先日、「懐かしの映画ポスター展~スクリーンに集いし、あの日あの頃~」と題した特別展を青梅市立美術館で見た。大好きな映画、「七人の侍」のポスターは良かった。絵巻物のように、グーンと横に細長いそのポスターには、あの七人の侍たちが思い思いの格好で立って並んでいる。その映画が封切られた当時、自分は小学3年だった。いつもの東映チャンバラ映画だろうと思った。騒がれていたからその映画を見たかった。父は、ねだる自分に「駄目だ」と遠まわしに言った。武士たちが切り合ったりするのが本当みたいで、子どもにはちょっと見せたくないと危惧したのだ。
小津安二郎の映画には、父はよく連れて行ってくれた。自転車の荷台に乗せて度々行ったことは、以前ブログを始めた頃に書いた。で、小津安映画へついては行ったけど、ゆっくりした画面に退屈して、うとうとと居眠りしてたり。でも、父の大好きな映画だから「もう帰ろう」とは言わなかった。「ダンボ」を初めて見た時は、楽しくてたまらなかった。ドナルドダックの声も面白かったなー。幼稚園にも行かない子どもとして育ったし、そういう時代だったんだ。
そんなことを、思い出しながら、「東京物語」や「二十四の瞳」、「喜びも悲しみも幾年月」、「生きる」などのポスターを眺めていた。
♪ 俺(おーい)ら岬の 灯台守は 妻と二人で 沖行く船の 無事を祈って 灯をかざす 灯をかざす ・・ ♪ ませていた訳ではないが、映画・「喜びも悲しみも・・」のテーマソングを当時よく唄っていた。 ♪ いーのーちー 短じーかーし こーいーせー おーとーめー・・ ♪ という映画「生きる」。その<ゴンドラの唄>も当時、ちょっと耳にしたが、殆んど大きくなってからが聴いたもの。映画好きだったから、高校時代、数人で映研を作り、ただただ映画鑑賞と言っては洋画などをよく見に行った。
そんな訳で、映画音楽を ♪ フーン フーン フーンと小さく口ずさみながら、隣りの洋画ポスター会場へと廻った。「エデンの東」(米)、「野いちご」(スウェーデン)、「自転車泥棒」(伊)、そして「禁じられた遊び」(仏)などの懐かしい映画ポスターが並んでいる。ギター奏でる、どこか哀しいメロディーや映像が浮かんくる。「 ミシェル ミシェル 」と駅の雑踏の中を駆けていく幼い女の子・・。「太陽がいっぱい」のルネ・クレマン監督の名作である。 あどけない戦災孤児の話は、いつまでも哀しくて。
二か月近く開催していて、終わりに近かかったので、ポスターをゆっくり見れた。脚本や監督、俳優名などを見ていると時代がつかめる。50年、60年代の映画全盛の頃のが多く、文芸、社会派、青春、時代劇、サスペンス、喜劇などと分類されていた。きちんとした数少ない貴重なポスターの数々。こういう庶民的なものは、かえって残りにくいものだ。 「 あー 当時 そんな映画があったなー 」と懐かしく思い出されるひと時だった。 過ぎ去ったものは、どこか儚く、また美しく見えるようで・・。
時は流れて・・
DATA
FUJIFILM X-E1
elmar-c 90mm f4 下段写真4枚
CANON EOS kiss X7
canon zoom lens 18~55mm 映画ポスター写真(パソコン画面複写)
撮影日 2016.5.30