野田事業仕分けのマッチポンプな自己矛盾のパフォーマンス

2011-10-14 11:12:51 | Weblog

 野田首相の指示で蓮舫行政担当相が民主党政権として4回目の事業仕分けを11月下旬に開催するとのこと。

 事業仕分けは行政刷新を目的としていたが、これまでの事業仕分けはムダな予算やムダな事業を洗い出して見直しや存廃を判定、歳出削減を図り、削減したカネを必要な政策の財源にまわすことを主眼としていたが、野田事業仕分けは従来の方法とは趣を異にすると言う。

 《野田政権、11月に事業仕分け 行政監視にシフト》日経電子版/2011/10/13 19:48)から見てみる。

 〈個別事業の存廃を判断する従来の仕分けと異なり、原子力・エネルギーと社会保障の個別政策の問題点を洗い出す行政監視に軸足を置く。子ども手当など民主党マニフェスト(政権公約)の主要政策の財源捻出の色彩は一層薄れる見通し。〉と記事は解説している。

 4回目の仕分け対象は原子力・エネルギーと社会保障に限定、行政監視に軸足を置いて、個別政策の問題点を洗い出すが中心となるということである。

 具体的には原子力・エネルギー関連では、東電に限らない電力会社や関連公益法人への元公務員の再就職状況の調査。社会保障関連では生活保護制度を巡る不正受給の問題点の調査を行うとしている。
 
 NHKテレビのニュースで、野田首相が先月行われた就任後初めての行政刷新会議で事業仕分けを深化させ、行政刷新を確固たるものにするよう指示したと伝えていたが、事業仕分けの「深化」とは予算・事業のムダの洗い出し作業から「行政監視」作業への転換を指すことになる。

 「行政監視」そのものは省庁等の行政機関が行う業務全般を監視することを言うはずだ。

 だが、この「監視」は民主党の場合、各行政機関の所管大臣を筆頭とした政務三役の役目としてある管理・監督の任務の中で行うべき責任行為であるはずである。

 管理・監督という役目には組織を率いて目的とした事柄を効率的・実効的に実現させる責任をも含む。組織を率いて自らに課せられた責任範囲内の次官、その他を使った業務全般の「監視」を満足にこなせないようでは、自分たちの責任としている管理・監督の役目に適格性を欠くことになる。

 このことの矛盾も然ることながら、行政機関を管理・監督し、業務全般を監視する所管大臣以下の政務三役のチェックが機能しなかった部分を同じ内閣がチェックするという政権レベルで言えば内閣による自作自演に相当する自己矛盾を演じることになる。

 この自己矛盾は首相が任命した大臣を筆頭とした政務三役がその能力を十分に発揮していないことによって発生することになるのだから、首相の任命責任にも関わってくる大臣以下の政務三役の能力の機能不全となる。

 逆説するなら、事業仕分けといったチェックを待たずに大臣以下の政務三役の段階でチェックしなければならない、いわば「行政監視」でなければならないということではないだろうか。

 もし所管大臣以下の政務三役の段階で「行政監視」のチェックが機能しなかったことが判明した場合、今度行うとしている事業仕分けはマッチポンプ形式のチェックということになり、そこに自己矛盾が存在することになる。

 ここで言うマッチポンプとは、「自分でマッチを擦って火をつけておいて消火ポンプで消す意」の和製語で、「自分で起した揉め事を静めてやると関係者に持ちかけて、金品を脅し取ったり、利益を得たりすること」の意味で使われていると『大辞林』(三省堂)に書いてあるが、元々の意味で使っている。

 いわば、首相が任命した自身の内閣に所属する大臣以下の政務三役が「行政監視」の機能を果し得ずに発生させた問題点を同じ内閣が洗い出すという自作自演はまさしくマッチポンプ相応の事業仕分けと言うことができ、自己矛盾そのものであろう。

 例え問題点を洗い出して見直すことができたとしても、「行政監視」に関わる機能不全という元を断たずにこのことが繰返されて常態化した場合、その常態化は大臣以下の政務三役の責任事項である「行政監視」が機能していないことの常態化とその放置をも意味することになり、事業仕分けそのものが自分で火をつけておいて自分で消して、その成果を誇るパフォーマンスと化すことになる。

 行政機関を管理・監督・監視する大臣以下の政治家がその能力を十分に身につけ自らの責任範囲としなければ、何事も始まらない。


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