1 杉本ルカ:銀映館の映写技師
杉本ルカ、映画館、銀映館の技師長(映写技師)、21歳。祖父、剛造さんも銀映館の映写技師で、彼女はその跡を継いだ。
彼女は高校卒業後、丸3年間、映画館から一歩も出ていない。映画館の中で暮らす。
1-2 宮瀬恵介:銀映館のアルバイト
ぼくは宮瀬恵介。映写技師の杉本ルカが足にケガをしたので、それが治るまでぼくが、銀映館で映写助手のアルバイトをする。
支配人の南川さんが採用条件を3つ示す。①杉本ルカに、過去について質問しない。②彼女は月曜日に神経質になるので注意する。③恋愛は御法度。
2 授業料が払えず大学を休学:恵介
銀映館には、第1から第3映写室まである。第1映写室は、杉本ルカが眠る部屋。
ぼく、宮瀬恵介(21歳)は大学3年が終わったが休学。授業料がない。地元の足利にもどってアルバイトで金を貯める予定。
恵介は小学校の教師になりたい。
3 母親に金をせびりに来る:恵介の父親
恵介の父親は、彼が高2の時、家を出る。父親は、競馬・パチンコに狂い、サラ金から300万円の借金。母親が借金を肩代わりした。
親父が、母親に金をせびりに来る。弟の春人(高2、17歳)が、父親を撃退する。
母親は、「結婚したからには、夫に対し責任がある」、「夫が犯罪に手を染めるのを防ぐため」と思い、父親に金を渡す。
4 人生に負け続け身内をいたぶる:オヤジ
恵介の親父は、人生に負け続けた。大学も2浪してあきらめる。
外ではおとなしく、いい人。しかし身内をいたぶる。恵介は子供の頃、父親から「最低」、「低能」、「最悪」と言われ続けた。
しかし恵介が14歳の時、弟10歳をいたぶる父親の背中を思い切り蹴飛ばす。あの一蹴りで世界が逆転。オヤジがビクビクするようになった。
5 ウルシダセブンと「月曜日のルカ」
チケット売り場の江花さんが、技師長のルカのうわさ話を、恵介に言う。
高校二年の時、東高にウルシダという美少年がいて、彼には曜日ごとに1人ずつ、7人の彼女がいた。彼女らはウルシダセブンと呼ばれた。
技師長のルカは「月曜日のルカ」だった。彼女は嫉妬から「日曜日のアンナ」を屋上から突き落とし、他の曜日の子を不登校・引きこもりに追い込んだ。
6・7 恵介の独り立ち祝い:ルカ
技師長のルカのチェックなしに、恵介、初めてフィルムをかけ映写できる。
恵介の独り立ち祝いを、ルカが映写室でしてくれる。
昔、ルカが独り立ちしたとき、おじいちゃんの剛造さんから御祝いしてもらってうれしかったので、恵介にも御祝いしたとのこと。
8 支配人の南川さん:「杉本のこと、頼む」と恵介に言う
ルカの足のケガが治る。恵介のアルバイトは終わりのはずだった。しかし遅番担当で、恵介、銀映館の映写助手のアルバイトを続ける。
支配人の南川さんが「杉本のこと、頼む」と恵介に言う。また「宮瀬君がいつか杉本を外に連れ出してくれるんじゃないか」と言う。
ルカが、「移動映写機を持ってあちこち出かけたい」。「出張映写したい」と言う
9 柏木礼二:「いつも女につきまとわれ、大変!」
午前中、恵介は、あしかが運輸でアルバイト。午後は、銀映館で遅番のアルバイトをし、その後、ルカとビールを飲む生活パターン。
銀映館からの帰り、モデルみたいな外見の見知らぬ男が、恵介に声をかける。「お前の他に映写技師は居ないのか?」と質問。「居ない!」と恵介が答える。
翌日、あしかが運輸でその男もアルバイトをしていた。名前は、柏木礼二。「いつも女につきまとわれ、大変な思いをしてきた」とレイジ。
10 「自分を傷つけた。謝れ。」と泣き続ける:ウルシダレイジ
恵介が大学の話をすると、大学に行けなかったレイジが「自分がいい大学に通って、俺を傷つけた」と、突然怒る。そして、21歳の男、レイジがぼろぼろと泣く。
レイジは「自分を傷つけた。謝れ。」と30分ぐらい泣き続ける。仕方なく恵介が「悪かったよ。」と謝る。
