橋下徹の日本未来の党子育て支援政策批判、「子どもは英語を喋ることはできない」はバカげた見当違い

2012-12-04 08:39:40 | Weblog

 先ず本題に入る前に野田首相の千葉4区・小選挙区と比例代表南関東ブロック重複立候補について。

 《【衆院選】野田首相、重複立候補を表明「退路の断ち方はいろいろ」》

 12月3日(2012年)、首相官邸で行われた内閣記者会のインタビュー。

 野田首相「退路の断ち方はいろいろある。(重複立候補の是非は)形式論だ」

 記事解説。〈現職首相の重複立候補は平成12年の森喜朗氏を除いて例がない。民主党代表だった鳩山由紀夫氏も、前回21年の衆院選では重複立候補しなかった。〉――

 【退路】「退却する道、逃げ道」(『大辞林』三省堂)

 「退路を断つ」とは、退却する道を用意しない、あるいは逃げ道を前以て考えないで、その場の一本勝負で勝ち負けの決着をつけることを言うはずだ。

 選挙で言うなら、形勢に関係なしに小選挙区のみの勝負で決着をつけるということであろう。

 だが、野田首相は言葉とは裏腹に一本勝負ではなく、二本勝負に賭けようとしている。
 
 大体が小選挙区で落選した場合の比例区での当選を備えとして用意しておきながら、「退路の断ち方はいろいろある」と言って、さも自分なりの方法で退路を断ったかのように言っていること自体が矛盾した薄汚いゴマ化しでしかない。

 普段から奇麗事の言葉でゴマ化し慣れしているから、ゴマ化し切れるとつい言葉を駆使したのだろうが、化けの皮を自ら剥がしてしまった。

 「形式論だ」と言っているが、中味のない言葉という意味で確かに「形式論」だと言える。

 記事は、野田首相は厳しい選挙であることは認識しているが、比較第一党として政権維持を目指す考えを強調したと書いているが、言葉のゴマ化しで地位を維持するような政治家にリーダーシップは期待しようがない。実行力を備えていたなら、言葉のゴマ化し、奇麗事は必要としないだろう。

 いわば必要としていること自体が実行力を備えていないことを証明している。当然、リーダーシップは欠いていることになる。官僚の言いなりになるには都合のいい資質、好ましい才能と言える。

 橋下日本維新の会代表代行が日本未来の党の子育て政策を批判した。

 《橋下代表代行 未来の子育て政策批判》NHK NEWS WEB/2012年12月3日 19時15分)

 大阪・守口市の街頭演説。

 橋下徹「申し訳ないが、日本未来の党に日本の未来はない。私だって、できるものなら、子ども手当をやりたいが、お金がないなかで現金を配るというのは大変で、現金を配っても、クーポン券を配っても、子どもは英語を喋ることはできない。

 本当に子どもたちのことを考えるのであれば、英語の教育のために使うとか、『現金を渡す』ではなく、『これだけのお金はかかるが、こういうことをする』というのが、10年後、20年後の未来に責任を負う政党や政治の役割だ」――

 人には受ける喋りであるが、バカげた見当違いでしかない。

 日本未来の党は中学卒業限度に年間31万2000円の子ども手当を支給することについてマニフェストに次のように書いている。 

 全員参加型社会へ   

 子ども・女性

 子どもや女性の声なき声をきちんと政治に反映させます。

 女性が社会の中で活き活きとし、子どもが笑顔ですこやかに育つ社会が当たり前でなければいけません。日本の未来を担ってくれるはずの子どもが減少している原因の一つは「子どもを産みにくい、育てにくい」という不安を多くの女性が抱いているからです。その状況を打破し、同時に、子どもたちが「この国に生まれて良かった」と思える社会を実現します。

子ども一人当たりの中学卒業まで年間31万2000円の手当を支給し、その一部を「子育
  て応援券」(バウチャー)とする。
● 結婚・出産が女性のキャリア形成に不利にならない社会を創る。
● 子どもが虐待や育児放棄にあわないよう親の子育て環境の改善を図る。
● 離婚・別居時に両親が子どもの共同養育計画を作成することを義務化する。
● 家庭・学校・地域が一体となって「子育て」「子育ち」を応援する社会を創る。
● 高校授業料の無償化などを堅持する。
● いじめの撲滅に向け小・中学生への「心の教育」を実施する。
● 配偶者暴力に対し刑事罰を科すよう法改正する。

