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教科書を読めばいいんだよ

私の同級生が、数学のできる同級生に、

「どうやったら、君のように数学ができるようになるんだい?」

と聞いたことがあります。

その答えがふるっていた。

「教科書を読めばいいんだよ」

言われた相手は憤慨したが、この話にはいくつか考えさせられることがあります。

1 基礎はすべて教科書にのっている。にもかかわらず、テキストを読まずに問題集や参考書に手を出してしまう。

数学についていえば、基礎はすべて教科書に載っている。中学受験でも基礎はテキストに載っているでしょう。しかし、そこを十分に読まず、算数はすぐに問題に手を出してしまう。まずはじっくりテキストにのっていることをよく読んでから、問題に向かうべきなのです。例題もしっかり考えてみる。つまりスタートはゆっくりするということがひとつのポイントになるでしょう。

2 人がわからないところは、それぞれ違う。だから同じものを読んだとしても、わかる人間もいればわからない人間もいる。わかる人間はわからない人間のことがわからない。

しかし、憤慨した同級生の気持ちもよくわかる。同じものを読んだとしても、わかる人間ばかりとは限りません。しかし、わかる人間は「わからない人間」のことはわからない。これは保護者のみなさんも気をつけないといけない。

「え、こんなこともわかっていないのか」

って、わかっていないからできないわけであって、それを「どうわかるようにするか」ということを考えないといけないのです。

3 勉強というのは、王道があるようでいて、実は非常に個別なものだ。

同じ電気を教えていても、子どもたちがひっかかることは、まったく違います。実は分数の計算がまだよくわかっていない。だから「抵抗が3倍になると、流れる電流は3分の1」といわれてピンとこない。そういう場合もあるでしょう。ここがわからないと、「こちらの回路では2の電流が流れて、こちらは3の電流がながれるから、合計5。だから抵抗は5分の1。」と言われてもチンプンカンプンになる。

だから、どこでひっかかっているのか、どんな練習が必要なのか、がそれぞれの子どもたちによって違います。集合授業というのは、あるカリキュラムのペースで進みます。これはそうしないと、全体の受験プランが間に合わないからそうするのですが、しかし、その局面、局面で子どもたちが全部理解できていく、ということはありえない。だから個別に復習が必要になるわけです。これを全部塾で済まそうとすると、結局はすべての学習時間を塾に居て、あるいは個別指導を受けるということになるのかもしれないが、そういうのは経済的にも生活的にも異常な話であって、中学から先のことを考えれば、自分の問題をなるべく自分で解決できるようにもしていきたい。しかし、いったいどこがわからないか、ということは子ども一人一人の問題なので、やはり勉強は一人一人の子どもについて方法を考えていかないといけないのです。

中学生以上になっていけば、子どもと先生だけで解決できるかもしれないが、小学生はそうはいかない。だからお父さん、お母さんの力が必要なのです。

受験は子どもたちに負担を強います。ただその負担は応分であるべきで、そのためにいかに効率よくするか、知恵を回さないといけない。その時にお父さん、お母さんがいれば、子どもたちの負担は軽くなる、だから中学受験は「親子の受験」であり、お父さん、お母さんが受験に伴うデメリットを軽減してあげられるからこそ、子どもの教育上「やってもいい」受験になりうると思います。それがなければ、やはり小学生には大変なことなので、むしろ高校受験に回った方が良い、と私は思いますが。

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