レイジが「携帯の番号とアドレスを教えてくれ」と恵介に言う。恵介が教える。
バイトの時も、レイジは我が儘を言って泣いたり、仕事をさぼるという。「バックレレイジ」で有名。
親が離婚したのでレイジは姓が変わった。旧姓はウルシダレイジ。東高のウルシダセブンの相手。
11 恵介とルカ:ほんの短いキス
ルカが元気なく、恵介に「知らないアドレスからのメールは、見ないで!」と言う。
恵介が「好きだよ、ルカ」と言う。ルカが「あたしも好きだよ、恵介」と答える。二人のほんの短いキス。
11-2 「レイジは寂しがり屋、しがみついて泣きながら射精する」
レイジのことで、バイトの同僚の知り合いの女性から、電話が恵介に来る。
「レイジから謝れ、謝罪しろとメールが大量に来て大変」、「レイジの話の90%が嘘」、「職場のたくさんの女の子がレイジに引っかかる」、「レイジはその職場の女は全部、自分のものと偏執的に思う」、「一夫多妻気取り」とのこと。
さらに「レイジは女の子を何人も妊娠させた」、「レイジは寂しがり屋、しがみついて泣きながら射精する」という。
12 ルカ:恵介にキスは望むが、それ以上は拒む
13 ウルシダレイジ:漆田医院の息子。女の子を「七股」する(=ウルシダセブン)
14 「ルカと別れろ」とレイジが恵介に言う
レイジが金で、高校生など男6人を雇い、恵介を脅す。「銀映館に他に映写技師(ルカ)が居たのに、『居ない』と嘘をついた」とレイジが恵介を非難する。
「恵介と別れて俺とつきあえ!」とレイジがルカに強要し、「全裸の写真を恵介に送る」と脅したと言う。
レイジは、恵介にも、「ルカと別れろ」と言う。「俺の女だ」とレイジ。
恵介が「ルカと別れない」と言うと、レイジは、男6人に恵介を暴行させる。恵介は、かろうじて暴行から逃れる。
15 ルカはレイジとつきあっていた
ケガで恵介は、銀映館も、あしかが運輸も、アルバイトを休む。
恵介が、ルカと話す。「かわいそうなのよ、あの人は!」とルカ。
ルカはレイジとつきあっていた。彼に頼まれ、ルカはアパートを借りる。レイジは月曜日に来る。
17歳のルカはレイジの「七股」を知っても、どうにもならなかった。
15-2 「日曜日のアンナ」の自殺
レイジと一番つきあいが長かった「日曜日のアンナ」が自殺。その直前に、アンナからルカに遺書のメールが来る。
「疲れた」とアンナ。レイジは、東高で、他に6人の相手とつきあう。「あの人は、嘘まみれ」とアンナ。彼女はレイジの子を2度、妊娠。3度目の時、「赤ちゃんと3人で幸せになろう!」とレイジは平気で嘘を言った。
「未来なんていらない。思い出もいらない。私という人間もいらない。」とアンナ。
そして「彼を信用したり、救おうとしても駄目」と言う。
15-3 ルカが「まっとうに生きたい」と思う:レイジが非難する
ルカはアンナのメールを、「レイジのことが好きなので、公表しないでほしい」という女の子がいたため、公表しなかった。
ルカは「なんておかしな人と、つきあってるんだろう」と気づき、「まっとうに生きたい」と思う。
するとレイジの態度が変わる。「俺をちゃんと愛せないのか?」とののしる。
高3のルカが受験勉強しようとすると「一人にしないでくれ」とレイジが泣きわめく。
末期ガンのおじいちゃんに付き添うと「何で会ってくれないんだ」とレイジ。
15-4 レイジ:不安をいつも抱える
レイジは女の子に捨てられるのが怖くて、色んな女の子と関係を持つ。
彼は6歳の時、双子の兄が目の前で、頭を車に轢かれ、死ぬのを目撃。以後、不安をレイジはいつも抱える。
ルカは、レイジに優しくしようと思い、「最後の月曜日」と決め、レイジと会う。「寂しい」と泣きじゃくるレイジ。
しかし、この日、おじいちゃんは亡くなり、死に目にルカは会えなかった。
