
電撃文庫のラノベ、『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』(哀川譲先生原作、H2SO4先生イラスト)が発売中です。
(※追記1:現在は出荷停止となり、絶版→回収されました。詳細は公式サイト等を参照のこと。)
表紙は、こちらに手をさしのべる様子がいかにもリーダーっぽい、メインヒロインの伏城野アリス(ふしぎの ありす)。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人で生徒会長な彼女が幼馴染とか羨ましすぎるw
それに対して、彼女からラブラブなアピールを受け続ける主人公・紅太郎はというと、クラスメイトたちに嫉妬されるわ、無能扱いされるわな、ごくごく普通の量産型男児、と、最初に説明されるわけですが、実はそれだけの男じゃなくて…というのが本作の面白いところです。
オビにもある通り、第16回電撃小説大賞の最終選考まで残った作品ということで、注目されていた方も多そうですね。
個人的には、よく利用する本屋さんがポップで一押し紹介していたのと、他の新シリーズよりも減りが多かったのを見て購入を決めた感じなのですが、Twitterを見ていても結構評判が良かったみたいで、売れている様ですね。
店舗によっては売り切れ状態になることもあるかもしれないので、今回はストーリー部分多めの感想にしようかなと思ったり。
ネタバレ多いのが嫌という方は、読み終わってからチェックしていただけると。
お話のメインとなるのは、人間と人外が共存する地球の高校で、種族を代表する2つの生徒会が覇権を争う『生徒会戦』。
融和政策をとりつつも、実態は上手く行かず、お互いを敵視しあう傾向が拭えない中、勇者を生徒会長とする人間側の『勇者生徒会』と、魔王を生徒会長とする人外側の『魔王生徒会』が激闘を繰り広げるわけですが、その勝敗の条件が、『勇者が魔王の正体を暴くか、魔王が逃げ続けるか』ということ。
魔王の被った仮面を脱がせられれば勇者の勝ちであり、今年の勇者として選ばれたのが完璧超人のアリスというわけで、人間生徒の期待が高まる一方、それに対する魔王として選ばれたのが、何故か人間の紅太郎だった…という展開です。
人外生徒にとっても、魔王の正体は謎。
しかし、紅太郎自身にとってもまさに寝耳に水の事態ですから、いきなり波乱の幕開けといった感じで興味を惹かれますね。
はじめはわけもわからず、嫌がっていた紅太郎が、魔王としてどのように心境を変化させていくのか?そして、やむを得ず敵対することになってしまったアリスとの関係はどうなってしまうのか?というのが大きな見どころです。
紅太郎をサポートする魔王生徒会の役員として配置された3人の美少女、ツンデレ吸血鬼の鑑美、万能型人造人間(いわゆるロボ娘)の雪乃、天然気弱系狼少女の夜依とのラブコメ展開もストーリーに大きな影響を与える要素なので必見です。
完璧超人のアリスの相手役をこなしながら生活を続けるということは、普通の凡人には無理なわけで、比較対照する相手がアリスなので、毎回負けまくりな自己評価になっているものの、実は頭の回転の速さには光るものを持っていた、というのがミソ。
紅太郎自身は、アリスの実力を幼い頃から身にしみて理解しており、彼女のコバンザメと揶揄されることにも疑問を抱かないような性格。
自分の実力を誇張したり、相手を見下したりといった嫌味なこともせず、誰にでも別け隔てなく、相手の気持ちを考えながら接する事の出来る、謙虚な心の持ち主なのが好印象です。
最初は紅太郎の事をよく知らず邪険にしていた鑑美や雪乃が、彼が単なる無能者ではなく、優しくてデキる男性として意識を改め、惹かれていく様子には説得力があります。
また、最初は魔王が人間だと知らず、危ないところを救われた夜依が急速に好意を寄せるようになるのも無理からぬところかと。
夜依の場合は、魔王としての紅太郎に惹かれたという点が他のヒロインズと違うので今後が気になります。
そんなヒロインズの恋心の機微には鈍感な紅太郎、というあたりはお約束ですねw
ラノベ好きに受けそうな人気の属性をつけたサブヒロイン達を起用してハーレム要素も抑えつつ、メインヒロインである幼馴染のアリスを、紅太郎が深く理解しているからこそ成し得る展開をきっちりと描ききっているのが好印象でした。
八方美人的ではない、一途な感じがさわやかで、好感の持てる主人公像だったと思います。
