――じゃあ、すみません、二問目をお伺いします。共同通信の須佐美(?)と申します。えーと、あの、衆議院の争点の一つで、小泉構造改革の是非というか、あー、総括というか、それが小泉構造改革があー、正しい方向だったのか、それとも少し修正した方がよかったというのが、あの、まあ、自民党内でも、両論があったと思いますし、えー、まあ、えーと、今回の、自民党の、敗因が、その小泉構造改革を貫けなかったからなのか、えー、貫いたからなのか、色々と意見があると思いますが、えー、三候補にどう総括しているのか、伺いたいと思います。
あの、過去に小泉政権があった時代に、えー、その小泉構造改革にどう関わってきたかというのと併せて、現在の考え、それから、今後どうすべきか、というのをお聞かせください。お願いします。
河野「それでは二問目ですから、あの、私からいきたいと思いますが、これは官から民へ、中央から地方へ、という改革は決して間違っていないと思います。小さな政府を目指し、えー、大きな経済成長を遂げようとする、その精神は、小泉構造改革、決して間違っていたものではない、と思っています。
しかし例えば、中央から地方へと言ったときに、権限は行っても、財源は渡せなかった。つまり役人と一体化して、地方へ権限とカネを渡すことに反対をした人間が党内にいた。その財源の移譲が不十分だったがゆえに、本来なら地方がきちっと財源とカネを持ってやれたことが、権限だけはきたが、財源はこなかった。遣り切れなかった、ということがあった。そういう面では不十分であった、ということは言えると思います。
もう一つ、反省をしなければいけないことは、そのー、公共事業を削減する、あるいはODAを削減する。そのときに社会保障だけが聖域になるのかという議論がありました。結果として、社会保障も、あの、2千2百億ずつ削減していこう、と。ええ、それは残念ながら誤った妥協、であったと思っております。
社会保障については、きちっと必要な財源をつける。その分、他を削ってでもやる、ということが、できなかった。えー、それぞれの省庁をバックに、バックにした族議員の反対があって、それを徹底できなかった、というのが二つ目の失敗、反省点だと思います。
三つ目として、規制緩和するときに、事業者の規模の小さいところから、規制緩和をやってしまった、というのが反省だったと思います。例えば空港のようにですね、事業規模の大きいもの、あるいは官の関与が極めて大きいところから、規制緩和をする。えー、それが本来正しい道、だったと思いますが、えー、小さいところから、事業規模の小さいところから、あー、規制緩和を始めてしまって、あたかも規制緩和で色々なことがあたかも悪くなってしまったという、おー、イメージが先についてしまった、というのがオー、反省点であります。
えー、構造改革というのは、これをきちっとやり遂げることによって、自由民主党が本来目指すべき小さい政府と大きな経済成長、そして安定した社会保障というものを、実現することができると、私は思っています。
それを族議員や色々な雑音で遣り切れなかった。それが残念ながら、我々が反省しなければならない点だというふうに私は認識しております」
(小泉改革にしても様々な抵抗・妨害の類や方法論の間違いもあったろうが、何よりも上の利益・果実の下に対する配分が十分に果たされなかったことに尽きるはずである。いわば上の利益・果実が一般国民にとってそれ相応の利益・果実とはならなかった。その結果としての所得格差・収入格差・生活格差であり、都市と地方の格差という社会矛盾が生じた。労働市場の規制緩和を行い、大企業にその何層倍にも当たる最高益を献上しながら、一般国民には無縁のものとした。にも関わらず、社会保障費を削って、その「安定」を目指したものの、一般国民には新たな負担となった。利益の配分もなく、負担だけが増えたのである。
譬えて言うと、小泉改革は国家や企業にのみ目を向け、一般国民には目を向けていなかった。強い日本国家の構築に目を向けていたが、国民生活の強化には目を向けていなかった。)
谷垣「小泉構造改革につきましては、私は小泉内閣5年余の間3年程、財務大臣を務めておりましたので、特に骨太2006等々、私も大きく関与しているわけであります。それでー、構造改革自体につきましてはね、やっぱりそれだけ国際的な大きな競争がある。それから日本は少子高齢化が進んでいる。こういうことを考えますと、おー、そのために必要な改革、構造の変化というのは、必ずしなければ、いけないだろうと思います。
ただ、小泉構造改革の理解というのは、えー、小泉政権の中にあっても、実は、二つあるんだと思います。一つは小さな政府そのものが、日本全体をよくするものだという考え方のもとに、ムダを徹底的に排除して、小さな政府をつくっていこうという考え方が一つあったと思います。
それともう一つの流れは、さはさりながら、これだけ少子高齢化が進むと、今も2千2百億の話がございましたけども、社会保障はムダを省くとしても、そうそう小さくはできない。それから地方分権というものを進めたとしても、確かに権限がなければ、財源だけ持っていっても、地方分権はうまくいかない。そうすると、必ず何かの財源措置を取らなければならないが、それはおそらく消費税ということになるだろうと。
それはしかしいきなり、じゃあ消費税をやりますよと言っても、なかなかそうはうまくいかないから、ムダを排除していこうと。そういう流れの人と、つまり、小さい政府派と、そこまで小さくできないだろうと、二つの流れが、私はあったと思います。で、私は後者でございまして、社会保障や地方分権のために、もう少し財源をつくらなければうまくいかないという考え方、でございます。今後もそれで臨んでいく必要があると思います。
