さんぽで出会う花鳥風月

ひでじいの四季の写真

スズメノヒエとナルコビエ

2021-09-27 22:28:07 | 草花

*2021年9月25日撮影

 田んぼの畔にいたこの草は、スズメノヒエという在来種の植物です。
 茎の先に花序の枝を段々につけますが、互い違いに左右につけることが特徴です。
 花序はつぶつぶの実をつけますが、これがヒエに似ていると言うので、ヒエの名が付いています。





*2021年9月20日撮影

 スズメが食べるヒエという意味でスズメノヒエなのですが、ほんとうにスズメが食べるかどうかは分かりません。
 他にも「スズメノヒエ」とよばれる植物があって紛らわしかったのを整理し、この草の名が「スズメノヒエ」であることを確定したのは、かの牧野富太郎博士だったとされています。

 スズメノヒエは、いま花盛りのメヒシバに草丈や全体の印象が似ています。
 スズメノヒエはメヒシバより花序が太く茎に並んでつくところが、茎の先端に放射状に細い花序がつくメヒシバとの違いです。





*2021年9月20日撮影

 近年よく似た外来の植物(シマスズメノヒエなど)が増えてきて、スズメノヒエは減少しているのだそうです。
 これは田んぼの畔ではなく、会津の鶴ヶ城のお堀の端で撮影しました。
 在来種が生き延びられる環境をいかにして守れるのか、難しい課題です。





*2021年9月20日撮影

 さて、今日はもう一つの野草をご紹介します。
 スズメノヒエと同じ田んぼの畔にいた、この草はナルコビエと言います。
 スズメノヒエによく似ていますが、並んだ花序が茎の片側にしかついていないことが特徴です。





*2021年9月20日撮影

 ナルコビエがたくさん生えている様子です。
 花序に毛が多いので光をあびて白く光っています。

 ナルコビエの「ナルコ」というのは「鳴子」のことで、田畑に野鳥を追い払うために設置する、音の出る道具です。
 木の板に数本の竹筒や木片を糸で吊り下げたものが鳴子で、縄を張って鳴子を吊り下げ、縄を引くと音が鳴る仕掛けというわけです。
 その鳴子に吊り下げられた竹筒などの姿に似て、花序が一方向にしかないことからナルコの名がついたと考えられています。





*2021年9月20日撮影

 ナルコビエはもう実が熟していて黒くなっています。
 そればかりか白い毛が光っているだけで、実が落ちてしまって無くなっている花序もたくさん。
 
 ナルコビエも在来種で、やはり近年減少している植物だそうです。