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日本企業の後押しで誕生したスーパースターの引退

2014-09-28 19:37:28 | ビジネス

WEBの新聞チェックをしていたら、ファッションデザイナーの引退という記事があった。
朝日新聞:ゴルチエ、既製服から引退 パリで最後のショー

ジャンポール・ゴルチエと言えば、パリファッション界でも「カリスマ」と呼ばれるような存在。
シャネルやディオール、サンローランの様なエレガントさではなく、先進的、実験的なデザインで多くのファンをつかんできたデザイナーだ。
ファンの多くは、マドンナなどのトップアーティストが多く「ファッションの表現者」として、世界的に人気の高いデザイナー。
あくまでも個人的な考えだが、ゴルチエがいたからこそドルチエ&ガッバーナなどの「アバンギャルドなデザイン」も抵抗感なく市場に受け入れられたのでは?と思っている。

とは言うものの、最初からゴルチエの人気が高かった訳ではない。
そこには、強力なスポンサーの存在があったからこそ、世界に羽ばたくコトができたと考えている。
その「強力なスポンサー」というのが、日本の「オンワード樫山」だ。

デザイナーとしてまだまだ独り立ちとは言い難い時、オンワード樫山が立ち上げた新しいブランドの専属デザイナーとして契約。その後「ジャンポール・ゴルチエ」という自分のブランドでライセンス契約を結び、デザイナーとして本格的に活動を始めている。
その意味で、「ファッションデザイナー ジャンポール・ゴルチエ」を世に出し、育ててきたのは日本のオンワード樫山だと言っても良いと思う。
そして長い間、ゴルチエのプレタポルテ(既製服)はオンワード樫山が作っていた(と記憶している)。

戦後、日本のファッションを牽引してきたのは実はこの様なアパレルメーカーだった。
その中でも特にオンワード樫山は、若いデザイナーを積極的に起用していた。
今では誰もが知っている(であろう)「カルバン・クライン」なども、ニューヨークコレクションでデビュー間もない頃に、ライセンス契約をし、日本で販売していた。
トップデザイナーと言えども一時期低迷するコトがあり、その様な時でも日本のアパレル企業は、契約解除をせずデザイナーを後押ししてきた様に感じる。

その意味で、昔の(と言うと変だが)日本のアパレル企業は「デザイナーも財産」として、育てる力があったように思う。
最近ではその様なアパレル企業の話が聞けないのが、残念に感じる。
ゴルチエのプレタポルテからの引退は、日本のアパレル企業の体質変化と重なる様にも感じる。



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