15-5 ルカ:レイジと決別する
ルカは、「レイジと決別する」と他の女の子たちに宣言する。すると彼女たちもレイジから離れる。
レイジは、あわて、「月曜日のルカ」のでっち上げ物語を、チェーンメールで広める。
15-6 映写室に3年閉じこもると、ルカが決める
ルカは、おじいちゃんの死に目に立ち会わなかった罰で、映写室に3年閉じこもると、決める。
「深い体の結びつきはいらない。安心して眠るための優しいキスだけほしい」とルカが恵介に言う。
「ルカを思う俺の気持ちは、ずっと変わらない」と恵介。「好きだ」とルカ。
16 東京の大学へもどると決める:恵介
恵介、大学にもどるため足利を発ち、東京へ行くと決める。
「教師になりなさい」とルカ。そして「時々、お休みを貰って恵介に会いに行く」と言う。
恵介が、裸のルカを抱く。
「思い返せば誰もが誰かにシグナルを発していた。届くか届かざるかに関係なく。」と恵介が思う。
16-2 始発、日の出前の列車
翌朝、恵介が、「母ちゃんをよろしく」と弟の春人に頼む。
始発、日の出前の列車に恵介が乗る。
しばらくして、電柱と電柱の間に張られたスクリーンに、移動映写機でルカが映写する映画を、恵介は車内から見る。
《評者の感想》
1
高校生の女の子の初めての恋愛、その危うさ。ルカは、ウルシダセブンの一人と知りながら、恋人の男を許し受け入れる。
これは、ただし著者が男ゆえの、願望の表現でもあるから要注意。
2
ウルシダレイジの自己中心性、非社会性、虚言癖。彼はこの物語の要の人物だが、彼のシグナルに意義があると思えない。
双子の兄の死を目撃すれば、心的外傷を受け、病気だから、レイジは何をしようと許される。
このようなシグナルは、無意義である。
3
ルカと恵介の関係は、純情ゆえに強い。人と人の関係は、心と心の関係に基づくとき、最強となる。
杉本ルカ、映画館、銀映館の技師長(映写技師)、21歳。祖父、剛造さんも銀映館の映写技師で、彼女はその跡を継いだ。
彼女は高校卒業後、丸3年間、映画館から一歩も出ていない。映画館の中で暮らす。
1-2 宮瀬恵介:銀映館のアルバイト
ぼくは宮瀬恵介。映写技師の杉本ルカが足にケガをしたので、それが治るまでぼくが、銀映館で映写助手のアルバイトをする。
支配人の南川さんが採用条件を3つ示す。①杉本ルカに、過去について質問しない。②彼女は月曜日に神経質になるので注意する。③恋愛は御法度。
2 授業料が払えず大学を休学:恵介
銀映館には、第1から第3映写室まである。第1映写室は、杉本ルカが眠る部屋。
ぼく、宮瀬恵介(21歳)は大学3年が終わったが休学。授業料がない。地元の足利にもどってアルバイトで金を貯める予定。
恵介は小学校の教師になりたい。
3 母親に金をせびりに来る:恵介の父親
恵介の父親は、彼が高2の時、家を出る。父親は、競馬・パチンコに狂い、サラ金から300万円の借金。母親が借金を肩代わりした。
親父が、母親に金をせびりに来る。弟の春人(高2、17歳)が、父親を撃退する。
母親は、「結婚したからには、夫に対し責任がある」、「夫が犯罪に手を染めるのを防ぐため」と思い、父親に金を渡す。
4 人生に負け続け身内をいたぶる:オヤジ
恵介の親父は、人生に負け続けた。大学も2浪してあきらめる。
外ではおとなしく、いい人。しかし身内をいたぶる。恵介は子供の頃、父親から「最低」、「低能」、「最悪」と言われ続けた。
しかし恵介が14歳の時、弟10歳をいたぶる父親の背中を思い切り蹴飛ばす。あの一蹴りで世界が逆転。オヤジがビクビクするようになった。
5 ウルシダセブンと「月曜日のルカ」
チケット売り場の江花さんが、技師長のルカのうわさ話を、恵介に言う。
高校二年の時、東高にウルシダという美少年がいて、彼には曜日ごとに1人ずつ、7人の彼女がいた。彼女らはウルシダセブンと呼ばれた。
