金、土曜日と車で長野へ行った。秋晴れで、とりわけ青い空が美しかった。一日目は、長野の何処へ行くかは、その時の気分次第だったから、八つの頭の出た、八ヶ岳を目にすると、そちら方面へ進むことにした。諏訪南ICで中央高速を下り、右手に八ヶ岳を見ながら蓼科へ向かった。辺り一面、黄色く目に映ってるのは収穫間近の稲穂。とても美しいので、車を止める。窓を開けると、ひんやりとした風が入ってきた。ずっと続く道の先には緑色した松林がはっきりと見えている。山の方に目をやると、くっきりとした白い雲が少しだけ浮いていて、あとは何処までも青空が続いている。
ビーナスラインを走ると、やがて蓼科湖、白樺湖へ出た。どちらの湖にもそれほど観光客は来ていない。アカシアの葉は綺麗に黄葉してるが、白樺の方はもう少しといったところ。蕎麦を食べてから、車山、霧ヶ峰高原へ回ることにした。この辺りは冬季にはスキー場になる。白樺湖付近には初心者に向いたスキー場がいくつかあり、自分も滑り初めの頃、友達や家族とかで何回か訪れたことがある。温泉もあるし、近場の方でもあるから、手軽でいい。
霧ヶ峰高原から眺める。どこまでも、ススキの野原がつづく。白い尻尾のようなススキの穂が輝く。空気はちょっとひんやりした感じ。空気がうまいとも思う。空気が澄んで、すっきりとしているからだろう。息をしているのが自覚でき、実に気持ち良い。遠くに富士、手前左側に八ヶ岳、中央に北岳・甲斐駒ケ岳などの南アルプス、右側に木曽駒ケ岳などの中央アルプスが美しく見える。下界は見えない。車に乗って諏訪湖の方へゆっくり下って行く頃、映画の情景をだぶらせていた。木下恵介監督の「カルメン故郷へ帰る」と小津安監督の「父ありき」。「カルメン・・」の方は、のどかな信州の学校も舞台になっている。空や山、高原・・。自然そのものは、昔とそれほど変わってはいないだろう。人はどうなのだろうか・・。
IPCCの報告によると、今世紀末に最大予測で4.8度の平均気温上昇という。温暖化で海面は上昇し、低地は水没。太平洋諸島などは、もう今、現実に困り果てている。異常気象が人々を襲う。農水産業をはじめとした被害も、今のままだと甚大なものになるという。人間の文明を自ら失ってはならない。この環境破壊は、殆んどが人間の活動の影響によるものだそうだ。資源枯渇、二酸化炭素による悪い温室効果、放射能汚染、大気汚染、水位変化、異常気象・・。どこか身の回り全体に、もの静かな趣漂う秋の候、本当に人に大切な自然環境とは何なのかを考えてみることも大事だろう。人間にはどんな環境にも馴染んで生きていく力がある一方、度を越すとガラガラと音をたてて瓦解するような弱点もある。自然からの倍返し、百倍返しではないが、そんな悲惨な状態にこれ以上陥らないよう、経済活動含めて、よくよく考えて、慎重にやっていくことが大事だろう。
一日目は、その後、諏訪大社などを回った。二日目は、秋空の下、松本で保育園児の運動会を眺めていた。子どもたちの目が眩しく輝いていた。
* IPPC・・・国連の気象変動に関する政府間パネル。きれいな空気の高原を車で走るのだって二酸化炭素を排出している。申し訳ない。多くのことで、気付かないうちに環境破壊に関わっている。可能なところで、できるだけそうならないように留意しようと思う。