中途半端で妥協せず、最後まで全力を尽くし、最高の結果を導きだそうとする姿が熱いですし、そんな彼を見てますます惹かれていくヒロインズ、という正のスパイラル効果が心地良かったです。
今巻では、あくまでアリスがメインのシナリオ運びとなっているので、サブヒロイン達の個別ルートについてはこれからなわけですが、鑑美を中心にツボとなるイベントをイラスト付きで押さえてある辺りも抜かり無く、まだまだ新ヒロインのポストもありそうで楽しみです。
サブヒロイン達の能力の設定と、まさかの伏線を生かしたオチの見せ方も上手かったです。
そんな弱点があるなんて!しかも、それを最大限に利用するなんて、なんという酷い魔王なのでしょう(褒め言葉w)。
パーツをつなぎあわせて、理詰めでなるほど~と思わせた後、クライマックスでこんな飛び道具が出てくるとは!と、思わず噴き出してしまいました。
総じてこの『とがとで』、大賞上位に入選していても遜色のない面白さだったと思うので、多くの方に読んで頂きたい作品ですね。
出版までには編集さん達の熱いドラマもあったんじゃないかな~と、あとがきを見て思ったりw
魔王の衣装&正体を隠すと言えば某コードギアスのルルーシュ=ゼロを思い出したり、黒髪長髪の超生徒会長と相方の男子コンビと言えば、某めだかボックスの主役ふたりを思い出したりと、読み始めた当初はイメージ的に他作品の先入観がありましたが、最後までブレない紅太郎の信念と、起承転結のはっきりした構成、H2SO4先生の正統派美少女イラストと、高いレベルでまとまっており、非常にテンポ良く読み進めることが出来たのでオススメです。
(※追記2:読了当初の作品に対する感想は上記の通りです。一連の騒動については、大手情報系ニュースサイト様や、掲示板、当ブログに寄せられたコメントを含め、多数のご意見があるとは思いますが、既に公式の対応も終了しており、この記事を通じて私個人が何らかの対象を擁護、もしくは否定しようとする意思はございませんのでご了承下さい。大幅な記事修正や、記事削除等のやり方もあるとは思いますが、作品タイトルでの検索で本記事にたどり着かれる方も多い様なので、ひとまず追記をした上で、記事そのものは残すことに致します。頂きましたコメントについては、ひとまず保留扱いとして下げさせていただきますので重ねてご了承下さいませ。)
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(※追記1:現在は出荷停止となり、絶版→回収されました。詳細は公式サイト等を参照のこと。)
表紙は、こちらに手をさしのべる様子がいかにもリーダーっぽい、メインヒロインの伏城野アリス(ふしぎの ありす)。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人で生徒会長な彼女が幼馴染とか羨ましすぎるw
それに対して、彼女からラブラブなアピールを受け続ける主人公・紅太郎はというと、クラスメイトたちに嫉妬されるわ、無能扱いされるわな、ごくごく普通の量産型男児、と、最初に説明されるわけですが、実はそれだけの男じゃなくて…というのが本作の面白いところです。
オビにもある通り、第16回電撃小説大賞の最終選考まで残った作品ということで、注目されていた方も多そうですね。
個人的には、よく利用する本屋さんがポップで一押し紹介していたのと、他の新シリーズよりも減りが多かったのを見て購入を決めた感じなのですが、Twitterを見ていても結構評判が良かったみたいで、売れている様ですね。
店舗によっては売り切れ状態になることもあるかもしれないので、今回はストーリー部分多めの感想にしようかなと思ったり。
ネタバレ多いのが嫌という方は、読み終わってからチェックしていただけると。
お話のメインとなるのは、人間と人外が共存する地球の高校で、種族を代表する2つの生徒会が覇権を争う『生徒会戦』。
融和政策をとりつつも、実態は上手く行かず、お互いを敵視しあう傾向が拭えない中、勇者を生徒会長とする人間側の『勇者生徒会』と、魔王を生徒会長とする人外側の『魔王生徒会』が激闘を繰り広げるわけですが、その勝敗の条件が、『勇者が魔王の正体を暴くか、魔王が逃げ続けるか』ということ。
魔王の被った仮面を脱がせられれば勇者の勝ちであり、今年の勇者として選ばれたのが完璧超人のアリスというわけで、人間生徒の期待が高まる一方、それに対する魔王として選ばれたのが、何故か人間の紅太郎だった…という展開です。
人外生徒にとっても、魔王の正体は謎。
