ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

「ユーゲント」第11号(2000年01月12日)

2007年09月10日 | 教科通信「ユーゲント」
「ユーゲント」第11号(2000年01月12日)

              ドイツ語教室の教科通信

 冬休みはどう過ごしましたか。友達や家族と教養教育について話
し合いましたか。

 冬休みに第5回のアンケートを送ってもらいました。

   ヒアリングの練習について

 多くの人も講師と同じく(3) 独検4級の過去問での練習が一番有
効だったと考えているようです。それは認めつつ、講師のドイツ語
での話ももう少し聞きたいという意見もありました。

 独検4級の過去問はどこがよかったかについては、試験問題とい
う形式のため緊張感があるとか、試験形式の後にディクテーション
をしたことがよかったようです。

   詩を取り上げた感想

 訳すのは難しかったが、楽しかったという感想が多数意見のよう
です。

──詩には興味があったのでよかった。ドイツ語の詩だったので面
白かったし、勉強になった。

   作文の進め方について

 少しずつ要素が増えるやり方なのでよいという意見がありました


 答え合わせが早すぎるという意見が多数寄せられました。作文は
「答え」と違ったからといっても自分の作文が間違っているという
ことにはなりません。だから本当は一人一人について添削するのが
ベストなのでしょう。

 しかし、それは実際には出来ないと思います。そこで学生諸君は
黒板に書かれた「答え」を写すので、「早すぎる」という感想を持
つのだと思います。これは考えてみます。

   言語論の一部として取り上げた「舌切り雀」の問題
   副文に先行された主文の定形正置の問題
   冠詞論
   ソシュールの連想関係など

 かなり難しかったようです。しかし、これまでぜんぜん考えたこ
とのないことだったので新鮮だったというのが多数意見のようです
。「これをするなら普通の文法に時間を使って欲しい」という意見
もありました。「これが大学での勉強なんだろうな」という意見も
ありました。

 こういう問題を取り上げる教師はほとんどいないようですが、私
はこういう問題を考えることこそ「大学での語学」の特色だと思っ
ています。残りの時間ではますますこの部分を増やす予定です。

 これまでの「ユーゲント」で論じられた問題点について

──第2外国語が必要かという議論があったが、私は教養科目が必
要ないと思う。それに文系の学生は教養科目Aを取れないのはもっ
たいないと思う。

 ★ 教養科目はなぜ必要ないのか、根拠を示して論じるようにし
て下さい。それでないと議論にならないと思います。

──「大学は知識を与える所ではなく、勉強の仕方を教える所だ」
という意見について。

 自分は「大学は論理的な考え方を身につける場だ」と思っていま
す。中学高校でも数学などでやってきたのですが、「解き方を暗記
すればよい」と言われているように、低いレベルでしか考えること
をしてきませんでした。だから、大学で身につけるべきものは、も
のの考え方だと思います。

 ★ 現実の大学の授業はあなたの理想からみてどうですか。そこ
まで分析し、その原因を考えてみて下さい。

──数年間の英語教育では英語が身につかないのは授業が実践的で
ないからだと分かった。その上で考えると、ドイツ語が無駄である
とは一概には言えなくなった。教授のやる講義は実践的だと思うか
らである。

 ★ ということは、あなたのフレセミでの議論は不十分だったと
いうことになると思います。教師のリーダーシップが足りなかった
からでしょう。ここまで考えて下さい。

   その他

 休憩はとても好評のようで嬉しいです。皆さん、西式温冷浴をし
てカゼをひかないようにして下さい。

──クリスマスの前の先生のキリスト教の話もすごく興味深かった
です。私はプロテスタントの高校に通っていたのですが、キリスト
教の教え等は教えてもらえても、キリスト教の本質は見えてきませ
んでした。

 キリスト教の本質に対する疑問等、キリスト教を信じている人に
は尋ねにくいし、尋ねてもキリスト教の教えに沿った答えが返って
くるばかりで、全く解決されないのです。

 先生のお話は短かったですが、私が疑問に思っていた事を解いて
下さいました。他の宗教についても話して下さい。

──「俵万智と読む恋の歌 100首」がよかった。先生が恋の歌を取
り上げるというのが妙にすんなり入ってきて面白かった。2首のう
ちでも後に取り上げた歌がよかった。俵万智の一面しか見れていな
かったけれど、あの文を見て、違う角度から好意的に見られるよう
になった。

──休憩の時に色々なビデオを見るのも面白かったけれど、先生の
色々な経験談もおもしろかったです。

──先生は日本の大学教授のレベル低下や制度の問題等をよく指摘
されますが、逆に日本の大学・大学教授のここが素晴らしいと考え
られる点などはありますか。

 ★ 制度としては日本の大学制度には「素晴らしい所」はないと
思います。教授については個々には、研究者としてとか教育者とし
て優れた人はいると思います。ほんの少しドイツの大学の授業を覗
いてみましたが、感心する所はありませんでした。

 私の考える理想の大学像の骨子を描いてみます。

 先ず、大学の大きさを法律で1学年2500人以下にする(本学くら
いを上限にする)。
 1日の授業は2つくらい受けるようにする。

 原則としてクラス単位の必修授業(選択必修を含む)とする。
 授業は20人以下のゼミ形式にする。

 授業は本を読んでの予習を前提して、学生参加型のものにする
(講義は止めて本を読ませる)。
 幅も広く深さもある授業にし、教科通信を出すものとする(授業
中の「休憩」を制度化してもよい)。

 単位取得と卒業を厳格にする。
 学生による授業評価を制度化する。
 教員は3年の任期制にし、第3者機関による教員(学長を含む)
の評価を行う。

 要するに、今のように単位を多くして内容の薄い授業にするので
はなく、数は少なくして内容も人間関係も濃い授業にする。

──「少年探偵クリューメル」の訳の答え合わせはどうなるのです
か。自分としては、分からない所などを直してもう一度読みたい。

 ★ その後実力が上がっていますから、自分で読み直しても分か
る部分があると思います。それでも分からなければ、私のHP(近
いうちにドイツ語コーナーもアップします)を見るとか、メールで
質問するとかして下さい。

            エ コ -

 メーリケの詩の資料などでお世話になった某氏(東洋大学教授、
ドイツ詩専攻)に「ユーゲント」の前号を送りました。次のような
お返事をいただきました。

──お便りありがとうございました。こんなにていねいな授業をう
けられる静岡大学の学生さんたちは幸せだなあ、と思いました。そ
れにしても、学生お一人お一人の訳のすてきなこと!

 とりわけKさんの訳は軽快ですね。Oさんのは簡潔で、Mさんの
は優しく(お名前どおり)、そして、もし私が訳したらAさんに一
番近くなりそうです。 

 私は先々週、東洋〔大学〕の哲学の・Cのクラスで Storm の
die Stadtを皆に訳させ、提出させました。これから読むところな
ので、先生の試みに学ばせて頂いてプリントを作りたいと思いま
す。ありがとう存じました。