因みに申しますと、民主党がムダを省いて17兆余の財源を生み出してくるということをマニフェストで盛んに主張いたしました。あの話を聞いておりますと、小泉時代にあったムダを省く、徹底的にムダを省いて小さな政府をすると、あれをもう一回やると言っているというように聞こえまして、そこまで、それだけ削ったのに、出てくるかなと、私は思っております」
(小泉以後も、安倍内閣のときも、福田、麻生内閣のときも、中央官庁や公益法人、地方自治体からいくらでもムダが見つけ出されている。予算執行された事業の中にもムダがなかったとは断言できない。民主党の「ムダをなくす」というスローガンをとやかく言える立場にはないはずだが、鉄面皮な男だ。
一例を挙げると、インターネットで国への申請手続きを行う電子申請システムの利用率が検査対象となった20の中央官庁の49システムのうち4年間で約119億円もかけた12のシステムでは総申請数の10%を下回っていたという会計検査院の調査(asahi.com記事から)はムダの最たる例であろう。
記事は書いている。
〈電子申請システムは、森喜朗内閣が推進した「電子政府政策」(IT戦略)の目玉として01年以降に始まったが、国民のニーズを度外視し、「何でもかんでもオンライン化してきた」(中央官庁幹部)ことが利用率低迷の原因とみられる。 〉――
利用率の高いシステムもあると言うことだが、低いシステムをカネをつぎ込むだけで放置してきた諸官庁の怠慢を政治は何ら監督できなった。)
西村「よろしいですか。えーと、小泉構造改革は、私は一年生、二年生でしたので、主として党内の議論に参加しておりましたが、えー、二つのことを。一つは官から民へ。一つは競争原理。これは官から民へで言いますと、道路公団民営化をやりました。えー、最近のサービスエリアを見ていただければ分かりますが、非常に色々なサービス、トイレも綺麗になったし、やっぱり民間で知恵を出してやれば、よくなると、いうところはですね、これは成功した民だと思うんですね。料金もできるだけ下げようと、努力しています。私も言うまでもなく、サービスエリアに観覧車ができて、非常に賑わって、そういう面は、民間の知恵が出ている面だと思いますね。
そして郵政民営化。これは田舎に於いて若干サービスが低下している面は、修正が必要な面もありますが、え、昨年度で確か、4千数百億円の税金を国家に納めて、これまで税金を納めてませんでしたから、そういう意味では新しい財源を民営化によってできたわけでありますので、こうした官から民へのプラス面は大きな面があると思います。
それから競争原理。これはIT産業初めとして、みなさんお使いのケイタイやいろんな面で、規制緩和によって生まれてきており、成長しております。こうしたプラス面は大いに評価しなければならないと思います。
ただ、一方で、財政再建を初めとして、えー、小さな政府、あの経済面はいいのですけど、社会保障の削減をした。あるいは地方の予算を削ってしまった。これによって地方の経済が非常に疲弊をしている。さらに言えば、えー、本来地域のコミュニティ、相互扶助、をする、つながりのあるま、連帯のある、その、地域コミュニティ、地域の構造まで壊れてしまっているという面まであります。これは市場原理が働かない分野があるということだと思うんですよね。
一つはそうした地域のつながり、の分野、地域共同体の分野。お互いに競争だけでやっているわけではない。ええー、それから社会保障の分野。これも競争だけでやるんじゃなくて、セーフティネットであり、また万人に振り分けをする、サービスを提供する、競争原理だけではうまくいかない、市場原理だけでうまくいかない面があるんだと思いますし、この辺りの面の改善をしていかなければならない。
さらに言えば、競争原理や、それを、まあ、信奉したがゆえにですね、エー、カネ儲けがすべて、えー、ていうような、何となく広がってきた、ところが非常に心配でありまして、もう一度、そうした、グローバル化した、対応した、経済成長でいくという面と、一方で、地域の共同体を守る。市場原理ではない、えー、お互いの信頼関係、えー、つながり、連帯、こうしたもので築かれた社会、あるいは安心できる社会保障制度、おー、あると、こうした両面を進めていかなければいけないと、思います。
まあ、いわば、新しい保守主義て言うか、健全な保守と言うか、ですね、優しい保守と言うか、守るべきものを守りつつ、且つ一方でグローバル化が新しい時代の産業、新しいニューフロンティアにも挑戦していく、この両方が必要だというふうに思います」
(功罪を言うなら、差引きプラスだったのか、マイナスだったのか指摘して国民生活上の利益・不利益を論ずるべきだが、道路公団の民営化をやった、高速道のサービスエリアのトイレが綺麗になった、観覧車ができて賑わっていると部分的利益のみをあげつらっている。しかもムダな道路建設に国の予算が注ぎ込まれない保証はなくなっていないことを棚に上げている。
また郵政民営化で昨年度4千数百億円も国に税金を納めたから、新しい財源ができたと言っているが、これまでも郵便貯金・簡易保険を財政投融資の「財源」として散々に利用してきている。地方で郵便サービスが低下していると言うなら、4千数百億円の税金からいくらかを使ってサービスの充実を図る政策を言うべきであろう。)
自民総裁選/谷垣総裁選出は森喜朗が主役の派閥政治の延命治療(3)に続く
18日自民党総裁選共同記者会見続き
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