推理小説だが、Ⅰ放射能汚染食品の三角輸入と横流し、Ⅱ輸入品の廃棄・積戻し処分を利用したココム違反と覚せい剤密輸入など、政治・経済の分野の新しい知見の観点から、まとめた。
Ⅰ 放射能汚染食品の三角輸入&横流し
1986年チェルノブイリ原発事故後、ポーランドの牛肉の放射能汚染が起きた。
当時は一般人の被曝許容線量は年間5ミリシーベルト。(その後、ICRP(国際放射線防護委員会)は1ミリシーベルトにさげる。)
日本の法律では、食品輸入の相手国は明記されるが、原材料の産地国は明記しなくてよい。
「インド産ハブ茶」と「シンガポール産牛肉」から基準値を超える放射能が検出されたとの記事が、中央新聞社の『中央ジャーナル』に掲載される。(※フィクション)
牛肉は自由化前、輸入数量規制が行われていた。乾草牛肉は規制外。牛丼チェーン松田屋が乾草牛肉をシンガポールから輸入。(※フィクション)
シンガポールは自国への放射能食品持込を許さないが、他国へ再輸出されるなら、放射能汚染食品の輸入OK。
ダメージ屋が食品業界にはいる。食品は傷みやすいため、問題がある食品をダメージ屋が引き取る。彼らが放射能汚染食品の処分に絡むことがありうる。
食品衛生監視員(食品G メン)、また検疫所が、廃棄するはずの放射能汚染食品の横流しを追及する。
Ⅱ ココム違反&覚せい剤密輸入:輸入品の廃棄・積戻し処分を利用
五香貿易(※フィクション)はココア調製品(脱脂粉乳の含有率75%以下)の廃棄・積戻しで損害を受ける。しかし五香貿易は、一方で保険から支払いを受け、他方でポーランド政府にバーター率を変えてもらい、穴埋め可能。
乳製品は、米や小麦と同じ国家貿易品目で、輸入枠や取り扱う貿易商社が限定されている。これに対しココア調製品なら自由に輸入可能。
しかし、実は五香貿易は何度も放射能汚染のココア調製品を積み戻しして、先端技術製品のCPUなどをポーランドに送っていた。ココム違反。
他方、暴力団赤崎組(※フィクション)が、ココア調製品の廃棄・積戻し処分を利用して、覚せい剤を密輸入。
両者ともに、コンテナ内部を詳しく調べられることがない「コンテナ扱い」が前提。普通、輸出入について「コンテナ扱い」を受けられるのは大商社のみ。
Cf. 横流しをカモフラージュするため、運送会社などトンネル会社がある。
Cf. 東南アジアは食品の放射能の基準が厳しい。(1)原発がないため。(2)放射能汚染食品を他国から押し付けられないため。
《評者の感想》
政治や経済の分野について、多くの新しい知見が得られて良かった。
①放射能汚染食品の三角輸入問題。原産地国を隠すため、一度別の国に輸出し、そこから再輸出させる。食品輸入の相手国は明記されるが、原材料の原産地国は明記されないため。なるほど、こういうカラクリがあるのかと驚く。
②加工貿易基地国として発展したシンガポールの抜け目なさに唖然。
③外食チェーンが安い材料の仕入れのため、あらゆる手段を使うと分かる。例えば乾草牛肉を使う牛丼屋。
④ダメージ屋が食品業界にいる。蛇の道はヘビと言うべき。
⑤農薬、カビ毒、放射能などの汚染食品、また腐敗食品などの横流しの誘惑が恒常的に食品業界にある。濡れ手に粟の利益を誰もが狙う。
⑥米や小麦、また乳製品は国家貿易品目。日本農業の保護とともに、商社の指定、役人の権限を利用しての腐敗を、思い起こさせる。
⑦東側が経済競争で資本主義に負けたとは、どういうことか具体的に分かる。例えば、CPUなど最先端技術に敗北した。