技師長のルカは「月曜日のルカ」だった。彼女は嫉妬から「日曜日のアンナ」を屋上から突き落とし、他の曜日の子を不登校・引きこもりに追い込んだ。
6・7 恵介の独り立ち祝い:ルカ
技師長のルカのチェックなしに、恵介、初めてフィルムをかけ映写できる。
恵介の独り立ち祝いを、ルカが映写室でしてくれる。
昔、ルカが独り立ちしたとき、おじいちゃんの剛造さんから御祝いしてもらってうれしかったので、恵介にも御祝いしたとのこと。
8 支配人の南川さん:「杉本のこと、頼む」と恵介に言う
ルカの足のケガが治る。恵介のアルバイトは終わりのはずだった。しかし遅番担当で、恵介、銀映館の映写助手のアルバイトを続ける。
支配人の南川さんが「杉本のこと、頼む」と恵介に言う。また「宮瀬君がいつか杉本を外に連れ出してくれるんじゃないか」と言う。
ルカが、「移動映写機を持ってあちこち出かけたい」。「出張映写したい」と言う
9 柏木礼二:「いつも女につきまとわれ、大変!」
午前中、恵介は、あしかが運輸でアルバイト。午後は、銀映館で遅番のアルバイトをし、その後、ルカとビールを飲む生活パターン。
銀映館からの帰り、モデルみたいな外見の見知らぬ男が、恵介に声をかける。「お前の他に映写技師は居ないのか?」と質問。「居ない!」と恵介が答える。
翌日、あしかが運輸でその男もアルバイトをしていた。名前は、柏木礼二。「いつも女につきまとわれ、大変な思いをしてきた」とレイジ。
10 「自分を傷つけた。謝れ。」と泣き続ける:ウルシダレイジ
恵介が大学の話をすると、大学に行けなかったレイジが「自分がいい大学に通って、俺を傷つけた」と、突然怒る。そして、21歳の男、レイジがぼろぼろと泣く。
レイジは「自分を傷つけた。謝れ。」と30分ぐらい泣き続ける。仕方なく恵介が「悪かったよ。」と謝る。
レイジが「携帯の番号とアドレスを教えてくれ」と恵介に言う。恵介が教える。
バイトの時も、レイジは我が儘を言って泣いたり、仕事をさぼるという。「バックレレイジ」で有名。
親が離婚したのでレイジは姓が変わった。旧姓はウルシダレイジ。東高のウルシダセブンの相手。
11 恵介とルカ:ほんの短いキス
ルカが元気なく、恵介に「知らないアドレスからのメールは、見ないで!」と言う。
恵介が「好きだよ、ルカ」と言う。ルカが「あたしも好きだよ、恵介」と答える。二人のほんの短いキス。
11-2 「レイジは寂しがり屋、しがみついて泣きながら射精する」
レイジのことで、バイトの同僚の知り合いの女性から、電話が恵介に来る。
「レイジから謝れ、謝罪しろとメールが大量に来て大変」、「レイジの話の90%が嘘」、「職場のたくさんの女の子がレイジに引っかかる」、「レイジはその職場の女は全部、自分のものと偏執的に思う」、「一夫多妻気取り」とのこと。
さらに「レイジは女の子を何人も妊娠させた」、「レイジは寂しがり屋、しがみついて泣きながら射精する」という。
12 ルカ:恵介にキスは望むが、それ以上は拒む
13 ウルシダレイジ:漆田医院の息子。女の子を「七股」する(=ウルシダセブン)
14 「ルカと別れろ」とレイジが恵介に言う
レイジが金で、高校生など男6人を雇い、恵介を脅す。「銀映館に他に映写技師(ルカ)が居たのに、『居ない』と嘘をついた」とレイジが恵介を非難する。
「恵介と別れて俺とつきあえ!」とレイジがルカに強要し、「全裸の写真を恵介に送る」と脅したと言う。
レイジは、恵介にも、「ルカと別れろ」と言う。「俺の女だ」とレイジ。
恵介が「ルカと別れない」と言うと、レイジは、男6人に恵介を暴行させる。恵介は、かろうじて暴行から逃れる。
15 ルカはレイジとつきあっていた
ケガで恵介は、銀映館も、あしかが運輸も、アルバイトを休む。
