それを仏教が根拠づける。(『修身教会雑誌』1904年)

I 修身教会運動はプロテスタントをモデルとする。
I-2 ただし圓了はユニテリアン(キリスト教から宗教らしさをぬぐい切った一派)を批判。弟子たちに、“真仏教”と名乗れと言う。
I-3 福沢はユニテリアンをほめた。ユニテリアンは宗教的超越性を否定。社会運動に傾く。
I-4 内村はユニテリアンを嫌う。内村は、現実一辺倒の福沢を「宗教の敵」と攻撃。

J 日蓮宗の在家仏教:田中智学。護国の主体をめざし「護法護国」。Cf. 圓了は「護国愛理」!
J-2 在家主義の「国柱会」:寺院・僧侶の日蓮宗を改め、教え・信徒の日蓮宗をめざす。
J-3 圓了は日蓮宗に期待。仏教は、死後教でなく、生前教である。

K 清澤満之(マンシ)(旧姓、徳永):圓了をしたう。真宗大谷派の改革をめざすが挫折。
K-2 雑誌『精神界』を創刊。満之は絶対無限者=阿弥陀仏への帰依を表明。
K-3 満之の新しい真宗は、プロテスタントに近い。

L 河口慧海:哲学館の卒業生。圓了から直接、教えを受ける。
L-2 漢訳の大蔵経を読み、その原典に近いチベット語訳本を見たいと、慧海はチベットへ。
L-3 在家(ウパーサカ)の仏教こそ、仏教の改革者となれる:慧海。
L-4 圓了が、河口慧海の記事を新聞に載せ、慧海を有名人にする。

M 内村鑑三:無教会主義。原始キリスト教に教会はなかった。
M-2 田中智学の日蓮主義、河口慧海の根本仏教と、内村の無教会主義は共鳴する。
M-3 内村は「生ける教会」の建設を目指した。「腐った」教会はいらない。

N 柳宗悦(ヤナギムネヨシ):圓了が否定した前近代を、柳は肯定。(柳は、1919年から東洋大で宗教哲学を講義。)浪漫主義の大正は、捨て去った過去=江戸時代を再発見した。
N-2 江戸時代は篤信の時代。仏教が普く人々のものになり切った時代。
N-3 信をともなう美=典礼儀式を重んじない信心は畸形であると、柳宗悦。
N-4 圓了も、新仏教徒のための儀式礼法の確立を求める。
N-5 西洋にひかれた宗悦も、やがて仏教に真理を見出す。圓了と同じ。


エピローグ:「独立自活の精神」(哲学館事件、専門学校令)、教育勅語、「護国愛理」
A 哲学館事件(1902年):哲学館に対し、中等教員免許状の無試験認定校の認可を文部省が取り消す。不敬の疑い。弑逆(シイギャク)の文字が試験問題の解答の中にあった。
A-2 1903年、専門学校令では、文部省は哲学館の存続を許可。→「独立自活の精神が失われると圓了は哲学館の廃校を決意。しかし諌められ廃校はせず。
A-3 1904年、哲学館は、私立哲学館大学となる。
A-4 圓了、神経衰弱となり、1905年、哲学館大学長を辞任。→圓了は、自分は死んだと仮定し、哲学堂に独居。

B 専門学校令発布で、廃校を断行した長谷川泰(1842年生、長岡藩)の済世学舎。
B-2 開業医速成のため長谷川泰が済世学舎設立。
B-3 戊辰戦争の怨念で山県が、長岡藩軍医の長谷川泰を恨み、済世学舎をつぶした。
B-4 長谷川による廃校宣言後、私立日本医学校(後の日本医科大)として再出発。

C 井上哲次郎:教育勅語を絶対化する倫理的宗教創設の主張。
C-2 圓了は反対。修身道徳の根底に宗教を据えるべき。→哲学館事件の遠因。

D 教育勅語が圓了の立ち位置だった。修身教会運動で、勅語を宣揚。古い迷信を打破し、宗教の改革を目指した近代人圓了の姿勢に即応。

E 1919年、井上圓了死去(62歳):「非僧非俗」、「無位無官」の圓了。
E-2 誰にも束縛されず“真理を愛し、国を愛する”(「護国愛理」)。
E-3 教育勅語について述べた『忠孝活論』でも同じ趣旨。

F 井上圓了は埋もれてしまった。啓蒙家は埋もれる。
G 「豪快にして変人」の圓了。原因が分からず妖怪のせいにされた多くの自然現象の巨大な収集。そして学問の「横断」をした。

あとがき
著者、菊地章太(ノリタカ)は東洋大で妖怪学担当。

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