5月16日エントリーのブログ、《テレビで放送していた小学生の工場見学に疑問を感じたこと》で、ゴミ焼却場と川でゴミ回収船がゴミを回収する現場を見学していた小学生が工場側の説明を一生懸命にノートに書き記していたが、この行為は相手が発する言葉を耳に把えて、その言葉をそのまま文字の形に変えてノートに書き止めていく行為だが、他人の言葉を例え逐一機械的になぞって文字に変えていったとしても、その過程で頭の中で相手の言葉に自分自身の考え・思考を介在・濾過させて、例え他人の言葉に大部分基づいていたとしても、曲りなりに自分の言葉とする思考作用を伴わせるか、あるいは工場見学後にノートに書きとめた文字に変えた相手の言葉を読み直して、それを前者と同様に自分自身の考え・思考を介在・濾過させて自分なりの言葉とする思考作用を存在させるかが問題となる。
もしそういった思考作用を介在させないノートへの書き写しは相手が発する言葉を発したなりに可能な限り、いわば聞き漏らすまい、書き漏らすまいとして逐一なぞって文字に変えて、それを以って完結形とする暗記教育形式の機械的手続きで終わる。
暗記教育形式の機械的手続きで終っていることは、大人の欠如能力の反映としてあるに過ぎないのだが、子どもたちの考える力、あるいは思考能力の欠如、言語能力の欠如が広く言われている状況そのものが証拠立てている。
他人の言葉を目、耳を通して自身の中に言葉として、あるいはノートに文字として受け止めるとき、そこに自身の思考作用を少しずつでも介在させていたなら、考える力、あるいは思考能力、言語能力は同じく少しずつ育っていくはずだ。
尤も日本の教育現場に何ら関係のない者があれこれ言うよりも、7月11日日曜日のフジテレビ「新報道2001」が教育問題をテーマに論じていたが、出演していた現役教師歴3年を越える乙武洋匡自身も、日本の教育は暗記教育だと言っている。
この番組については近いうちにブログに取り上げる予定でいる。
乙武「小学校で教えていて、これじゃあ子どもたちに考える力がついていないなと思ったのは、兎に角テストというのは教えたことを暗記して、それをテストのときに記憶から取り出してくるっていう作業ばっかりなんですね。ですから自分で考えるということが授業の中で普段の学習の中でなかなか行われていない」
もう20年前、30年前から(ちょっと大袈裟かな?)自作HP[市民ひとりひとり」で言ってきたことである。
教師が言葉や板書によって発信する知識・情報と生徒が受け止める教師からの知識・情報の間に考えるプロセスを置いていない、省略しているとの指摘である。ノートに文字に置き換えて受け止める場合の作業がノートに逐一洩らさず書き止める機械的作業によって成り立たっているとの指摘でもある。
それで、前記ブログ、《テレビで放送していた小学生の工場見学に疑問を感じたこと》で、あらゆる見学はノートの持ち込みを禁止し、説明を聞くだけとすることで、目と耳のみで見学したことを把握させ、記憶させる方法を提案した。
そして次のように書いた。〈筆記が禁止となった場合、教師がどんな見学だったのか感想文を書かせるにしても、生徒を名指しして説明させるにしても、自身の説明は見学時の説明の一言一句を、あるいは説明を受けた光景の一コマ一コマを正確に記憶しているはずはない目の記憶と耳の記憶を頼りに行わなければならないために、見学した内容の再構築には言葉をつなぎ、説明を組み立てる考えることをしなければならない。思考の取り入れである。否応もなしに思考のプロセスを踏むことになる。〉と。
このノートを取らせない方法を教師が言葉か板書によって知識・情報を伝える場合に限って、せめて小学校の間は普通の授業でも取り入れたらどうだろうか。否応もなしに目と耳の記憶に頼らざるを得なくなる。少なくとも勉強しようとする生徒は集中力を高めざるを得なくなる。
さらに教師の言葉通り・説明通りに暗記することが不可能となって、教師の質問に対して答える場合も、復習する場合も、一纏まりの知識・情報とするためには自分で考え、自身の言葉で補って完成させなければならなくなる。
そのような訓練の積み重ねが、欠如していると広く言われている考える力、思考能力、言語能力を少しずつ養う、難しいが、より確かな方法とならないだろうか。
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