ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

教育の広場、第 143号、緑茶ってなんだ

2005年10月03日 | タ行
私は少しですが、茶畑を借りてお茶を栽培しています。時間のある時は夕方に1時間くらい畑仕事をします。お茶そのものとこの畑仕事が健康に役立っていると思っています。

この(2003年)8月に金谷町(静岡県)にあるお茶の郷博物館に行ってきました。世界の様々なお茶が紹介されていました。その時、1冊の本を買いました。小川誠二著「日本茶を一服どうぞ」(創森社)です。

 それを読んでいたらとてもびっくりする記述に出会いました。

- そもそも「茶色」という色の名前は、お茶の色からつけられたものだといわれますから、本来のお茶の色は茶色で、現在お茶屋さんに並んでいるような鮮やかな緑色ではなかったはずです。 -

 なるほど、「緑茶」という言葉は「丸い四角」というのと同じ形容矛盾なのだ、と思いました。もちろん形容矛盾にも根拠のあるものがあります。例えば「緑の黒板」がその例です。ですから、「緑茶」を形容矛盾だというだけで否定するのははやとちりでしょう。しかし、これは考えるに値する事だと思いました。

 小川さんは、緑色の茶と茶色の茶とを次のように比較しています。

 ★ 緑色の茶
  余所行きの茶、嗜好品、商品として作った茶、高級志向、近年のもの、未熟な葉から、啜る茶

 ★ 茶色の茶
  普段の茶、常食の茶、飲用に作った茶、安価で手頃、昔から親しんだもの、十分熟した葉で、ガブガブ飲む茶

 小川さんは夫婦でこのような「茶色の茶」を「常茶」と名付け、日本各地にそれを求めたようです。今では奥さんは亡くなり、小川さんが仲間と続けているようです。

 私はこの本で紹介されている美作(みまさか)晩茶(岡山県の美作で作られている)に特に興味を持ちました。

 常茶会に連絡をとってそれを取り寄せました。その入れ物の箱にこう書いてありました。

- このお茶は、春に芽吹いた新芽を摘まずにそのまま完熟育成させた茶葉を、8月の上旬に刈り取って鉄釜で煮出し、数日間真夏の炎天下で茶葉を広げて乾燥させる製法で、丹念に手作りで仕上げています。

 大地と太陽の恵みを十二分に受けたおいしいお茶です。昔から、「お茶は百薬の長」と言われたのはこのようなお茶のことを言っていたのでしょう。 -

 つまり、譬えて言えば、肉屋で売っている70日齢くらいのニワトリ(ブロイラー)の肉と2~3年生きてきたニワトリの肉との違いかもしれません。たとえそのニワトリが両方共、平飼いで適切な飼料で飼われていたとしても、70日齢と2~3年とではやはり大きな違いがあると思います。緑茶と晩茶にもそのような違いがあるかもしれません。

まだ飲みはじめたばかりですから、何とも言えませんが、調べてみるに値するものだと思っています。出来たら、来年から自分でも少しずつこの「晩茶」を作ってみたいと思っています。

もちろん緑茶にもその価値は十分にあると思います。しかし、「緑色のお茶が当たり前」というのは、必ずしも正しくないのだと知りました。伝統とか先人の知恵はおろそかにできないと思います。

(2003年10月16日発行)

  PS

 この「美作番茶」はとても気に入ったので、その後、岡山県美作町のお茶屋さんから直接取り寄せるようにしました。愛飲しています。

 私自身のお茶作りは、体力的な理由で、止めました。(2009年06月27日、加筆)