安倍晋三の尖閣「交渉の余地ない」は民主党の「領土問題は存在しない」と同じ逃げの姿勢

2012-12-18 05:06:33 | Weblog

 安倍晋三自民党総裁が衆院選勝利を受け、自民党政権発足に向けて昨日12月17日(2012年)、東京・永田町自民党本部で記者会見を行い、日中間で領土問題に発展している尖閣諸島について次のように発言している。

 安倍晋三「尖閣は日本固有の領土であり、国際的にも国際法的にも日本は尖閣を所有し、実効支配をしている。交渉の余地はない。この問題で、中国国内で日系企業を襲撃したり、日本人に危害を加えるのは国際的なルールに反している。戦略的互恵関係に反しているということを、中国側に強く訴えていく必要がある」(MSN産経

 「尖閣は日本固有の領土であり、国際的にも国際法的にも日本は尖閣を所有し、実効支配をしている」は民主党政権が発言してきた「尖閣は日本固有の領土であり、歴史的にも国際法上も日本の領土である」と全く同じ趣旨であろう。

 だが、この文言には既に耳にタコが出来、聞き飽きている。
 
 なぜ耳にタコが出来、聞き飽きることになったのかはわざわざ断るまでもなく、日本側が言うだけで終わっているからだ。

 肝心なことは民主党政権の「尖閣は日本固有の領土であり、歴史的にも国際法上も日本の領土である」であろうと、安倍晋三の少し言葉を違えただけの「尖閣は日本固有の領土であり、国際的にも国際法的にも日本は尖閣を所有し、実効支配をしている」であろうと、肝心要なことはこの事実を中国に認めさせることであるはずである。

 認めさせることによって、尖閣を巡る日中両国間の経済的・政治的衝突の幕引きを図ることができ、それが誰の発言であっても、「日本固有の領土である」という言葉が単に実効性もなく言うだけで終わらない、言葉通りの実体を厳格に持たせることができる。

 要するに中国に通じない言葉を繰返しているに過ぎない。

 これを以て外交と言えるだろうか。

 相手に対して通じる言葉とし、事実を認めさせることが外交力であって、当然、外交の場で直接的に発揮しなければならない能力であるはずだが、民主党は「尖閣に領土問題は存在しない」の主張を楯に交渉せずの姿勢を取り、結果として相手に通じない「尖閣は日本固有の領土であり、歴史的にも国際法上も日本の領土である」をバカの一つ覚えのように繰返すことになり、聞く者をして耳にタコを拵えさせることになる。

 このような有様だから、民主党政権時代、尖閣を間に挟んだ日中の経済的・政治的衝突は完全決着を見ることなく繰返されることになった。

 外交の場で強敵中国を相手に通じる言葉を創り出して、それを縦横に駆使して事実を認めさせるのではなく、逆に外交の場での直接的な交渉を避けるのは逃げの姿勢以外の何ものでもないはずだ。

 安倍晋三は尖閣問題でタカ派の名前通りに強い態度で臨むと見られていた。ところが、「尖閣は日本固有の領土であり、国際的にも国際法的にも日本は尖閣を所有し、実効支配をしている」から、「交渉の余地はない」と、民主党政権と同じく日本の固有の領土であるという事実を相手に通じる言葉を創造し、認めさせる外交(=交渉)の場は設けないとしている。 

 これでは口程にもなく民主党政権と同じ逃げの姿勢を見せたことになる。

 野田政権の尖閣国有化以降、中国は強硬な姿勢を取っている。安倍新政権が中国に対して遠巻きにした形で、「中国国内で日系企業を襲撃したり、日本人に危害を加えるのは国際的なルールに反している。戦略的互恵関係に反しているということを、中国側に強く訴え」たとしても、尖閣諸島が日本固有の領土であるという事実を相手に通じさせ、認めさせる言葉とはならず、今後とも様々な衝突を引きずることになるに違いない。

 タカ派とは名前ばかりで、安倍政権には尖閣問題の完全決着は期待できないことになる。

 

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