高村正彦の「政策論争を疎かにすると国民が傷つく」の愚かで自己都合な野党批判

2014-10-23 07:57:33 | Weblog
 


 政治資金規正法、あるいは公職選挙法違反に触れる疑いを受けて小渕優子と松島みどりが辞任した問題で、辞任で幕引きを図りたい政府に対して野党は辞任だけでは済まない、国会の政治倫理審査会等で説明せよ、安倍晋三は任命責任をどう果たすのか、新大臣の所信表明が先だと政府追及の態勢に入り、これらが果たされなければと審議拒否の姿勢さえ見せている。

 当然、予定していた国会審議が停滞することになる。10月21日の衆議院本会議で予定されていた土砂災害防止法の改正案の審議入りが23日に先送りされ、与党側が今週中に審議入りしたいとしていた労働者派遣法改正案の衆議院本会議での審議入りも、来週28日に先送りされる影響が既に出できているとマスコミは伝えている。

 審議先送りは来月30日までの今臨時国会会期中の成立を予定している地方創生関連法案や派遣労働の期間制限一部撤廃の労働者派遣法改正案等の成立を危うくする。

 こういった国会運営の予定表を狂わす混乱は政府にとって不都合な事実で、高村自民党副総裁が野党批判に出た。

 高村正彦「(二人が辞任したことに関して)政府与党は襟を正し、緊張感を持って対応しなければならない。(但し)野党側からは『政策論争よりもスキャンダルを徹底的に追及せよ』という声も聞こえてくるが、政策論争を疎かにすると国民がキズつく」(NHK NEWS WEB

 国民をダシに野党の動きを牽制しようとしている。

 高村正彦は小渕優子の政治資金収支報告書の記載問題が上る前、松島みどりが地元の祭りで支持者に配ったうちわ問題と江渡聡徳(えと・あきのり)防衛相の資金管理団体の政治資金収支報告書訂正問題で民主党が国会追及していることにもイチャモンをつけている。

 高村正彦「閣僚に対するあら探しだ。火のないところに煙を立てようとする行為は目に余る。野党第1党の資質の問題だ」(時事ドットコム

 この発言に対する反論。

 川端達夫国対委員長「(閣僚の資質問題に)力を費やさざるを得ないような人がいっぱいいることが問題だ。与党や内閣は胸に手を当てて反省し、けじめをつけてほしい」(同時事ドットコム) 

 何日か前のブログに議員自身の政治資金管理は人事管理だと書いた。秘書等に任せて資金管理を行う。適正な資金管理は如何に秘書等を人事の面で管理できるかどうかにかかっている。人事管理能力のない政治家に省庁の人事管理が満足にできるはずはない。資金管理を秘書任せにしていて、秘書がいい加減な収支報告書を作成していたというなら、人事管理ができていなかったということであって、大臣となっても人事の掌握に関しても職務に関しても所管する省庁の官僚任せとなる。

 もし政治家が秘書に指示して収支報告書の金額を操作させていたということなら、決定的に資質の問題となる。

 前者、後者どちらであっても、大臣の資格はないと言うことになって、資格のない大臣を大臣に据えておくことはできない。決して「あら探し」ではない。

 野党は江渡聡徳の政治資金収支報告書訂正問題で審議拒否に出た。このことに麻生太郎も批判発言を行っている。

 麻生太郎「集団自衛権含めた安保法制についてあれだけ徹底した議論をやれとしつこく言ってこられた民主党が、こういう行動をとられて違和感を覚える。ぜひ政策で議論を戦わせていただきたい。

 1年生議員の方々が、国会ってこんなものか、いかがなものかとなるので、しっかり対応していただきたい」(時事ドットコム

 政策を担う資格のない大臣と議論をしても始まらない。議論に応じたなら、政策を担う資格があると認めることになる。

 民主党を始め野党の多くは「低賃金労働者を増大させかねない」、あるいは「格差拡大を招く」と労働者派遣法改正案に反対し、成立阻止に全力を挙げる方針でいる。いわば労働者派遣法改正案が成立したなら、中低所得層の生活が“キズつく”と考えている。

 高村正彦は「政策論争を疎かにすると国民がキズつく」と言っているが、野党の多くは少なくとも労働者派遣法改正案に限って言うと、政策論争を疎かにした方が国民はキズつかないと考えているということである。

 野党が素直に政策論争に応じて労働者派遣法改正案の国会成立に結果的に協力することになった場合の先にある中低所得層の「国民がキズつく」場面よりも、逆に政策論争を疎かにして小渕優子と松島みどりの「政治とカネ」の追及に全力を注ぐ戦術を貫けば、時間切れによって最良の成立阻止の方法となる可能性が生じる高等戦術という側面を持たないでもない。

 あるいは野党はこのことを意図的に狙って審議拒否の姿勢でいる可能性が高い。だとしたら、高等戦術も高等戦術、絶妙な高等戦術と言うことができる。

 要するに高村正彦が対象にしている「国民」と、労働者派遣法改正案反対の野党が対象にしている「国民」とは生活階層を異にしているということである。

 このことは労働者派遣法改正案に対する産業界の賛否の態度を見れば理解できる。大企業代表の経団連は賛成し、労働者代表の連合は反対している。悪法と見るかどうかはそれぞれが置かれている利害上の立場に応じる。経団連はコストカットの妙味、あるいはメリットがなければ、賛成しないはずだ。

 こういったことを考えもせずに高村正彦は愚かにも「政策論争を疎かにすると国民がキズつく」と言っている。安部政権と自民党の利益を代弁した自己都合な批判に過ぎない。

 野党は国民の生命に直結する土砂災害防止法の改正案等の審議には応じるべきだろう。


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