恵介が、ルカと話す。「かわいそうなのよ、あの人は!」とルカ。
ルカはレイジとつきあっていた。彼に頼まれ、ルカはアパートを借りる。レイジは月曜日に来る。
17歳のルカはレイジの「七股」を知っても、どうにもならなかった。
15-2 「日曜日のアンナ」の自殺
レイジと一番つきあいが長かった「日曜日のアンナ」が自殺。その直前に、アンナからルカに遺書のメールが来る。
「疲れた」とアンナ。レイジは、東高で、他に6人の相手とつきあう。「あの人は、嘘まみれ」とアンナ。彼女はレイジの子を2度、妊娠。3度目の時、「赤ちゃんと3人で幸せになろう!」とレイジは平気で嘘を言った。
「未来なんていらない。思い出もいらない。私という人間もいらない。」とアンナ。
そして「彼を信用したり、救おうとしても駄目」と言う。
15-3 ルカが「まっとうに生きたい」と思う:レイジが非難する
ルカはアンナのメールを、「レイジのことが好きなので、公表しないでほしい」という女の子がいたため、公表しなかった。
ルカは「なんておかしな人と、つきあってるんだろう」と気づき、「まっとうに生きたい」と思う。
するとレイジの態度が変わる。「俺をちゃんと愛せないのか?」とののしる。
高3のルカが受験勉強しようとすると「一人にしないでくれ」とレイジが泣きわめく。
末期ガンのおじいちゃんに付き添うと「何で会ってくれないんだ」とレイジ。
15-4 レイジ:不安をいつも抱える
レイジは女の子に捨てられるのが怖くて、色んな女の子と関係を持つ。
彼は6歳の時、双子の兄が目の前で、頭を車に轢かれ、死ぬのを目撃。以後、不安をレイジはいつも抱える。
ルカは、レイジに優しくしようと思い、「最後の月曜日」と決め、レイジと会う。「寂しい」と泣きじゃくるレイジ。
しかし、この日、おじいちゃんは亡くなり、死に目にルカは会えなかった。
15-5 ルカ:レイジと決別する
ルカは、「レイジと決別する」と他の女の子たちに宣言する。すると彼女たちもレイジから離れる。
レイジは、あわて、「月曜日のルカ」のでっち上げ物語を、チェーンメールで広める。
15-6 映写室に3年閉じこもると、ルカが決める
ルカは、おじいちゃんの死に目に立ち会わなかった罰で、映写室に3年閉じこもると、決める。
「深い体の結びつきはいらない。安心して眠るための優しいキスだけほしい」とルカが恵介に言う。
「ルカを思う俺の気持ちは、ずっと変わらない」と恵介。「好きだ」とルカ。
16 東京の大学へもどると決める:恵介
恵介、大学にもどるため足利を発ち、東京へ行くと決める。
「教師になりなさい」とルカ。そして「時々、お休みを貰って恵介に会いに行く」と言う。
恵介が、裸のルカを抱く。
「思い返せば誰もが誰かにシグナルを発していた。届くか届かざるかに関係なく。」と恵介が思う。
16-2 始発、日の出前の列車
翌朝、恵介が、「母ちゃんをよろしく」と弟の春人に頼む。
始発、日の出前の列車に恵介が乗る。
しばらくして、電柱と電柱の間に張られたスクリーンに、移動映写機でルカが映写する映画を、恵介は車内から見る。
《評者の感想》
1
高校生の女の子の初めての恋愛、その危うさ。ルカは、ウルシダセブンの一人と知りながら、恋人の男を許し受け入れる。
これは、ただし著者が男ゆえの、願望の表現でもあるから要注意。
2
ウルシダレイジの自己中心性、非社会性、虚言癖。彼はこの物語の要の人物だが、彼のシグナルに意義があると思えない。
双子の兄の死を目撃すれば、心的外傷を受け、病気だから、レイジは何をしようと許される。
このようなシグナルは、無意義である。
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ルカと恵介の関係は、純情ゆえに強い。人と人の関係は、心と心の関係に基づくとき、最強となる。