松井広島市長は他者の命への想いのなさという点で安倍晋三と兄弟の関係にあるように見える

2014-08-27 09:24:54 | Weblog



 ――自然災害が昼間を選んでくれるとしている危機管理は人命軽視なくして成り立たない――

 松井広島市長の今回の土砂災害発生日の登庁時間は午前7時15分だったという。真夜中、石混じり、樹木混じりの泥状の土砂が家を壊し、中にまで入り込んで多くの住民を呑み込み、難を逃れた住民が姿の見えない家族を探し、捜索や救助を求めて119番通報したものの、不安と恐怖の混乱は長く続いただろうことは十分に予想できるが、そういった混乱を他処にした登庁は安倍晋三の土砂災害を他処に置いたゴルフに匹敵する悠々自適さである。

 朝日新聞がこの我が道を行く体(てい)の登庁=危機管理態度を批判している。朝日の2つの記事から、どういった登庁=危機管理態度だったのか見てみる

 先ずは市長登庁までの大まかな流れを前以て記しておく。

 8月20日午前3時過ぎから119番通報が殺到。
 8月20日午前3時広島市対策本部設置
 8月20日午前4時15分最初の避難勧告。
 8月20日午前7時15分松井市長登庁。

 《広島市長「防災計画通り対応した」 避難勧告遅れに反論》asahi.com/2014年8月22日11時52分)

 8月22日記者会見。

 〈消防局幹部が避難勧告の遅れを認めるなか、「ただちに勧告を出すように見直す必要があるかもしれない」としながらも、一連の対応について「防災計画のマニュアルに基づいてしっかり対応した」と述べた。〉という。

 要するに現在の「防災計画マニュアル」に則って行動したが、今回の土砂災害に対応しきれない部分があったとしている。

 松井市長「何でも私がするのがリーダーシップとは思っていない。それぞれの区で判断できるという計画になっている。判断をしている時に私の所に情報が入ったという状況ではない」

 別の「asahi.com」記事が「災害対策基本法」について解説している。
 
 〈避難勧告を出せるのは市町村長(東京23区長を含む)と定める。安佐南区で勧告を発令したのは、市水防計画で「市長に要請するいとまがない時」と定められている区長。安佐北区では、区長の庁舎到着を待たず、すでに庁舎にいた副区長が代理で出した。〉――

 要するに「市長に要請するいとまがない」緊急性を要するという条件付きで、広島市の「防災計画マニュアル」では避難勧告発令はそれぞれの区の判断でも可能としている。その場合、一般常識的に考えると、避難勧告発令後の時間の余裕のあるときに発令の報告を区から市に時間雨量や区の消防当局が把握した通報、河川課が把握する各河川の水量も入っているかもしれない、それらの情報を含めて行っていたいたはずだ。

 市はその報告を市長にしなければならない。なぜなら、「市長に要請するいとまがない」緊急性を要する程の切迫した状況にあったはずだからだ。報告しなかったなら、責任体制が未熟な状態にあることになって、そのことの市長の管理責任も問われることになる。

 但し市は市長に、防災計画のマニュアルの義務付けによるのかどうか分からないが、一つの報告を行っている。

 〈松井市長は災害があった20日未明、午前3時に対策本部の立ち上げなどについて報告を受けた後、午前7時に登庁するまで自宅にいたと説明している。〉と記事は書いている。

 他社の記事では対策本部設置は午前3時30分頃となっている。

 この対策本部とは広島市が設置したものである。

 ここに疑問が生じる。土砂災害は重大事態である。「NHK NEWS WEB」記事が8月20日4時10分の発信で、広島市消防局からの情報として8月20日午前3時20分頃から40分過ぎにかけて広島市安佐南区の八木地区と山本地区、緑井地区の3地区の住民から近くの裏山が崩れているという通報が相次いで寄せられたと報じている。

 この山の崩壊は、地震が発生したわけではなく、強い雨が降っている最中(さなか)のことだから、当然、大雨と関連づけなければならない。大雨が原因の山の崩壊なら、土石流を誰もが連想する。地震が山を崩壊させて、その土石が川を塞いで自然のダムを造り、それが決壊して発生させる類いの土石流ではない。

 山の崩壊現場から下流に住宅群が存在したなら、土砂災害を想定しなければならない。

 広島市安佐北区三入では午前4時半までの3時間に、平年の8月1カ月分の雨量143ミリを上回る観測史上最多となる204ミリ。

 広島県が安佐北区可部町上原に設置した雨量計は午前3時50分までの1時間に130ミリの猛烈な雨を観測。

 その他の地域を含めた大雨情報は気象庁から広島県へ、広島県から広島市へ、広島県独自に把握した大雨情報は直接広島市へと伝達される。あるいは自動的に送信されるシステムとなっている。

 広島市は市長への午前3時の対策本部立ち上げの報告の際にその理由として大雨情報や市の消防当局が把握した土砂崩れ情報を併せて報告したはずだ。設置には設置の理由が必要となる。

