(ブルータス):では、明日の朝また会おう。
(ブルータス以外、退場)
ブルータス:おい、ルーシャス!ぐっすり眠り込んでいるのか?まあよい。
蜜のような眠りを楽しむがよい。
お前には、苦悩に満ちた脳みそが作り出す
幻覚や妄想とは無縁なのだ。
だから、そんなにぐっすりと眠れるのだ。
(ポーシャ登場)
ポーシャ:あんた。
ブルータス:ポーシャ、どうした?こんな時間に起きてきて。
お前の虚弱な体を冷たい朝の空気にさらすのは、よくないぞ。
ブルータス:あんたにも、よくないよ。
あんた、ひどいよ。ベッドから抜けだして。
昨日の夕食のときも、
急に立ち上がって、歩きまわり、
腕を組んで、物思いにふけったり、ため息をついたり。
あたいが、どうしたんだい?と聞いても、
冷たい顔をして、あたいを睨(にら)みつけるだけ。
さらに聞くと、あんたは頭をかきむしり、
イライラと足を踏み鳴らす。
そして、さらに尋ねると、あんたは答えもせず、
あっちへ行けと、怒って手を振る。
だから、あたいはそうしたんだよ。
ただでさえ燃え盛ったあんたの気持ちを掻(か)き立てて
ますますイライラさせんじゃないかと思ってね。
誰にもある気まぐれだとは思うけど、
食事も取らないし、話そうともしないし、眠ろうともしない。
痩(や)せこけて体調を崩してしまったら、
あんたのことが分からなくなるんじゃないかと思ってね。
あんた。理由を話してくれないかい?
ブルータス:私は体調がよくない。それだけだ。
ポーシャ:あんたは賢いんだから、
体調が悪ければ、何か手立てを考えるだろうに。
ブルータス:だから、そうしているのだ。お休み、ポーシャ。
ポーシャ:あんたが、病気?
だったら、胸をはだけて早朝の空気を当てるなどしないだろうに。
なんだと?あんたが病気だと?