しかし、紅太郎自身にとってもまさに寝耳に水の事態ですから、いきなり波乱の幕開けといった感じで興味を惹かれますね。
はじめはわけもわからず、嫌がっていた紅太郎が、魔王としてどのように心境を変化させていくのか?そして、やむを得ず敵対することになってしまったアリスとの関係はどうなってしまうのか?というのが大きな見どころです。
紅太郎をサポートする魔王生徒会の役員として配置された3人の美少女、ツンデレ吸血鬼の鑑美、万能型人造人間(いわゆるロボ娘)の雪乃、天然気弱系狼少女の夜依とのラブコメ展開もストーリーに大きな影響を与える要素なので必見です。
完璧超人のアリスの相手役をこなしながら生活を続けるということは、普通の凡人には無理なわけで、比較対照する相手がアリスなので、毎回負けまくりな自己評価になっているものの、実は頭の回転の速さには光るものを持っていた、というのがミソ。
紅太郎自身は、アリスの実力を幼い頃から身にしみて理解しており、彼女のコバンザメと揶揄されることにも疑問を抱かないような性格。
自分の実力を誇張したり、相手を見下したりといった嫌味なこともせず、誰にでも別け隔てなく、相手の気持ちを考えながら接する事の出来る、謙虚な心の持ち主なのが好印象です。
最初は紅太郎の事をよく知らず邪険にしていた鑑美や雪乃が、彼が単なる無能者ではなく、優しくてデキる男性として意識を改め、惹かれていく様子には説得力があります。
また、最初は魔王が人間だと知らず、危ないところを救われた夜依が急速に好意を寄せるようになるのも無理からぬところかと。
夜依の場合は、魔王としての紅太郎に惹かれたという点が他のヒロインズと違うので今後が気になります。
そんなヒロインズの恋心の機微には鈍感な紅太郎、というあたりはお約束ですねw
ラノベ好きに受けそうな人気の属性をつけたサブヒロイン達を起用してハーレム要素も抑えつつ、メインヒロインである幼馴染のアリスを、紅太郎が深く理解しているからこそ成し得る展開をきっちりと描ききっているのが好印象でした。
八方美人的ではない、一途な感じがさわやかで、好感の持てる主人公像だったと思います。
中途半端で妥協せず、最後まで全力を尽くし、最高の結果を導きだそうとする姿が熱いですし、そんな彼を見てますます惹かれていくヒロインズ、という正のスパイラル効果が心地良かったです。
今巻では、あくまでアリスがメインのシナリオ運びとなっているので、サブヒロイン達の個別ルートについてはこれからなわけですが、鑑美を中心にツボとなるイベントをイラスト付きで押さえてある辺りも抜かり無く、まだまだ新ヒロインのポストもありそうで楽しみです。
サブヒロイン達の能力の設定と、まさかの伏線を生かしたオチの見せ方も上手かったです。
そんな弱点があるなんて!しかも、それを最大限に利用するなんて、なんという酷い魔王なのでしょう(褒め言葉w)。
パーツをつなぎあわせて、理詰めでなるほど~と思わせた後、クライマックスでこんな飛び道具が出てくるとは!と、思わず噴き出してしまいました。
総じてこの『とがとで』、大賞上位に入選していても遜色のない面白さだったと思うので、多くの方に読んで頂きたい作品ですね。
出版までには編集さん達の熱いドラマもあったんじゃないかな~と、あとがきを見て思ったりw
魔王の衣装&正体を隠すと言えば某コードギアスのルルーシュ=ゼロを思い出したり、黒髪長髪の超生徒会長と相方の男子コンビと言えば、某めだかボックスの主役ふたりを思い出したりと、読み始めた当初はイメージ的に他作品の先入観がありましたが、最後までブレない紅太郎の信念と、起承転結のはっきりした構成、H2SO4先生の正統派美少女イラストと、高いレベルでまとまっており、非常にテンポ良く読み進めることが出来たのでオススメです。
(※追記2:読了当初の作品に対する感想は上記の通りです。一連の騒動については、大手情報系ニュースサイト様や、掲示板、当ブログに寄せられたコメントを含め、多数のご意見があるとは思いますが、既に公式の対応も終了しており、この記事を通じて私個人が何らかの対象を擁護、もしくは否定しようとする意思はございませんのでご了承下さい。大幅な記事修正や、記事削除等のやり方もあるとは思いますが、作品タイトルでの検索で本記事にたどり着かれる方も多い様なので、ひとまず追記をした上で、記事そのものは残すことに致します。頂きましたコメントについては、ひとまず保留扱いとして下げさせていただきますので重ねてご了承下さいませ。)