 子ども手当支給は社会政策であって、「子ども一人当たりの中学卒業まで年間31万2000円」手当支給は単に子ども一人宛に「年間31万2000円」を支給するのみで終るのではなく、「高校授業料無償化」と「いじめ対策」の教育政策を除いた以下の社会政策すべてに効果を持たせるべく関連し合っていることに留意しなければならない。

 「結婚・出産」にしても、「虐待・育児放棄」にしても、「離婚・別居」にしても、「子育て・子育ち応援」にしても、「配偶者暴力」(ドメステック・バイオレンス)にしても、多くの人にとって経済問題が深く関わっているからであり、子ども手当支給によって少しでも経済的余裕を与えることができれば、経済的困窮が往々にして理性を失わせて極端な感情行動に走るのを防ぐことが可能となり、そのような効果を子ども手当支給に僅かながらにでも持たせているはずである。

 いわば子ども手当支給とそれ以下の政策が相互関連し合って、相乗的な効果の総合性を持ち得たとき、「女性が社会の中で活き活きとし、子どもが笑顔ですこやかに育つ社会」の実現への扉が開くことになるはずである。

 尤もそうなるにはマニフェストに掲げた各政策の実行性にかかっていることは断るまでもない。このことは偏に日本未来の党嘉田由紀子代表の言動一致のリーダーシップにかかっている。

 わざわざ「言動一致の」と形容詞を入れたのは、野田首相が言動一致のリーダーシップを持ち得ず、その多くが言動不一致のリーダーシップとなっていたからである。

 以上を纏めると、子ども手当支給は子どもの教育機会の獲得に貢献するものの、その用途上の効果の内にそもそもから英語力をつけることを入れていないということである。中には子ども手当を利用して英語を教える学習塾に通うケースもあるだろうが、子どもに英語力をつけるのは別の教育政策である。

 にも関わらず、橋下徹は「金を配っても、クーポン券を配っても、子どもは英語を喋ることはできない」などとバカげた見当違いの批判を行なって、日本未来の党の政策を貶めている。

 人受けすることを喋れば、それだけでいいということではない。考えながら言葉を口にしなければならないはずだが、そもそもから思考力・判断力を欠いているからだろう、考えずに思いついたことだけを喋りまくるから、見当違いの批判となる。

 政策は単発的成果で終わってはならないはずだ。同じ分野の他の政策と関連させ合って、全体として相乗的な総合性を持たせた成果としなければならない。
 
 教育政策で言うと、各教育政策が相互に関連し合い、相互に相乗的な効果を発揮することによって、その総合としての学力や判断力、言語力、コミュニケーション能力が身についていくようにしなければならないはずだ。判断力、言語力、コミュニケーション能力が身につくことによって、学力は他人の知識・情報を自己知識・自己情報とするマネでしかない機械的な暗記学力から脱することができる。
 
 大阪府の全国学力テストの成績順位が最悪状況にあることから、橋下徹は「大阪の成績を日本一にする」と豪語していたが、暗記教育下で暗記学力を上げることだけのことしか考えない教育政策ではいつまで経っても学力的にも判断能力の点でも、他人の知識・情報に従うことから自律(自立)できない人間を育て、自律(自立)できない人間を社会に送り出していく成果しか期待できない。

 このことも橋下徹が思考力・判断力を欠いている根拠となるが、マニフェストに「最低賃金の廃止」を掲げたことも思考力・判断力を欠いている根拠の一つとなる。

 不景気になって有効求人倍率が下がれば、失業者はその日の暮らしを維持するために給料の多い少ないを度外視しなければならなくなる状況が生じる。企業は求人倍率が低いことと最低賃金制度がないことを利用して、限りなく安い給料で使うことを考える最悪の雇用状況を招くことになるに違いない。

 外国人研修制度を悪用して、相手が人件費の安い国からきた外国人であることいいことに最低賃金以下で雇用し、残業時間も守らない企業も存在する。

 ところが批判を受けたからだろう、「最低賃金制の廃止」から「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」へと修正したと12月4日付の「asahi.com」が伝えているが、政策に当初から合理性を持たせることができないということは思考力・判断能力を欠いていることの証拠としかならない。

 歯切れのよい言葉にゴマ化されてはいけない。

 参考までに、日本語の朗読劇から演劇へと入って、同じセリフを英語に翻訳した朗読劇と演劇で考える力と同時に英語力を身につける方法を提案した2010年9月21日当ブログ記事――《考える教育は朗読劇から - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》


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