 区からの情報が自宅にいた市長に入らなかったとしても、市からの情報が市長に入っていたと見なければならない。当然、市長の立場上、次の危機管理対応として少なくとも住民に対する避難勧告、最悪の場合、避難指示を視野に入れなければならない。

 市長に対策本部設置の報告をした市の職員に、「避難勧告を出さなければならないような状況になりそうなのか」と尋ねでもしたのだろうか。

 尋ねたとしたら、大雨が集中的に降っているそれぞれの区の避難勧告を出さなければならない状況になるかどうかを心配することになったはずだ。

 だが、区の判断・責任に任せて、区から情報が入ってこないままに放置した。

 そしてそのまま自宅にいて、午前7時15分に登庁した。市からの対策本部設置報告時に把握したであろう予見し得る土砂災害の危険性を重大情報と看做さなかった。

 もし見做していたなら、登庁時間は変わらなくても、自宅にいたまま市とも区とも様々な情報を交換し、ときには市長の方から指示を出すこともあったはずだ。

 弁明。

 松井市長「寝たり休んだりしながら情報を聞き、対策会議を開くと言うことで関係者を招集した。

 (今回の対応について)私も職員も計画に基づいて対応したと思っている」

 どこから情報を聞いていたのだろうか。テレビからか。区役所からではない。市役所から聞いていたとしたら、各地で土砂災害が発生し、行方不明者が続出していた状況の切迫性は広島市の最終責任者として共有しなければならない切迫性であって、7時15分の登庁からはその切迫性を感じ取ることはできない。

 ベッドに寝転がってうとうとしながら、テレビのニュースでも上の空で聞いていたのだろう。

 《広島市長「どしゃ降りで出られず」 災害時の登庁遅れに》asahi.com/2014年8月26日16時27分)

 8月26日の定例記者会見。登庁遅れの正当性の弁。

 松井市長「すごい土砂降りでした。ある意味、自分の安全ですかね、確保しながら」

 記事解説。〈災害が起きた20日は午前3時すぎから119番通報が殺到し、広島市は午前4時15分に最初の避難勧告を出した。だが、松井市長の登庁は午前7時15分だった。午前4時の時点では、被害が出た安佐北区では1時間に101ミリの雨量が観測されたが、市長公舎のある中区の雨量は1ミリだった。〉――

 この発言一つで8月20日午前3時(他社の記事は午前3時30分頃)の広島市対策本部設置の報告を受けた以後も、設置するそれなりの理由との関係で、例えテレビからの情報であっても、細心の注意を払って状況の推移を見守らなければならなかったはずだが、土砂災害の危険性を予見もしていなかったことが明らかとなる。

 松井市長(避難勧告を出す手順の見直しについて)「(雨量が基準に達するなど)客観的に分かれば早めに勧告するという整理をしていく。その場合は避難所開設が勧告より先になければならない。

 昼と夜を考えると、避難所を開設する職員も一般の配置と違う。(現在の)マニュアルは昼間ベースでやっていた。夜間対応はもう少し工夫がいる」(下線部分は解説文を会話体に直す)――

 市のトップとしての責任と能力を有しているとは到底思えない発言となっている。

 「(現在の)マニュアルは昼間ベースでやっていた」――

 如何なる災害も、常に昼間を選んでくれるわけではない。

 2013年10月16日に伊豆大島の大島町を襲い、避難勧告も避難指示も出さないままに30名以上の死者を出した台風26号に伴う土石流は夜中の3時には起きている。その他にも探せば、自然災害は昼夜を選ばないことが分かるはずだ。当然、行政のトップはそのことを学習して、肌に染み込ませておかなければならない。

 だが、「マニュアルは昼間ベースでやっていた」と、自分の発言の異常に気づきさえしない。

 確かに「昼と夜を考えると、避難所を開設する職員も一般の配置と違う」だろう。だが、緊急の避難を要する場合、「避難所開設が勧告より先に」を条件としたなら、避難所開設の準備ができるまで住民を危険な場所にとどめておくことになる。周囲の状況が急変しない保証を市長は与えることができるのだろうか。

 避難所は各地域ごとに指定済みであるはずで、何の準備がなくても、あるいはそこに何もなくても、避難所の鍵を開けさえすれば、住民をそこに移動させることで安全な場所の提供が可能となる。安全な場所への移動が事態の急変を回避する最良の手段であろう。そうすることが住民避難に関わる危機管理の常識的な要諦であるはずだ。

 布団や必要なら冷暖房器具、食事等は、例え少しぐらい時間がかかっても、避難後に用意すればいい。何事も命あっての物種である。

 松井広島市長の発言からは人命よりも役所の対応を優先させる危機管理しか見えてこない。いわば市長の中では本質のところで人命と役所の対応を離しているから、既に心肺停止者が確認されている段階にあっても、7時15分に登庁することができたのだろう。

 他者の命への想いのなさという点で松井市長は安倍晋三と兄弟の関係にあるように見える。


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