⑧原発がないため、また放射能汚染食品のゴミ捨て場にならないため、東南アジアは食品の放射能の基準が厳しい。苦肉の策。
Ⅰ 放射能汚染食品の三角輸入&横流し
1986年チェルノブイリ原発事故後、ポーランドの牛肉の放射能汚染が起きた。
当時は一般人の被曝許容線量は年間5ミリシーベルト。(その後、ICRP(国際放射線防護委員会)は1ミリシーベルトにさげる。)
日本の法律では、食品輸入の相手国は明記されるが、原材料の産地国は明記しなくてよい。
「インド産ハブ茶」と「シンガポール産牛肉」から基準値を超える放射能が検出されたとの記事が、中央新聞社の『中央ジャーナル』に掲載される。(※フィクション)
牛肉は自由化前、輸入数量規制が行われていた。乾草牛肉は規制外。牛丼チェーン松田屋が乾草牛肉をシンガポールから輸入。(※フィクション)
シンガポールは自国への放射能食品持込を許さないが、他国へ再輸出されるなら、放射能汚染食品の輸入OK。
ダメージ屋が食品業界にはいる。食品は傷みやすいため、問題がある食品をダメージ屋が引き取る。彼らが放射能汚染食品の処分に絡むことがありうる。
食品衛生監視員(食品G メン)、また検疫所が、廃棄するはずの放射能汚染食品の横流しを追及する。
Ⅱ ココム違反&覚せい剤密輸入:輸入品の廃棄・積戻し処分を利用
五香貿易(※フィクション)はココア調製品(脱脂粉乳の含有率75%以下)の廃棄・積戻しで損害を受ける。しかし五香貿易は、一方で保険から支払いを受け、他方でポーランド政府にバーター率を変えてもらい、穴埋め可能。
乳製品は、米や小麦と同じ国家貿易品目で、輸入枠や取り扱う貿易商社が限定されている。これに対しココア調製品なら自由に輸入可能。
しかし、実は五香貿易は何度も放射能汚染のココア調製品を積み戻しして、先端技術製品のCPUなどをポーランドに送っていた。ココム違反。
他方、暴力団赤崎組(※フィクション)が、ココア調製品の廃棄・積戻し処分を利用して、覚せい剤を密輸入。
両者ともに、コンテナ内部を詳しく調べられることがない「コンテナ扱い」が前提。普通、輸出入について「コンテナ扱い」を受けられるのは大商社のみ。
Cf. 横流しをカモフラージュするため、運送会社などトンネル会社がある。
Cf. 東南アジアは食品の放射能の基準が厳しい。(1)原発がないため。(2)放射能汚染食品を他国から押し付けられないため。
《評者の感想》
政治や経済の分野について、多くの新しい知見が得られて良かった。
①放射能汚染食品の三角輸入問題。原産地国を隠すため、一度別の国に輸出し、そこから再輸出させる。食品輸入の相手国は明記されるが、原材料の原産地国は明記されないため。なるほど、こういうカラクリがあるのかと驚く。
②加工貿易基地国として発展したシンガポールの抜け目なさに唖然。
③外食チェーンが安い材料の仕入れのため、あらゆる手段を使うと分かる。例えば乾草牛肉を使う牛丼屋。
④ダメージ屋が食品業界にいる。蛇の道はヘビと言うべき。
⑤農薬、カビ毒、放射能などの汚染食品、また腐敗食品などの横流しの誘惑が恒常的に食品業界にある。濡れ手に粟の利益を誰もが狙う。
⑥米や小麦、また乳製品は国家貿易品目。日本農業の保護とともに、商社の指定、役人の権限を利用しての腐敗を、思い起こさせる。
⑦東側が経済競争で資本主義に負けたとは、どういうことか具体的に分かる。例えば、CPUなど最先端技術に敗北した。
⑧原発がないため、また放射能汚染食品のゴミ捨て場にならないため、東南アジアは食品の放射能の基準が厳しい。苦肉の策。